転生したらカップルになりました!……私じゃなくて装者たちが 作:神咲胡桃
今回は残っている装者と、凛菜さんの強さの一端をお見せしましょう!
それでは、どうぞ。
剣とは自分にとって何かと問われれば、間違いなく『力』と答えるだろう――――
《過去》
この世界に転生した直後にノイズに襲われ、2課に保護された私は、何故か2課の預かりとなり、生活していくことになった。
私を転生させてくれた女神さまが言うには、私の過去は適当にでっち上げておいたらしいのだが……。
ふと気になった私は記憶喪失の体を取り、司令の風鳴弦十郎さんに聞いてみたのだ。
ただ、彼は顔を背け何も言わなかった。
それは他の人に聞いても同じだった。ある人は司令と同じように顔を背け、また、ある人は話をごまかし、ある人は唐突に私を抱きしめてきた。女性だったから良かったけど、男性だったら思いっきり股間を蹴り上げてたわ。
しかし、女神さまはどんな過去にしたんだろうね?
《過去 終わり》
《現在》
どーもどーも!凛菜さんですよーっと。
今は忙しいので挨拶は控えめだよー。え?忙しいのかって?それはね……。
「セヤアアッ!」
「フッ!」
私の振り上げた刀と、翼ちゃんが振り下ろした刀がぶつかり、甲高い音とともに火花を散らした。
つばぜり合いの形になったためか、翼ちゃんは私を押し込もうと力を込める。だけど、私はつき合うつもりはないので即座に刀を引く。
今私がしているのは、定期的に行っている装者たち数人との鍛錬だ。
1人は翼ちゃん。そしてもう一人は……。
「よっと」
「なッ!?」
「もらった!」
「やらせないわよ!」
前によろめいた翼ちゃんの背後を取り、刀を振り下ろそうとした瞬間、気配を察知した後ろに跳ぶ。
その一瞬後に、私が立っていた場所に短剣が飛んできた。
「助かった、マリア」
「どういたしまして。それにしても、やっぱり強いわね」
「ああ、油断せずに行くぞ!」
それから、もうしばらく打ち込んだ私たちは、鍛練を終えることにした。
「ふ~」
「ありがとうございました。凛菜さん」
「どういたしまして。さて、それじゃあ、反省会ね。まずは翼ちゃん!」
「は、はい」
私の名ざしに、翼ちゃんは表情を硬くする。そんなに緊張しなくてもいいのになぁ。
それでも可愛い顔なのだから、本当に美人さんだと思う。
まあ、言う事は言うんだけどね。
「翼ちゃんは良くも悪くも、戦い方が硬いね。極めた型で振るう剣は大きな戦力になるけど、はっきり言って貴女たちが戦うのは、常識の通用しない敵が多い。だから、もう少し柔らかい戦い方を考えてみると良いんじゃないかな」
「柔らかい、ですか」
「そうそう、例えば翼ちゃんが使ってる影縫いって技あるでしょ。あれとか、使い方によっては絶大な力になるよ」
はっきり言って、影に短刀打ち込んで動きとめられるってのは、不可解だが強すぎる。
これを刀や他の物でも…もっと言えば、体の一部でもできるようになれば、いつでも不意を突くことだってできるはずだ。
いつでも相手の動きを止められるのは、戦いにおいて強大なアドバンテージになる。
それを翼ちゃんに伝えると、彼女は胸の前で両手を握りやる気満々で言う。
「……ならば、緒川さんにもっと稽古をつけてもらえ、という事ですね!?」
「いや、別に忍術じゃなくてもいいんだけど……とりあえず、これは次までの宿題ね」
「あう……」
いきなり声を大きくしてどうしたんだろう…?やっぱりやる気があるのかな……?
