【完結】私はプレインズウォーカー。   作:デーテ

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25.梅雨の空 統制と自制 龍師範

 雨の日が続いてる。

 部室には除湿器が置かれた。めっちゃ高級品っぽい佇まいで、なんかめっちゃすごいヤツっぽかった。

 

 新しいデッキをシャッフルする。青と白のデッキなのでスリーブは水色にした。

 デッキの完成度は、形にはなってるけど最適ではない、という程度。不足は無い。正直今までのどのデッキよりもお金がかかった。

 我が師、アイ=チャン師範曰く「コントロールはガッツリ組むとお金かかるから程々にしといた方が良いぞよ」とのお言葉を頂戴してる。

 

 程々のわりには、なかなか良いデッキになったと思う。

「先生、新しいデッキを組んだんですが、やりませんか」と私は言った。

 アイちゃんとは既に何回か対戦した。初心者の3人はまだウェルカムデッキを使って楽しそうに対戦してる。

 

「ええ、もちろん。丁度私も新しいデッキを持ってきました。ぜひお相手致しましょう」

 そういうことになった。

 

 

 ダイスロール。期待値の7を出した。先手を貰って7枚ドロー。

《平穏な入り江》《進化する未開地》《平地》《予期》《取り消し》《熟考漂い》《秘密の解明者、ジェイス》。

 そんなに悪くなさそう。先生のデッキが速いビートダウンだった場合は酷い目にあうけど、ドローで全体除去を引ければ生き残れる。

 

 お互いにキープを宣言した。

 

「《平穏な入り江》をセットします。ライフ1点回復します。ライフ21。エンドです」と私は言った。

 先生20─21私。

 

「白青コントロール、でしょうか。アンタップ、アップキープ、ドロー」

 先生はドローしてから土地を置いた。

「《天啓の神殿》セット。占術1を行います。ボトムへ。エンドです」

 

 動きの無い静かな立ち上がり。あの占術付いてる青赤土地良いな。白青のサイクルも在るのかな。

 

 私のターン。

「アンタップ、ドロー」

 引いたのは《平地》。手札をシャッフルしながら一瞬だけ考える。《未開地》を切って青マナ2つを揃えにいくか、《平地》を置いて《予期》を構えるか。

「《平地》セットで、エンドです」と私は言った。

 デッキを組むときに《予期》と《選択》とで迷った。後半引いても強そうな《予期》を採用したけど、どっちの方が良いのかな。

 

「ん、何か構えましたか。アンタップ、アップキープ、ドロー」

 先生は《山》を置いてクリーチャーを唱えた。

「《印章持ちのヒトデ》を唱えます。通りますか?」と先生は言った。見易いようにカードをこちらへ向けてくれてる。

「ありがとうございます。見ます」と私は礼儀正しくお礼を言った。

 ヒトデ。2マナ0/3、タップすると占術1が出来る。良いなこの子。軽くて硬くてドロー操作が出来る。コモンなので安いだろうし、今度ショップに見に行こう。

 

「はい、通します」と私は言った。

 あえて打ち消しを使いませんでしたよ、という風に言葉を選ぶ。アイちゃんに教えて貰った口先の技術だ。

 先生はそのままターンエンドを宣言した。

 

「エンドステップ、《予期》を打ちます」と私は言った。

 デッキトップから3枚を見る。《フェアリーの集会場》、《島》、《審判の日》。

 次のターンは《熟考漂い》キャストで、そのためにはアンタップインの土地が要る。手札には《平地》と《未開地》が在るので、《島》はそこまで必要無いかな?

 手札の《ジェイス》を5ターン目確実にキャストするなら《島》か。カードをたくさん引いた方が強いから《島》を手札に貰う。他の2枚はデッキボトムへ。

 

 私のターン。

「アンタップ、アップキープ、ドロー」

 ドローは《セラの天使》。【8&12】から持ってきた、共有のフィニッシャー。

「メイン1、《島》を置いて《熟考漂い》を想起でキャストします。2ドロー。《熟考漂い》くんは墓地へ。エンド」

 ドローは《平和な心》と《平地》。

 手札は《平地》《平地》《未開地》《取り消し》《ジェイス》《セラの天使》《平和な心》の7枚。

 戦場には《入り江》《平地》《島》の3枚が出ててフルタップ。

 

