ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
これは、アリスがプロ・クーンのパダワンになった時の記録である。
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先日、評議会に呼ばれ、マスター・プロ・クーンに師事するように言われた。
実を言えば、私はまだアプレンティストーナメントに参加していない。それなのに全てすっ飛ばして、ジェダイ評議会からマスター・プロのパダワンになるように言われたんだ。後にマスターに理由を聞いたら、やる気の問題だったという。
マスター・プロのパダワンになって半年、私はマスターと評議会の任務に就いていた。
任務の為に、惑星ドーリンへと向かうシャトルでのことだった。
「マスター、これいつまでやればいいんですか?」
逆立ちして目を閉じろと言われ、5時間。何が言いたいかと言うと、やっている意味が分からない。何か変わったこともない。
これ、何の役に立つの?
「感覚を研ぎ澄ませろ。」
「やってますー。」
「分からないなら、ずっとそのままだな。」
「何ですって……?」
進歩なんて言葉、誰が作ったんだ。
私に一番似合わない言葉だ。逆立ちして得られるものなんて、体力の消耗しかない。寧ろマイナスだ。
自分で言って、自分でもよく分からなくなってきた。
「如何なる時も、フォースは共にある。今がその時だ。」
やってやろうじゃねーか。
心を無にして、フォースを探る。シャトルには私とマスターしかいない。更に外界をシャットアウトして、瞑想状態になる。
ところが、そこで嫌なものを見て、逆立ちを崩して倒れてしまう。
「いったーい……」
「アリス、何を見た?」
「あれは……ケル・ドアでした。マスターと同種族です。彼らのクーデターは、正当な意見です。」
任務内容は、教えられていなかった。
でもフォースを通して、何の為にドーリンへ向かうのか答えが見えた。
ドーリンの首都でクーデターがあって、ドーリン政府は共和国に鎮圧の協力を依頼してきた。その裏にあったのは、政府の汚職によって重税が課されて苦しむ民だった。地方の領主は雇った傭兵とクーデターを起こしたのだった。
見たものを話すと、マスターからクーデターの鎮圧が任務だと教えられた。
「しかし、我々はジェダイだ。平和の為に、ケル・ドアの民を救うのが役目だ。忘れるな、アリス。ジェダイは兵士ではない。」
「はい、マスター。」
シャトルの操縦をR7-D4に任せ、私とマスターは貨物室へと降りる。
そこで、ライトセーバーを出すように指示された。
「ドーリンで戦闘になる可能性がある。まずはその為の鍛練を行う。」
「何をするんですか?」
「目を塞げ。」
「はい。」
言う通りに、布切れで視界を閉じる。
「耳も塞ぐんだ。聴覚、視覚がない状態で、小型ドロイドのレーザー弾を防げ。」
「あの、マスター?」
「なんだ?」
「視覚はともかく、耳まで?」
「そうだ。これを着けろ。」
「マジすか……」
防音耳あてのようなものを手に渡され、頭に装着する。
その瞬間、開始の合図もなく、レーザー弾が撃たれてお尻に当たる。
何これ、イジメ?
さっきの状態を思い出しながら、フォースで読んでライトセーバーを振り回す。どれだけ時間が経っているのか分からないが、ひたすらレーザー弾を偏向させた。最後に手応えを感じた後、レーザー弾は撃たれなくなった。
その後、マスターに防音耳あてもどきを外され、終わったことを知った。
マスターは視線を下げて、何かを見ていた。私も視線を追って見ると、小型ドロイドが真っ二つになっていた。どうやら、私がやったらしい。
「何の訓練ですか、これ?」
「ドーリンの大気は主にガスだ。防毒マスクを着けたら、お前には不利になる。不利な状況でも、対処できるようにするものだ。」
「マスターが戦った方が早い気が、」
「アリス」
「嘘です、すみません。」
おかしいなぁ、誰も面倒臭いなんて言ってないのに。
「顔に出ているぞ。」
「マスターってエスパー?」
「心は読めなくとも、お前の考えそうなことは分かる。」
お見通しってことみたい。
マスターは既に私のことを分かりきっているけど、私にはマスターのことがまだ分からない。アナキンもこんな感じかと思うと、激しく同意する。
いつになったら、マスターを理解できるんだろう。
ジェダイって、理不尽。
continue……