被殺願望杯参加作品です。
いつの間にか倒される側になってる……

1 / 1
気がついたら怪人でした

 夢心地、って奴なんだろうか。

 寝ぼけているのか頭がぼんやりして上手く考えがまとまらない……

 まるで朝起きたばかりでまだ眠い時の様で、それなのに身体は激しく動いている。息が切れそうだ……どこだここは……? 

 意識が朦朧とした中、目を凝らして周りを見ようとするが身体が勝手に動いてるせいか頭まで固定されている気がする。目がずっと一つの物を睨んでいる なんとか周りを見て状況を確認する

 

 倉庫……だろうか? 人が多く、かなり混雑している……? いや、何かを囲んでいる気がする……金色の人の様な……角が生えているのか、頭の方が尖っている気がする……

 何かのコスプレだろうか、何故倉庫でコスプレを? 

 あ……不味い、勝手に身体が動いて……金色にぶつかってしま

ヴァァぁぁぁぁあぁぁ⁈(痛っっっっっっっ )

 

 うわぁ痛いビックリした  急に殴ってきたよこいつ、確かに近づいたのは自分だけどこんな強く殴られるとは思わなかったよ。

 まったく……? コスプレにしては激しい動きをしてるな。

 

 もしかして……これもしかしてコスプレじゃないんじゃないか、なんて馬鹿けた事を考えたがきっと寝起きだからだろう……

 というか自分は何故ここに居るのだろうか、そんな事を考えていたらいつの間にか目の前に青い服を着た男の子が立っていた。10代の半ば辺りだろうか? 

 

「こいつが無ければ常盤ソウゴがオーマジオウの力を手に入れる事はできなくなる」

「ヴゥぁ!? ────────」

 

 彼から胸の辺りに何か時計のような物が押し込まれた

 全身に激痛が走り、信じられないほど身体が熱くなる

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 金色の戦士──仮面ライダーアギトの記録

 ─アギト─アンノウン─知らない筈の単語が急に覚えのある単語になっていく。見た事が無い怪物、見た事のない人間の顔 声 様々な情報が一気に記憶されていく

 大量の情報が一気に入ってきたからか酒瓶で殴られたように頭が痛くなる。

(何だ……これ……)

 なんとか逃げなければ、そう思って走り出した。

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

「ヴゥゥ……」

 走って、走って、走って辿り着いたのは広場が一望できる建物の上だった。

 

(なんで急に頭の中にこんな記憶が……そういえばさっき胸の辺りに何かを埋め込まれたような……)

 そう思い胸を見てみると、金色の腹筋やら胸筋やら黒い結晶のような物が見える

(……ん?)

 腕を見てみると黒い手、尖った肩。

 腰にはベルトのようなもの…… ()()姿()()()()()()()()()()()()()()()

 

(これは……まさか……?)

 近くの鏡に自分の姿が映る。

 赤い複眼に金色の二本の角、まるで龍のような顔。仮面ライダーアギトの顔が、自分の代わりに映っていた

ヴゥァ……? (嘘でしょ……?)

 一体どうなっているのか、原因は何となく分かる。あの胸に埋め込まれた物だろう。多分、胸の辺りなんとなく熱いし

(…………取れないかな?)

 胸の辺りには金色の胸筋、なぜか紫に光るアギトの力を制御する黒い結晶(ワイズマン・モノリス)、特に何もしてないのに光ってるのでおそらくこの辺りにアレが埋め込まれてるんだろうが……体の中から取りだすとなると痛いだろうし流石に自分では無理だろう。というか光ってるけど何か起きてない? 急に爆発とかしないよね? さすがに体が急に爆発したりはしないと信じたい。どうやって元に戻

「やっと見つけた、探したよアギト」

「ヴァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 うわびっくりした!!! 死ぬかと思ったわ誰だよ⁈

 ……あ、さっきの青い服の子だ

「? ……あー……そういえば自己紹介がまだだったね。僕はタイムジャッカーのウール、お前に提案があるんだ」

 

 ───────────────────

 

 タイムジャッカーのウール、と名乗った彼はあちらの事情の説明をしてきた。

 未来でオーマジオウって奴が悪事を働いている事、それを阻止する為に新しい王を過去で擁立して未来を変えようとしたが過去のオーマジオウ─仮面ライダージオウに邪魔されるので手を貸して欲しいとの事だった。俺の体に掌サイズのライダーの歴史が入った時計─ライドウォッチを入れたのもその為だと言う。

 未来で大変な事が起こってるんだ助けてくれ、なんて普通は信用できるものでは無いが、実際ジオウを止める為に自分の体を改造されたような状況なので、とりあえず信じてみるしかない。一応、勝ったら体は元に戻す……らしい。

ヴゥァァァ……ァァ? (そういえば言葉わかるの……?)

