ASSASSIN SCHOOL   作:くろとら

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2話 自己紹介

 茶柱先生が教室から居なくなり、学生証カードを手に騒いでいる中、1人の生徒が唐突に挙手をした。

 

「みんな、少しいいかな?」

 

 その声に先程まで騒いでいたクラスの生徒全員が注目した。茶柱先生にも聞こえいたのか教室の外を歩く足音が一瞬だけ止まっていた。俺も他の生徒に釣られ、声がする方向に視線を移した。

 

 手を挙げたのは、好青年と言う言葉がピッタリな男子生徒だった。何処か磯貝に似てるところがある生徒だ。

 

「僕たちは、今日から同じクラスの生徒として過ごすことになる。だから、今のうちに自己紹介を行って、1日も早く皆が友だちになれたら良いと思うんだ」

 

 どうかな────? という爽やかな笑顔で男子生徒は言った。

 

 それにしても、この空気でこんな発言をするなんって、凄い勇気だな。容姿もそうだが、何処か磯貝を思い出すようだ。これで、彼が貧乏だったら、確実だが……。この、学校に入学が出来たんだ貧乏ということは無いだろう。

 

 男子生徒の提案に一瞬教室は静まり返った。

 だが、その空気を壊すかのように1人の女子生徒が続けて発言をする。

 

「賛成ー!! 私たち、皆の名前とかまだ知らないし」

 

 金髪の髪をポニーテールに纏めた。以下にもギャルな女子生徒だ。

 顔立ちははっきりしており、何処かキツそうな性格。一目見てギャルだと分かる雰囲気を出している。こうゆう女子がクラスの女子のトップに君臨するんだよな……。

 

 この女子生徒の発言を皮切りに、「いいね!! やろう、やろう!! 」「賛成〜 !!」 「いいんじゃね? 」などと自己紹介を賛成する声が上がった。

 

「じゃ、まずは言い出しっぺの僕から。僕の名前は平田 洋介。中学では普通に洋介って呼ばれてたから、みんなにもそう呼んで欲しい。部活は中学からやっているサッカー部に入ろうと思ってる。これから、よろしく」

 

 提案者である、男子生徒────平田 洋介はスラスラと非の打ち所ない自己紹介をした。本当に大した度胸を持っているな。普通最初の自己紹介というものは結構なプレッシャーを抱える筈だが、平田はまるでプレッシャーを感じてないような雰囲気で爽やかに自己紹介を終えた。

 平田の自己紹介が終わると、数人の女子生徒が平田に近付いていた。なるほど、この自己紹介で、今後の学校生活が決まるらしい。ならば、俺もしっかりと自己紹介をしなければならないな。

 

「じゃ、自己紹介の順番は決めてないし、ここは無難に端から自己紹介を始めて貰いたいんだけど、いいかな? 」

 

 平田はあくまで自然に、強制をせずに確認をとった。

 いきなり、指名を受けた女子生徒は少しだけ戸惑った様子を見せたが、直ぐに意を決したのか席から立ち上がった。

 

「わ、私は、井の頭、こ、こ────っ」

 

 自己紹介をしようとした女子生徒────井の頭はクラス全員が自分に向ける視線に緊張してしまったのか、苗字まで名乗ったあと、その後の言葉が出ず、段々と表情を青ざめていった。

 そんな、井の頭に向けて他の生徒たちは「頑張れ〜 」 「慌てなくっても、大丈夫だよ!!」などと声を掛けるが、これは井の頭にとっては逆効果になってしまうだろう。

 

 この、生徒たちの言葉に更に緊張してしまった井の頭は完全にフリーズしてしまった。5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒と沈黙が続く。この沈黙に段々とクラスメイトたちから苛立ちの声が聞こえてきた。何とも、自分勝手な奴らなんだろうか。それに、平田は何故何も声を掛けないんだろうか.? こうゆう時には率先して声を掛けると思っていたが、それは俺の間違えだったらしいな.

