Memory of the starlit sky 作:ワッタン2906
最近このSSが、週一投稿が安定してきてますね。
多分自分がこの執筆ペースに慣れれば、週一でバンドリSSの方は投稿出来そうです。
そして今回、私ワッタン初めてのまるまる主人公以外の視点で執筆しました。多分変になってるところがあるかも
それでは、第八話をどうぞ!!
(どうして、こんなことに.......)
アタシ、今井リサは人生の中でも、トップの絶望感にかられていた。
あの時、友希那の異変に気づけてあげれば.......そんな葛藤が頭の中をグルグルと渦巻いていた。
何故こうなったのかと、数十分前に遡る。
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今日アタシは遅刻もせずに、Roseliaの練習時間に定刻通りに来たのだが、スタジオの扉を開けて居たのは、紗夜────Roseliaのギター、氷川紗夜だけだった。友希那どころか、他の二人もまだ来ていなかった。
「おはよ〜.......って、あれ?紗夜だけ、友希那達は?」
「おはようございます、今井さん。今日はまだ私だけです」
「ふ〜ん、そっか」
その時はまだ、
(友希那が遅刻するなんて、珍しいな)
と思っていた。一瞬だけこの前の友希那の、顔色が悪かったことが頭をチラついたが、すぐに頭を振り考えを断ち切った。
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「ごめんなさい、遅れたわ」
結局、友希那が来たのは本来の時間の、十五分後だった。
「友希那、遅かったじゃん。何かあった?」
「.......別に、ちょっと遅れただけよ」
アタシの心配する質問に、友希那はぶっきらぼうに答えた。すると紗夜が、
「湊さん。貴方はこのバンドのリーダーなのですから、しっかりして下さい」
と、少し怒った感じで話しかけた。それに対して友希那は、アタシの時と同じように、
「.......ごめんなさい」
ぶっきらぼうに答えた。そしてこの時に、アタシはあることに気が付いた。
(友希那.......なんか、今日もおかしい.......?)
これは完全なる幼なじみの勘なのだか、明らかにあの時と違って、顔色は悪くはなかったが、目の前にいる幼なじみはどこか、今日も少し様子がおかしかった。
この時に友希那の様子に気づいて声を掛けていれば、この後の出来事が少し変わったのかもしれない.......
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残りの二人、───白金燐子と、宇田川あこがスタジオの扉を開けたのは、友希那が来てから十五分後、つまり二人は三十分の遅刻だった。
「.......三十分の遅刻よ、やる気はあるの?」
「そういう友希那も、十五分遅れたけどね〜」
「.......」
アタシの言葉に友希那は、遅れたことの後ろめたさか、バツの悪そうな顔を浮かべる。
「いいから、はやく準備してください。ロスした分を取り戻さなくては」
「「.......」」
紗夜が遅れた二人に対してそう言うが、二人は辛気くさそうな顔をして、言葉を返さない。
「なーに二人して、辛気くさい顔してんの?紗夜が怒るなんていつものことじゃん」
「今井さんも、真面目にやって下さい。コンテストは刻一刻と近づいているのよ」
紗夜と会話している間にも、二人は何も言葉を発さない。
「.......あこ、燐子早くして」
友希那がそう二人に声をかけるが、友希那の声にも二人は反応を返さなかった。
「え、ちょっとなに?どうしちゃったの、二人とも?」
たまらず、アタシも声を掛けるも、やっぱり二人とも何の反応も返さなかった。
そして、紗夜が痺れを切らして、言葉を放った瞬間、
「宇田川さん、やる気がないなら帰っ.......「あ、あのっ.......!!」」
ようやく、あこが反応を返した。
「あ、あこちゃん.......」
そして、燐子もようやく言葉を発し、あこを心配する。
「ごめん、りんりん。.......あこ、見ちゃったの.......」
そこから、あこの口から何故二人が、そんな辛気くさい顔をしていたのかの理由が発せられた。
今日の練習の為に、あこと燐子が待ち合わせをしていたらしい。そして、一緒に「CiRCLE」へ向かおうとすると、友希那がスーツの女の人と一緒に居たのを見たらしい。そして、そのまま二人がホテルのロビーに入っていた。二人は後をつけ、友希那と女の人の話を盗み聞きした。そして、それが二人がこんな態度をしている原因だった。
「それがどうしたって言うの?湊さんにだってプライベートがあるでしょう?」
「.......だ、.......だけど、気になるんだもん!!あ、あこだって、この五人だけのっ、『自分だけのカッコイイ』の為に頑張ってきたし.......、」
そこであこは一旦話すのを止め、意を決したように呟いた。
「だから.......コンテストに出られないなんて、ぜったいイヤなんだもん!!」
「「「!!」」」
あこと燐子以外の三人が驚いた顔をし、静寂が五人が包む。
(やっぱり.......友希那は何か隠してた.......でも、なんで?)
