Memory of the starlit sky   作:ワッタン2906

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どうも、ワッタンです。
いやはや二週間ぶりです。
最近、執筆が取れる時間がドンドン減っていますね。
え?ないなら作れ? 
ごもっともです。


それでは、第三十二話をどうぞ!!


第三十二話 風邪と看病 後編

 

「紗夜さん」

 

「....はい」

 

「どうやったらこの状況になるんですか?」

 

紗夜さんは一応、先輩だが少しだけ語気が強くなってしまう。

でもそれは仕方ないとは思う。

 

一階から結構な物音がし、降りてみれば目の前に広がるこの惨状。

土鍋からは米が吹きこぼれている。

しかもそれだけではなく、シンクには泡まみれになっている。

そして床には皿などの食器類が散乱している。

一目見たらまるでキッチンをいたずらされたかのような光景。

これは自然と語気が強くなってしまう。

 

「すみませんでした」

 

「紗夜さんって、料理出来なかったんですか?」

 

「....出来ます」

 

「目を逸らさないで下さい」

 

露骨に俺から目線を逸らす紗夜さん。

その行動はもう、料理ができないという事を肯定しているようなものだが、

敢えてそれを言葉を出さずに彼女を見つめる。

 

そんな彼女は数秒間ほど目を逸らしたが、

やがてこちらへと向き直り、小さい声で。

俺の想像した通り。

 

「....申し訳ながら、あまり得意ではないです」

 

そう呟いたのだった。

 

──────────────────────

 

『取り敢えず片づけましょう』

 

そう言ってから、キッチンを片づけ始めてから約十分。

キッチンの惨状は元の姿に戻りつつあった。

幸いにも床に散乱していた皿は一つも割れてはおらず、

水洗いをして元の場所に戻している。

 

「よし、こっちは終わりました、紗夜さんはどうですか?」

 

「はい、こっちも何とか終わりそうです」

 

先程まで彼女には俺と一緒に皿を片づけていたが、

今は鍋から吹きこぼれ、コンロに落ちてしまったお粥の処理をして貰っていた。

 

「了解です。こっちもこれで──最後です」

 

最後の皿を拭き終わり、食器乾燥機に皿を掛ける。

サッと手を洗い、紗夜さんに向き直る。

 

「さて、紗夜さん」

 

「──はい」

そう応える紗夜さんは先程と同じで少し後ろめたさを感じているのだろうか、

少し素っ気ないように見える。

もしかしたら俺に何か咎められるという事を考えているかもしれない。

 

そんな推測をしながら、次の行動に移る前に彼女に質問する。

 

「買ってきたお粥の材料って、まだあります?」

 

「えっ?」

紗夜さんが驚いたような声を出す。

そんな彼女に俺はある提案をする。

 

「材料余ってるなら、作り直しましょうか」

 

その提案に彼女は驚いたような表情を見せた。

 

 

 

「まず、米と水のバランスは1:7にして分量を計りましょうか」

お粥を作る時にはそのバランスで作ると米の硬さが丁度良い。

 

「はい、分かりました」

 

紗夜さんが目の前に置かれている計量カップとボールを手に取った。

そのたどたどしい様子を見て、

紗夜さんは料理が出来ないというよりあまり料理をした経験がなくて、

苦手意識を持っているのかもしれない。

 

正直料理は慣れだと思う。

かくいう自分も、最初のころはただ具材を切って炒めるぐらいしか出来なかった。

所謂、雑飯みたいなものだった。

それこそ胸を張って料理と呼ぶ物が出来たのは割と最近だったりする。

 

「これくらいで大丈夫ですかね?」

とそんな事を考えていると、計り終えた紗夜さんから声を掛けられる。

 

「えーと。....うん、大丈夫そうですかね。 それじゃあ次は米を研いで....」

 

とこんな感じで紗夜さんに教えながら、

お粥を作っていく。

そしてやっぱり紗夜さんは思った通り、

料理の経験がそんなになかったようだ。

それどころか俺が教えたことをすぐに吸収していくから驚いた。

もしかしたらその気になれば、俺なんて直ぐに料理の腕は抜かされるかもしれない。

 

「よし、後はこのまま煮立つの待ちましょう」

 

「分かりました、ところで何で味噌をお粥に?」

 

紗夜さんが俺が、味変として入れた調味料について不思議に思っているらしい。

まあ、普通はお粥に入れないから仕方ない。

 

「あー、お粥って味が薄いじゃないですか。 でも見た感じ、リサさん元気そうだったんで味を濃くした方がいいかなーって思いまして」

 

「そうだったんですか。 それじゃあこの溶いた卵も?」

 

「そうですね、煮込み終わったらこれをお粥の上に掛けて完成です」

 

「なるほど、食べる人の事も考えて。 流石ですね、鳴宮さん」

 

「いやいや、紗夜さんの方もすごいですよ。俺が教えたことをすぐに吸収していくんですから、練習すれば俺より料理がうまくなると思いますよ?」

 

「そう....でしょうか?」

 

そう言いながら、首を傾げる紗夜さん。

その様子にハッと気付く。

首を傾げる動作。

その姿は俺の知るあの人の姿と重なる。

 

やっぱり双子なんですね....

