Fate/リレーション   作:せんと凪

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 まさか2話を投稿するのに一年かかるとは思いもしなかった。

 本来であれば1話になるはずだった話。


セイバー

 

 

「……貴方が私のマスターですか? お兄さん」

 

 そう尋ねてきた彼女は、どこか懐かしさのある顔で俺を見てきた。

 

 白髪で、黒いリボンで髪を止め、薄いピンクの和服に身を包み左の二の腕には淡い水色のバンダナを結んでいて、背中に刀袋を背負っている少女が目の前に立っていた。

 

 わ、和服……珍しいな。後なんか俺の事『ます……』なんとか言ってたな。

 

「えっ? ます……何?」

 

「あっ、すみません。今のは忘れて下さい! そ、そうです。み、道を聞きたかったんです!」

 

 慌てた様子でそう言う彼女。なんだ道を聞きに来たのか。

 

「……あ、ああ道ね、いいよ。どこに行きたいんですか?」

 

「えーっと確か、が、がっこう? と言うところの近くに用がありまして……」

 

 若干ぎこちない感じで学校と言う彼女。もしかして学校を知らないのかな? いや学校を知らない人くらい居るだろう多分。

 

「………もしかして俺が通ってる咳花凪高校かな?」

 

「あっそこです! そこの近くに用があるんです」

 

「なんだ通ってる高校の近くに用があるなら、途中までだけど、送ろうか?」

 

「ええ、いいんですか?」

 

「いいよ、時間的には少し余裕があるから大丈夫だよ」

 

「すいませんありがとうございます」

 

 そう言って俺と道を尋ねてきた和服少女と共に、学校に向かった。

 

 しかしよく見ると、いやよく見なくてもこの子結構美人だな。横を歩く彼女の横顔を眺めながら歩いていてそう思った。

 

 祐二のやつならラッキーだなとか、運が良いとか言いそうだな。

 

 それにしてもこの子どこかで………。

 

「…………っ!」

 

 今朝玄関で感じた痛みよりも強い痛みが手の甲に走る。視界が少しぼやけ、体の力が抜けて、バランスを崩す。

 転ぶと思った瞬間。隣で歩いていた彼女に体をサッと体を支えられていた。

 

「大丈夫ですか⁈………」

 

 彼女は俺の手の方をじっと見ている気がした。

 

「ああ、うん……大丈夫」

 

「……そうですかならよかった、でも少し顔色が悪いですよ?」

 

 心配そうに見つめる彼女。

 

「そう? ごめん心配かけちゃって、ありがとう」

 

 見ず知らずの女の子に心配をかけてしまった。

 ったく、この痛みはなんなんだ? 急に痛くなって、虫か何かに刺されたとか? 病気か? 今日は調子悪いのかなぁ。

 

「ごめん気を使わせてしまって」

 

「いえ大丈夫です。それと体には気をつけてください……重い病気だといけませんから……」

 

「……う、うん」

 

 重い病気か、これでも健康体質な方だと思うだけだなぁ、学校だってほとんど休んだ事ないし。

 

 そんな事を思っていると、もうすぐで学校に着くまで来ていた。

 

 

「この辺で大丈夫です。後は自分で行きます」

 

「あ、うんこの辺でいいなら、気をつけて行くんだよ」

 

「ありがとうございます、お体には気をつけてください。それとお時間大丈夫ですか?」

 

 彼女は丁寧にお辞儀をした後、俺の時間を気にかけた。

 

「あ、ああうんって、確かにこの時間は遅刻する、ごめんそれじゃあ!」

 

 俺は彼女に言われ携帯に表示された時刻を見るとあと少しでチャイムが鳴ってしまう時間だった。彼女に別れを告げ大急ぎで教室に向かう。

 時間は大丈夫のはずだったのだが、思いの外早く時間が来てしまった。

 

「…………」

 

 彼女は彼の後ろ姿を長くじっと見つめていた事に俺は気づかなかった。

 

 

 教室ーー。

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ、ま、間にあった……」

 

 ギリギリで教室に入り、自分の席についた。なんとか遅刻はのがれたが、かなり全力で走ったので息が上がっている。

 

「よぉ、珍しいなお前が遅刻チャイムちょいギリギリで来るなんて」

 

 後ろの席から声が掛けられた。彼は興隆 祐二同じ一年のクラスの友達。

 まぁ一年といっても後数日の事だけど。

 

