転生したらカップルになりました!……私じゃなくて装者たちが 作:神咲胡桃
マリアさん側がちょっと消化不良ですけど……見逃して?
「風鳴訃堂……ッ!」
「刀を使う小娘がいると小耳にはさんだことがあったが……なるほど、貴様がそれか」
「ハッ……何度か刺客を差し向けておいてよく言うよ。大方、私を殺しそれを外国の仕業として、彼女たちの敵意を向けさせるつもりだったんでしょ」
「だからどうした。我が進む道、それこそが正義。貴様も国を守る者の端くれなら、国防の贄となれることは「うるさいジジィ」……なに?」
「私は私だ。故にお前の人形にはならないし、国程度の贄なるか馬鹿」
「凛菜さん……」
「もう大丈夫だよ、翼ちゃん。お姉さんに任せなさい」
彼女は誓った。己の夢も、自身の誇りさえも、目の前に立つ剣に捧げようと。
《翼サイド》
凛菜さんはどこに行ったのだろう?
私は凛菜さんを探して、S.O.N.G.の潜水艦の中を歩いていた。
せっかく今日は珍しく、復帰した歌手としての仕事もない日だというのに。
そう心の中で愚痴をこぼしていると、反対側からマリアがやってくるのが見えた。
「マリア」
「あら、翼じゃない。一体どうしたの?」
「ちょうどいいところに。凛菜さんを知らないか?」
「凛菜さん?」
私が凛菜さんの居場所を尋ねると、一瞬訝しげな顔をしたマリアはすぐに表情をにやにやとした笑顔に変え、私の頭を撫でてきた。
「むぅ、子ども扱いはやめてくれ」
私はすでに20歳を過ぎてるわけであって、すでに大人だ。
同性で年上だろうと、こうやって頭を撫でられるのは恥ずかしい。
とは言っても、マリアのなでなでは魔性の魔力を持っているのか、どうにも振り払う気にはなれない。
周囲に私たち以外はいないみたいなので、なでなでを堪能しているとふと、マリアが手を離す。
「話が脱線しちゃったわね。それで、凛菜さんの居場所だったわね?それなら、さっき見たわ。一緒に行きましょう」
「む、マリアも行くのか?」
「……別に取ったりするわけじゃないわよ」
「べ、別にそういう事を危惧してるわけじゃ……」
「ほら、行きましょう」
そういうと私の手を取り、マリアは歩き出す。
私はというと、いきなりマリアに手を繋がれたことで動けなくなってしまった。
………別にいつもそうなわけじゃない。マリアに手を取られただけで、動けない理由。それは私が、マリアに好意をよせているからだ。
彼女は私が甘えられる数少ない人物だ。
立花が来るまでは、剣として己を律していた。故に誰にも甘えることなく、私もそれを良しとしなかった。
だが立花が、雪音が、暁が、月読が、小日向が、他の大勢の人達が……マリアが私を変えてくれた。
私が自らの祖父に操られ、敵対してしまったとしても、彼女たちは私を救い出してくれた。
そしてシェム・ハを倒した後から、不思議とマリアのことが気になり始めた。
突然のことに戸惑った私は、マネージャーの緒川さんに相談してみたのだが、彼は曖昧な笑みを返すだけだった。
そして気づいた。この感情は奏―――今は亡き相棒と一緒にいた時に感じていた感情と同じだと。そこから、自分を納得させるのは速かった。
私はマリアを、1人の女性として好きなのだと。
だが、今の私にはもう一人、好意を持っている人がいる。
「着いたわ。ここにいるわよ」
「ここは……」
マリアが立ち止った場所は、凛菜さんの所属している実動課の部屋。
というか、ここにいるという事は仕事中なのでは?