「アンタップ、アップキープに《ヒトデ》の能力を起動します。占術1」

 先生はデッキトップをチラッと見てからボトムへ送った。

「下へ。ドローステップ、ドロー」

 先生は少し考えてから土地を置いた。

「《凱旋の神殿》をセット。占術1。トップのままで。ターンエンド」

 今度は白赤の占術付きの土地。先生のデッキは3色以上。

 

 私のターン。ドローは《前兆の壁》。

「《未開地》を置いてエンドです」

《取り消し》を構えつつ、次のターンに《ジェイス》を出せる。デッキは上手く回ってる。

 

 先生のターン。

「アンタップ、アップキープ、ドロー」

 新たに《島》が置かれた。《島》《山》《凱旋の神殿》がタップされて3マナ。

「《炎語りの達人》を唱えます」と先生は言った。

 テキストを見せてもらう。

 3マナ2/3。占術を行う度に1ターンの間だけパワーが2つ上がり、先制攻撃が付く。ヒトデくんが居るので毎ターン4/3先制攻撃でアタックしてくるつもりだ。さらに占術土地を置けば6/3になる。恐ろしい。

 

「恐ろしいので駄目です。《取り消し》を唱えます」と私は言った。

 打ち消してしまえば憂いは無い。私は土地からマナを出して呪文を唱えた。

 

「む、《キャンセル》。なんとベーシックな。渋いですね。ですが私も《達人》は通したいので、《天啓の神殿》から青1マナ、《白鳥の歌》を当てます」

 

 私の唱えた打ち消し呪文は、先生の魔術によって形を変えられてしまい可愛い鳥さんになってしまった。

 

「え、1マナで絶対に打ち消せるんですか? あと1マナ払えとかじゃなくて」テキストを見せてもらいながら私は驚いた。

「ええ。その代わり、そちらには2/2飛行の鳥クリーチャー・トークンが与えられます。それにクリーチャー呪文とプレインズウォーカー呪文は打ち消せませんけどね」

 先生はデッキケースからスリーブに入ったトークン用のカードを取り出した。白い鳥が青い空を飛んでる綺麗な絵で、右下のほうに『鳥 飛行 2/2』と書いてある。

 

 とても素敵なトークンだった。《白鳥の歌》のアートとよく似てて、鳥の姿勢が違う。

「わ、綺麗なトークンですね」と私は思ったままの事を言った。

「どうもありがとう。とてもお気に入りのトークンなんですよ」と先生は微笑んで言った。

 私はトークンを受け取って戦場に置いた。このトークンで10回アタックすれば私の勝ちだ。

 

《炎語りの達人》が戦場に出て、先生はターンを終えた。

「エンドステップ《未開地》切って《島》タップインします」と私は宣言した。

 

 私のターン。ドローは《否認》。

「《平地》セットして、5マナ《秘密の解明者、ジェイス》を出します。マイナス2の能力で《達人》バウンス。忠誠度は残り3です」

《秘密の解明者、ジェイス》の初期忠誠度は5。能力は3つ。すぐ使える能力は2つ。忠誠度プラス1で占術1をしてから1枚ドロー。忠誠度マイナス2でクリーチャーを持ち主の手札に返す。忠誠度マイナス8は通称『奥義』って呼ばれてて、めっちゃ強い。

 

「まさかプレインズウォーカー・カードが入ってるなんて、鈴木さんもなかなかガチ勢に近付いてきましたね」

 せっかく出した《達人》をバウンスされたのに、先生は嬉しそうだった。

 アイちゃんもこうだった。私がマジックにのめり込めば込む程嬉しそうにする。マジックはとても面白くって、楽しく遊んでたらアイちゃんも嬉しそうにしてくれて、私にうってつけのゲームだった。

 

 ゲームを続けて、私は鳥さんでアタックした。

「エンドです」

「エンドステップに《ヒトデ》起動。お、トップのままで」

 先生18─21私。

 

 先生のターン。メインフェイズ。

「フルタップのうちに《ジェイス》は処理してしまいましょう。《稲妻の一撃》を《ジェイス》に」

 呆気なく《ジェイス》はやられてしまった。バウンスではなく、ドローから入るべきだったか。後で検討しよう。

 

「《啓蒙の神殿》を置いて占術。ボトムへ。白青2マナで《戦識の重装歩兵》を唱えて、ターンエンド」

 

