転生したらカップルになりました!……私じゃなくて装者たちが 作:神咲胡桃
好評なら、この先もこれくらいやろうかなと思います。
それではキャロエル視点、どうぞ。
「なぁ、凛菜……」
「ん?どうかしたの?」
「お前は……後悔したことはあるか?あの時の……」
「ない」
「ふん。オレに無理やりキスをしたのだから、当たり前か」
「うぐっ。そのことはもう散々謝ったじゃん」
「ふふ……冗談だ」
幼き錬金術師は回想する。己が運命が変わる日を。
《キャロルサイド》
「ん、んん……」
カーテンの隙間から覗く朝日が、オレの顔を照らし眠りから目を覚まさせる。
気だるげな体を何とか起こし、両手を上げて背伸びする。
「……もう朝か…ふわぁぁ……」
「ううん……」
そこには幸せそうな笑みを浮かべて、未だに寝ているオレと瓜二つな少女。
「おい、エルフナイン。そろそろ起きろ」
「うう~…キャロルが、キスしてくれたら起きます」
「置いていくぞ」
「むぅ。キャロルはいじわr「んっ」んんッ!?」
隣で寝ていた少女―――エルフナインの朝っぱらからうるさい口を、オレの口でふさぐ。
ふん。これで文句はないのだろう?
「んっ♪んむっ……ぷはっ。キャロル♪チュッ…チュル…ハム……」
「ンチュッ!?…ンン……んむぅ!?………い……いい加減にせんかぁ!?」
「うわわっ!?」
素直に起きるかと思っていたら、今度はエルフナインからオレにキスをしてきた。しかも今度はいわゆるディープなやつで。
明らかに調子に乗っているエルフナインを、思いっきり突き飛ばす。
オレたちが使っているベッドは2人用もあって、大きさはそれなりにあるから、エルフナインもベッドから落ちることはなく、潰れたカエルの様な体勢でベッドに転がった。
「調子に乗るんじゃない!」
「うう~ひどいですよキャロル」
「知るか!」
エルフナインの文句を黙らして、
エルフナインも渋々といった感じに、自分の衣服等を身に着けていく。
衣服の冷たさが、火照っていたオレの肌を少しずつ冷やしていく。
………この光景も、すでに慣れたものだ。
エルフナインとこういう関係になってからというもの、徹夜の作業がなければ基本はこうしている。
朝食の前にシャワーを浴びなければ。
まあ、十中八九エルフナインが手を出してくるだろうが……。
なんで
「キャロル、シャワーに行きますよね?一緒に行きましょう!」
「……ああ、そうだな」
エルフナインはこんなに活発だとは記憶していなかったぞ。だが、嫌というわけではない。むしろ幸せだ。
そして、この幸せは他でもない
◇◇◇
時は魔法少女事変解決の直後まで遡る。
オレは装者たちとの決戦に負け、立花響が身を挺してオレを庇ったことで、オレは一命を取り留めた。
しかし、気づけばどことも知らぬ場所で、周りに装者たちもいなかった。
さらにオレは先の決戦で、錬金術の行使にほとんどの記憶を焼却したことで、廃人同様の存在だった。
そのせいで、己が誰なのかすらも分からず、破壊され尽くしていた町を歩いた。
服はボロボロ、靴もなくなっており素足のまま。そしてなぜか、悲しい(この時はその感情の名前すら焼却していた)という感情が込み上げてきた。
そうやって意味もなく歩いていた時、オレの目の前に1人の女性が現れた。
「いた!キャロルちゃん、探したよ!」
「……お前は、だれだ?オレを、知って、いるのか?」
「ッ!?……そうか、記憶を償却したせいで……仕方ない。先に謝っとくよ。ごめん!んっ!」
「なにを…んッ!」
目の前に現れた女性は、急に謝るとオレにキスをした。
その瞬間、オレの頭にいろんな記憶が
オレの名前、目的、これまで何があったのか。
