ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

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リクエスト第二弾!

帝国側がどういう風にアリスを見ているかと聞かれたのでw
私の中ではこんな感じですw
めっちゃ美化されてますが悪しからずwww


【リクエスト回 100話記念】籠から逃げた鳥は美しい

これは、スターデストロイヤー《キメラ》内で起きた記録である。

 

────────

 

某日、帝国宇宙軍の中佐の一人が、ブリッジに急ぎ走っていた。

 

 

「ど、どいてくれ!」

 

 

彼は、息を切らして走るしかなかった。

 

事は、緊急プロトコルが発令されたことから始まる。その中身は至極単純なもので、重要な指令だった。ハンガーに着艦したセンチネル級着陸船に、彼は急ぎ指揮官の下へ向かうのだった。

 

 

「大…提督……!」

「なんだ?騒がしい。」

「皇帝陛下が……!」

 

 

その言葉に指揮官、スローンの表情が変わる。

 

“皇帝がキメラに訪れる”

 

それは、スターデストロイヤーに乗る全ての者に緊張感を与えるものだった。

 

ハンガーへ向かい、センチネル級着陸船の前に片膝を折り、スローンは頭を下げる。皇帝はハッチを降り、スローンの前で立ち止まる。そして、皇帝は大提督へ立つように促した。

 

 

「立つのだ、大提督。」

 

 

スローンは命令通り立ち上がり、先を進む皇帝に付き従う。

 

それから、急な来訪の理由を尋ねた。

 

 

「何の前触れもなく訪れたのは、何故でしょう?」

「新しい予見よ。間も無く、籠の鳥が余の下へ来る。」

「籠の鳥、ですか。」

「左様。其方も知っていよう。彼の、アリス・レインぞ。」

「ジェダイの……」

 

 

スローンは、アリスの存在を知っていた。

 

提督など、高官には周知されていた重要人物だった。彼女は他のジェダイとは違い、生け捕りした後、コルサントへ送る指令が出ていた。抵抗した場合、止むを得ず致命傷を与えても良いという指令になったのは、つい最近のことだった。

 

そのジェダイが、ここに来る。

 

皇帝が執心するジェダイとはどんな人物か、スローンは興味を持っていた。

 

 

「では、ここへ来たら陛下の下へ、」

「いや、その前にあの者を試せ。」

「如何様に?」

「アリスは、何度も捕まっては逃げ出しておる。もし本当に投降する気があれば、抵抗はせんだろう。だが、抵抗した場合は殺せ。懐かぬ小鳥は処分するしかあるまい。」

 

 

皇帝はそう言って、念には念をと、スローンにショック・カラーを渡す。

 

ジェダイの女一人にここまでするのか、とスローンは思った。彼は、皇帝がトゥーカを追いかけているような錯覚が見えていた。皇帝とは違いスローンは、従わないなら殺してしまえばいいのに、と考えてしまうのだった。

 

皇帝は玉座の間に入り、スローンはそのジェダイが来るのをブリッジで待った。

 

そして皇帝の予期通り、アリス本人からキメラに通信が入った。

 

通信はブリッジに繋がれ、スローンはアリスと応対する。

 

 

「アリス・レイン、自ら死を選ぶか。」

『違う。私は交渉を持ちかけてるの。“皇帝”にとって、悪くない話だと思うけど?』

 

 

馬鹿な女だと思った。考えが甘く、追われる身なのに、対等な立場で交渉をしようとしている。身の程を知らない、ただの愚か者だと。

 

スローンは、皇帝はこんな女に執着しているのかと脱力する。

 

 

「皇帝陛下に、敵と会わせるとでも?」

『勘違いしないで。あんたに選択権はない。これは私と皇帝の問題。あんたは繋ぐだけでいい。』

「黙れ。お前は反逆者だ。既に抹殺指令が降りている。お前は処刑されるだけ。交渉する権利などない。」

 

 

アリスの態度に、スローンは苛立ちを覚えた。

 

ターキンに聞いていた通りだった。ターキンは、アリスを嫌っている。この嘗めた態度が、ターキンや自分を苛つかせているのだと認識する。

 

 

「丸腰だと言ったら?」

 

 

その言葉に、考えが変わった。

 

ジェダイの象徴とも言える、ライトセーバーを持っていない。それがどういう意味をもたらすのか、スローンは察した。丸腰ということは、戦う意志がないということだ。再確認するが、アリスはブラスターさえ持っていなかった。

 

テストの第一段階は合格だと、スローンはようやくアリスを信用した。

 

 

「よろしい。では、お前がここに来い。話はそれからだ。」

『分かった。座標を送って。』

 

 

オペレーターに座標を送らせて、通信を切る。

 

スローンは、皇帝が彼女に執着する理由が分かった気がした。今まで捕らえたジェダイのように、一筋縄ではいかない。彼女が帝国側にいたらと、残念だった。

 

しかしそのジェダイは、決して服従しないだろうとも思った。

 