「分かるよ。タブレットの翻訳で」

 自分でもヴァァヴァァ言ってるように聴こえるのに分かるのか未来すげえな!? 

「そろそろジオウ達が来る筈だ、一応おさらいをしておこう。敵はジオウとジオウの仲間、ゲイツとジオウの従者のウォズの3人になる。ツクヨミって女も居るけどこっちも注意してて」

 ジオウ……ゲイツ……ウォズの3人と戦う……ツクヨミって子にも注意……4人が相手になるって事か……

「こっちは君以外にもいっぱい居るだろう? なら大丈夫さ」

 こちらには俺以外にも俺みたいな奴が大量に居るようだ。どんどん増えていくらしい。増えている途中だというのに既に夕暮れ時の羽虫の大群ほどは居た。

 アギトの力を使っている? らしいその大群は、一つの広場に集まり敵を今か今かと待っている。

 

 ……自分もジオウって奴と戦わなければならない。

 と言われても普段の自分ならあまり殴り合いなんてした事ないのでどんな風に動けばいいのか分からないが、今、自分には仮面ライダーアギトの記憶がある。

 体もアギトのようだしアギトらしい闘い方さえできればなんとかなるかも知れない

 

 そう思い、アギトらしい戦い方を考える。

 武器を使わずに徒手空拳を駆使して戦う超越肉体の金と呼ばれた仮面ライダーアギトグランドフォーム。

 剣と炎を操るパワー重視の超越感覚の赤、フレイムフォーム

 薙刀と風を使う俊敏に動ける超越精神の青、ストームフォーム

 これ以外の姿もあるが基本的にはこの三つの姿に変身して戦うのがアギトだ。

(まずはフレイムフォームを試すか)

 フレイムフォームにはアギトのベルトーオルタリングの右腰部のスイッチを押して変身する。右腕が赤く変化して、フレイムセイバーと呼ばれる剣がベルト中央の石から出現する。

 早速ベルトの右腰部のスイッチを押してみる。

 ──ガチャンと金属のような物が落ちる音がした。

「───ン?」

 そこに転がっていたのはフレイムセイバーに似た禍禍しい剣だった。

 自分の姿を後ろの鏡で確認してみるが金色、未だグランドフォームのままだった。

(あれ……? もしかして姿変われない?)

 今度は左腰部のスイッチを押してみる。左腰部のスイッチを押せば青いアギト─アギトストームフォームに成れる筈だが……

 ───ガチャ

 こちらも姿は変わらず、薙刀─ストームハルバードに似た禍禍しい棒が出てきた。

 あ、これ武器は使えるけどフォームチェンジできないやつだと悟る

 どうやら炎を操ったり風を纏ったりは出来ないようだ。

 

(……やりたかったなぁ……かっこよかったし)

 

 アギトの戦闘は静から動へ、動から静への切り替えが綺麗で美しいように感じた。あの戦い方を再現できたらこの体的にも1番いい……筈だ。

 だがまるで達人のようなあの動きを再現できるかは分からない、慣れない事をするよりも何か武器を振り回して戦った方がいいかと思ったが、それだとアギトの全力は出せないようだ。もうそろそろジオウが来るようだしどうしたものか……

 トリニティフォーム─赤と青と金色を合わせたあの形態のように剣と薙刀を同時に────

「───君達が倒しても倒しても、何度でも生み出せるよ」

「──でもそれって、君にアギトの力があるからだよね?」

 うーんでも何故か肩を壊しそうな気がするな……やはり格闘しかないんだろうか……殴るのはできるが相手もアギトぐらいの力があるだろうし……それに素人同然の殴り方しても逆に腕を折られたり……

 

「……何ぼーっとしてるんだ? ジオウ達はもう来てるぞ」

 

 あれ? もう始まってた? 嘘いつのまに⁈確かにプラモ作る時ぐらい集中してたが流石に致命的すぎる。急いで周囲の状況の把握に努める。

 相手は3人、全体的に黒く顔にピンク色で()()()()と書いてあるのが仮面ライダージオウらしい。本当に顔にライダーって書いてある……あんな見た目をしているが1人で未来の兵隊を全滅させる力を持っている……らしい……未来人のセンスは分からないな……。

 と思ったのも束の間、早速味方のアギト(アナザーアギト)が1人パンチで撃沈していた。

 あれ……? 