そんなことを思っていると、
最初に口を開いたのは紗夜だった。
「.......どういうことですか?」
そして、あこの口から友希那とスーツの人の会話の内容が発せられた。
どうやら、友希那はスーツの人からスカウトを受けていたらしい。所々聞き取れない所があったようだが、友希那の言ったある一言だけはハッキリと聞こえたそうだ。
「.......私は、フェスに出るのなら何でもするわ!!.......」
という部分だけが。
「.......宇田川さん達の言い分は分かったわ。.......湊さん。認識に相違はないんですか?」
「.......」
紗夜の質問に、友希那は無言を返す。
「友希那.......」
心配になり、友希那に声を掛けるもアタシの言葉にも、何の反応も示さなかった。
「無言は肯定とみなしますが?」
紗夜が再び友希那に問いただす。その声は、アタシには怒気をはらんでいるように聞こえた。だが.......、
「.......」
友希那は、その言葉を聞いても無言を貫いていた。
「っ.......私達とコンテストなんかに出場せずに、自分一人本番のステージに立てればいいそういう事ですか!!」
「.......!.......私っ、は」
紗夜の叫び声に、ようやく友希那は言葉を発するが、その言葉はたどたどしかった。
「.......否定しないんですね、だったら.......」
紗夜がそこまで言うと、アタシは慌てて、紗夜に話しかける。だがそれは、逆に火に油を注ぐ結果になってしまった。
「ちょ、ちょっと待って紗夜、まだ何も言ってないじゃん。友希那の言い分も、ね?」
「答えないことが最大の答えだわ!」
紗夜が叫ぶ。
「っ、友希那.......」
思わず、隣の幼なじみに目線を移す。
が、友希那は俯いていた。
「.......ちょっと、なにか.......!!」
そう言ったが、友希那の反応を確認する前に紗夜が言葉を発した。
「『私達なら、音楽の頂点を目指せる』なんて言って.......『自分達の音楽を』なんてメンバーを焚き付けて.......」
そこで一旦言葉を止め、息を吸い込み叫んだ。
「結局……自分一人がフェスに出られれば、なんでも、誰でもよかった……そういう事じゃないですか!!」
「ッ.......!!」
紗夜の本音の叫びに、一瞬友希那はたじろぐが、何も言葉を発さなかった。無言.......つまり、それは紗夜の言った通り肯定と取れるということだ。
本来ならばアタシは、もっと前に友希那がフェスに出たいという本当の訳を皆に告げるべきだった。そうすれば、今この状況にはなることは無かった.......。
アタシは、何も喋れず立ち尽くしていると、あこが言葉を発する。
「.......え?それじゃ、あこたちが集められたのってその為だけに.......?」
「.......あこちゃん、何もそうとは.......」
あこもそう言うが、相変わらず帰ってくるのは無言、それだけだった。
「.......っ、あこ達の実力を認めてくれたのも!Roseliaに全部かけるって言ったのも!みんな.......みんな嘘だったの……?──────ッ!!」
あこはそう叫び、ドアを大きく開け放ち、スタジオから飛び出して行った。
「あこちゃん.......っ、待って.......どこに.......」
「ちょっ、二人とも.......」
燐子も、アタシの制止も聞かずに、あこを追いかけるように飛び出して行った。
紗夜はそんなことなど気にせず、友希那に話し掛けていた。
「湊さん。私は本当に貴方の信念を尊敬していました。だからこそ、私も……っ!」
そこまで言うと、息を吸い込みしっかりと告げた。
「……とても、失望したわ」
「紗夜……お願い、少し待ってよ。友希那の話を……」
「先程も言いましたが、答えないことが最大の答えです。.......申し訳ないけど、失礼するわ」
紗夜はアタシの言葉にも聞く耳持たずに、ギターケースを背負いスタジオから出て行った。
残されたのは、アタシと友希那のみ。
そして、友希那に恐る恐る話し掛ける。
「.......友希那っ。今の話は全部.......本当なの.......?」
「.......本来だったら、何.......?」
「.......!!なにって、このままでいいの?このままじゃ.......Roseliaは.......ねぇ、本当はメンバーに何か言いたいことがあるんじゃ.......」
「───ッ、知らない!!私は、.......私はお父さんの為にフェスに出るの!!そのためだったら、何で.......何.......でも、利用するだけよ」
アタシの質問に、友希那はそう叫び返す。
(.......嘘つき、嘘だったらそんな顔しないよ.......友希那ぁ.......)
友希那が叫んだ後、涙を流しながらへなへなと床に座り込むと、友希那から一言、
「帰るわ」
そうアタシに告げ、スタジオを出ていった。
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「.......リサさん」
友希那が出て行った後、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
ドアの方を振り向き、誰かなのかを確認する。それは、予想通り連音君だった。
「連音君.......」
そう呟くと、連音君が近づいて来るが、途中で止まる。きっとアタシの頬に流れてる涙を見て、近づくのを躊躇ったのだろう。そして、連音君は優しい声で話し掛けてくる。
「.......大丈夫ですかリサさん?」
ここで、「何があったんですかと」理由を聞いてこないのは、彼なりの優しさだろう。
(ホント優しいね.......)