「はぁ……いや、朝道を聞かれたから案内と言っても学校に来る道と一緒だったんだけどなちょっとゆったり歩き過ぎた……はぁ」

 

「なるほど、で? その道を聞いてきた人は女子だったのか?」

 

 祐二のやつが、真剣な表情で聞いてきた。

 

「ああ女子だったぞ」

 

 グイッと顔を近づけて言う。

 

「美人だったか?」

 

「あ、ああ美人だった………てか近い」

 

「おおこりゃ運がいい、今日はついてるじゃないか直樹!」

 

「言うと思ったよ、それに運がいいのか?」

 

「そうだぜ! 美人の女子に道を聞かれたんだぜ? そりゃあ運がいいに決まってら!」

 

 ガバッと立ち上がりそう言う祐二。そんな事をしているとチャイムが鳴って先生が入ってきた。

 

「みんなさん席についてくださーい、ホームルーム始めますよー」

 

 はーいとクラスの殆どが返事をして席に着く。

 

「興隆君も早く座りなさい」

 

「はーい」

 

 そう言って先に座る祐二をクスッと笑う声少し聞こえてきた。

 挨拶をしてホームルームが始まる。

 

「もう3月でテストも終わり皆さんは後3日で春休みに入ります。休みだからと言って夜更かしとか危ない遊びはやらないようにしてくださいね」

 

『はーい』

 

 優しくそう言う先生にクラスの大半が癒されていた。

 先生の名前は花波 京子先生。身長が低く、誰にでも優しく教育熱心な先生。

 祐二や他の生徒の大半は愛称を込め《ちゃん》付けで呼ばれている。

 

 

 

 それからホームルームが終わり一限目の授業が始まった。

 と言っても殆ど自習みたいなものだ。

 

 テストの見直しをしている生徒や友達と喋っている奴らもいる。先生に至っては寝ている。先生は京子先生ではなく数学担当の先生。

 

「テストが終わってるのに見直ししても意味ないよなぁ〜自習するより京子ちゃん先生の授業受けた方がいいわ。なぁ………」

 

「………ああ」

 

 軽い返事。

 祐二の言葉は後半からは聞いていなかった。

 教室の窓を眺めて景色を眺めていて、ぼーっといたから。

 

 窓から見える街の風景、桜の木が風に煽られ花弁を散らしているのをただただ眺めて……痛い。

 

 ビリっと電気が走ったような感覚。

 

 

 

 

 

 

 

 さっきよりは痛くないが、また右手の甲に痛みが走る。ズキズキと痛みがあるが叫び出しそうな程でもない。

 

「おい、大丈夫か直樹? すげー顔色悪そうと言うか顔険しいぞ」

 

 隣で俺の事を見ていた祐二が俺を見てそう言う。

 

「あ、ああ悪い。大した事じゃないから心配しなくても平気だ」

 

「そうか……いや体調悪そうなんだから保健室行ってこいよ」

 

「いやだからだい……」

 

「そんな事を言ってないでさっさと行ってこい。見た感じ俺が一緒に行かなくても大丈夫そうだし。次の授業は自習だから、きょうかちゃん先生には俺から言っとくぜ」

 

 そう言って半ば強引に俺を教室の外に出した。

 

「………」

 

「どうした保健室一人じゃいけないか? やっぱり俺もついて行った方がいいか?」

 

「……一人で行ける」

 

「おう! じゃあ行ってこい」

 

 俺は教室を後にし保健室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 少し目眩もする。やっぱり具合が悪いのか? 朝から変な痛みに襲われるし。

 なんか頭まで痛くなって気がする。

 

 そう少しふらつきながら、歩いていると後ろから声をかけられた。

 

「どうした君? もうすぐ授業だぞ」

 

 振り向くと、背丈が高く眼鏡をして真面目そうな教師が立っていた。

 

「あっ………いや……保健室に行こうと……」

 

「保健室はそっちじゃないぞこっちだ」

 

 先生は何かを考え俺の事をじっと見つめる。おそらくサボりとか思われてるんじゃないか?。あれそういや保健室がこっちじゃないとか今言ってなかったか? あれ……?。

 

「………ふむ、どうやら道を間違えるほど具合が悪そうだな」

 

 そう言って近くまで歩いてくる。俺は固まってと言うよりは先程の目眩にやられているためかうまく動かずバランスを崩してしまう。

 そんな俺をサッと支える先生。

 

