【完結】私はプレインズウォーカー。   作:デーテ

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16.リング

 年が明けた。お祖母様のお屋敷に親戚が集まり、それを終えると手元にちょっとしたお金があった。私の両親は兄弟が多くて、私をちやほやしてくれるのでお正月は楽しい。

 

 資金を半分に割る。半分はアイちゃんとのデートに使う。残りは好きに使う。

 何を買おう。お洋服、お化粧、おマジックに均等に割り振ろうか。なかなかの金額なので何でも買える。

 スマホを手に取り、アイちゃんにメッセージを送った。

 

『買い物 デート 行きたい』

『その言葉が聞きたかった』

 

 

 昼過ぎに駅前で待ち合わせた。広場は人もまばらで静かだ。コートのポケットに手を入れて待ってると、アイちゃんが歩いて来るのが見えた。

「あけおめ~」と私は手を振った。

「あけおめ~」とアイちゃんも手を振る。

 小走りで近寄って来たアイちゃんと、ノリでハイタッチをした。

「いぇー」「ぅえーい」

 適当な言語で会話を交わし、手を繋いで券売機まで歩いた。

 年末年始は家族と過ごしたので、年が明けてから逢うのは初めてだった。アイちゃんの顔を見ると無条件で嬉しくなるので、握った手をにぎにぎして表現した。

「こそばーい」とアイちゃんはニコニコ笑って握り返してくれた。

 

 電車を降りて少し歩く。なかなかの人混みだ。はぐれないようにという建前でアイちゃんと引っ付いて歩いた。

 大きな道路を渡り、目的の建物に着いた。5階建てで、ワンフロアがめっちゃ広い。2階に太い渡り廊下が通されてて、同じサイズの建物と連絡してる。

 片方のビルには服屋さんやアクセサリーショップなんかが入ってて、もう片方のビルにはゲーム屋さんとか本屋さんとか特殊な本屋さんとかが入ってる。カードショップもここだ。

「この2つのビルで何でも揃うの便利だよね」と私は言った。

「ここ造った人は偉い。発明王。平賀源内」とアイちゃんは言った。

「歴史のある建物なんですねー」

 

 適当に見て回る。服屋さんは服屋さんって感じで、靴屋さんは靴屋さんって感じだった。来月あたりに春物を見に来たい感じだ。

 アクセサリーショップを見てると、ペアリングが目に止まった。世の中の恋人同士が指につける輪っかだ。

「アイちゃんお年玉貰った?」と私は聞いた。

「ガッポガッポだよー」とアイちゃんは言った。

「アイちゃんとペアリングつけたい」

 私の視線は並んだリングの上を素早く往復し始めた。

「お、おぉ? えっ、なんかめっちゃ照れる」

「学校行くときはチェーン通してネックレスにする感じ」

「ビジョンが具体的」

「どれが良い?」

「……」

「めっちゃ真剣なまなざし」

「コレかコレか、コレ」

「あ、3つ目のやつ良いね。アイちゃんに似合う」

「ユーリちゃんにも似合う」

 

 店員のお姉さんに指のサイズを計ってもらい、指輪の選択を誉めてもらった。とてもよくお似合いです。比翼連理。天下無双の可愛さ。ブレッスド・パーフェクション。

 

 小さな紙袋の中に、小さな箱が2つ。繋いだ手で一緒に持った。

「30分前まで、正直アクセサリーに興味無かったよ」とアイちゃんはニコニコしながら言った。

「普段つけないもんね、私とアイちゃん」私もウキウキしながら言った。

「なんか、すごいね」

 アイちゃんは手をにぎにぎしてきた。私もにぎにぎした。紙袋がゆらゆら揺れた。

「うん。なんか、すごい」

 

「ほんとはこの後カードショップでも覗こうかって思ってたんだけど、なんか疲れちゃったね」と私は言った。

「うん」とアイちゃんは言った。

「ちょっと、休憩出来るとこ、行こっか」ドキドキしながら私は言った。

「……うん」とアイちゃんは応えた。

 

 

 休憩出来る所に落ち着いた私とアイちゃんは、お互いに指輪を嵌めあった。

「おぉ……」

「きれい……」

 アイちゃんと私の指に、金属の光沢が煌めいてる。細いリングは銀色と桃色の間くらいを揺らめいて光った。指でなぞると、滑らかな感触と控え目な彫刻が心地の良い反応を返してくる。

 

 私の右手はアイちゃんの左手をなぞり、アイちゃんの右手は私の左手をなぞった。

「ユーリちゃんの指、長くて綺麗だね」

「アイちゃんの指も、細くて可愛いよ」

「ふふ、私は、とてもよく知ってるよ、ユーリちゃんの指。いつも優しくって、私を嬉しい気持ちにしてくれるの」

 アイちゃんは私の目を見て言った。

「いつも愛を込めて触れてるよ」と私は言った。

「わ、気障なセリフ」とアイちゃんは笑った。

 あまりにも美しかったので、頬に手を添えて口付けをした。

「まだ、明るいのに」とアイちゃんは言った。キラキラと瞳が潤んでる。

「いっぱい仲良くできるね」と私は言った。

「いっぱいするの?」

 今度はアイちゃんから口付けをしてくれた。

「いっぱい仲良くしたいし、いっぱいされたいでしょ?」自信を持って言った。

「さ、されたい、です……」

「よく言えました。可愛い」

 

 この後滅茶苦茶仲良くした。

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