でも忍術ってどっちかっていうと、真正面じゃ使いにくいんだよなぁ。やっぱり奇襲に使う方が一番だ。実際に緒川さんから忍術を学んだことがあるから、それをよく知ってる。
翼ちゃんの戦い方だと、忍術よりは剣の腕を磨いた方が良いだろう。
「次はマリアちゃんね」
「ええ。どうだったかしら?」
私の言葉に頷いたピンク髪の女性は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。
彼女も装者の1人で、装者の中では最年長である。使用するシンフォギアは「アガートラーム」。
調ちゃんと切歌ちゃんたちの保護者的な存在で、お母さんと呼べる包容力を持っている。だから切歌ちゃんや調ちゃんはもちろん、他の装者の娘たちにも慕われている。
あと、胸が大きい。切歌ちゃんよりも大きい。私よりも年下なのに……。
ちなみに私は、マリアちゃんと翼ちゃんは怪しいと思ってる。怪しいといっても、こう、つき合ってるっぽい感じがするっていうのだけど。
でもまあ、この2人って何かといいコンビだしなぁ。一応年長組同士、気は合うらしいし。
っと、話を戻そうか。
「マリアちゃんは、遠近の使い分けを増やしてみよっか。貴女のアームドギアは応用が利くから、どちらにも対応できる」
アガートラームのアームドギアは「戦乙女の剣」という物。短剣やロングソードになったりと便利な物だ。
彼女は短剣を主に使っている。しかも大量に作り出せる。こんな便利な物を使わない手はない。
「短剣の遠隔操作。これを出来るようになれば、圧倒的なアドバンテージが取れる。それと遠距離では短剣の投擲術、そして接近戦では振るう速度をもっと上げることと、それに伴う五感を鍛えてね」
「中々に多いわね……」
「それだけ応用が利くんだよ。まあ、翼ちゃんみたいに抽象的じゃないしね」
後は幾らか助言をして、反省会は終わった。
飲み物でのどを潤していると、翼ちゃんが声をかけてきた。
「それにしても、やはりすごいですね。さすが
「むむっ!翼ちゃん、それは私をからかっているのかな?……この剣、可愛くない……!」
言 え た(歓喜)
最後の言葉は、マリアちゃんが翼ちゃんに言った言葉だ。
前々から言ってみたいと思っていたのだけど、いざ言えるタイミングになると、中々思い出さないんだよね。
というか、
前に検挙したテロリストが言ったのを、装者の皆が聞いて以来、たまにこの言葉を言うようになったけど、やっぱり恥ずかしいよぉ…。
ってあれ?翼ちゃん、俯いて一体どうした―――
「可愛く…ない……可愛く、ない……」
「うわあああ!?ごめんごめんごめん!可愛くないわけじゃないから!翼ちゃんとっても可愛いから!!」
そうだよね!?好きじゃない人に言われても嫌なだけだよね!?ホントごめんねーーー!?
「うう……マリアァ……」
「ほら、よしよし。…まったくもう。何をやってるのよ」
「ほんとすいません……」
落ち込んでしまった翼ちゃんの頭を撫でて慰めるマリアさんに怒られながら、私は項垂れていた。
というか、マリアちゃんはホントにママだよ。お母さんオーラが出ちゃってるよ。私より年下なのに、なんか逆らえないよ。
「ごめんね、翼ちゃん。お詫びに何でもするから……」
「………本当ですか?」
「う……私ができる範囲でなら」
私がそう言うと、翼ちゃんは正座させられている私の前に屈んだ。
拗ねている可愛らしい顔が、いつものような凛々しさとのギャップを生み出している。
「じゃあ、また今度お出かけにつき合ってください。それで許してあげます」
「え……?そんなので良いの?」
「はい」
「じゃあ、それで……」
「約束ですよ?」
翼ちゃんは先ほどまでの拗ねた顔を解き、花が咲いたように笑顔を浮かべた。
私は、翼ちゃんが滅多に見せないその笑顔に、思わず見惚れてしまった。
いけないいけない。これ以上翼ちゃんに変な思いを抱いちゃうのはまずい。
翼ちゃんには、マリアちゃんがいるんだから。
私は、そそくさとトレーニングルームを出ようとした時、マリアちゃんに呼び止められた。
「それじゃ、後はしっかりと体を休めておくこと!解散!」
「あら?凛菜さんはシャワー浴びていかないの?」
「………いや、私一回家帰ってからまた来なきゃいけないから。その時にシャワー浴びるよ」
