あ、これ公文さんのとこでやったところだ!   作:カツカレーカツカレーライス抜き

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公文さんは姫様がそんなに好きじゃない

味気ないコンビニ弁当を食べ終え割り箸を捨てる様に空になった容器へ置いた。

なんとなく着けていたノートパソコンをなんの感情もなく眺める。

 

あの不思議な体験からすでに一週間が過ぎた。

あれ以来あのページに飛ぶことも、それらしい噂をまとめたサイトを見つける事も出来ないでいた。

 

(多分、自分以外の奴等もおんなじ様な気分を味わってるんだろうなー)

 

やはり夢だと諦めそうになりながら、でもあれは確かな現実だったと繰り返す。

不毛ではあるのだけれど、彼女の姿とけも耳尻尾のロリ巫女達の学芸会的ダンスが脳裏に頑固にこびり付いてはなれやしない。

 

元々ロリコンぽかったのにあれで完全にこじらせた。

 

受け入れ難い事実では、あるのだけれど。

 

大きなため息一つ。手で包み込んだマウスを動かして、少しオーバーなアクションで巡回サイトの一つをクリックし…それはまたやって来た。

 

『うむ、時刻の様でござるな。皆、久しぶりでござる』

 

○ ○ ○

 

『だよな…だよな!あれやっぱあったことなんだよなぁ!』『おう公文さんもおまえらも久しぶりやで』『一週間に一度なのか?いや、まだ判断するには早計だな…』『公文さん、俺あれから公文さんの事沢山調べたよ』『…公文さん位の少女にそれって、かなり怖い言葉だよな』『うん』『でもおまえらも調べてるんでしょ?』『うん』

 

「ふむ、拙者を調べて…ネットとかいうのは不思議な物でござるなぁ」

 

なお当人は特に気にしてない模様。

 

『調べたなら分かっていると思うが、いみなで呼ぶんじゃないぞ』『いやいや、違う世界線だろうし大丈夫でない?』『…いみなって何?』『調べとけよそこは』『でも個人を調べた位じゃ見落とすとこかも』『あー…公文さん?』

 

「任されたでござる。拙者の場合、公文…ぐふんぐふんっ!…重忠というのでござるが、この重忠がいみなでござるな」

 

『意外とあっさり言ったな…』『やっぱりこっちのとは違うんじゃない?』『どうだろうな…まだ途中だし…』

 

「少し前の事でござるが、ドクペ宴に呼ばれたのでござるが」

 

『待って』『ドクペ宴って何!?』『まさかあれなのか…?』

 

「ドクペを飲む宴会でござる。あの、んー…なんか不思議な味のあれでござる」

 

『ドクペだこれ!』『なんであるんですかねぇ…』『どうなってるのそっち!?』

 

「南蛮の方から来た人達が作り方を教えてくれたでござる」

 

『知ってた』『フリーダム過ぎる…』『そういう設定だろ?力抜いて眺めとけって』『…そうなのかな』

 

「まぁその席で主家のひきこも、んんっ、姫様の隣になったのでござる。それでその姫様がまぁ土佐人らしいドクペ豪でござってな…」

 

『なんだよ、ドクペ豪って…』『この日本号欲しかったらドクペ飲み干せよ!』『母里さんかわいそう…』『長政はそれ見ながら笑いころげてそう』

 

「で、酔ったらしく拙者の肩を叩きながらいみなで呼んだのでござるな…」

 

『あ、これいみなの話だった』『ドクペ強いな…』『つよい』『ドクペで酔うとか土佐人大丈夫か…』

 

「一度目は酔っているからと流したのでござるが、二度もいみなを呼ばれたので…つい」

 

『…つい?』

 

「姫様をボコボコに」

 

『ボコボコに』『姫様って言葉にくっそ合ってなくて草』『いうか公文さん武闘派すぎへん?』『戦国激戦区の一つ、土佐で最後まで生き残った人ですけぇ』『あぁそういやそうだった』『…つまり、主家の姫様をそのなんだ…叩いても許されるくらい、いみな呼びは駄目という事だ』『この辺は時代もあるやで。自分の土地守ってくれへんやったら平気で寝返ったり、軍議の席でも主に掴み掛かったりやしね』『へー』

 

