この素晴らしい絶剣に祝福を! 作:ユウキすき
チキショー!!
(マスク消毒のコロナ対策はしてったので安心してください。あと地方だし)
なぜ通販という選択肢が出なかったのか……。
そういえば前回ダクネスがサラッと存在消されてたんですけど、ダクネスはランが出てきた時点でなんとなく説教されそうな気配を感じたので逃げた、ということで。罵られるのは好きだけど正論で説教食らうのは苦っていうのが私の解釈です。
『緊急クエスト!緊急クエスト!街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!繰り返します。街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!』
ボクたちがギルド前についたとき、そんなアナウンスが聞こえた。
「姉ちゃんこれなに?」
「さあ……。でもなんだか碌でもないことの気がする」
「ギルドが出してるのに?」
「そうなんだけど……嫌な予感がするのよね」
訝しむ姉ちゃんと一緒にギルドに入ると、かなりの数の冒険者がいた。
「すいません、これから何が始まるんですか?」
「そろそろキャベツの収穫時期だし、それの収穫だろうよ」
「へ?」
近くにいた冒険者に聞くと、そう言われた。え?農家さんの手伝いをするの?そんなボクらの様子を見たのか、冒険者さんが、更に教えてくれた。
「ああ、ランちゃんはなんか世間知らずなところがあるからな。
あのな、ここらへんのキャベツは味が濃縮して収穫の時期が近くなると、食われてたまるかってばかりに飛んでって秘境でひっそり死ぬんだよ。それなら、俺らが捕まえて美味く食ってやろうってことよ」
「ええ……」
どうやらボクの初クエストはキャベツの収穫になるらしい。
「姉ちゃん、この野菜炒め美味しいよ!」
「うん、そうだね……。納得いかない。なんでただのキャベツの野菜炒めがこんなに美味しいのよ……」
うーん、美味しい!ただキャベツを炒めただけでここまで美味しくなるのか……。これロールキャベツとかすっごい美味しくなりそう。
「姉ちゃん、クエストいこ!」
「まだはやいよ……」
今は……何時だろ。多分6時くらいでしょ。早くクエストに行きたくてウズウズしてたらこんな時間に目が覚めて、姉ちゃんを叩き起こしちゃった。姉ちゃんが言うには、まだギルドは開いてないらしい。
さて、一気に暇になった。どうしようか。そう言ったら姉ちゃんは、昨日の広場で体動かしてご飯食べたら丁度いい感じでしょ、と提案してくれた。
……姉ちゃん料理できるのかな?
さあさあやってまいりました昨日の広場!姉ちゃんはゲームと感覚が違うから慣れておいたほうがいいって言ってたからまずは軽く……
「うーん」
「ユウ、どうしたの?」
「なんか動きにくい」
「ここはリアルだからね。それにステータスも足りないだろうし。
でもキレがあっていい動きしてたから、今回は多分問題ないっぽいね」
「うーん……」
納得行かないけど飲み込むしかないか……。
「そういえばユウはスキルポイントちゃんと振った?」
「スキルポイント?なにそれボク知らない」
「振ってないんだね……」
姉ちゃんはそう言って色々教えてくれた。どうやらほとんどの人が最初から持っていて、それで様々なスキルが取得できるんだとか。
取り敢えずボクは片手剣威力上昇に振ろうとした。その時見つけたのだ。取得可能欄にある[マザーズ・ロザリオ]が目についた。
ボクのOSSで、死ぬ間際にアスナにプレゼントしたスキル。ボクの指は迷わずそこへ向かった。おかげでポイントがすっからかんになったけど問題はなし!
「ユウ、なんだか嬉しそう」
「ほんと?」
「ええ。それじゃ朝ごはんにしよ」
「うん!」
姉ちゃんのご飯は美味しかったです。宿の台所を借りて作ったらしいけどめっちゃくちゃ美味かった。こっちに来てから料理の練習をしたらしい。レシピもないのに……とは思ったが、宿屋のおばちゃんが教えてくれたんだとか。上達が早いって言われたらしいけど、まあ姉ちゃんは器用だからね!
ボクも練習しようかな……。
そんなふうにしていたらギルドが開く時間になった。ボクと姉ちゃんは手を繋いでギルドまで向かう。
「ねえ姉ちゃん、どんなクエストうけるの?」
「初心者向けのジャイアントトードっていう大きなカエルの討伐ね。三日間で五頭倒せばいいクエストで金に困ったそこそこのレベルの冒険者がやることもあるの」
「へー、弱いの?」
「剣で急所を刺せば一撃だし、金属製の鎧なんかを嫌うからまあ弱いね」
「なるほど……。よし、じゃあいこ!」
「ちょっと待って。まだクエスト受けてないから」
そう言って姉ちゃんは掲示板から紙をとって、それをカウンターに持っていった。
どうやらあれでクエストの受注をしているらしい。取り合いにならないのだろうか。そう思っていると、姉ちゃんと職員さんの話し声が聞こえてきた。
「ランさんには、今夜カズマさんと言う新人のパーティーがゾンビメーカーの討伐に向かうのですが……、その、些か不安が残るので同行していただけないでしょうか?」
「ええ、かまいませんよ」
なぬっ、姉ちゃんが今夜いないと!?というかボクも行きたい!
