……した出会い
夢を見る。
……………。
……………………い……。
……あ………………い……。
………い…………………たい……。
……熱い………痛い……。
その夢は、ぼやけて視界がはっきりしない。でも熱さと、痛みだけがはっきりあった。
「………………」
目の前に立つ悲しい顔をする誰かが、自分に何かを伝えている。
「………………」
悲しい顔をするその誰かに、何故これほど胸が締め付けられるのだろう。
「……また………」
その言葉に手を伸ばして知りもしないはずの名を叫んだ気がした。
「…………‼︎」
最後に聞こえた言葉を最後に自分の周りを炎が包み込む。その熱気に視界を塞がれ思わず手で目を隠す。
いつもの夢ならここで終わる。だが、今回の夢はそうじゃない。たまに別の夢を連続で見ることがある。多分今回はそれだ。
炎が治ったのか、もう暑くない。そっと目を開けるとそこは砂漠のような場所で周りには無数の剣が刺さっていた。さっきとは違い多少は視界が見える。
『キィィィイーーー』
と鳴る金属音が耳に響く。その方を振り向いて見ると、赤毛の少年と白髪の男が、同じ白黒の武器を用いて、戦っていた。
激しくぶつかり合う二人だが、やや少年が押されているが、徐々にその差を縮めている。
あと一歩、あと一歩、何度もぶつかり合い生み出される剣。男の最後の剣を凌駕して、少年の刃が斬り付けーーーーー。
『ジリリリリ‼︎』
『ジリリリリ‼︎』
目覚ましの音が起きろ起きろ鳴り響く。
「……あれ? 朝?」
ベットから上半身が落ちた体勢で俺はそう呟いた。
扉の向こうから『ドドドドドドドド』音がだんだんと強くこっちに向かってくる。
『バッ‼︎』と勢いよく扉が開くとそこには目元に熊を作りながら
「ちょっと! なおき、目覚ましうるさいから速く止めて! じゃあ私寝るから! 『バッン!!』」
「ごめんねぇナオ君。桃花ちゃん昨日遅くまで仕事でやっと帰ってきたところだから、ほら朝ごはん」
テーブルの前に朝食が置かれる。ご飯と味噌汁和食。
この人は俺の母親の晴美さん。のほほんとした性格で優しい、美人の母だ。
「また夜遅くまで……」
だからあんなに目元にまたクマができてたのか。
さっき俺の部屋へ来たのは、俺の姉の桃花姉さん。普段は素直で明るく頼りになる姉なのだが、あの様に仕事が遅くなり自分の寝不足がヤバイと怒ってしまう。
仕事って相当大変なんだろうな、姉を見てると仕事したくねぇ。
「そう言えば姉さんの仕事って何してる仕事なの?」
「えっとね。人助けの仕事っと言ってた気がする様な〜……確か働いてるところの名前、なんて言ったかしら、か、か、かる、カル……あっわかった! カー○お○さん!」
自信満々に答えていると思うがそれは多分違うと思う。いや明らかに違う。
「……それお菓子の名前だよ」
「えぇ⁈ 本当だ、間違えちゃった」
「ご馳走さまでした。それじゃあ学校行くよ」
「うんいってらっしゃい。あっそうだナオ君。私今日夜に仕事があるから帰りが明日になっちゃうの、桃花ちゃんも午後から仕事で帰り遅くなるから、今日は夜一人なっちゅうごめんね」
「気にしてないよ適当に食べるから」
「うう……ご飯作り置きしておくね、いってらっしゃい」
涙を浮かべながらそう言う母親。
「行ってきます」
玄関の手すりに手をかけた瞬間、鋭い痛みが一瞬だけ右手の甲に走る。
「っう……」
なんだ今の痛みは? あれ何か赤い? 一瞬の瞬きにそれは消えた。
なんだ今の幻覚? 俺も疲れてるのか。
玄関のドアを開け外に出る。
玄関の外に、見た事ない人が立っていた。
「あのぉ〜お尋ねしてもいいですか? 貴方が私のマスターですか? お兄さん」
華奢な身の少女。白髪に薄ピンクの和服を着ている。二の腕に淡い水色のバンダナを付けた少女は尋ねてきた。
「………えっ?」
これが俺と彼女の出会い。