あ、これ公文さんのとこでやったところだ! 作:カツカレーカツカレーライス抜き
家の手伝いとかおぬこ様のお世話で時間が…
様々な情報が頭に放り込まれていく。彼女のいみなだとか、官位だとか武闘派だとか姫様の扱いが雑だとか。
他に歴史のあれこれも。
頭との付き合いは二十年以上だ。そろそろ右から左になる頃だから、テーブルに置いてある午後なティーを優雅に飲む。
何故かドクペの味がした様な気がした。
そして少しばかりげんなりしていると…ディスプレイが歪み始める。
秒で手にあった午後なティーをテーブルに戻してマウスを掴み残像も残さず動かす。
録画の画質を上げ、クリアにする為の作業。
あの日、最初のあの日録画出来た人間は僅かだ。もたざる者達はあの日の悲劇を忘れられず、それ以降多くの者達が自らに試練を課した。
ある者は明かり一つない暗闇の中で、音もなくマウスを掴み録画ツールをクリックする術を磨き、またある者は親の顔と彼女と妹の誕生日の記憶を生け贄に捧げ録画ツールの瞬間展開の術を得た。
そして今ここにいる人間は、ロリロリした大人のゲームをする時間を犠牲にノートパソコンの性能と機能、どちらのパフォーマンスも損なわないギリギリの録画ツールの高画質を理解するに至った。
言えることは一つ。きめぇ。
「さあ!来い!」
最高に決め顔だ。ほんとにきめぇ。
画面はぐにょんぐにょんと歪む。何も知らなければ保証まだ効いたかな、と心配するか隣の部屋とかに住む機械に強い人に泣きつくレベルだ。
修理が終わってから何事なかった様に帰ろうとするその人を呼び止めて一緒にお夕飯?
あると思う、それ?
ディスプレイは歪み、なのにコメントは流れしかも読める。
『総員、用意!』『来るぞ!』『この日の為に…この瞬間の為に、今までがあった!』
人々の様々な思惟と情念と怨念と呪いとチンイラが混ざりあい頂点へと達した時。
それは光臨した。
狐の耳と尻尾、犬の耳と尻尾。それらを違和感なく頭とお尻につけた美ロリ達が、チア風ミニ袴巫女服を身に纏って現れる。当然手には色とりどりのポンポンだ。
えらい格好したちんちんに優しくないロリけも娘達は、せーのと声を合わせ、がんばえー!ぱそこんさんがんばえー!とか言いながらポンポンを振ったり片足を上げたりする。
ある者は彼女達を見つめたまま祈り、またぼやける視界に映る少女達の姿を眼に焼き付けようとする。さらに幾人かはもうちょい…足もうちょい!とか言いながらモニターを下の角度から攻めていた。
やがて画面の歪みは直りけもロリっ子達は画面の外へと去っていった。
なお性癖の歪みは直っていない模様。
ふぅ、と息をつきモニターを下の角度から攻める仕事を終える。こんなすがすがしい気持ちは初めてだ、等と考えていると、一人のけもロリっ子が公文に近づいていく。先ほどのネット修復作業では見なかった顔だが、記憶している顔だ。
公文にとよと呼ばれていた狐ロリ巫女。彼女は公文の耳元へ口をよせて何か囁き始めた。
ふむふむと頷いていた公文は、とよが離れてからモニターに向かって頭を下げた。
『すまぬでござる、買い出し用のケッタマシーンのサドルがなくなったらしく…すぐ戻るゆえ暫しごめんでござる』
また変な情報を放り投げて、公文ととよも画面の外に出ていった。
『けった…なに?』
それでもコメントはぽんと出る。
『ケッタマシーン』『なにそれ?』『自転車の事だぞ。岐阜とか名古屋でそう呼ぶ』『土佐なんですがここ』『それ以前になんで自転車が』
分かりきった事だ、とまた優雅に午後なティーを飲む。
どうせあいつらしかいない。
『南蛮の方から来た人達だろ』『それ以外ないか…』『でもサドルか…そんなのいる?』『公文さんとかあの子達の自転車のサドルだよ?』『いるわこれ』
綺麗な手のひら返しだ。
『そーいやさーここ平行?とかの昔って設定だろ?あん時そんな官位ないって言ってた奴いたけど、そーとも言いきれなくね?』『上総守に限ってはないな』『だからなんで言いきんの?』『公文さんは口にする前に、笑ったり呆れたりしないでほしいといった』『あ、そか…言ってたな、ごめん』『いや気にしていない』
しかしサドル…公文や彼女達のサドル。自分ならどうするか、とそれを皆にもコメントで聞いてみる。
『部屋に飾る』『神棚に奉る』『なめる』『ちょっと書けないかな』『なめる』『気持ちは分かるがなめるな』
ちょっと書けない人は何をするのだろうか…
『それにしても…この狐っ子やら犬っ子ほんま違和感ないで』『もう鑑賞っすか』『当たり前なんだよなぁ』『チアコス風巫女衣装に自転車、パソコンに配信に必要な諸々にドクペか…意味が分からないな』『からくり侍女様わすれんなよぉー!』『あぁ、そうだった、すまない』『鉄砲「あの…!」』『…完全に忘れていた、本当にすまない』『しかたないとおもうの』『ほんとにな…』
なんとも言えない空気になりかけた時、公文がとととっ、と小走りに戻ってきた。
どこかやりきった様な、少し満足気な顔だ。
『いやーうちの殿がとよのケッタマシーンのサドルをまたペロペロしていたのでまたボコボコにしてきたでござる』
さわやかに笑いながら額の汗を手で拭う彼女の姿に、更になんとも言えない空気が濃くなった。
この時期は何度も洗濯が…