 やっぱり在った白青の占術土地。かなり便利そう。占術はカードがドローできないから微妙だと思ってたけど、置くだけで不要牌を弾いてくれるのは強いかもしれない。弱点は確定でタップインしてしまう所か。

 

 私のターン。ドローは《フェアリーの集会場》。青マナを出す土地、兼フィニッシャー。

「ランドセット。《フェアリーの集会場》をタップイン」

 土地を置く。《ジェイス》でカードを増やせなかったのが痛い。《セラの天使》を出して早めにライフを狙うか、《前兆の壁》を出してじっくり行くか。

 

 先生の手札はあと3枚で、その内1枚は《炎語りの達人》。白鳥トークンと天使で6点クロック、3ターンで勝ち。

「5マナで《セラの天使》を唱えます。鳥さんはアタック」

 相手に引かせるカードは少ない方が良い。攻めよう。

 エンドステップに先生はヒトデの能力を使って占術。トップはそのまま。

 先生16─21私。

 

 先生のターン。

「ドロー。白単にも入っていましたが、《セラの天使》は良いカードですね。4/4はとても大きい。《戦識の重装歩兵》でアタックします」

 

 アタック。《戦識の重装歩兵》は2/2のクリーチャー。先生が《重装歩兵》を対象にした呪文を唱えると+1/+1カウンターが乗る。ついでに占術もする。

 ブロックするか、しないか。

 ライフはまだたくさん有る。何かしらのコンバット・トリックを警戒しよう。

 

「スルーします。何点ですか?」と私は聞いた。

「む、流石にブロックはしてくれないみたいですね。2点でお願いします」と先生は言った。

「はい、流石に」と私は言った。

「第2メイン、《達人》を出して、エンドです」

 先生16─19私。

 

 私のターン。

 ドローは《審判の日》。

「《平地》をセット。《前兆の壁》を唱えます。場に出たときに《壁》の能力が誘発、1枚ドロー」

 ドローは《龍王オジュタイ》。合掌した羽毛ふさふさドラゴン。アイちゃんに聞くと、なんかカンフーとか教えてたりするらしい。

 

「戦闘に入ります。トークンと《セラの天使》でアタック。6点」

 あと2回のアタックで勝ちだ。

 

 先生の場には《歩兵》と《達人》。パワーは両方とも2。《ヒトデ》が居るので《達人》は最低でもパワー4まで上昇する。《歩兵》は《壁》で止めれる。

「第2メイン《達人》に《平和な心》を付けます」

「ぅ、了解しました」

「ターンエンド」

 2マナ立てて、《否認》を構えて万全の態勢でターンを返す。

 エンドステップ、先生は《ヒトデ》の能力を起動してカードをボトムへ送った。

 先生10─19私。

 

 先生のターン。

「アンタップ、アップキープに《ヒトデ》を起動。占術はトップで。占術を行ったので、一応《達人》のパワーが上がります。ドローステップ、ドロー」

 ほんわかふわふわな気持ちながらも、クンフーは怠らない。《達人》と呼ばれるだけはある。

 

「青1マナ、《重装歩兵》に《液態化》を唱えます。オーラ呪文は対象を取るので、《歩兵》の能力が誘発します。能力を解決して良いですか?」

《液態化》のテキストを読ませてもらう。エンチャントされたクリーチャーはブロックされなくなる。液体の状態に化けるからブロックされない。なるほど。そしてアタックする度に占術を行う、と。

 これを止めてしまえば、先生の攻撃手段に制限をかけれそうだ。《壁》でブロックできる。《否認》を打つ。打つけど、占術が終わってからだ。

「能力の解決どうぞ」と私は言った。

「では《歩兵》にカウンターを置いて、占術。んー、上で。一応《達人》のパワーが上がります。現在6ですね。エンチャントは通りますか?」

「いえ、《否認》を打ちます」と私は言った。

「残念」と先生は残念そうな顔で言った。

 

 勝利の予感がしてきた。

 

「おー、ちゃんとした青いデッキってこんな感じで戦うんだな」とベニコちゃんが言った。

 

 いつの間にかアイちゃんたちが周りに座って観戦してた。めっちゃ集中してたみたいで、全く気付いて無かった。

 

「これは、【ジェスカイ占術ヒロイック】とでも呼ぶのでしょうか。面白そうなデッキでしたが今の《否認》は効きましたね。アニメとかなら、やったか!? 今ので無事とは思えない、とか言う場面」とアイちゃんがニコニコしながら言った。