翼ちゃんやマリアちゃんと一緒にシャワーなんて、無理無理。2人のプロポーションはモデルなんて目じゃないほどだから、そんな2人とシャワーなんてメンタル耐えられません。
というわけで、そそくさと退散した私は、言った通り家に帰ろうとする。
2人に言ったのも、嘘ではないからね。
その時、艦内にけたたましいサイレンが鳴り響いた。
『アルカノイズの反応を観測!今よりこの艦は、発生区域に向けて移動します!』
「まーじで?」
どうやらもう一波乱ありそうだな……。
◇◇◇
シャワー室に向かっていた翼とマリアはアナウンスを聞き、急いで司令室に向かった。
「司令!」
「来たか!現在アルカノイズは、街で破壊活動を行っている。現状待機している装者は翼とマリアくんだけだ!」
「分かったわ!私たちで対応する!」
「緒川に他の装者たちを迎えに行かせている。君たちは先行してアルカノイズを倒して、被害を防いでくれ!」
「「了解!」」
2人はすぐにヘリの格納庫に向かい、用意されたヘリに乗り込む。
そこにはすでに乗っていた凛菜がいた。
「「凛菜さん!?」」
「やっほ~2人とも。とりあえず乗って乗って」
凛菜に言われるままに2人が乗り込むと、ハッチが開きヘリが飛び立った。
◇◇◇
「この騒ぎを起こしたのは、前々から追っていたはぐれ錬金術師」
私は首謀者についての資料を2人に渡す。
「
「とはいえ、まさか白昼堂々と暴れまわるとはな」
「翼ちゃんたちはアルカノイズの殲滅を、私はその錬金術師の確保が任務なの」
「なるほど、それで凛菜さんがいるのね」
「しかし、やはり錬金術師の相手は……」
翼ちゃんは、未だに私が戦いに出ていることを納得していないらしい。
彼女だけじゃない。他の装者の娘たちも心の中では、私が戦うことに納得していなかったりするのだろう。
まあ、何で私も自分が戦いに出ているのか不思議に思ってはいるけど、この得物とS.O.N.G.の皆に鍛えられたおかげで戦えるし、
「翼ちゃん、気持ちは分かるけどさ。せめて、私に
「むぅ……」
翼ちゃんには悪いけど、私はこの仕事を気に入ってるし、何より貴女たちだけにすべてを押しつけて任せっぱなしにしたくないの。
前世で貴女たちのことを知って、そして今世で貴女たちと直で触れ合って、本当の意味で貴女たちを知った。
だから、私も戦うんだよ。
「もうすぐ到着します!降下の準備を!」
「分かりました」
「そういうわけだから、そっちは頼むよ」
「ええ、貴女も気をつけなさいよ!」
「何かあったら許しませんよ!」
ヘリのドアを開け、翼ちゃんとマリアちゃんが飛び出した。
「
「Seilien coffin airget-lamh tron」
それぞれシンフォギアを纏い、下に広がるアルカノイズに向かって落ちていく。
普通の人間なら助かりっこないけど、彼女たちはシンフォギアを纏ってる。
アルカノイズがいると言っても、彼女たちなら大丈夫だろう。
「さて、私もお仕事開始だ」
私も彼女たちの様にヘリから飛び降りる。
さすがに私が地面に降りるのは厳しいので、近くのビルに降り立つ。
「さてと、錬金術師はっと……あそこか」
周りを見渡すと、一部分だけアルカノイズの数が多い場所がある。
おそらく、そこに錬金術師がいるのだろう。
「さあ、いこうか……フッ!」
ビルからビルを飛び移り、錬金術師がいるであろうビルの手前まで到着する。
おっと、屋上にはすでにアルカノイズが敷き詰められてるね~。
ご丁寧にこのビルの屋上だけに配置しちゃって。自分から教えてるようなもんだよ。私としては助かるけどね。
このまま突っ込めば、分解待ったなしだけど……私には関係ないね。
気持ちのスイッチを、完全に切り替える。
「行くよ……”
……さあ………暴れようか、地獄の果てまで。
◇◇◇
その部屋で、男は笑っていた。しかしその目は血走っており、正気でないのは明らかだった。
「フ、ハハハ……もう終わりだ……だったら、いっそのことぉ、この街を道連れにぃ……」
男がそう呟いた瞬間、天井が破壊され1つの人影が降りてきた。
「なんだ!?天井から……!屋上にはアルカノイズを配置しておいたはずだぞ!?」
「あなたがこの騒ぎを起こした人か。S.O.N.G.だ。大人しくお縄につけ…って言ってつくわけないか」
一振りの刀を携え、呑気そうに話すのは、S.O.N.G.のエージェント百合白凛菜。