その後、アリスの宣言通り、レーダーにシャトルが映った。

 

 

「大提督、シャトルを撃ち落とさないのですか?」

「ダメだ。」

「ですが……乗っているのは反乱者ですよね?」

「その通りだ。だが、生きて捕らえるのだ。」

 

 

部下を止め、アリスが乗るシャトルはキメラに近付いてくる。

 

その後、シャトルから通信が入る。通信を受けて、スローンはアリスに応対した。牽制と、脅しをかける。

 

 

「お前の心意気を認めよう。こちらでお前の船を捉える。下手な動きはするな。」

『分かってるよ。撃ち落とされたくないから。』

 

 

彼女はよく分かっている。ここで自分からハンガーに来たら、スローンはシャトルを墜とすつもりだった。テストの第二段階も合格だと、スローンは認める。

 

トラクター・ビームで捉えるように指示して、シャトルはハンガーに格納された。

 

シャトルを拿捕させた後、スローン自身は行かず、デス・トルーパーをハンガーへ向かわせた。

 

これも、テストだった。ここで逆らえば、デス・トルーパーがアリスを殺す予定だ。そのテストもまた、アリスは合格した。

 

デス・トルーパーから通信が入り、ブリッジへ連行するように指示する。

 

 

「さて、どんな奴か見物だな。」

 

 

ブリッジのドアが開き、デス・トルーパーがアリスを連れて入る。

 

スローンは振り向き、口を開いた。

 

 

「よく抵抗せず、ここまで来た。」

「それはどうも。ていうか、このショック・カラーって必要?」

「“皇帝陛下の御指示”だ。念には念をと、お前の為に用意したのだ。」

「うわー、趣味悪っ。」

「これが何か分かるか?」

 

 

スローンはショック・カラーの制御スイッチを見せる。

 

脅しだが、自分を前にして軽口を叩く、アリスに対する腹いせである。次にまた自分を下に見たら、スイッチを押す気だ。どちらが上か、言葉ではなく身体に教え込むのが一番だと考えた。

 

 

「何それ、脅迫?」

「そうとも言えるな。お前は帝国へ降る代わりに、何を望んでいる?」

「言ったでしょう。私の望みを叶えるのは、皇帝。あんたじゃない。」

「私は皇帝陛下の指示でお前を拘束した。同じことだ。」

「同じじゃない。あいつが認めるから、意味がある。」

 

 

腹が立ち、スローンはスイッチを押す。

 

電流がアリスを襲い、彼女は呻いて座り込む。痛みに悶える間を与えず、スローンはデス・トルーパーに命令し、彼女を立たせる。

 

 

「その意味も、ここで死ねば消えるのだ。どちらか選べ。」

 

 

ここまで下に見られて、生かす気はない。

 

スイッチを押して、彼女も他のジェダイと同じだと思わざるを得なかった。行動を制限され、皆折れていった。このジェダイも、そうだと思った。

 

 

「その望みを、あんたが叶えられるかは謎だけどね。」

「………言え。」

「私のクローンを破棄して。全て。まだ残っているでしょう?」

 

 

スローンは驚く。

 

彼女のクローンのことを知る者は少ない。皇帝とスローンを始め、ヴェイダーにターキン、スローネ提督くらいだった。情報統制に自信があったが、フォースを使うこのジェダイ・マスターなら、それを知ることは不可能ではない。

 

スローンは、ただただ感心する。

 

 

「なるほど。ジェダイ・マスターの称号も、伊達ではないらしい。よろしい、皇帝陛下に会わせてやろう。」

「まさか、あいつがここに……?」

「………」

 

 

答えないのではなく、答えられない。

 

皇帝がいると知り、アリスは表情を青ざめさせる。

 

その表情の意味に気付き、スローンは答えられなかった。

 

スローンは、皇帝とアリスの関係を知らない。だが一つだけ分かったのは、皇帝がいると聞いても尚、希望を捨てていないということ。直にアリスを知る者でないと、分からないものだ。聞いただけでは、彼女が皇帝から逃げ、皇帝が彼女を追う理由は分からない。それが今、納得できた。

 

皇帝は、アリスの強い希望を崩し、底無しの絶望に落としたいのだ。

 

スローンはアリスを、最早哀れだと感じていた。

 

彼女を玉座の間に連れていき、スローンは頭を下げる。

 

 

「皇帝陛下、アリス・レインを連れて参りました。」

「ご苦労、大提督。下がって良い。」

 

 

皇帝に従い、スローンは玉座の間から下がる。

 

この後、アリスが何をされたか教えられ、スローンは哀れと感じたのは間違いではなかったと知る。自我を封じられ、帝国の駒になったのだ。スローンは、皇帝の執着が少し恐ろしく感じた。

 

皇帝の操り人形となったアリスが、玉座の間から出てきて、皇帝の計画は始動した。

 

驚いたのも束の間、スローンの口には、笑みが浮かんでいた。

 

一連の出来事は、最早喜劇だった。

 

 

continue……

 

 

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