ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
どうぞお納めくださいm(_ _)m
ヤヴィンの戦いから10年前。
私は腕利きの密輸業者である、ランド・カルリジアンという男を訪ねた。来訪目的は、もちろん依頼があるからだ。彼の潜伏先を探し出して隠れ家に踏み込むと、取り巻きに一斉にブラスターを向けられた。
「初めまして。私はアリス。あんたがカルリジアン?」
「ああ。ランドーニス・バルサザール・カルリジアンとは、俺だ。ミス、ラストネームを聞いても?」
カルリジアンは社交的に挨拶をした。手の甲にキスをして、彼は紳士のように振る舞う。私は手を引っ込め、会いに来ただけではないと伝える。
「申し訳ないけど、教えられない。あくまで仕事相手として接してほしい。」
仕事の依頼だと言えば、カルリジアンは態度を変えて拒否する。
「断る。」
「報酬を払うと言っても?」
ケースをテーブルの上に叩き置いて、中を見せる。
中にはカイバークリスタルと、帝国クレジットが入っている。クリスタルは別として、帝国クレジットは集めるのに苦労した。これを盗むのに、何隻のスターデストロイヤーを巡ったことか。
カイバークリスタルは、ただの誘惑要因だ。あげる気はない。だって、ライトセーバーの核だもの。
オビ=ワンがいたら殺されそう。
「元老院議員であるルード議員の紹介で来たんだよ。」
「それは紹介と言えるのか?」
「うーん、レッドリストから教えてもらったから、違うかも。」
「帰ってくれ。俺は今、賭けに負けたばかりなんだ。」
「じゃあ、もう一度勝負しない?」
何度聞いても、答えはNOだった。
賭けに負けたというのは、船を取り合う為だったらしい。愛しの愛船が持っていかれて、傷心中だという。コアクシウム欲しさに、賭けてしまったようだ。
「そう、仕方ないね。」
「おいおいおいおい!冗談はよせ!!」
「え?冗談じゃないけど?」
爆弾を取り出せば、カルリジアンや取り巻きは慌てて下がる。
笑顔で同じ質問をしたら、彼は頷いてくれた。
「分かった。ただし、あんたが勝てたらの話だ。」
「いいよ。もし私が勝ったら、仕事を引き受けてもらう。」
ケースを閉じて、私は反対側に座る。
カードが広げられ、私とカルリジアンに手札が配られる。事前にルールを聞いて、いらないカードを捨てて、山札のカードを引く。揃った役はまぁ良い方だ。
カルリジアンも同じように引き、手札を見て笑みを浮かべる。
「お嬢さん、降りないのか?」
ちょっと反則だけど、フォースを使ってカルリジアンの手札を見る。真っ当な勝負なら、私の勝ちだ。真っ当ならね。
「まさか。駆け引きは大好きなんだよね。」
「そうか。では、コールしてくれ。」
コールする前にテレキネシスで、カルリジアンの袖にあるカードを抜き取る。
そして、私はコールした。
カルリジアンも手札を出そうとするが、違和感に気付いたらしい。焦った表情をする。微笑んで聞いてあげれば、彼はテーブルを叩いて立ち上がった。
「何をした!?」
「何もしてないよ。寧ろ、あんたの方がイカサマしてるんじゃない?」
「っ!?」
「私がチンケな小娘だと思ったら、大間違いだよ。」
その瞬間、取り巻きの一人がブラスターを撃ってきた。
それを避けて、私はテーブルの上のコインをそいつに投げ付ける。ローディアンの男は倒れて、取り巻きがまたブラスターを向けてきた。先に撃ってきたのはローディアンの男だ。
「これ、私の勝ちだよね?」
自分の手札をテーブルに置き、カルリジアンの隠しカードを隣に置く。
これは、カルリジアンの反則負けを意味している。
「お前……!」
「依頼、引き受けてね。これはあげるから。」
ケースをテーブルの上に滑らせ、カルリジアンに渡す。
「お前達、彼女と2人にしてくれ。」
取り巻き達は、カルリジアンに従って出て行く。2人きりになって、彼は私に依頼を尋ねる。簡潔に説明すると、カルリジアンはその内容に躊躇した。
そりゃそうだ、危険な依頼なんだ。
「ガセ、か。」
「そう。私の目撃情報を流してほしい。」
「流してどうする?」
「ルード議員に会う。」
「それだけか?」
「そうだよ。何か?」
当然の反応だ。ただの小娘が、議員様と会うのだから。関係性を疑うだろう。
「よく分からないレディーだな。」
「交渉成立だね。じゃあ、頼んだよ。」
「待て。」
出て行こうとする私を、カルリジアンが呼び止める。
「何?」
「金の代わりに、そのアームカフでも良い。」
彼が指差しているのは、左腕の二の腕にあるアームカフだ。スターバードが象られたこの装飾品は、高価な金属が使われているらしい。“らしい”というのは、ダンタムが特注で良い素材を使ったからとしか聞いていないから。良い素材ってことは、それなりに値が張りそうなものだ。
そんなアームカフだけど、売ろうと思ったことは一度もない。
「申し訳ないけど、これ御守りだから。あげられない。そのお金で我慢して。」
「そうか、残念だ。」
きっと高く売れるんだろう。私にはその価値が分からないけど、安くないというのは分かる。私にとって、このアームカフの価値は御守りの意味しかない。
「依頼、よろしくね。」
「ああ。任せろ。」
カルリジアンは、すぐに動いてくれた。
噂は、正反対の星にいる私にまで届いた。
アバファーで魔法を使う女がいる。カルリジアンにその情報を流させて、私はインナー・リムのとある星で、夫のダンタムと密会するという手筈だ。撹乱は成功し、私は無事にダンタムと会えた。
マントを深く被り、人の多い商店街でダンタムと落ち合った。
再会した私達は、商店街を抜けて廃工場へと入る。そこで再会の抱擁を交わし、キスをする。たった半年会ってなかっただけなのに、何年も会っていないような感覚だ。
「レッドリストは役に立ったようだな。」
「うん。参考にさせてもらった。」
「カルリジアンか。彼に被害はないだろうな?」
「問題ないよ。ところで今更だけど、このアームカフの金属、何が使われてるの?」
「あぁ、これか?これはな……」
ダンタムは、その金属の名前を耳打ちする。
その金属名を聞いて、私はドン引く。本当に高値の金属が使われていた。どうやったらこんなの作らせようと思うのか、謎すぎる。
「愛の力だ。」
「いや、金の力でしょ。」
「冗談だ。だが、愛する者に良いものを贈りたいと思うのは、普通のことだろう?」
「そう……かな………?」
「アリスこそ、普通の価値観がないな。」
いや、違う。ていうか金属の価値があるとしたら、ベスカーくらいだ。その次が………
もう考えるのはやめよう。議員独特の価値感から、個人的な違いはある。価値感を決めるのは誰でもない、己のみだ。
価値感は人それぞれだ。
私の価値感も、私が決める。
continue……