【完結】私はプレインズウォーカー。   作:デーテ

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30.プレインズウォーカーズ・スパーク

 昼休みの教室。アイちゃんたちと5人でお昼ごはんを食べてた。

 

「たぶん3人は確保できたっぽい、ね」と私はスマホを見ながら言う。

 

 チラシ配りは3回やった。2年生の教室を回ったり、適当に校内を歩きながら配ったり。

 脈がありそうなのは初日に勧誘した1年生の青葉チカちゃんと、そのお友達が1人。ミサキちゃんが部室棟で見つけた、漫研と掛け持ちをする予定の2年生の娘が1人。

 

「すごいね、3人も見つけたの」とアイちゃんが言った。

「ああ、立派なもんだ」とベニコちゃんが追従した。

「ね。私たち、チラシを配るのがやっとだったもんね」

「な。アタシはちょっとビビられるし、黒野はキョドるし」

「キョドって無いけど」

「おう、そうだな。アタシもビビられてなかったかもしれない」

 

 勧誘の成果が無かった事に対して、アイちゃんとベニコちゃんは仲良く凹んでた。気にしないで良いとは言ってるけど、2人とも責任感が強いので思うところがあるみたいだった。

 

「ベニベニのせいでアイクロがアホになっちゃった~」と言ってアヤメちゃんは大笑いした。

 

 半年以上ベニコちゃんたちと一緒に遊んだりして、アイちゃんの人見知りは無くなってた。とてもリラックスした雰囲気で冗談を言ったり、笑ったり。

 私としか仲良くなかったのに、と思う瞬間があったり無かったりする。

 

「チカって子、バミューダの妹っぽくない?」とミサキちゃんが言った。

「ミカちゃんの?」と私は聞いた。

「そそ。名字が一緒だからたぶんそうだよ。チカとミカでなんか似てるし」

「雑ぅー」私は笑って言った。「でも、もしそうならチカちゃんのこと聞いときたいな」

 

 食べ終わったお弁当箱をたたんでリュックに詰める。

 教室の前方右側を見ると、ミカちゃんはお友達とお喋りしてた。

 

「バミューダ~、ツラ貸してくれー」

 ミサキちゃんは立ち上がって、ミカちゃんに近づきながら声をかけた。私もついてく。

 

「なにー?」振り向いてミカちゃんは言った。

 ミカちゃんの大きな目がパチパチと瞬いた。茶色い髪を肩まで伸ばして、赤色のヘアピンで前髪を留めてる。

 

「へへ、あんたの妹さんの事でお話を聞きたいんだがねぇ~?」とミサキちゃんは絡んだ。

「なんのキャラよ」とミカちゃんは笑った。

「昨日見たドラマ」とミサキちゃんは言った。

 

「今ちょっと時間もらって良い?」と私は言った。

 

 ミカちゃんはお昼ごはんを食べ終わって、コハルちゃんとお喋りしてた。

 コハルちゃんは肩まで伸ばした黒髪をポニーテールにして、青い髪紐で結んでる。

 

「いいよー」とコハルちゃんは指で丸を作って言った。

「ありがとー」と私は親指を立てて言った。

 近くの椅子を適当に借りて座る。

 

「そのヘアピン可愛いね」と私はミカちゃんに言った。

「ん、そう? ありがと」とミカちゃんはなんでもなさそうな素振りで返事をした。

 

 ちょっと考えてから、本題に入る事にする。

 

「1年生の青葉チカちゃんって、妹さん?」

「その話だと思ってた。そうよ」

「わ、ホントだった。ね、チカちゃんってどんな娘?」

「ん~、普通よ、普通。ちょっとオタクっぽいけどね。マンガとかすごい沢山持ってるし」

「そうなんだ」と私は言った。

 

 マンガが好きなら、アイちゃんと話があうかもしれない。この後もミカちゃんたちとお喋りをしてお昼休みを過ごした。

 

 

 

 

 放課後。アイちゃんたちは部室に向かい、私は1年A組までチカちゃんたちを迎えに行った。

 チカちゃんとお友達は教室のドアの前で私を待ってた。

 

「チカちゃん、お待たせ」と私は言った。

「こ、こんにちわ!」チカちゃんは張り切ってる。

「ちゃんとした自己紹介は後でするけど、私はユーリ」と私は言ってから、チカちゃんのお友達を見た。「君の名前を教えて?」

 

「……アカネ、です。よろしくお願いします」

 アカネちゃんは長い髪を1本の三つ編みにして背中に垂らしてる。

「よろしく」と私は言った。

 

 歩きながら話すことにした。

 チカちゃんは結構ぐいぐい来る感じで、アカネちゃんはとても落ち着いた娘だった。

 部室棟にはすぐに着く。

 

「ここでスリッパに履き替えて、靴は下駄箱に入れたら良いよ」

「はい。部室棟って来るの初めてです」とチカちゃんは言った。

「そうだろうね。授業じゃ使わないし」と答えた。

 

 ペタペタと音を立てて廊下を進み、部室のドアを開けた。

 中を覗くとアイちゃんたちが椅子に座ってお喋りしてるのが見えた。初見の娘が1人居るので、きっと2年生の娘だろう。

 

「おいで」と私は1年生の2人に呼び掛けた。

「お、お邪魔します!」とチカちゃんが言って2人は入ってきた。

 

 部室の中は山内先生を含めて9人の女子という、なかなかの大所帯となった。

 長机1つでは足りなくなってしまった。お誕生日席を駆使しながらなんとか座れるようにする。私はアイちゃんとくっついて座り、無理やり9人が座れるようにした。人前でこんなにくっつく事は少ないのでちょっとドキドキした。

 

「揃いましたね。顧問の山内です。狭いですが今日は我慢してください。追加の机を用意しておきます」と山内先生が言った。

 

 先生の司会で自己紹介を進めた。まず3年生が適当な感じで紹介した。名前を言うだけなので10秒で終わった。

 

「2年の山本セッカと申します。雪の花と書いてセッカです。見せて頂いたカードのイラストが綺麗で興味を持ちました。漫研との掛け持ちですが、活動日は被っていないので毎回参加できると思います。よろしくお願いします」

 

 そう言うとセッカちゃんは微笑んで会釈した。めっちゃ上品でお嬢様っぽい。

 

「どんなカード見せたんですか?」私は気になったので先生に聞いた。

「カラデシュの《島》ですよ」と言って先生はカードを出して見せてくれた。

 

 水平線と光を反射する海、吸い込まれそうな空と雲、奥行きのある構図、手前に描かれた芝生と花畑が可愛い。

 

「確かに綺麗だ。なるほどなー」と私は言った。

 他の娘にも見て欲しかったのでカードを隣のアヤメちゃんに渡した。

 

「漫研って事は絵が上手なんだよね? 勧誘ポスターの絵を描いて欲しかったよ」と私は冗談を言った。

「先輩、タイムパラドックスが起きてませんか?」と言ってセッカちゃんは笑った。

 

 アカネちゃんとチカちゃんの自己紹介も問題なく終わった。

 

「さあ、早速マジックをプレイしてもらいましょう。先輩達が用意してくれた5種類のウェルカム・デッキです。好きな色のデッキを手にとって下さい」と先生がウキウキしながら言った。

 

 後輩にマジックを教えながら、初めてプレイした時の事を思い出してた。

 アイちゃんの家に初めて行って、マジックを教えてもらって、めっちゃ面白かった。

 

「……鈴木先輩、このゲームすごく、面白い」とアカネちゃんが言った。

 

「マジックの世界にようこそ」と私は言った。「貴女はプレインズウォーカー」

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