「大丈夫か? 尋ねるが、喋るのは辛くはないか?」

 

「……はい」

 

「すまないが名前を聞いていいか? 私は影石 高虎だ二年の担任をしている」

 

「……はい…一年C組のつ、継宮です、継宮 直樹です」

 

「そうか継宮か、すまない無理に喋らせてしまって、保健室まで連れて行こう」

 

「だ、大丈夫ですよ、俺一人で行けますから」

 

「なにを言う。保健室の方向を間違えていたじゃないか、大丈夫だ気にする事はない、保健室までついていくだけだこのまま支えていくぞ」

 

「……はい」

 

 

 保健室扉前ーー。

 

 

「桜先生いますか?」

 

 保健室の扉を軽くノックすると扉の向こうから声がした。

 

「はーい、あら影石先生どうなさいました?」

 

 ストレートの紫髪で、セーターの上から白衣を着た先生が出てきた。

 

「彼を少し横にさせてあげてください」

 

「……すみませんお願いします」

 

 俺は低い声でそう言った。

 

「大変! 凄く具合が悪そう、すぐにベットまで」

 

 影石先生が俺をベットまで運び横にした。

 

「顔色がかなり悪いですね、熱も少しあるみたいです」

 

「そうですか……おっともう時間か」

 

 二人が話していると学校のチャイムがなる。

 

「私は授業に行くので、桜先生後は頼みます」

 

「はい、任せてください」

 

 影石先生は席を立ち授業に向かって行った。

 

「継宮君、何かあれば先生を呼んでねそこに座ってるから」

 

「……はい」

 

 そう言って桜先生はカーテン閉めた。

 

 返事をした後また目眩が襲う。頭痛もしてくる。手にも痛みが走る。

 その痛みに耐えながら目を閉じた。時期に収まる、今日は調子が悪いだけだ、そう思いながら別の事を考える事にした。別の事でも考えてれば痛みも忘れるだろう。

 

 えーっと。今日は家に帰ったら何をしよう、勉強は……いいやゲームか漫画? 溜め込んでるアニメでも観るか……。

 

 

 そう言えば、朝道を聞いてきた子は、無事に目的地に着いただろうか? あの感じだとこの街に来たばかりの様子だったし、知り合いとか居ればいいんだけどなぁ。

 

 そんな事を考えているといつの間にか痛みの事を忘れ眠りに落ちていた

 

 

 

 

 暗い。

 

 暗く深い場所。

 

 何も見えないが何かが光る。

 

 線になって伸びる光が走る。

 

 その光は次第に何本も現れ線に光が通るのが早くなる。

 

 最初は緑色だった光が急に赤に変わる。その瞬間全ての線に赤い光が走った。

 

 そんな事に苦しむ自分の手を誰かが握っている感覚があった。誰かが「自分がそばにいる」と言うよに強く握られている。そんな気がした。

 

 

「……………」

 

 目が覚めると夕方になっていた。

 朝からあった手の甲にあった痛みはもう無い。目眩や頭痛も取れているし寝たおかげか、調子がいい気がする。

 

「起きたみたいですね。大丈夫継宮君?」

 

 桜先生がカーテンから顔お出した。

 

「はい、寝たらいくらか良くなったみたいです」

 

「本当? 良かった。後ですね、ちょっと前に京子先生が来て、『起きたら職員室に来てください』って言っていましたよ」

 

「わかりましたすぐ行きます。桜先生ありがとうございました」

 

「体調管理には気を付けてね」

 

 お礼を言い頭を下げ手を軽く振る桜先生を後に保健室から出て、職員室に向かった。

 

「…………っ!」

 

 彼が出て行った時偶然ではあるが、一瞬彼の右手の甲に赤い何かを桜先生は見た。

 

 それは彼女にとっては見覚えのある物だった。

 

(あれは……まさかね……)

 

 

 

 

 職員室ーー。

 

 

 

「体はもうだ丈夫ですか継宮君?」

 

「はいおかげさまで治りました」

 

 あははっと苦笑いをした。

 

「もうそんな事言って心配したんですよ。それと祐二君もかなり貴方のことを心配していました」

 

「はい」

 

 祐二のやつには今度うまい物をご馳走しよう。

 

「もう夕方ですので早く帰りなさい、体の具合が悪かったことはお家の人に伝えてありますから」

 

「ありがとうございます」

 