 アイツさっきコンクリートでできた柱に穴開けたよな……確かに強いな……今でこの強さなら未来の兵隊も一撃で倒したりするのだろう……あと何故だろう、動作に注意しなきゃ一撃でやられる。剣とベルトの動きに注意しなければ一撃で吹き飛ばされる。そう自分の直感が言ってくる。

 次にオレンジの装甲に身を包んだ顔に黄色でライダーと書いてあるのが確か仮面ライダーゲイツ、次々と向かってくるアナザーアギトを力でねじ伏せている。こちらは単純に固くて力が強い。こっちも相手にしたくないな……

 最後に銀色と緑、黄色が目立つこちらもライダーと顔に書いてあるのが仮面ライダーウォズだろう。こちらも他の2人程ではないがパワー系のようだ。

 ウールが言うにはこの3人はアギトのように姿を変える事が出来るようだ。それにも注意しなければいけない。

 そんな事を考えていると二本の剣を携えたジオウがアギトの軍団を倒しながら此方に向かってきた。

 その姿はまさに敵に向かい進撃する()()そのものだった。

(……悩んでもしょうがないか)

 相手がすぐそこまで来ているのだから、そろそろ覚悟を決めなければいけない。ずっと悩んでもしょうがない。

 

 拳を、握り締め、魔王目指して大地を蹴った。

 

 

 他のアギトの相手をしてる所にフレイムソードを出現させ斬りかかる。

 それをジオウは自身の剣で受け止め簡単にいなしていく。

 流石に一筋縄ではいかないがこのくらいは分かっていた事だ。

 振り向きざまに横に一閃、だがこれも屈んで回避され、今度はジオウが右手の剣で突きを放つ。

 なんとか突きを避けつつ頭を狙いフレイムセイバーを振りかぶる、

「アギトの力を返してもらう!!!」

 が、それすら避けられる。

 もう一度横に剣を振るが今度はジオウは弾きながらカウンターを放ってきた。

 まるで()()()()()()()()()()()()()ような対応力で攻撃を防ぎつつ周りのアギトを次々と処理していく。

「返すって、君達の力じゃないじゃないか」

 ウールと会話をしながらもジオウは隙を見せなず、順調にアギトを減らしていく。

 今はアギトの補充が間に合っているがこのままでは押されてしまうかもしれない。

 

「君の力でも無いよね」

 

 ───そんな時、遠くから声が聞こえた。

 次の瞬間、背中に強い衝撃が走る

「ヴゥゥ──!?」

 吹き飛ばされた先で見つけたのは2001年新たな未確認生命体の出現に備えて警視庁で開発された特殊強化装甲服

 ──G3

 グレネードランチャーのGGー02<サラマンダー>を構えた

 仮面ライダーG3の姿だった。

 

 ─────あの声は

 

 あの声を知ってる。

 

 直ぐにG3がアナザーアギトに襲われる。

 G3は対応しようとするが数でも質でも劣るG3は劣勢となり、アナザーアギトの攻撃によってヘルメットが飛んでいく

 G3となっていたのは仮面ライダーアギト──津上翔一だった。

 

 ……え? 嘘、本物? しかもG3!!? 

 まさか仮面ライダーアギトとして戦っていた男を見ることになるとは思わず困惑と驚愕を隠せなかった。

「ハァァァア!!!」

「⁈」

 その隙を突いたジオウの攻撃が当たってしまう。

 車にぶつかったような衝撃が腹に集中する

(しまっ⁈)

 

 倒れそうになる体をなんとか気合いで持たせる。

 すぐさま左腰部のスイッチを押しストームハルバードを出現させ、

 そのまま一突き

 

 だが()()()()()()()()()()と言わんばかりにジオウは両手の剣でいなし、一撃、また一撃と反撃をしてきた。

「ハァ!!」

 そのまま連撃でジオウに吹き飛ばされた瞬間、胸の辺りから()()()()()()()()()()()()()

 

 起き上がろとした瞬間、目に入ったのは

 鏡に映った緑色のアギト(アナザーアギト)の姿だった。

 

(……え?)