そして凛菜の姿を見た錬金術師は急に怯えだし、後ずさりをし始める。
「き、貴様が
錬金術師は大量の鉱石をばらまき、アルカノイズを凛菜の周囲に召喚する。
凛菜は特に何を言うわけでも思うわけでもなく、腰の刀の柄に手をかける。
「やれえええ!」
錬金術師の号令に、アルカノイズが一斉に凛菜に飛びかかり――――
「……
「……………は?」
―――緋色の斬撃によって、その全てが切り裂かれた。
「―――
◇◇◇
錬金術師をつかまえた私は、司令部に任務完了の報告をしていた。
足元には、グルグル巻きにされ気絶している錬金術師が転がっていた。
「こちらハウンド。錬金術師の確保、完了しました」
『了解した。翼とマリアくんの方も完了しているとのことだ。帰投してくれ』
「了解です」
通信を切り、う~んと背伸びをする。
すると、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた。
「凛菜さーん!」
「ん?おお!翼ちゃーん!マリアちゃーん!」
「凛菜さん、御無事で何よりです!」
「貴女たちも、無事なようで良かったよ」
「あ……頭……えへへ」
子犬のように駆け寄ってきた翼ちゃんを抱きしめ、頭を撫でてあげる。
緩んだ笑顔で私の手に頭を擦りつけてくる翼ちゃん。何この生き物可愛すぎ!
「………」
しばらく翼ちゃんの頭を撫でて和んでいると、マリアちゃんが複雑そうな顔をしていることに気付いた。
どうしたんだろ?
………………あ!?そう言えば、2人はつき合ってるかも疑惑があったんだった!
やっばこの状況で翼ちゃんを撫でてたら、そりゃマリアちゃんも複雑じゃん!
急いで、かつ怪しまれないように翼ちゃんを引きはがす。う……そんな悲しそうな眼をしないでくれ……。
そうこうしている内に他のエージェントもやってきたので、捕まえた錬金術師を彼らに頼み、私たちは本部に戻ることにする。
あー!今日は忙しかったなー!
後日、他の装者の娘たちに、何で自分たちが来るまで待たなかったのかと怒られた。解せぬ。
七の旧態って「漆」なの初めて知ったよ。
翼ちゃんが奏ちゃんとかに甘えるのって……すごく良いよね!という事で、この世界ではマリアちゃんに甘えてもらっています。
凛菜さん強すぎ!と思った人は高評価とお気に入り登録を!
凛菜さん一口メモ
凛菜さんの十華剣爛は、破壊力や素早さといったことの内、1つのことに特化させた十種の剣技のこと。
考案者は風鳴弦十郎で、何かのアクション映画に影響されたのか「せっかくなら、考えてみたらどうだ?」と言われ、それを真面目に受け取った凛菜さんが、編み出した。
名前は、テレビで放送されていたアクション映画をお酒を飲みながら見ている時に、パッと思いついたものを酒の勢いで決めたこと。
後日、本人は変えようとしたが、その名前と技が完全に頭の中で定着してしまったため、変えることができなくなった。
漆式 閃雷(せんらい)
素早さに特化させた剣技。その速さは雷の閃きのごとく、相手を刈り取る。
この肉眼で捉えることが困難な速さは、凛菜さんに「死神の遣い(ヘルサイズ)」の名が付けられる理由の一つとなった。
壱式 緋扇(ひせん)
射程に特化した剣技。居合切りから緋色の斬撃を飛ばす。
様々な応用が利き、他の剣技と組み合わせることも可能。
しかし技の性質上、必ず納刀してからの居合でないと使えない。
この小説の甘々度(砂糖基準にすると?←あんま気にしないでいいよ)
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砂糖が止まらないんだけど……
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ふ~ん。甘いじゃん
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おいどうした!もっと砂糖寄越せ!
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装者は元々砂糖溢れ出てるよね
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凛菜さん、もっと砂糖を恵んでくれ