この時のキスの感触は、今でもはっきり思い出せる。
とても甘美なものだったと記憶している。
キャロル・マールス・ディーンハイム。錬金術師。万象黙示録。そして、奇跡の殺戮者。
急に記憶が流れ込んできたためか混乱していたオレに、女性―――百合白凛菜は詰め寄ってきた。
「はぁ…はぁ…。記憶を取られるってのは、やっぱ慣れないな。とりあえず私の記憶だけど、この状況のことは分かったはず。どう?」
「………あ、ああ。思い出した、っていうのはおかしいだろうがな。それで、お前の目的はなんだ」
「エルフナインちゃんが瀕死の重傷を負ってる。確か貴女は、自分の身体を複製してそれに記憶を移してきたんだよね?お願い。エルフナインちゃんを助けてほしい!」
「エルフナインが……だが、そのためにはシャトーの中にある予備筐体を持って来ないといけない。しかしシャトーは……」
「それでもかけるしかない。行くよ!」
「は?」
凛菜は私を抱えて、シャトーの崩壊した場所まで走って行った。所要時間、なんと10分。
それほど距離が離れていなかったのもあるだろうが、それでも軽く10キロはあったはずだぞ!?
「ここだ。でも、本当に予備筐体がある…というより残っているの?」
その疑問はもっともだった。なんせ、シャトーはほぼ原形を留めておらず、完全に崩壊していたからな。
「この状態では……無事な予備筐体は残っていないだろう」
「それでも、やるしかない」
そう言って凛菜はあたりを探し始める。
はっきり言って無謀だ。あたりは一面瓦礫だらけ、万が一見つかったとしても無事かどうかも分からない。
「なんで、そこまでするんだ。お前にとっては他人だろう」
「他人じゃないよ。今は仲間だ」
「仲間……(こいつからもらった記憶にあるオートスコアラーというやつら……仲間という言葉を聞くと何故かこいつらが頭に浮かぶ)「あったッ!!」何ッ!?」
凛菜の声に驚いて近寄って見てみれば、そこには確かに比較的損傷の少ない予備筐体が転がっていた。
これならば、確かにエルフナインを救えるだろう。
「それじゃあ、急いでエルフナインちゃんの所に行くよ!」
「は?いやお前あああ!?」
その後、予備筐体とオレを抱えてエルフナインがいるという病院に向かった。
病院の中で装者の連中とすれ違ったりもしたが、凛菜は構うことなくエルフナインのいる病室に入って行った。
「お願い!」
「……これも、オレの咎か」
「キャロル……?どう、して……」
「黙っていろ。すぐに記憶を転写させる」
「凛菜さん!今キャロルちゃんが「静かにしてッ!」ええッ!?」
こうしてオレはエルフナインの記憶を転写させ、エルフナインは無事一命を取り留めた。
その後、いろいろ一悶着あったがS.O.N.G.が尽力してくれたおかげで、オレはS.O.N.G.の外部協力研究員の立場に落ち着いた。
記憶の方も、後にエルフナインの持っていた記憶を中心に複製したことで、完全とはいかないがある程度戻ってきた。
ただ、凛菜がオレに渡した記憶も完全に戻っておらず、それだけが心残りだった。
だが、なぜあいつらがオレを庇ってくれたのか、それが分からなかった。
装者たちや風鳴弦十郎といった者たちに聞いてみても、その全員が「凛菜さん(くん)が信用してるから」と言うのだ。
当時は本当に困惑したものだ。今となっては笑いものだが。
◇◇◇
「………フフ」
「どうしたんですか?キャロル?……ん」
「ん…ちゅ。いいや。なんでもない。それより、今日の予定だが……」
錬金術師として装者たちと戦ったのも今は昔。
今は立場上エルフナインの助手と働いているが、辛いと思ったことは一度もない。