 

「(はぁ〜、しょうがない)」

 

 何もしないクラスメイトたちに少し苛立ちを覚えながら、俺は席を立ち上がった。

 

「井の頭、落ち着いていけ。ゆっくり慌てずに、1度深呼吸をすれば上手くいく」

 

 極度に緊張している人に「頑張れ」や「大丈夫」という言葉は、励みであると同時に、周囲に合わせるように強いられている言葉に取れてしまうのだ。

 一方で俺が放った、「ゆっくり」 「慌てずに」という言葉は、相手に合わせる意味を持つ言葉でもあるのだ。

 

 俺の声に少しだけ、落ち着きを取り戻したのか、「ふっー」と何回も小さく深呼吸をして、呼吸を整えた。そして、しばらくて────。

 

「私は、井の頭 心って言います。趣味は裁縫や編み物が得意です。よ.よろしくお願いします」

 

 一言口から言葉が出てからは、井の頭はすらりと自己紹介を言えたようだった。ホッと一息を着いて、井の頭は俺に視線を移し軽く会釈をして席に腰を降ろした。

 井の頭の自己紹介が終え、クラスでの自己紹介は続いていく。

 

「俺は、山内 春樹。小学校では卓球で全国大会に、中学校では野球部に入部して、エースで4番でチームを引っ張ったが、今はインターハイで怪我をしてしまい、リハビリ中だ。よろしく」

 

 どうやら、山内 春樹という男子生徒は直ぐに嘘を言う生徒らしい。何故、彼が嘘を着いているか.それは、インターハイというのは高校生の大会であって、中学生が出れるはずがないからだ。

 因みに杉野が言うには、野球の中学生の大会は「全国中学校軟式野球大会」というらしい。

 

「じゃ、次は私の番かな? 」

 

 山内の自己紹介が終わり、自発的に元気よく立ち上がったのは、俺同様に井の頭に声を掛けようとしていた女子生徒だった。

 

「私は、櫛田 桔梗と言います。中学校からの友だちは1人もこの学校には来ていないので、友だちは1人もいません。だから、皆の顔と名前を覚えて、友だちになりたいと思っています。 次に、私の最初の目標として、このクラス全員と仲良くなることが目標です。この、自己紹介の時間が終わったら、是非私と連絡先を交換してください。最後に、休日などは沢山の思い出を作り出したので、是非誘ってください。少し長くなってしまいましたが、以上で私の自己紹介を終わります」

 

 大体の生徒は自己紹介というものを早く終わらせたいため、一言か二言で終わらせていくが、この櫛田 桔梗という女子生徒は自己紹介を続けた。

 櫛田の自己紹介が終わると、クラス中から拍手の波が起きた。間違い無く櫛田は、男女ともに人気が出ることは間違いないだろう。

 

 ────おっと、人の自己紹介を批評している場合じゃないな。そろそろ、俺の自己紹介の順番も回ってくるだろうし、何か印象に残る自己紹介をしないとな.

 そんなことを考えながら、自己紹介は進んで行く。

 

「じゃあ────次は」

 

 順々に自己紹介が進んで行き、促すように次の生徒に平田が視線を移したが、次の生徒は席を立ち上がることをせず、平田に強烈な睨みを向けた。

 平田に指名された生徒は、髪を真っ赤に染め上げた、不良という言葉がピッタリな男子生徒だった。

 あの時も思ったが、この学校には寺坂のような生徒が沢山いるようだな.

 

「俺らは、ガキかよ。今更自己紹介なんか、必要ねぇよ。やりたいなら、やりたい奴らだけでやってろ」

 

 赤髪の男子生徒は、更に睨みをきかせ、平田を睨みつけた。まるで、今にでも平田に掴みかかって喧嘩を起こそうとする勢いだ。

 

「僕には、自己紹介を強制させる権利は持っていない。でも、クラスで仲良くしていくためには、悪いことじゃないと僕は思うんだ。だけど、僕の提案で君を不愉快な思いにさせたのなら、謝りたい」

 

 平田は赤髪の男子生徒を真っ直ぐに見つけて頭を下げた。そんな、平田の姿を見た、女子生徒の一部が赤髪の男子生徒を睨み付けた。

「自己紹介くらいいいじゃないの!! 」 「そうよそうよ」と女子生徒が赤髪の男子生徒に向かって言った。流石磯貝似のイケメンだ。あっという間に大半の女子生徒を味方に付けてしまった。しかし、その代わりに赤髪の男子生徒をはじめとした、半分の男子生徒からは半分嫉妬に似た怒りを買ってしまったようだ。

 

「うっせぇよ。こっちは別に、お前らと仲良しごっこするために、この学校に入ったんじゃねぇんだよ」

 