 

「....? 何か言いました?」

 

「いや、何でもないです。 っと、そろそろお粥もいい感じでしょうから、リサさんのところに持っていきましょうか」

 

 

──────────────────────

 

「あ、お帰り。って凄い、いい匂いするんだけど」

 

部屋を開けると、リサさんがベットから起き上がっていた。

そして自分の赤いベースを構えていた。

ベッドの傍には、林檎が入っていた皿が置かれている。

 

「今井さん、風邪をひいてるんだから大人しくしてて下さい」

 

「あ、紗夜おはよー。いやぁ、薬が効いてきたのか、大分楽になったら、暇が襲ってきちゃって」

 

リサさんの言葉に紗夜さんがため息をつく。

「あ、そういえば」

少し呆れたような紗夜さんに、リサさんが話しかける。

 

「それより、さっき凄い音がしてたけど、紗夜、何かあった?」

 

「....えーとですね」

 

善意百パーセントの質問。

その視線に紗夜さんの表情が変わることがなかったが、

騒ぎを起こした張本人なためきっと内心では大慌てかもしれない。

なので、素早く助け舟を出す。

 

「あ、それなら大丈夫ですよ。 もう解決しました 」

 

ここではあえて理由は言わない。

とは言ってもリサさんは薄々、理由に感づいていると思う。

だってその証拠に紗夜さんをじっくりと見詰めて、彼女の反応を伺っている。

そして見詰められている紗夜さんはというと、

目線をあちらこちらに動かしている。

 

「....まあ、そういうことにしておきますか」

そう言うリサさんの顔は、「全て分かりました」というような表情を浮かべていた。

 

「ところでそれが作ったお粥? 」

 

「ああ、そうです。 リサさん食べれます?」

 

「うん、食べれる。 実はお腹空いちゃって」

 

そう言いながら、

リサさんがベッドから這い出てくる。

そして部屋に置かれてる小さい机の前へと座る。

その間に机の上に鍋敷きを敷き、

持って来た土鍋をその上に置く。

 

「それじゃあ、頂き...「「その前にストップです」」へ?」

 

リサさんの手が止まり、

こちらの方に目線を向ける。

そして隣の紗夜さんが口を開く。

 

「今井さん」

 

「さ、紗夜?」

 

「何か言う事があるでしょう?」

 

その言葉を聞いたリサさんは、

分かりやすく顔色を変えた。

そしてすぐに紗夜さんと頭を下げる。

 

「あ、そのぉ、この度は私の自己管理不足で迷惑を掛けてしまい、申し訳ございませんでした」

 

見事な謝罪だった。

 

「はあ、取り敢えず今は何も言いませんが、治ったら湊さんと一緒に話し合いをしましょうか」

 

「え、....友希那と一緒? 」

 

「いいですね?」

 

「は、はい」

 

「それじゃあ、次は鳴宮さ「連音君も!?」」

 

今度は逆に紗夜さんから俺にと目線を移す。

その目は少しだけ涙ぐんでいた。

 

──────────────────────

 

「.....そうですね。 僕も少しだけ怒ってます」

 

「そんなぁ.....」

 

連音君にそんな事を言われる...が、

その目からは怒っているようには感じられない。

 

「怒ってます。俺に本当の理由を言わなかったんですから、信用されてないのかなと思って、ちょっと傷つきました」

 

「っ.....」

心が痛む。

それと同時に朝に封印した感情の波が溢れだそうとしてくる。

だけど今はダメだ。

それを必死に抑える。

 

「だから、リサさんに一つだけ命令します」

 

「め、命令?」

 

その二文字に身構えてしまう。

一体アタシに何を.....

 

「ええ、リサさんには」

ゆっくりと口を開く。

だけど彼の言葉に、

 

──リサさんの料理を食べさせてください。

 

「へ? 」

拍子抜けする。

 

「あ、ちなみにこれはあくまで今日迷惑を掛けた分ですので、リサさん今日の埋め合わせはしてくれるんですよね?」

 

「え、え? う、うん、そうだけど。 というかちょっと待って?」

 

「え、駄目でした?」

 

「いや、駄目じゃないけど、なんで料理を?」

 

ちょっと混乱している。

正直、もうそれこそ絶縁....とまではいかないけど、それレベルの事を要求してくると思っていたのが、

全然そうじゃなかった。

 

──なぜ、料理?

 

「ああ、それはですね。この前の筑前煮が美味しかったからですね、また作ってください」

 

「....うん、分かった」

 

「それと埋め合わせの件ですけど、埋め合わせについては」

 

そこまで言うと、連音君はポケットからあるものを取り出す。

それは何かの紙切れそして二枚。

それをこちらへと差し出して来る。

 

「これ....!!」

 

それは『プラネタリウム』のチケット。

 

「本当は今日行くつもりだったんですけど、風邪を治したら行きましょうか 」

 

「え、でも...」

 

迷惑をかけたのに。

とその言葉は続かなかった。

何故なら、アタシの頭に手を置かれたから。

そして大好きな手がゆっくりと頭を撫でられる。

 

 

「『でも』、じゃないです。」

──俺はリサさんと行きたいんですから。

 

そう言われて、その行動でアタシのせき止められた感情は収まった。

それどころか別の感情が込みあがってくる。

その感情は今までも、いや気づいてこようとはしなかった。

だけど、今日ハッキリと分かった。

 

──そっか、アタシ。連音君に.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──恋をしたみたいだ。




はい、ということで。
ストーリーが動きました。
ちょっと急展開かなと思いましたが、今後はこのようなことはないようにしていきたいです。
そして作中で作ったお粥ですが、実際に作ってみたら美味しかったです。
風邪の時はぜひ?

それでは、今回もお読みいただきありがとうございました。
感想、評価等貰えると凄くやる気出るので、是非とも清き一票を。

では、次のお話でお会いしましょう。

(誕生日の香澄と六花当たりましたー)

そろそろ怒られるその①

そろそろ怒られるその②

絶賛執筆中

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