Memory of the starlit sky   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。
疲れてダウンしてました。

めちゃくちゃ、体調もメンタルも酷かったです(笑)
多分これからも、週一投稿難しい時もあるけど許してね。



それでは、第三十一話をどうぞ!!


第三十一話 風邪と看病 中編

 

(あれ?なんか......気持ちいい)

 

意識が覚醒する感覚を覚える。

 

相変わらず発熱によって体は暑い......が。

一箇所だけ、冷たくて気持ち良い箇所があった。

それはおでこだった。

だけど、寝る前に冷却シートを貼った覚えがない。

 

(なんで......? もしかして、友希那?)

 

「今日は用事があるから、一緒に居られない」と彼女は言っていたが、

もしかしたら、アタシの為に居てくれた......?

そんな予感が頭をよぎる。

だとしたら、謝らないと。

 

友希那がアタシの為に犠牲になる必要なんてない。

覚醒する感覚に身を任せ、ゆっくりと目を開ける。

だけど、アタシの目に映ったのは......、

 

「あ、気が付いたんですか。 リサさん」

 

「......え? なん....で?」

 

今日アタシが出会う予定だった人物だった。

不意打ちだ。

何でここに連音君が!?

そう問いただそうとするが、驚いて上手く言葉にならない。

 

「あ、ゆっくりと寝てて下さい。 今、紗夜さんがお粥作ってくれてますから」

 

「え、紗夜も居るの!?」

 

更なる驚愕をアタシを襲う。

連音君だけではなく、紗夜も居るなんて。

頭はこの状況を理解しようとしているが、寝起きの頭では理解不能。

少しだけ軽くパニックになっていた。

そして結局、

 

「えとごめん、色々と聞いてもいい?」

 

考えることを放棄し、連音君に現状を求めた。

 

──────────────────────

 

「何かあったのかな?」

 

疑問に思うが行けなくなったのなら、仕方ない。

リサさんに、「分かりました」という旨の返事を返しておく。

 

「さて......これからどうしよう」

 

現在はリサさんとの待ち合わせ場所の駅前。

そして時刻は待ち合わせの三十分前。

リサさんを待たせる訳には行かないのでこの時間に来たのだが、

完全に手持ち無沙汰になってしまった。

 

「とりあえず、ぶらつこうかな」

 

結局俺はそのまま家に帰ることはせず、他の店が開くまでぶらつくことにした。

折角、駅前まで来たのだから何か買い物でもして──そう思った時。

ポケットに入れていたスマホが連絡アプリの通知音を響かせる。

 

──誰からだろ?

 

取り出して、相手の名前を確認する。

表示されている名前は、『湊友希那』

 

「友希那さん?」

 

彼女から連絡が来るというのは珍しい。

来たとしても、Roseliaの曲をどのようにしたらいいか。

というような音楽関連の連絡ばかりだ。

 

しかしそれを差し置いても、朝早くから連絡が来るのとしても不思議だった。

 

スマホのロックを解除し、送られてきたメッセージを確認する。

送られてきたメッセージには。

 

『今から会えるかしら』

 

そう書かれていた。

 

 

 

「待たせたわね」

 

連絡が来て五分後。

友希那さんと駅前で会っていた。

 

「いやまあ、大丈夫ですけど....どうしたんですか、こんな朝早くから」

 

連絡が来ていた時から思っていた疑問を、友希那さんに尋ねる。

それに対し友希那さんが肩をすくめながら、「ちょっと出掛けるのよ」と返された。

そして今度は逆に友希那さんから、

 

「貴方、今日リサと出掛けるらしいわね」

 

質問を返された。

何で友希那さんからこんな事を聞いてくるのか分からなかったが、別に答えることを渋る内容でもないので、直ぐにその質問に答える。

 

「そうだったんですけど、リサさんに今日行けなくなったって、連絡が来ました」

 

そう言葉を返すと、友希那さんは明らかに怪訝そうな顔を浮かべた。

 

「.....ちなみにその行けなくなった理由は聞いたのかしら?」

 

「特には聞いてないですけど.....」

 

そこまで話すと友希那さんがおでこの手を当てながらため息をついていた。

よくよく見れば友希那さんの顔はどこか、焦燥しきった顔をしているように見える。

 

「はあ、全く不器用なんだから.....」

 

「不器用?」

 

「こっちの話よ。それより連音、今からリサが行けなくなった理由を話すわ」

 

 

 

「───ということで、リサは今寝込んでいるわ」

 

「そう、だったんですか....」

 

「ええ。まあ、百パーセント自業自得よ」

 

友希那さんが肩をすくめながら呟く。

そんな友希那さんに疑問をぶつける。

 

 

「リサさんは大丈夫なんですか? 」

 

「取り敢えず薬は飲ませたから、直に良くなると思うわ。.....はい、これ」

 

「これは? 」

 

友希那さんからある物を渡される。

それは──猫のキーホルダーが付いた鍵だった。

 

「リサの家の鍵よ」

 

「リサさんの家の?」

 

そう言いながら、渡された鍵を眺める。

 

「ええ、実は連音。 貴方にリサの看病を頼みたいの」

 

一瞬、時間が止まる。

何を言ってるんだ、この人は?

