アーランドの錬金術士 一から学ぶ錬金術   作:アリス大好き

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錬金術って何

皆さんは転生という言葉をご存じだろうか。

 

仏教において解脱するまでは、永遠と生命のサイクルを繰り返すことを指す用語である。

結論から言えば今まさに私はその経験をしている。

 

私が新たに生まれた世界は中世ヨーロッパのような時代であった。とはいえあちらこちらに機械文明の痕跡が残っていたりと全てがそのままではなかったが。詳しく調べたわけではないが、前の文明は滅ぶか、衰退してしまったのだろう。

 

私はアーランド王国の外れにある寒村で生まれた。両親と二人の弟の五人家族で、忙しい両親に代わって弟たちの面倒を看たり、家畜の世話などをしていた。その生活自体には特に困ることはなかったが、一つだけ不満があるとするならば、娯楽になりそうなものがまるで無いことだろう。

 

基本的に何もないところである。紙は貴重品だし、本自体がほとんど無い。たまに来る行商人も需要が無いからか最低限の必要物資ぐらいしか積んでこないのだ。

 

知識とは魔物である。当たり前に学べた前世ではそこまで本に執着は無かったが、いざ無くなると何が何でも本が読みたい、新しい知識を得たいと思うようになった。

 

だからこそたまたま行商に紛れ込んでいたそれを見つけたときは、そこまで潤沢ではない財布をひっくり返して、衝動的に買ってしまったのも仕方のないことである。

 

「ふふーん、錬金術かー、どんな内容なんだろう。」

 

その本の名は初等錬金術概論といった。執筆者は書いておらず、表紙の革も擦り切れ、中の紙も黄色くやけてきている。しかしそのタイトルだけはしっかりと残っていた。

 

だがそんなことは私の中では気にすることではない。これは唯一の娯楽である。

 

擦り切れるほど読んで血肉に出来る知識、錬金術という聞きなれない学問を前に、転生してから一度も浮かべたことがないほどの満面の笑みを私は作っていた。

 

今までの生活が変わるわけでもないので、実のところこの本を読む時間はそこまで多く取れない。

暗く成れば眠り、明るく成れば起きるというサイクルは私がこの本を読む時間を容赦なく削ってきた。

 

「錬金術とは、素材と素材を反応させて新たな物質を作る技術です。」

 

「大きな釜で素材を適切な手順で入れ、魔力を込めながらかき混ぜることで素材同士を結合、あるいは変質させ別の物質へと変換します。ふむふむ。」

 

「とりあえず、釜と杖が必要ね。」

 

序文で一度閉じた内容では、入用のものが意外と多かった。特に錬金術の基本となる中和剤は容器がないと置いておくところがないのであらかじめ用意する必要があり。細かい作業をやるのであれば乳鉢や素材を刻むためのナイフなども必要になりそうである。

 

「使ってない釜や混ぜ棒ならあるし、容器もコップか何かを代用すればいけるでしょ。」

 

そういうと素材を調達しに村で管理している畑に向かった。

 

「ロジックスさん、こんにちは。」

 

「バーバラちゃん、こんにちは。今日は弟たちの相手はいいのかい。」

 

「あの子たちなら、ほかの子たちと一緒に遊んでいますよ。」

 

「しかし珍しいね。バーバラちゃんがこの畑に来るなんて。」

 

「そのことなんですが、今ちょっと試したいことがあって、トーンを集めているんですよ。なので畑の草むしりを手伝う代わりに、むしったトーンをもらえないかなと思って。」

 

「トーンに使い道は無いから別に構わないが、一人で草むしりする気かい。やるなら止めはしないが、無理しないようにね。」

 

「頑張りますよ。」

 

私は草むしりを始めた。中和剤の材料として載っていたトーンは別名魔法の草とも言い、錬金術では比較的ポピュラーな素材らしい。念のため根まで抜き取ったものと、根の上で切り取ったものを分けておき、完成品に違いが出るかの判断材料にする。

 

根が必要ないなら植生に気を付ける必要が減るし、素材の栽培が楽になるからだ。

 

そうして一時間ほど草むしりをするとまとまった量のトーンが確保できた。

 

ロジックスさんに二か所ほど草むしりを終えたことを伝えると、トーンを家に持って帰った。

 

 

 

 

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