ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
シディアスの粘着録
これは、パルパティーン議長こと、シディアス卿のストーキングメモリーである。
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シディアスはかれこれ十数年程、フォースを通してアリス・レインに干渉している。
そして今日、廃工場に逃げ込んだアリスに会いに公務を抜け出してきた。シディアスは期待を胸に、コンテナの間から姿を見せる。
「こんなところへ逃げ込むとは、其方らしい。」
シディアスがそう言うと、アリスは物凄く嫌そうな表情をする。
「自分から会いに来るなんて、余程暇なんだね、ダース・シディアス。」
暇ではない。公務を抜け出してきたのだ。だがそれを言えば、アリスに嫌われる理由が増えるだけだ。彼女の反応が見たくて、あえて訂正した。
「其方の為に時間を割いたのだ。言ったはずだ。時間をやろう、と。時間切れだ。」
「生憎だけど、手を取る気はないよ。」
「答えは聞かずとも分かっている。では、取引をしないか?」
シディアスは、あえて同じ立ち位置から投げかけた。
以前のやりとりで、アリスが未来を知っているのは分かっている。彼女が自ら進んで手を組んだら、未来の情報はシディアスのものとなる。それだけではなく、選ばれし者と共に暗黒面へ堕ちれば、半永久的に銀河を支配できる。
だが、アリスは取引を拒んだ。
「シスと取引はしない。」
「其方にも有益な取引だと思うが?」
「断る。」
「そうか、残念だ。」
従わないなら、いっそ潰してしまえばいい。
シディアスは工場の天井に手を向け、フォースを使い骨組の線を切る。その骨組は、制御室の上にいるアリスへと崩れる。彼女は咄嗟にフォースで受け止め、押し返す。シディアスは押し返された骨組を薙ぎ払い、アリスの焦る顔を見て楽しむ。
どうしても足掻く姿が楽しく、更に興味を唆られた。
「次は簡単にはいかんぞ。」
「望むところだよ。」
もっと足掻く姿が見たい。
今度は辺り一帯の重機を持ち上げ、アリスに投げ付ける。手加減する気はなかった。暗黒面の圧倒的な力を見せ、心を折りたかったのだ。
アリスは必死に重機を防ぐ。
「いつまで保つかな?」
シディアスは不気味に笑い、更にコンテナを飛ばす。
ところが、コンテナが届く直前、アリスの表情が変わった。シディアスは、この表情を知っていた。彼女が逃げる時の顔だ。
なぜか、それが嬉しかった。
「………無理。」
アリスは手を下ろし、コンテナや重機が落ちる前にフォース・ジャンプする。崩れた天井から屋根に上がり、シディアスを見下ろす。
支配欲が高まり、泳がせるのも一興だと考えあえて追わなかった。
「敵に背を向けるのか?」
声にフォースを乗せて問えば、アリスはフォースを使わず声を張り上げてくる。
「戦略的撤退だ!二度と会わないことを願うよ!!」
そう叫び、アリスの姿は見えなくなった。代わりにグレネードを投げられ、シディアスは安易な攻撃だと思いテレキネシスで防ぐ。
逃がされたとも知らず、何事もなかったかのように過ごす彼女が目に浮かぶ。
次に会う時は、逃がす気はない。逃げている気になっているが、フォースの意志も彼女を逃がさない。アリスがフォースの絆を断たない限り、彼女は彼女自身から逃げることもできない。アリスは自分で自分の首を絞めていると、シディアスは分かっていた。
再会を楽しみに、廃工場を後にした。
アリスと再会する時が、楽しみで仕方がなかった。
continue……