躊躇う私をマリアは手を引っ張って、強引に中に入れる。
「お、おいマリア」
「ん?お疲れ様です」
「ええ、お疲れ様。凛菜さんはいるかしら?」
中に入るや敬礼して挨拶をしてきたのは、この実動課の課長。
マリアも慣れた手つきで挨拶を返す。私も慌てて挨拶する。
「ああ、彼女なら……」
「んん?マリアちゃん?それに翼ちゃんも。どったの?」
奥から出てきたのは、目当ての人物。
彼女のものと思わしきデスクの上には、いくつかの書類が乗っていた。
「……そろそろ良い時間だろう。百合白、先に休憩に入っていいぞ」
「ありがとうございます。というわけだから、話しなら外でしようよ」
「ええ、そうね」
そのまま外に出た私たちは、近くの休憩スペースに向かった。
「それで、どうしたの?」
「なんてことないわ。翼があなたに会いたがってたのよ」
「そうなの?」
「う……その…あの……」
凛菜さんに聞かれ、顔が赤くなるのを感じる。
なんとか「は、はい……」とだけ絞り出したが、それがより私の顔を赤く染め上げていく。
だって仕方ないだろう?目の前にいる凛菜さんは―――私が好意を寄せるもう一人の人物なのだから。
「それじゃ、私は用があるからもう行くわね?」
「えッ!?お、おいマリア!?」
マリアが立ち去ろうとするのを引き留めようとすると、肩をポンッと叩いて「頑張りなさいよ」と言われてしまい、何も言えなくなる。
「翼ちゃん?」
「は、はい!!」
「げ、元気だね……それで、会いたがってたって聞いたけど」
「そ、それは……その、今日はオフの日だったので、会えるかなと思って、その………えい!」
どうにも言葉が続かないので、思いっきり抱き着いてみる。……よくよく考えたら、とんでもないことしてないか私?
「す、すすすみません!わ、私は一体何を……」
「うーん……ほら、よしよし」
「あ……」
どうしようかと考えていたら、なぜか凛菜さんが頭を撫でてきた。
「いいよ~悩みがあるなら聞くよ~?」
こ、これは、絶妙に勘違いされている、のか……?
だけど、凛菜さんになでなでされるの嫌じゃないし…。
「翼ちゃんは抱え込み過ぎるところがあるし、あんま無茶しちゃだめだよ?」
その言葉に、私の心には針が刺さった…気がした。
時々、こうやって甘えていいのか疑問に感じることがある。
マリアたちはもちろん、凛菜さんにも迷惑をかけてしまった私が、こうやって甘えてもいいのかと思ってしまう。
天羽奏。彼女は情けなかった私の精神的支柱だった。彼女を失ってもう5年ほどか……?
奏に依存していたと言える私は、無意識に新たな依存先を求めた。
それが凛菜さんだった。
奏がいた頃から、何かと話すことがあった凛菜さんを依存先として選んだ。
ならばこの好意も、ただの依存ではないかと思ってしまうのだ。
「……ん?どうしたの?」
「いえ、その……もう大丈夫です」
一度考え始めると中々止まらない。
凛菜さんから離れようとした瞬間、凛菜さんに引き寄せられた。
「大丈夫なわけないでしょ。もう少しだけ甘えること」
「うう……でも」
「でも、じゃないの。これは私がしたいことなんだから」
「あ……」
凛菜さんの言葉に、私は昔のことを思い出した。
お爺様―――風鳴訃堂によって操られた私だったが、マリアたちの説得によって正気を取り戻した直後、お爺様は私を始末しようとしたが、間一髪のところで凛菜さんの救援が間に合った。
そして、凛菜さんとお爺様は戦った。その時のことだ―――。
『惜しいな……それほどの力があれば、貴様も護国の防人としてその役目を果たせるだろうに』
『…………だから?』
『チャンスをやろう。我につけば、貴様を護国の鬼として―――』
『興味ない』
『何ッ!?』
『国だとか、防人だとか、私は興味ない。1人の女の子の夢を縛り付けるのが国だって言うんなら……そんなもの壊れてしまえばいい』
『貴様ッ!』
『私はやりたいことをする。私が守りたいのは、1人の女の子の夢を守る。それだけだ』
