では、どうぞ。
「――さてと、今日も今日とて無限回廊は地獄だな」
肩をまわしながらとびかかってきた怪物を右手に持つ紅いオーラを纏う大剣で一刀両断する。
「しかしまあ、あのぶっ壊れ2体が出ない限り、オレじゃなくても対処可能だろうし、なんならマダラたちソロで放り込んでも対応できそ……ん?」
独り言しながら現れる神魔霊獣を切り伏せて進んでいると、見たことのないポータルが袋小路に佇んでいた。
「……なんだ、コレ」
疑問符をうかべつつもオレはいつもの癖で飛び込む。
すると装置が起動したのか、周囲が光に包まれる。
「お、動いた。今度は何処に飛ばされるのやら。NARUTOかフォーリンラビリンスか、鋼の錬金術師か、それとも、まだ行ったことのない世界か――」
――
――あなた王なのですから自分の支配域放置してどっかに遊びに行かないでください!
光に包まれながら、(また)生真面目な赤毛のバトルアックス使いの娘と、アルカナの王となった時に接触してきた別の支配域の女神の悲鳴が聞こえた気がした。
「……?」
「どうした、クリス」
久しぶりに地上に降りてきた私は、どこかにすさまじい気配の持ち主が現れたのを感じた。
強く、それでいて淀みのない気配だったが、一瞬で消えたからどこから放たれたものかわからなかった。
――アクア先輩が転生させた転生者かな……?
まあ、そのうち会えるだろう、ということで思考を切る。
「ううん、何でもない。気のせいだったみたいだし」
「そうか? ならいいんだが」
「とにかく、クエスト行こうか!」
「ああ、そうしよう」
そういって私たちは再び歩き出した……。
「――。―――? ―――ですか?」
誰かが肩を揺する感覚がある。
オレは緩やかに目を覚ます。
目の前に移ったのは1人の女性。
ウェーブのかかった明るめの茶色の髪と鳶色の瞳。
紫を基調とした全身を覆うゆったりとしたローブを身にまとっていた。
――どこかで見たことがあるんだが、どこだったか。
もはや擦り切れた「過去の記憶」を思い出そうとして諦めた。
とりあえず疑問に思ったことを聞かねば――。
「……美しい」
「ふぇっ!?」
開いた口は思ったより正直で、想定外なことをしゃべっていた。
「ああ、初対面の相手にすまん。……ところでここは何処だ?」
上半身を起こして周りを見回す。
「えっと……ここはアクセルの街で、私の家の隣の廃屋です。そこにポータルがあるんですが、アレはあなたが……?」
おどおどした様子で指し示した先には先ほど飛び込んだポータルがあった。
「いや、あの先につながる場所にあったから飛び込んだら気絶していた。アレを通ってきたのは間違いないと思う」
そういいつつポータルの端っこに触れて術式および空間座標を『解析』する。
「……あっち側の座標も把握したし、そこからオレの拠点の座標も把握完了っと……」
そういった後ポータルに干渉してあっち側のポータルの座標を移動し、ポータルのつなぎなおしを行う。
「――ついでに誰かが踏み込むとまずいから不活性化させて……」
とポータルのシステムを停止させる。
「これで良し。……っとすまない。介抱してもらったのにそれを差し置いて自分のことをやってしまって」
「あ、大丈夫です。介抱らしいことほとんどしてなかったので……」
慌てる彼女もまたよき。
「っと、まだ自己紹介していなかったな。オレは神威。職業は傭兵が一番近いか?まあ、色々できる奴って思ってくれればいい。よろしく」
「あ、私はウィズといいます。この廃屋の隣で魔法店を経営してます」
物腰柔らかく、丁寧にぺこりと一礼する彼女。
「……えっと、もしかしなくても、どこか遠いところから転移してきた、ってことであってます?」
恐る恐るといった感じで問いかけてくる彼女。
「そうなるな。……別に侵略しようとかそういうことはないから安心してくれ」
一瞬涙目で身構えた彼女に対して両手を上げて敵意のないことを示す。
「な、ならいいんですけど……」
「……とりあえず、この世界について教えてくれ。たぶんこの世界の常識について幼い子供よりわかってないと思うし」
「あ、ならご案内します!」
そう彼女は笑顔でそう告げた。
――ゆるふわりっちぃ 案内中……
「それでここが冒険者ギルドです。酒場も併設されてるので食事もとれますよ!」
そういってカウンター扉を開けて先導するウィズ。
――やっぱり「しってるはず」なんだが……うむむ。