そしてオレは、オレの手を繋いでくれた装者たち―――そして特にあいつには、恩をしっかりと返すつもりでいる。
それは科学者としてもそうだし、あいつが望むならどこまでだって
きっとエルフナインも同じだろう。聞いたわけじゃないがな。
だが、オレだからこそ分かる。
そうだ。オレたちの心はもうあいつの物だ。
「失礼しまーす。キャロルちゃんいるー?」
噂をすればなんとやら。
あいつと会えると思っただけで、オレの心は燃えるように熱くなる。
ああ、オレはやはり、凛菜のことが大好きだ。
《キャロルサイド END》
「凛菜さん、キャロルから聞きました。僕を助けるために、キャロルに記憶を渡したって!」
「別に後悔してるわけじゃないし、謝んなくていいよ?」
「でも!」
「はいはい。あなたもキャロルも助かった。それでいいじゃない?だから、もしそれでも納得がいかないんだったら、その時は新しい思い出を一緒に作ってくれる?」
「は、はい!」
後悔を抱えし少女の懺悔は、今許される。
《エルフナインサイド》
僕は今、大量の資料を抱えて研究室までの廊下を歩いてます。
「まさかここまで多かったなんて…やっぱりキャロルにも手伝ってもらうべきでした」
資料の山のせいでろくに前が見えませんが、ぶつからないように慎重に歩きます。
ですが、突然僕は躓いてしまいました。何もないところで。
後から考えてみても、確かにあそこには何もありませんでした。
既にボクの両腕が限界に近かったのも相まって、その拍子に資料をぶちまけてしまいそうになりました。
「ッ!……あれ?」
「大丈夫?エルフナインちゃん」
ギュッと目を瞑り、来るであろう痛みを覚悟しましたが、硬い廊下とぶつかる感触は全く来ず、代わりに何かに抱きとめられたような優しい感触が来ました。
恐る恐る目を開けてみると、目の前にはスーツに身を包んだボクの憧れで好意を寄せている人―――百合白凛菜さんがいました。
「おーい?大丈夫?」
「……(か、顔ちかッ!?)ふぁ!?だ、だだだだいじょうぶでしゅ!?」
ポーッと凛菜さんに見とれていると、気づけばボクの顔のすぐ近くに、凛菜さんの綺麗な顔がありました。
何だか急に恥ずかしくなって急いで離れましたけど、凛菜さんの温もりが離れちゃってちょっとだけ残念に思いました。
「気をつけなきゃだめだよ?これ、研究室まで持っていくのでいいかな?」
そういう凛菜さんの片手には、ボクがさっきまで持っていた資料の山がありました。
「そ、そうですけど……」
「そっか。じゃあ、行こっか?」
「ふぇ!?さ、さすがにそれは悪いですよ!」
「う~ん。でも、遠目から見ても大変そうだったし、またこけそうになっちゃうといけないし」
「うう……」
結局凛菜さんに押し切られ、ボクは凛菜さんと一緒に研究室に向かうことになりました。
チラリと隣を歩いている凛菜さんの顔を窺います。
「(うあ、やっぱりきれいです。うう……こうしているだけでも、ドキドキが止まりません。すごくきれいで、かっこよくて、僕とキャロルの…命の恩人)」
緊張しながら歩いていると、ボクとキャロルの研究室に到着しました。
「どうぞ、入ってください」
「うん。……あれ?キャロルちゃんは?」
「どうやら、急な用事が入ったみたいですね。あ、凛菜さん、今お茶入れますね」
「別にいいのに……」
「手伝ってもらったお礼です」
ボクはいつものようにお茶を淹れてお茶菓子も一緒に出します。
キャロルと研究してる時にお茶に入れるのは基本ボクなので、やってる内に慣れちゃいました。
ボクの方が立場上上司なんですけど、ボクとキャロルの間にはそういう壁を作りたくないです。
……それに、キャロルに尽くしてるみたいでちょっぴり…その……嬉しくなっちゃいます。