 

「ええと、友希那さん。 何を言ってるんですか?」

 

「...? 変な事言ったかしら」

 

目の前の彼女は、可笑しそうに首を傾げる。

どうやら、彼女が自分の言った事を理解していないらしい。

彼女が言った事を要約すると、

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

を頼んでいる。

 

つまり大問題である。

 

「そもそも何で、俺がリサさんの看病を? 」

 

「.....きっと、貴方じゃないとあの子を慰められないからよ」

 

──慰める?

 

「それってどういう....「湊さんに、鳴宮さん?」..!!」

 

湊さんと話をしていると、検討違いの方向から声へを掛けられる。

驚いてその声が聞こえてきた方向へと目線を向ける。

そこに居たのは、ギターケースを背負った紗夜さんだった。

 

「えっ、紗夜さん?」「....紗夜」

 

思わず友希那さんと一緒に、驚きの声を挙げる。

友希那さんもそうだが、何故こんな朝早くに居るんだろうか。

 

「えっと....、お二人はこんな朝早くに何をしてらっしゃるんですか?」

 

「リサについて、話してたのよ。 紗夜こそ、こんな朝早くから何をしてるのかしら?」

 

友希那さんが紗夜さんの質問に答える。

『リサ』という言葉に、

そこだけ引っ掛かったのだろうか、一瞬だけ紗夜さんの顔が困惑したように見えた。

 

「スタジオに行って、ギターの練習をしようと思いまして。 それより、今井さんに何かあったんですか?」

 

そして案の定、紗夜さんがリサさんの事について尋ねてくる。

 

「リサが風邪をひいたのよ」

 

「今井さんが? 大丈夫なんですか?」

 

その言葉に、友希那さんが頷く。

 

「ええ、今のところは大丈夫だと思うわ。 でも流石に一人だと心配だから、連音に看病を頼もうとしたのよ」

 

「鳴宮さんに? 」

 

紗夜さんの目線がこちらへと向いてくる。

その目線に、何も悪い事をしていないのに冷や汗が流れる。

きっと、紗夜さんの事だ。

さっき俺が危惧したような事にも直ぐに思いつくだろう。

暫く、紗夜さんに目線を向けられる。

 

「......湊さん」

 

「何かしら?」

 

ゆっくりと友希那さんの方へと視線を戻し、

紗夜さんが呟く。

 

「私も、今井さんの看病に付き添ってもよろしいでしょうか」

 

「「え?」」

 

友希那さんと俺の間抜けな声が重なった。

 

──────────────────────

 

「というような事があって、ここに来てます」

 

「そうだったんだ.....、ところで紗夜は?」

 

「下でお粥を作ってますよ」

 

そう言いながら、連音君はいつの間にか林檎を手に持って、皮を剝いていた。

皮の下から、林檎特融の色を綺麗な果実の色が覗いている。

そして一人暮らしをしている影響だろうか、剝いた皮が千切れることはなく綺麗に一直線になっていた。

 

そんな器用に剝いている連音君の真剣な横顔を、

ベッドから起き上がって、熱の侵された頭でボケーっと見詰める。

 

 

「ところでリサさん」

 

「......」

 

──キレイな横顔....

 

「リサさん?」

 

「....え? あ、うん。 な、何かな、連音君!?」

 

「大丈夫ですか、しんどいなら寝ててもらっても」

 

「だ、大丈夫だから」

 

そこまで言った時だった。

下の階から大きな物音が聞こえてくる。

 

「「.....!!」」

 

それは数秒間続いた後家の中が、

不気味な程静寂に包まれる。

 

「....ねぇ、リサさん」

 

「....言いたい事は分かるよ、連音君」

 

 

 

 

 

「「紗夜(さん)って料理できるっけ?」」





はい、前回に続いて看病回です。
今回は連音君目線。
看病回は次でおしまいの予定。
そして、実は別の原作で新作書きました。
リンク貼ってるから、良ければ読んでみて下さいな。

それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。
感想、評価等貰えると凄くやる気出るので、是非とも清き一票を。

では、次のお話でお会いしましょう。

(Song I am も、感謝キャラバンも最高でした....)

お休みその①

お休みその②

例の新作

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