 職員室から出て教師に向かった。

 

 そういえば携帯。ポケットから携帯を取り出して画面を開くとかなりのメールが届いていた。

 あーやっぱり晴美さんからメールがかなり届いている。

 すぐさま返信メールを送った、これで大丈夫だと思う。おっと祐二にもメールを送らないとな。

 

 

 それにしても何か静かだな……。

 

 

 そう当たりには誰もいない。この時間は確かに生徒は少ないが部活をやっている生徒は、この時間であれば残っている生徒も多少はいるが今日はまるっきり人がいない。

 

 廊下にも別の教室にも校庭にも生徒の姿はなかった。

 部活が早く終わったからもうみんな帰ったのか。そう思った。

 

「あっそうだ今日は帰っても、家に誰もいないじゃないか」

 

 ふと思い出し今日の夕ご飯を買いに行くかもしくは晴美さんが夕ご飯の作り置きをしているかもしれない。

 メールを確認したがどうやら作り置きがあるらしい、なら買って帰らなくてもいいか。さてと帰るか。

 

 にしても本当に誰もいないな………でも何か静かすぎて不気味だ。

 

 下駄箱まで来たが誰一人として生徒や教師にすれ違わなかった。京子先生と話した時は教師も数人しかいなかった。あれから30分くらいは過ぎてる。

 まぁこんな日もあると思う事にした。

 

 校舎から出て歩いてコンビニ寄った時に気づいた。

 あっ財布を忘れた。

 

 まじかなんで忘れちゃうかな。普通バックに入れとけよ。仕方ない、今から取りに行くか、財布の中には鍵が入ってるし。鍵が無いと家に入らない。

 

 

 再び教室ーー。

 

 

「良かった、あった」

 

 しかし教室が開いていたのは、ラッキーだった。いつもなら警備員か教師のいずれかが閉めているはずだが、今日は無かった。

 無用心と言えばそうなるが、そのおかげで今回は助かった。

 鍵かけ忘れたのか?。

 

 物音一つしない廊下をただ一人歩いている。

 

 何にも聞こえないまるでどこか別の世界に来たみたいな感じだ。

 そんな事を考えながら下駄箱で靴に履き替え校門まで歩いた。あたりはもうすっかり暗く人の気配がまるでない。当たり前か。

 

 もう時刻はすっかり暗い時間だ。さっき戻るときに外から窓を見た時どこにも部屋の光は漏れていなかったから、そりゃー誰もいない。

 

 しかしこう、誰も居ない廊下を歩くと謎のテンションが湧いてくるのと何故か体が震えていた。

 

 いや、別に怖いとかじゃない。寒いだけだ。そう寒いだけ。

 

「…………?」

 

 なんだ? 今、物音が聞こえたような。

 

「やっぱり聞こえる……校庭の近くか?」

 

 物音がする方に俺は向かった。

 校庭にまわり、暗闇の向こうに人影が微かに見えた。

 

「………人……俺の他にも居たのか……」

 

 自身以外にも学校に忘れ物を取りに来た奴がいると思った俺はその人影の方に更に近づく。

 しかし疑問だったのはその人影からする物音だ。鉄同士がぶつかり合う音。なんでそんな音がするのかが気になった。そな音をする奴が自分と同じように忘れ物を取りに来た奴かと俺はさっき思ったと事を否定した。

 

 近づくにつれてその音は大きく激しさを増していく。

 この時本能的に危険だと思った俺は身を隠しながら進んだ。

 

 そしてその音が一番近くで見れて身を隠せる花壇の方へ進み、花の根の隙間から見える光景に俺は息を飲んだ。

 

「……………なんだこれ」

 

 木刀の様な剣を持つ長身の男と甲冑に身を包み、体よりも大きい槍? を持った騎士が戦っていた。

 

 単純に“凄い”と思ったが同時に“ヤバい”とも思った。こんなのは映画とかアニメとかでしか見た事がない本物の戦闘、殺し合い。

 

 本物? 現実なのかこれ。

 

 何かの撮影いや、こんな時間に撮影とか……ゲリラ撮影? いやいやそれこそないない。

 

 切り合う二人の動きは早すぎて目では追えず、激しい金属音はよりましていく。殺気も感じるし、何よりこの場にいたら確実に巻き添いを食って“死ぬ”と確信した。

 