凛菜さんらしいと思った。でも、きっとそんな人だからこそ、私は好きになったんだ。
「……凛菜さん」
「ん~?」
「私は……貴女の力になれていますか?」
「……翼ちゃんの方が頼りになると思うんだけどなぁ」
そう言って、困ったようにはにかんで曖昧な顔をする。
ダメだ。そんな顔をされると、私はもっと甘えたくなる。甘えてもいいのかもしれないと、都合のいい夢を見てしまう。
きっとマリアにも、こんな風に甘えてばっかりなのだろう。
それはダメだ。それだけではダメなのだ。
もっと、私が頼ってもらえるように。今度は私が、凛菜さんを―――。
だから凛菜さん、もう少しだけ、甘えさせてください。
《翼サイド END》
「貴女も罪な女ね……」
「………なんかのドラマに影響されたの?」
「そういうところよ」
「???」
「はぁ……まったく」
恋とは甘美で、艶やかで、艶めかしくて………何とも悩ましいものである。
《マリアサイド》
恋とはなんとも不可解なもの……なんて言ってみたものの、そんな経験がないわけなのだが。はぁ……どこかにいい男でも落ちていないものかしら。
なんて言っていたのも昔の話!私はついに”恋”を見つけたのよ!
「マリアァ……」
「あーはいはい」
まあ、相手は翼なのだけどね……。
涙目で抱き着いてきた翼の頭を撫でてあげる。
あ、ちょっと頭グリグリしないの。まったくもう。
「むぅ……いいではないか。何より今の私は傷心中なのだぞ。慰めてくれ」
「慰めろ…なんて自分で言うようなものじゃないでしょう。……で、また凛菜さん?」
そう聞くと翼は再び頭をグリグリしだした。だからしないでってば……
にしても凛菜さん。今度は何したのよ。
前はたしか……お出かけに誘おうとして、なぜか世界一周旅行の話になった挙句に断られたんだったかしら?何でそんな話題になるのよ……。
「実は……髪型を変えてみたんだ」
「あら意外。貴女そういうのに興味なさそうだったのに」
「意外は余計だ。ただ、凛菜さんに見せたら……何も言われなかったんだぁ!」
「気づかなかった……いやさすがに…でも凛菜さんだったら」
ない……と否定できないのが悲しいわね。
まったく……そうやって
見て分かるように、翼は凛菜さんに好意を寄せている。
いや、翼だけじゃない。響やクリス、切歌に調、未来、他にも何人かが凛菜さんに好意を寄せている。
普通、1人の人間に複数の人間が好意を寄せれば、険悪な雰囲気になるだろう。
なのに、なぜ彼女たちがそうならないのかと言えば、彼女たちの仲の良さもあるのだろうけど、単にお互い気づいていないからでしょうね。
まあ、未来は気付いていると思うわ。あの子は時々、とても勘が鋭くなるから。だから響と一緒にアタックしてるのでしょうね。
だけどまあ、他の子たちも大体2人以上でアタックしてるのだけど。
「………ほんと罪な人よね」
「うん?どうかしたのか?」
「んー?可愛い翼に酷いわねーって考えてたの」
「か、カワッ!?」
私の胸に顔をうずめながら見上げる翼に、グッとくるものを感じながら、誤魔化す様に抱きしめる力を強くする。
何も凛菜さんが好きなのは、彼女たちだけじゃない。
……私も、凛菜さんのことが好きなのだ。
ただ、まあ、私が言い寄ったところで…という気持ちがあるのも確かだ。
凛菜さんにすれば若い子の方が良いだろうし、私は翼のようにグイグイ行く気にはなれない。
なまじ他の子たちが彼女のことを好きだと知っているからか、どうしても一歩退いてしまうのだ。
それに何より、皆はたくさんの辛い思いをして戦ってきたのだ。どうせなら、自分の好きな人と付き合ってほしい。
「私そろそろ待機任務があるから。もう行くわね」
「そうか。それではな……愛してるぞ、マリア」
「なッ!?」
なんでそれを素直に凛菜さんに言えないのよ。まあ嬉しかったけど……
翼が行ったのを見とどけ、S.O.N.G.の司令室に向かう。
司令室に入ると、司令がいたので挨拶をする。
「おお、マリアくんか」
「ええ、待機任務が入ってたから。顔を見せておこうかと」