「ボクも行ってもいいですか?」
「ユウ!?」
「ユウキさんですか?ですがユウキさんは新人ですので……いやでも……」
「ユウ、貴方は待ってて。……不安なの」
「ボクだって不安なんだよ……また姉ちゃんが勝手にいなくなりそうで……」
ボクの呟きは姉ちゃんには届かない。届けるつもりもないのだけど。
だけどカウンターのお姉さんには聞こえていたようで
「よしっ!ランさん、ユウキさんも連れて行って大丈夫だとおもいますよ。ステータスも充分でしょうし、ランさんがいれば守りきれると思いますので」
「ですが……」
「それに、見聞を広げることも大切だと思いますよ」
「……そうですね、ですが万が一のときはユウを最優先に守らせていただきますのでそこだけはお願いします」
「やった!ありがとうございます、お姉さん、ありがとう姉ちゃん!」
「どういたしまして。それでは、お気をつけて」
ギルドをでて街の外にむけて歩いていると、姉ちゃんが声をかけてきた。
「ユウ。貴方は危なくなったら真っ先に逃げてね。これだけは約束して」
「わかった。何かあったらボクは逃げるんだね、りょーかい」
「さ、それじゃジャイアントトードを狩ろう?」
「うん!」
「おっきい……」
ボクの目の前にいるのはボクより大きなカエル。産卵の時期が近寄ると体力をつけるために山羊を丸呑みにするらしい。
「ユウ!大丈夫!?」
「んっ、見てて!」
でもまあ肉質は柔らかいから、スパッと斬れた。うん、確かに新人に丁度いい。
ただ弱いからボクからすればちょっと物足りなさはあるけど、この世界はリアル。慎重すぎるくらいが丁度いいのかもしれない。
そんなことを考えているうちに二匹目を討伐。
「ユウ!わたしと合わせてみよ!」
「おっけー!」
姉ちゃんのジョブはシャーマン。簡単に言ってしまえばデバッファーの上位職らしい。
「[ディサラレーション]!」
姉ちゃんが唱えたのは速度を下げる魔法。カエルが一気に遅くなり、ボクは簡単に仕留めることができた。
残りの二匹はパラライズ*1で動きを止めたところをボクと姉ちゃんがそれぞれ一匹ずつ仕留めた。それで無事クエストは完了。
これをギルドに報告に行くことで、達成報酬が貰えるらしい。このクエストの報酬は十万エリス。カエルは肉になるらしく、一匹辺り輸送費を差し引いて5000円で買い取ってもらえるらしい。だから……十二万五千円?二人で分けても一人あたり62,500エリス。かなりいいのでは、と思ったけど命がけだしこのくらいが妥当なんだろう。
「――それでは、こちら十二万五千エリスです」
「ありがとうございました」
どうやらやり取りは終わったらしい。冒険者カードに討伐したモンスターの数とかが書いてるらしく、それを見ることで嘘などをつけなくしているらしい。
そして、体感で3時くらいのときにボクたちが同行するパーティーがやってきた。その先頭に立っていたのは、この間ぱんつを銀髪の娘から剥いでいた多分日本人の姿が。
「あなたでしたか……。それにダクネスもいるんだ。わたしは今回同行するランです。よろしくおねがいします」
「ボクはユウキ!ボクも一緒に行くんだ、よろしくね」
「お、おう。俺はこのパーティーのリーダーをしているサトウカズマだ。よろしく」
なんだろう、凄くまともな人に見える。ファーストコンタクトがあれだったからだろうか。ほらあれ、不良が子猫にうんたら理論ってやつ。
と、なにやらカズマパーティーがざわついていた。
「カズマ、どうやってあの人と知り合ったのですか?彼女はソロでさまざまなクエストをやっている凄腕冒険者ですよ!
人当たりも良くて男女問わず人気なのに、いつ知り合ったのですか?」
「え、そんなにスゴいのあの人。昨日ちょっとした事件があってな、そんときに知り合ったんだよ」
「……何かを隠してる気がするわ」
なんか小声でやり取りしてるようだけど、全部聞こえてるよ……。
と、いうか
「姉ちゃんってそんな有名人なの?」
「まあ、ソロでやってたらいつの間にか信頼度があがってたね……。
それより、目的地に行きましょう?」
「あ、そうだな。よっしゃ、行くぞ」
「なんか遠足みたいだね!」
「危機感足りないわよ……」
姉ちゃん急に頭抑えてどうしたんだろ。頭痛かな?
これあくまで個人的なイメージなんですけど、ランは家事はなんでもそつなくこなす。好きな人のためならもっと頑張るって感じで、ユウキは最初不器用だけど好きな人ができたとき、その人のためにめちゃくちゃ頑張って美味しい料理作れるようになるって感じだとおもうんですよね。
そして当然のように出てくるオリジナルジョブ。ウィザードからの派生上位職ってことで……。