内心で唸りつつ扉を開けて中に入ると。
――なんだろう、視線を感じる。
酒を飲んでる冒険者たちがこちらをジロジロ見ていた。
「おい、あの店主さんが男と一緒だぞ……?」
「アレか?アレなのか??」
「マジかよ那珂ちゃんのファン辞めます」
というようなひそひそ声が耳を澄ますと聞き取れた。
――どうやら彼女、(主に男性から)ひそかな人気があるようだ。
そんなことに気が付いてないらしい彼女は説明をしてくれる。
「それであちらが掲示板。定期的に張り出されるので欲しい依頼を取ってください。まあ、割のいい依頼は早い者勝ちなことが多いのでそこは頑張ってくださいね。それで依頼を受けるには冒険者として登録する必要があるんですが……ちょっと混んでるので並びましょうか」
と4つほどある受付のうち、一つの受付の列に並ぶ。
ここに来る途中で聞いたが、冒険者のカードは身分証明書にもなるみたいだから作っておくことに越したことはない。
ということでオレは冒険者登録をすることに。
とか思ってるうちにどんどん前の人たちがはけていく。
この受付の人は結構優秀なようだ。
「次の方―……ってウィズさん? 珍しいですね。どうなされました?」
キョトンとした顔でウィズを見る受付のお姉さん。
胸が零れ落ちそうな露出の高い服着てる。
――ラウラだったら向こう3時間くらい悶絶しそう。 トルテとかなら二つ返事で着てくれそうだが。
「ルナさん、今日はこちらの方が冒険者になりたいということで、冒険者登録をお願いします」
「あ、はい。では、1000エリスいただきますね?」
そういわれてオレはここに来るまでに立ち寄った店でノーデスの剣を売って得たお金から1000エリスを取り出して支払う。
「はい、確かに。――では説明をさせていただきますね」
と説明をし始める。
――冒険者とは一言で説明するなら何でも屋だが、主な仕事は街の外に存在するモンスター、もしくは人間に害を為すモノの討伐を請け負う者である。
――冒険者は、各々が就く職業を選ぶことができる。
――冒険者は討伐を繰り返すことで経験値が溜まり、レベルアップする。
――冒険者はレベルアップによってポイントが増え、新たなスキルなどを獲得することができる。
――また、討伐記録などはカードに乗るため、犯罪などもすればすぐに露見すること。
――重度の犯罪、または複数回の軽度以上の犯罪でギルドからの厳罰および指名手配がされること。
あとカードについての説明
などを説明された。
「以上のことを了承いただけましたら、こちらの用紙に身長、体重、年齢などの身体的特徴をご記入ください」
「わかった」
そういって言われたとおりに紙に書いていく。
「……ん?年齢……見間違いかしら……?」
何回か目を擦っていたがしばらくしてまあいっか、と言ってしまってしまった。
――それでいいのか??
「それではこちらのカードをどうぞ。そのまま触れていただければ、ステータスが表示されますので、その数値に応じて就きたい職業をお選びください」
と箱に入ったカードを渡してきた。
――ああ、最初に触った人の情報を認識するから触らないようにしてるのかな?
そうおもいつつ、手を触れると、光と共にカードにオレの情報が刻まれた。
「……すごい、幸運もかなり高いし、他能力に至っては今まで見たことないほど高い……!」
カードを覗き込むルナと呼ばれた受付さんは驚いた顔でそうこぼす。
――別のモノが色々とこぼれそうだぞ、大丈夫か?
とオレは斜め上のツッコミを内心でしていた。
「……ハッ、申し訳ありません。それで、職業のほうはいかがなさいますか? どの上級職でも問題ないですが……」
と彼女がリストを提示してきたが、確認する前にカードが急に光出す。
「えっ? まだ決めてないはずなのに……『
職業欄を見てオロオロする彼女。
「……やっぱりこの人かなりの桁違いの存在なんですね……」
と隣にいたウィズが驚いた顔でそうこぼしていた。
「職業はこれで問題ない。――登録は以上か?」
オレが問いかけるとハッとして首を縦に振った。
「で、でででは改めまして。――冒険者ギルドへようこそ。スタッフ一同、あなたの冒険者としてのこれからの活躍をお祈りしております」
彼女はそう――どこか得物を見つけた肉食獣のような光をほのかに瞳に宿しつつ――オレの冒険者登録を祝福する言葉を告げた――。