 とにかくここから離れたいと思ったが動けない。その光景に手足が麻痺してしまってピクリとも動く事が出来なかった。

 

「…………」

 

 激しい金属音がした後音が止まった。二つのそれは距離を取って向かい合っている。長身の男の方はぶつぶつと何か言っている様だけど聞き取れない。

 

 先に手を出しだのは槍を持った騎士だった。やりお構えて突撃するかと思ったがやりから弾丸が放たれた。

 

「な!?」

 

 それを避ける長身の男。こっちに回ってか来て、避けた流れ弾が身を隠す花壇に直撃出した。

 

 俺は同時に放り出されて、瓦礫と共にその場に転がった。

 

「ってて……」

 

「ひ、人!? っあ!」

 

 騎士の方から可愛らしい声が聞こえたと時、もう一発俺に向かって弾丸が飛ばされて来た。

 

 死ぬと思った。だが、次の瞬間騎士によって放たれた弾丸は突然現れた人影によって真っ二つに斬られ、自身の横を通り過ぎて行った。

 

 後ろで爆発する斬られたそれが爆発する。

 

 俺は細めていた目をゆっくりと開き、顔を上げた。

 

「危ないところでしたね………お怪我はありませんか?」

 

 目の前に立つ影を月明かりが、あっという間に照らされていく、それは今朝自分に道を尋ねてきた少女だった。

 

「………」

 

 声が出なかった。

 

 起きた出来事が余りにも困惑しすぎていてって訳じゃない。

 

 目の前に立つその女の子が今朝見た時より何故か美しく見えて言葉を失った。

 

「やはり貴方は私のマスターなのですね。マスター立てますか?」

 

 差し伸べられた手を取り俺は立ち上がった。

 

「き、君は今朝の……」

 

「はい、その節はありがとうございます。私はサーヴァント・セイバー。っと自己紹介をしている場合では無さそうですね、敵は二人どうしますかマスター?」

 

「ち、ちょっと待ってくれ、えっと、せ、セイバー」

 

「ん? 敵は目の前にいて止まってくれる訳ではありませんよ?」

 

「いや、そうさそななくて、こっちは色々起きすぎて訳がわからっ!」

 

 その時右手の甲に痛みが走った。

 こんな時にまたあの痛みが。

 右手を見るとそこには赤い模様が刻まれていた。今朝はこんな物なかったはずなのに。

 

「なんだこれ?」

 

 その疑問に彼女はすぐに答えてくれた。

 

「それは令呪です。サーヴァントを3回まで従わせる事が出来る絶対命令権。使用は余りおすすめしません。さてそちらの鎧を纏った物よあなたから先に切ります」

 

 刀を構えるセイバー。

 

「ま、待ってください! そのすみません!」

 

 騎士は頭を下げて来た。

 

「…………? 何を言っている? 戦場で首を差し出すとは貴女死にたいのですか?」

 

「い、いえそうではなくてですね。さっきのはわざとやった訳じゃなくて、うっかり引き鉄を引いて差しまって……本当にごめんなさい」

 

 何度も頭を下げる騎士。セイバーは鋭い瞳を向け刀を下ろそうとしない。これは罠かもしれない。油断させて後ろか不意をつかれる可能性などをいくつも考えるセイバー。

 

「……そ、その……私のマスターがあなた達に会いたいそうで……その武器を下ろしてくれませんか?」

 

 向こうの様子を見る感じどうも本当みたいだなそういえばさっきから言ってる“マスター”ってなんなんだ? セイバーも言ってだよな。

 

「セイバー。その刀下げてくれないか?」

 

「マスター良いのですか?」

 

「ああ、とりあえず話を聞きたいんだ。よくわからない事が多すぎて、こっちは頭が痛いんだ」

 

「……わかりました……」

 

 チリン、と鞘に刀を収めたセイバー。騎士も持っていた槍が消え甲冑も消える。どんな仕組みなんだ?。そんな事を気にしていると向こうから声がした。

 

「…………あ、あのお………今言うのも何ですが、俺のマスターもあんた達に会いたいそうなんですが、良いっすか? じゃねぇ、ですか?」

 

 長身の男はなんか暗い表情で申し訳なさそうにそう言って来た。

 

「は、はい」

 

 さっきまでの殺し合いをしていた者から想像ができないほど、この二人は良心的だった。一体なんなんだ、ほんと。

 





 この作品は不定期投稿なので次はいつになることやら。



                       終。
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