アタシは涙を拭うと、笑顔を浮かべながら、彼に話し掛けた。
「大丈夫だよ、連音君。心配かけてごめんね。ちょっと.......いざこざがあってさ、それでちょっと泣いただけだよ」
そうは言ったものの、内心では心が後悔や、悲しさが嵐のように、渦巻いていた。きっと浮かべてる笑顔も、酷い笑顔だろう。
アタシの言葉に、連音君は戸惑っていた。
何も無いわけがないのだから。
駄目だ、これ以上はもう耐えられない。これ以上彼を見てると、また泣き出してしまう。
そう判断したアタシは.......、
「.......あ、ごめんね。今日バイトがあるからもう行くね、ギターはまた今度聞かせてね」
そうまくし立て、ベースケースを背負いスタジオから飛び出して行った。
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(やっと終わった.......)
コンビニのバイトを終え、事務所の椅子に座り込み、一息つく。
今日の仕事は、酷かった。お釣りを渡し間違えたり、弁当などの賞味期限のチェック忘れや、揚げ物の廃棄の落とし忘れなど、度重なるミスが目立った。
「リサさ〜ん、お疲れ様でーす」
「.......あ、モカ、お疲れ〜」
椅子に座っていると、今日一緒のシフトだったモカが話し掛けてきたので、挨拶を返す。
(今日はもう帰ろ.......)
そう思い、コンビニの制服を着替える為に、椅子から立ち上がろうとすると、
「リサさん、今日何かあったんですか?」
モカから、いつものような間延びした声ではなく、真面目な声のトーンで再び話しかけて来た。
「えっ.......な、何もないよ。急にどしたの?」
「.......リサさん、頬の後に涙の跡ありますよ。多分他の人だったら誤魔化せますけど、モカちゃんには、誤魔化せませんよ〜、.......何かあったんですか?」
モカはこうやって偶に、勘が鋭い時があることを、アタシは最近知った。
「.......うん、ちょっとね。.......今日バンド内でいざこざが少しあってね。その時に、泣いちゃたんだ.......」
やばい、今日のことを考えるとまた泣きそうになってしまう。涙が出そうになるのを堪えていると、
「そう、.......なんですか.......ごめんなさい〜リサさん。辛いことを聞いてしまって.......」
「.......あはは、大丈夫だよモカ。アタシは気にしてないからさ.......だから、ごめん今日はもう帰るから」
モカには悪気がないのは分かっていたが、今日はどうしてもすぐに泣きだそうに、なってしまう。そして今度こそ、帰る為に制服を着替えようとした時、
「.......リサさん、今日夜の公園に行ってみて下さい〜。星空とか見たら気分が晴れるかもしれません」
と、モカが話し掛けてきたので、
「.......うん、分かった。ありがとね、モカ」
かろうじてそう返した。
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「.......キレイな夜空.......」
そっと呟く。
いつもは気にして夜空なんて見ないから、こうやって改めて見ると、キレイに感じるとは不思議な感覚だった。
結局アタシは、夜の公園へと来ていた。
(来る気は無かったのにな.......)
バイトが終わった後、モカには悪いが公園に寄らずそのまま家に帰ろうとしたのだが、家へと着く曲がり角に差し掛かかり、角を曲がりふと自分の家の隣を見上げたら、二階には電気がついていた。
「友希那.......」
そう呟いていた。友希那の家の前で立ち止まり、そしてアタシはいたたまれず、家へとは逆の方向へ.......夜の公園へと歩き始めていた。
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夜の公園は、昼間と違ってすごく静かだった。まるで、世界に自分一人が取り残されたように感じる。
「.......にしても、ホントにキレイな夜空だなぁ。.......けど、ごめんね、モカ。こんなんじゃ羽休めにしかならないよ」
今だけは心は休まるだろう。だけど、家へと帰ると、きっと隣の家の二階は電気が着いているだろう。そしてアタシはそれを見ると、.......
そんなことを思いながら、夜空を見ていると自分の耳に、
ギターの音色が聞こえてきた。
聞こえた瞬間、アタシは音のした方へと目線を向ける。どうやら、この先の公園の中にある、芝生の広場から聞こえているようだ。
(誰か.......いる?)
アタシは少し迷ったが、意を決して広場へと、足を向けた。
広場へと近づくことに、ギターの音色が強くなり、そして歌声が聞こえてくる。
(弾き語り、それも歌とギターどっちも凄い.......?でも、この声は.......聞いたことある?)
そう思いながら歩みを進め、広場へと出る。
そこに居たのは、多分アタシと同年代の女の子。
そして、連音君だった。
この話を書いていて思ったことは、私にシリアスは書けねぇということがわかりましたね(笑)。それはさておき、ようやくRoseliaのメンバーの名前全員分出せました。まあ、まだ連音君とは絡ませてないんですけどね。
それと次回なんですけど、また初めての書き方に挑戦してみようと思いますので、少々時間がかかるかもです。
それでは次の話でお会いしましょう!!
次回
『その瞬間を掴め』