萌えもんtest ss   作:シニカ

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萌えもんtest のストーリーに沿って少年と萌えもんの成長を綴ります。

ご意見お待ちしております。


萌えもんtest ss 1話

萌えもんtest 1話 邂逅

 

 

午前7時、彼は目を覚ました。

 

時期は初夏というには少し暑すぎる季節。半袖を着ていてもすぐに汗ばんでしまう陽気だ。

窓の外に映る林からは生命の息吹が感じられる。

 

TVに目をやるとどうやら最近は気候変動による環境の変化が出ているらしい。ここ数年専門家たちは暇があればそれを報道していたが、少年である彼にとってはあまり興味のない事柄であった。

 

それも含めて世間では特段代わり映えのしないいつもと同じ朝だったのだが、少年にとってはこの日ばかりは少し事情が違った。

 

今日少年は旅に出る。

 

比喩でも誇張した表現でもなく本当にそうなのだ。今日から少年は親の元を離れ1人で生活をすることになる。

昔母は少年に10歳になれば誰もが旅に出ることになるのだと語った。自分も父もそうだったのよと。

初めて聞いたときには現実味がなく聞き逃していたのだが、いよいよ旅立ちの日が来たのだと少年は感じていた。

 

実際興奮と少しの不安で昨日はあまり眠ることが出来なかったのだ。

しかし、今の少年の頭はスッキリとしている。

今なら苦手なスクールのテストでも難なく解けるような気がしていた。

 

いつもより少し豪華な朝御飯をたいらげると時刻は8時。

まだ9時までには時間がある。

1週間ほど前に彼の幼なじみであるグリーンから告げられていた集合時間である。

 

9時にじいさんの研究所へ来い。

 

普段はぶっきらぼうなグリーンだが、その報告の時には少し浮ついた気配があったのに少年も気づいていた。

グリーンも彼と同じ日に旅立つ。その興奮を抑え切れていないのだ。

 

グリーンの祖父、オーキド・ユキナリの研究所。そこで少年たちは最後のそして最も重要な旅支度をするのだ。

 

しかし、少年は流行る気持ちを抑えられなかった。

1時間という時間は今の彼にはあまりに長すぎたのだ。

 

集合場所であるオーキドの研究所へ行くにはグリーンの家を右手に曲がるとすぐに辿り着くのだが少年は左手に向かった。

 

程なくして町の出口に着く。今までは親やグリーンの姉と同伴でしか出ることの出来なかった町だ。

あと1時間もすれば出られるのだが、少年は町の外へ足を踏み入れようとした。

旅立ちを我慢できない気持ちに加えていつも先を行く彼の幼なじみに対してささやかなリードを得たいという気持ちもあったのだ。

少年は町の外へ足を踏み入れることでこれから先の旅路においてもグリーンの一歩先を行けるような気がした。

 

いよいよ少年の足が町の出口を抜け草むらに入ろうとした時、老年の男の声が少年を呼び止めた。

 

おーい!まてー!まつんじゃあ!

 

グリーンの祖父であるオーキドの声である。同じ町に住んではいるものの研究で多忙な彼を見るのは久しぶりだった。

大人へ見つかってしまってはゲームセット。少年は渋々と町の外へと踏み出した足を引っ込めた。

 

オーキドはこちらを見て残念じゃったのおと笑う。

これが母であればまず危険だと怒るのだと思うとオーキドはやはり変わっている。

グリーンの祖父ということはかなりの老齢なのだろうが、この人は自分たちと近しい部分も持っていると少年は感じていた。

それは多くの人が大人になると失ってしまう好奇心というものであることには少年は気づいていない。

 

オーキドはもう少しすれば嫌でも出られるのだから我慢しろと軽く説教した後笑って言った。

 

研究所に来るんじゃ。わしについて来なさい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

研究所に2人で戻るとグリーンは既にそこにいた。

「じーさん待ちくたびれたぜ。」とグリーンが呟く。

早く旅立ちたくて仕方ないようだ。語気も普段よりも荒い気がする。

「すまん。すまん。」

オーキドは対して余裕の表情だ。

少年もグリーンと同じく落ち着きを失っていた。

いよいよ最後の旅支度をするときが来たのだ。

 

しかし、オーキドは勿体ぶって話し始めた。

「さていよいよこれからお前たちの旅が始まる。まずは旅をするにおいての心構えからじゃなあ………」

「じーさん!それは前も聞いたぜ!」

グリーンが苛立ったように口に出す。

少年も頷く。

 

オーキドはバツが悪そうな顔をした。

「そうか。すまん。では本題の方じゃ。ほれ。そこに3匹萌えもんがいるじゃろう。それをお前さんたちにやる。」

その途端に少年たちの顔が華やいだ。

 

そう。これこそが少年たちが待ち望んでいた最後の旅支度である萌えもんである。

萌えっ娘もんすたぁ縮めて萌えもん。数十年ほど前から環境の変化によって現れ出した知性を持った生物である。

今までもこの世界にはさまざまな生態系があったのだが、突如として人型の知性を持った生物が出現したのである。

人類はその知的生命体に萌えもんと名付け、共存を図ってきた。

オーキドは元々は生物学者であり、現在は萌えもんのオーソリティーである。

未だに不可解な部分が多い萌えもんであるが、彼の研究により萌えもん研究の分野は凄まじい速度で発展してきたのだ。

 

オーキドは説明を続ける。

「3匹の中から1匹ずつお前さんたちにやる。旅の助けになるじゃろう。こいつらがいれば多少の危険は問題ないじゃろう。過信は禁物じゃがな。」

そこまで聞くとグリーンはにやり笑ってこちらを向いた。

「おい。お前から先に選んでいいぜ。俺は大人だからがっつかないのさ。」

 

少年は心臓が口から出そうになる気がした。今まで萌えもんと接する機会はあったが、自分のパートナーとして接する機会はなかった。今日からはこの中の1人が自分と旅に出る仲間なのだ。そう思い萌えもんの方を向いた。

 

萌えもんたちは静かにこちらを見る。

オーキドによれば3人とも人語を解するらしい。

萌えもんには知能指数に大幅な差があるらしく人類よりも高い知能指数を叩き出す萌えもんもいれば意志の疎通が出来ない萌えもんもいるらしい。

しかし、初めのパートナーにはやはり人と同程度の知能指数を持つものが良いと考えてオーキドは萌えもんを選定してくれたそうだ。

 

少年は1人ずつ順番に向き合う。

 

1人目のもとへ向かうと彼は

フシギダネと言います。

と礼儀正しく述べた。

ツインテールにしてあるしなやかな髪はどことなくつるのようにも見えた。

彼は植物から変異した萌えもんじゃ

とオーキドは言った。

 

2人目は勝気な女の子だ。彼女は

ゼニガメよ。

とぶっきらぼうに言った。

おかっぱの髪型にランドセルにも見える甲羅を背負っている。

彼女は亀からの変異じゃ

とオーキドは答えた。

 

3人目は活発そうな男の子だ。彼は

ヒトカゲだぜ!

と元気よく叫んだ。

さらさらの髪と中性的な顔に反して爪や牙が覗いている。

彼はドラゴンやトカゲからの変異じゃな。

とオーキドは頷いた。

 

この中から1人を選ぶ。少年の初めの試練である。

 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

 




萌えもんtest のストーリーに沿って少年と萌えもんの成長を綴ります。

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