「そうか。ご苦労だな。よろしく頼む」
「あれ~?マリアちゃん?」
司令と軽く言葉を交わしていると、ふと背後から声を掛けられた。
振り向くと、大量の書類を抱えた凛菜さんが、書類の山から顔を覗かせていた。
噂をすればなんとやらってわけね。
「どうしたのマリアちゃん?」
「待機任務よ。貴女こそ、その書類どうしたの?貴女が書類を抱えてるなんて、珍しいこともあるものね」
「まあ、実際珍しいしね」
彼女は基本的に現場で動くことが仕事だ。
だから、報告書とかそういったこと以外では、デスクワークはほとんどないのだ。
「司令。これ、頼まれてたものです」
「おう。そこに置いておいてくれ」
「なんの書類なの?」
「ああ、前に私ビルを切り落としちゃったじゃん?あの時のがさすがにまずかったみたいで、うちの人員総動員で書類を書いてたんだよ」
………彼女は容易く言ってのけるが、はっきり言ってシンフォギアを纏っていないのに、ビルを切り落とせる時点で十分おかしい。
司令は明らかにおかしい戦闘能力を持っているけど、凛菜さんも大概おかしいのだ。
というか、私たちの時だってよく周囲の建物とか壊れてたりするわよね……それも他の人達が書類を書いてるのかしら?
まあ……今は気にしないようにしましょう。
何だか彼女を見ていると、さっきまで考えていたことを思い出した。
一歩退いてる、か……たまにはいいかしら。
「凛菜さん、手伝うわ」
「そう?ありがとう!」
「ッ!?え、ええ」
あ、危なかったわ。彼女の笑顔にやられるところだった……さすがは皆が惚れこむだけはあるわね。
それにしても、彼女の笑顔でやられるなんて…思ってるよりも私もお熱なのかしらね。
私を選んでくれるかなんて分からないけど………好きになるだけなら、良いわよね?
《マリアサイド END》
「マリア!聞いてくれ!」
「どうしたの?もしかして、また凛菜さんに勘違いされた?」
「凛菜さんに抱きしめられて、しかも頭を撫でて貰えたのだ!」
「………ふ~ん。そう、良かったわね?」
「マリア?」
「おいマリア?どうしたのだ?」
「別に、なんでもないわよ」
「…………………」ダキッ
「ちょっ!?ちょっと翼!?」
「………マリアにそんな態度取られたら、寂しいではないか」
「翼……もう。……チュッ」
「ん……愛してるぞ、マリア」
「私もよ、翼」
翼さんって本編中で因縁やらなんやらで闇ポイント多いから、書きやすいんですよね。
逆にマリアさんは、セレナぐらいしか闇ポイントがないから書きづらい……。
なんでまあ、マリアさんにはママ視点というか、ちょっと立ち位置を変えてみたいと思います。……怒られないかな?
ちゃんとマリアさんも、凛菜さんと百合百合してもらうので安心してください。
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凛菜さん一口メモ
翼さんと話していると、何故か話題が変わってることがある。
凛菜さん「何でか私も分かんないんだよねえ。でも、アワアワしている翼ちゃん可愛いから気になんないよね!」
この小説の甘々度(砂糖基準にすると?←あんま気にしないでいいよ)
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砂糖が止まらないんだけど……
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ふ~ん。甘いじゃん
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おいどうした!もっと砂糖寄越せ!
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装者は元々砂糖溢れ出てるよね
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凛菜さん、もっと砂糖を恵んでくれ