【完結】私はプレインズウォーカー。   作:デーテ

7 / 34
7.お洒落をしたら逢いたくなった

 夏休みに入った。アイちゃんとマジックをしたり、一緒に買い物に行ったり、並んで宿題をしたりして過ごした。

 お盆になり、アイちゃん一家は田舎へと帰ってしまった。

 

 自室でデッキを独りで回したり、宿題を仕上げたりして過ごした。静かな部屋で、アイちゃんが居ないのがすごく不思議だった。

 よく考えてみると、初めてアイちゃんの部屋に行ってから今日までで、アイちゃんと会わない日がほとんど無かった。平日は毎日学校で会い、土曜日は朝から一緒で、日曜日もなんやかんやで一緒の事が多い。

 

 まあ、居ないのは仕方ない。そういう時もある。

 適当に外でもブラついてみようと思い、クローゼットを開けた。

 

 

 ガチャリとドアを開けると、夏の光が強く射し、蝉の鳴き声が押し寄せた。うっ、と躊躇したけど、気合いを入れ直して外へ踏み出した。帽子のつばに手をやり、キュッと被りなおす。

 

 今日は服を買いに行くぞ、という断固たる決意が私の脚を動かしている。

 新しい服がクローゼットの中に全然無かった。ちょっとはあったけど、ちょっとしか無かった。

 スカートが欲しい。ちょっとウェスト高めの、脚を長く見せれるやつ。長い脚を見せるんじゃなくて、脚を長いと錯覚させるやつ。

 脚が短いわけでは無い。無いが、長く思われるぶんには困らないわけだ。

 

 電車に乗り、冷房の偉大さに思いを馳せ、街に着いた。

 いつも行くお店を何軒か周る。服屋のお姉さんがめっちゃ可愛いスカートをはいてたので話しかけてアドバイスを貰う。マジでイケてるスカートを探して貰い、試着した。

 軽い生地でフワフワ揺れるのが楽しい。

 

 お姉さんが誉めまくってくれる。マジ可愛い、似合いすぎ、天下無双の可愛さ。

 

 誉められて嬉しくなったので買った。

 

 

 ちょっと疲れたので適当なカフェに入り、窓際の一人席に座った。甘くて冷たいラテにクリームを乗せてチョコのソースをかけたやつを飲む。

 窓の外を見る。いろんな人が歩いてる。可愛い服の人。格好良い服の人。モヒカンぽい髪型の人を見てラノワさんを連想した。

 沢山の人が通りすぎたけど、長い黒髪の綺麗な女の子はどこにも居なかった。

 

 この近くにカードショップがあるのを思い出した。アイちゃんがファイヤーズを探してくれたお店だ。特に買うものは無いけど、ついでだしちょっと眺めてみようと思った。

 

 カードショップに着き、ショーケースを見ながらウロウロしてるとスリーブコーナーに行き当たった。

 カードスリーブ。マジックのカードには、とても高価なものもある。カードに傷がつかないよう保護するために使われる。今使ってるデッキは、まあほとんどタダなのでスリーブに入れてはいない。

 いろいろ見ていると、絵柄の入ったスリーブを見つけた。アニメのキャラクターが描かれたのや、風景が描かれたのや、ちょっとエッチな絵もある。

 

 目に留まったスリーブを手に取る。それは水彩画のタッチで、華奢な女の子が描かれてる。背景は黄色い空と草むら。体のラインが出るくらい薄い生地の青いワンピースを着てて、腕の先っぽから葉っぱに変わって散ろうとしてる。長い黒髪をなびかせて、こちらを切れ長の目で見てる。

 綺麗だな、と思った。

 このスリーブにデッキを入れてマジックをするのは、きっと楽しい。

 

 

 家に帰って晩御飯を食べてお風呂に入った。

 クローゼットに買ったスカートを吊るす。可愛い。洗濯は明日にして今日は眺めてよう。

 スリーブにカードを入れる。めっちゃ可愛い。デッキの厚さが倍になった。

 これを見たら、アイちゃんはなんて言うかなぁ。可愛いって言ってくれるのかな。楽しみだな。

 

「……逢いたいなぁ」

 

 その時スマホが鳴って、私はそれがアイちゃんからだと直感した。

 アイちゃんの顔を頭に浮かべながら、私はスマホに手を伸ばした。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。