 

 ジオウを見るとジオウは手に金色の時計─アギトライドウォッチを握っていた。

(─しまった⁈)

 ジオウにアギトの力を奪われた。そう思った時にはジオウが

 津上翔一に向けてアギトライドウォッチを投げていた。

 

 翔一はアギトウォッチをキャッチし、ジオウに促されるままライドウォッチを起動させる。

 

 アギトの力が津上翔一に宿る

 

「──変身!!!」

 

 次の瞬間そこにいたのは金色の肉体、赤い複眼、二本の角まるで龍のような顔をした仮面ライダー、数々の人を救った

 

 ──仮面ライダーアギトが、そこに立っていた。

 

「─────────」

 ただ呆然としていた。ライドウォッチを通じてみた闘いの記録を潜り抜けてきた戦士がそこに堂々と立つ様は美しくて言葉が出なかった。

 

「ねぇ! 俺たちも行くよ!」

 ジオウが三位一体の力──ジオウトリニティウォッチを取り出し、ジクウドライバーにセット、ドライバーを360度反時計回りに回転させ、

 ジオウ、ゲイツ、ウォズが合体する

「平伏せ! 我こそは“仮面ライダージオウトリニティ”!

 大魔王たるジオウとその家臣ゲイツ、ウォズ!

 三位一体となって未来を創出する時の王者である!」

 

「こっちも負けてられないな……!」

 向かい来るアナザーアギトを対処していた仮面ライダーアギトはそれに呼応してベルトの右腰部、左腰部のスイッチを同時に押し込む。

 

 グランドフォーム、フレイムフォーム、ストームフォーム。三つの力を合わせ持つアギト──アギトトリニティフォームへと変身した。

 

 トリニティとなった2人(六位一体)の力は凄まじく、アナザーアギトが次々倒れていく

 

 その光景はまさしく怪人の軍団を倒すヒーローそのもの

 次々と焼かれ、飛ばされていくアナザーアギト達

 4人の猛攻をアナザーアギト達には止める事ができない

 

 ジオウがベルトのウォッチのボタンを押していく

 アギトの足元に紋章が浮かび上がる

 

 そして、飛び上がる

 

 アギトのライダーシュートとジオウトリニティのトリニティタイムブレークバーストエクスプロージョン、

 六位一体のキックが放たれた

 

 一体のアナザーアギトに繰り出されたそのキックは多くのアナザーアギトを火花を散らしながら巻き込み。

 全てのアナザーアギトを消し去って───────────────

 ─────────

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぉぁぁぉっ…………と?」

 激痛のような、落ちていくような感覚に驚きベットから飛び上がる。

「…………夢かぁ……夢か?」

 妙にリアリティのある夢だった気がする。

 最後すごく痛かったし。爆発するとは思わんじゃん……

 欠伸をした後、洗面所に行き顔を洗う。

 うなされていたからか汗で体はびしょ濡れだった

「ひどい夢だったな……あれ?」

 どんな内容だっけな? さっきまでは覚えていた筈なんだが…………

 そんな事を考えながらテレビを付けると時刻は昼の11時と映し出された。だいぶ寝ていたようだ

「何かごはんごはん……」

 棚を見てみる。カップ麺無し。

「……冷蔵庫」

 冷蔵庫を開けてみる、溢れ出る涼しい風が当たる。

 この中にはきっと前の日に買った肉や魚が……

「……無いし……」

 冷蔵庫が食べてしまったのだろうか? 中は空っぽだった

「……何か買いにいくか」

 身支度を済ませて家を出る。

 天気は晴れ。

 それなりに暖かい日差しを浴びながら外を歩いていた。

 今日は大学は休みだしバイトもない。

 1日のんびりできるはずがかなり寝てしまったから少し損したような。もったいないような気分だ。

 朝食は食べてないしお腹が空いてきた、これから材料を買って料理するのは少し億劫だ。

「……ん?」

 そんな時、一つのレストランが目に止まった。

「何て読むんだこれ……A……G……I……T……Ω?」

 Ωって何だΩって……あ、アギトか。

 我ながらよく読めたな。

 なんとなく気になって店に入った……結構ゆっくりくつろげる雰囲気だ、

 店員さんも優しそうだし……美味しそうな匂いもした。

 ……うん。今日の昼はここがいいかも。

 最近はバイト詰めで忙しかったが、久しぶりにゆっくり出来そうだ。

 普段は自分で料理をつくったり、カップ麺の前で3分待ったりだが、

 偶には外食もいいかも知れない。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。