「実際はもっと色々でござるが、そこは各々でネットとかいうので調べて欲しいでござる。拙者を調べるより有意義でござろうし…まぁ一番はお餅関係を調べて欲しいでござるが…」

 

『ごめんなさい』『狐とか犬とかの耳と尻尾はやしたロリ巫女さん達が主戦力の農政って無理どす』『…喫茶?』『先取り過ぎる…』『ここではあの子達が当たり前だとしたら、茶屋なんて無謀だぞ』『あー…』『どうなんです、公文さん?』

 

「どこの村にもある程度いるでござるよ?」

 

『まいったな…早くモニターの向こうに行ける様にならなきゃな』『当たり前みたいに言ってて草』『草とかいいからお前も一緒に考えろ、な?』『情念が文字からにじみ出てて草』『こいつメンタル強いな』『あ、そだそだ公文さん』

 

「なんでござる?」

 

『公文さんのいみなは分かったけど、官位とか通称は?』

 

「…」

 

『…おや?』『同じなら確か…将監だが』『将監?』『近衛府の三等官やね。読みはしょうげん。朝廷の警護とかの役職やね』『ほーん』『で、なんで公文さんは固まってんの?』『なんでだろうな…』

 

「その…」

 

『うん?』『なんか可愛いぞ』『公文さんはいつも可愛いが?』

 

「…笑ったり、呆れたりしないでござる?」

 

『上目遣いとか最高かよ…』『でもこの子主家の姫様ドクペの席でボコボコにしてるんですよ』『字面酷すぎて草もはえない』『まぁ…笑える官位とか通称ってないでしょ?』『…』『あ』

「かみ…」

 

『ん?』『なんて?』

 

「か…上総守でござる」

 

『ノッブ!!』『ノッブだこれ!!』『公文って桓武平氏だっけ?』『いや…そういった話は聞いた事はないが…』

 

「なんで突然平氏が出て来たのでござる?」

 

『そっちが聞くのか(驚愕)』『桓武天皇の孫…曾孫という説もあるんだが、その孫だか曾孫だかの高望王が平姓と上総介の官位を貰って上総の地に土着したんだ。それからまぁ…有力な将やら…謀反人やらを輩出してな』『ワイが天皇でもええやろ』『平氏じゃないから人じゃないなっ』『ま、まぁそれだ。それもあって、上総介は平氏を称する武家にとっては棟梁の証、の様な時代があった訳だ』『はー』

 

「ほー…」

 

『草』『感心かよ』『で、続きだが…上総守という官位は、ない』『えっ』

 

「えっ」

 

『上総、上野、常陸は親王任国ではあるんだが…通例的に親王が赴任しなくてな。四等官である長官…守が役職として存在しない。次の介からなんだ』『ほーん』『でも、ノッブって?』『ノッブも自称平氏でな、まーそれで上総守て手紙に書いて残してまいよったやで』『ノッブ…』『武田のホモ手紙並だな』『…あの時代男色は上級武家の嗜みだからな…信長の方が実は…だな』『マジか』『毘沙門天ホモは許された…?』『いやお前はガチホモすぎてアウト』『そんなー』

 

「そ、そんな…拙者はなんて事を…」

『えっ…く、公文さん、どうしたの?』『大丈夫か上総守』『やめてさしあげろ』

 

「す、少し前に…」

 

『少し前に?』

 

「拙者の官位について、ひきこも、げふっ、んんっ、姫様が指をさしながらバカ笑いしてくるから、つい…」

 

『…つい?』

 

「ボコボコに…っ」

 

『姫様かわいそう…』『また姫様がぼこぼこに!』『公文さんマジか』

 

「…まぁ姫様だからいいでござる」

 

『えぇぇ…』『これが戦国武将…』『極例の一つだ…その筈だ…』『森さんとこのとかにくらべたら可愛いもんやで?』『…そうだな』『マジかよ…』『あ、でもさ…公文さんは何でその官位…官位?名乗ったの?』

 

「たかもちって名前を聞いた時、美味しそうでそれで決めたでござる」

 

『聞いたのか…そいつが戦犯だな』『黒幕じゃね?』『姫様…そいつのせいで…』『で、誰なの公文さん?友達?』

 

「拙者の大親友七条殿でござる!」

 

『…四国の餅コンビ、だと…?』『脳筋コンビやね…』『なんか分かってる人達が黄昏てる…』

 

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