 赤髪の男子生徒はそう声を荒らげ、席を立ち上がった。それと、同時に数人の生徒たちが後に続くように教室を出て行った。

 ここで、意外だったのが、出て行った生徒は男子生徒だけでは無くちらほや女子生徒の姿があったことだった。確認できた限り教室から出て行った女子生徒の数は4人もいたのだった。

 まぁ、女子生徒全員が平田に好印象を抱いてる訳では無いし、当然ちゃ当然か……。

 

「────みんな、聞いてくれ。悪いのは彼じゃない。勝手に自己紹介という場を設けた僕の責任だ.だから、彼のことを責めないでほしい」

 

 大半のクラスメイトたちが、自己紹介をせずに出ていってしまったが、平田を囲む女子生徒たちの意見もあり、残った生徒たちで自己紹介を行うことになった。

 

「次は俺の番だな。俺は池 寛治。好きなものは女の子で、嫌いなものはイケメンだ。因みに彼女は随時募集中なんで、みんなよろしくっ!! 勿論彼女は美人か可愛い子を期待してる!! 」

 

 池 寛治という男子生徒の自己紹介はウケを狙ったのか、本気で言ったのかは判断は難しいが、少なくとも女子生徒からの反感は買ってしまったみたいだ。

「すごーい!! 池君、かっこいい〜!!」 「イケメン〜!! 」などと数名の女子生徒が100%嘘だと分かる無感情な声で言った。

 

「マジマジ!? 実は、俺も自分では結構悪い方じゃないと思ってるんだよね〜。へへっ」

 

 池はどうやら、女子生徒たちが放った言葉を真に受けてしまったらしく、少し恥ずかしそうに頬をかいた。

 その瞬間、今まで笑いをこらえていた、女子生徒が一斉にドッと笑いを起こしてしまった。

 

「な.なんだよ、みんな可愛いな〜。本当に彼女募集中だからな」

 

 池よ。お前はからかわれているんだぞ。その事にいい加減気づいてくれ。見てる方が悲しくなるよ。

 しかし、未だに調子に乗っている、池は陽気に女子に向かって手を振っている。そんな池を見て再び女子生徒は笑ってしまっていた。

 一応、池はあの山内を比べて良い奴だと思う。例えるなら池は岡島だろう。

 

「じゃ、次は君、お願いできるかな? 」

 

「うん? 俺、分かったよ」

 

 そんなことを考えていると、俺の自己紹介の順番が回ってきた。一応自己紹介のことを考えていたため、何も動揺すること無く俺は席を立ち上がった。

 

「俺の名前は音無 春馬。出身中学は椚ヶ丘中学校だ。趣味は筋トレと読書。趣味として中学3年の時から1年間だけだけど、パルクールをやっていた。高校では今は部活には入部する気は無い。3年間よろしく」

 

 短すぎず、長すぎずない自己紹介を終え、俺は再び席に座った。すると、平田や櫛田程ではないが席に座ると大きい拍手を貰った。別に拍手は貰っても喜ぶ程ではないが、嬉しい事には変わりない。

 

「音無くん、ありがとうね。じゃ、次は────そこの君、お願いできるかな? 」

 

「え?」

 

 俺の次に指名された生徒は俺の後ろに座っていた、影薄そうだが、何かを隠しているように見える男子生徒だった。男子生徒は指名されるとは思っていなかったのか、少し慌てながらも席を立ち上がった。

 

「え.えっと、綾小路 清隆です。その、え.えーと、得意なことは特にありませんが、みんなさんと仲良くなれるように自分なりに頑張るので、えーよろしくお願いします」

 

 綾小路という男子生徒は自己紹介を終えると、そそくさ、逃げるように席に座った。どうやら、盛大に自己紹介を失敗してしまったらしい。

 

「よろしくね綾小路くん。仲良くなりたいのは僕らも同じだ、一緒に頑張って行こう」

 

 綾小路が自己紹介を終え、席に座っても誰一人拍手をすることは無かった。何とも、悲しい光景なんだろうか。しかし、そんな悲しい状況でも、平田は光を照らしてくれた。

 平田が爽やかな笑顔を振りまきそう言った。それと、同時に教室中からパラパラと拍手が起こった。どうやら、平田は平田なりに自己紹介を失敗してしまった綾小路のフォローをしたつもりらしい。

 明らかな同情の拍手だったが、綾小路を見ると少し嬉しそうな表情をしていた。

ヒロインを追加するなら誰がいい?

  • 長谷部 波瑠加
  • 椎名 ひより
  • 白波 千尋
  • 神室 真澄
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