 

「これでフルタップですね」と先生は言った。

 先生は手札を見ながら、珍しく少しだけ眉間に皺を寄せて考えてた。

 

「まだ計算していませんので、一緒に計算してみましょう。

 まず、《神々の思し召し》を《炎語りの達人》に撃ちます。解決して、プロテクション(白)と占術1を。もうずっとデッキトップは固定ですけどね。プロテクション(白)のおかげで白いパーマネントの《平和な心》が外れます。パワーが2つ上昇して8。

 続いて《戦識の重装歩兵》に再び《神々の思し召し》。能力が誘発。カウンターが乗りパワー4。占術して、《達人》のパワーは10。《思し召し》を解決してプロテクション(白)と占術。《達人》はパワー12。

 なんとか足りましたね。最後に《タイタンの力》を《歩兵》に。能力が誘発してカウンターが乗りパワー5。占術して《達人》のパワーは14。《タイタンの力》を解決して《歩兵》のパワーに+3して8、占術して《達人》は16。

 2体でアタックして合計24点です」

 

 先生は間違わないように、そして誰もが理解できるように、とてもゆっくり丁寧に解決してくれた。

 

 先生10─-5私。

 

 

「す、すげーっ!」とベニコちゃんが叫んだ。

 

 私も同じ気持ちだった。めっちゃすごかった。

 

「え、うわ、すっご」と私は言った。

「こういうデッキを、コンボデッキなんて言ったりします。コンボパーツを集めて、一撃で決めるタイプのデッキですね。決まると気持ち良いですよ」と先生は言った。

 

 マジックには色んなデッキがある。私の思いもよらない発想で作られたデッキがある。

 なんて楽しい。

 

「うわー、すごかったー。あそこで全体除去打たないと駄目なんて分からないよー!」と私は叫んだ。

 

 負けて悔しくて楽しい。勝てたらもちろん嬉しい。

 

 先生やアイちゃん、ベニコちゃんたちを交えて感想戦をした。

 

「はー、すげかったなー」とベニコちゃんが言い続けてたのが印象に残った。

 

 

 




おまけ

ユーリの
【お小遣いコントロール】
カード名横の数字は、デッキに入っている枚数とショップに払った合計金額

土地 26  820

平地 8  80
島 6  60
フェアリーの集会場 4  600
平穏な入り江 4  40
進化する未開地 4  40

クリーチャー 11  2,000

前兆の壁 4  1,200
熟考漂い 4  400
セラの天使 2  0
龍王オジュタイ 1  400

スペル 23  930

平和な心 4  0
審判の日 4  400
予期 4  40
取り消し 4  40
否認 3  30
送還 2  20
秘密の解明者、ジェイス 2  400


ユーリがおよそ¥4,000(スリーブ代込み)で組んだ青白コントロール。
3年生になってからお小遣いが微増し、マジックには月¥2,000まで注ぎ込むようになった。
来月は《稲妻》を4枚揃えたいらしい。
《セラの天使》と《平和な心》が¥0なのは既に持ってたから。



山内先生の
【トリコロール・スーパーノヴァ】

土地 22

平地 1
島 4
山 5
天啓の神殿 4
啓蒙の神殿 4
凱旋の神殿 4

クリーチャー 16

印章持ちのヒトデ 4
戦識の重装歩兵 4
炎語りの達人 4
魔心のキマイラ 4

スペル 22

神々の思し召し 4
液態化 4
タイタンの力 4
マグマの噴流 4
白鳥の歌 3
稲妻の一撃 3


サイドボード 15

ニクス毛の雄羊 4
払拭の光 4
神々の憤怒 4
反論 2
豚の呪い 1



テーロスブロック限定構築
山内先生が大学生の時に、友人と一緒に組んだデッキ。
《白鳥の歌》や《豚の呪い》で使うトークンはその友人が描いた物。
デッキ名はその友人の趣味。超新星の如く煌めいて弾けてスパークしてるから、らしい。山内先生はお人好しなので優しく頷いてあげた。
サイドボードは
赤単用に羊
ウィニー用に憤怒
プレインズウォーカー等の厄介なパーマネント、主に太陽の勇者ペス用に払拭の光
払拭の光が効かないストームブレスドラゴン用に豚になれビーム
なんか対コントロール用の追加の打ち消しで反論
としっかり組んである
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