「ふぅ……おいし~」
「良かった……」
「うん……それで、あの、どうしたの?」
凛菜さんが困惑したように聞いてきます。
今のボクは、凛菜さんの隣の席に座って抱き着いてます。
「凛菜さんにこうしてると、とっても落ち着くんです」
「う~ん。そんなもんなのかな?よしよし」
「あ……ふゃぁ……!」
ああ……凛菜さんのナデナデ、すごく気持ちいです。蕩けちゃいますよぉ……。
凛菜さん…凛菜さん凛菜さん……ああ、好き、大好きです。
凛菜さんのおかげで、ボクとキャロルはこうして生きてます。だから、ボクは凛菜さんに全てを捧げます。
きっとキャロルもボクと同じ気持ちのはずです。
ボクだからこそ分かるキャロルの気持ちです。
「凛菜さぁん……!」
「うわわっ!?なんか積極的だね……」
「だめ、ですか?」
「うっ…そんなことないよ!おいで!」
上目づかいでお願いしたら、凛菜さんが両手を広げて許可してくれました。
やっぱり凛菜さんは押しに弱いですね。
本当ならキスまでしたいですが、それはキャロルもいるときじゃないといけません。
ボクとキャロルはそういう関係ですが、お互いに凛菜さんに好意を寄せている者同士です。
だから、キスとかそういった行為の時は、絶対に2人がいる時です。
これはボク達の間での暗黙の了解なんです。
でもぉ……。
「凛菜さん」
「うん?どうしたの?エルフナインちゃ―――」
「―――ちゅ」
「………へ?」
頬にキスするぐらいは、良いですよね?
「な、ななななな……!?」
「どうしたんですか?凛菜さん」
「あ、あの純真無垢だったエルフナインちゃんが……こんな小悪魔になっちゃった……いやまあ、良いっちゃいいけどぉ……」
ふふ……ボクをこんなにしたのは凛菜さんですよ?
だから、絶対に逃がしませんからね♪?
ボクのキスに凛菜さんは顔を真っ赤にして何か言っていましたが、もう一回抱き着いて上目づかいでお願いしたら、最終的には許してくれました。
せっかくですから、今の内に甘えるだけ甘えましょう。
凛菜さん、ボクの心は貴女に夢中です。
《エルフナインサイド END》
「ン……チュッ。キャロルぅ……」
「ん……どうしたエルフナイン。今日は一段と、激しいな……んんっ!」
「こんな風にしたのはキャロルですよ?ボクはキャロルのものだって、いっぱい教え込まれちゃったんですから……あむ、チュゥ……」
「あ、おい、そこは……ンンー!?」
「すぅ…すぅ…すぅ……」
「無防備なキャロルの寝顔、可愛いですね……ふふ…いずれはここに凛菜さんも……ふふふふ……キャロル、愛してますよ。ん……ちゅ」
「んんぅ……エルフナイン……」
「むにゃ……」
「……………まったく、エルフナインは。まさかオレが寝るたびにこんなことしてるのか?こっぱずかしいやつめ。たまにはお返ししてやるか……ちゅ…あむ……ンチュ」
「あん…キャロルぅ……」
「フフ……計画通りですね♪」
キャロルちゃんは意外と恋には乙女思考。好きなった人には従順。
エルフナインちゃんは恋には策士タイプ。それと好きな人には小悪魔的な対応をするが、普通に尽くすのが好き。
キャロルちゃんとエルフナインちゃんを応援したい人はお気に入り登録と高評価を!
他のカップルを応援したい人もお気に入り登録と高評価を!
凛菜さん一口メモ
凛菜さんは押しに弱い。
お酒を初めて飲んだ時も、先輩である藤尭朔也に進められて(本人曰く悪意はなかったらしい)結局断れなかった。
因みにその後、何故か朔也は司令直々に怒られたらしいが凛菜さんは理由を知らない。しいて言えば、何故かお酒を飲んだ時の記憶がない。
そして凛菜さんは、装者の皆からいつでも甘えてほしいと言われるようになった。