ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
遅くなってごめんなさいm(_ _)m
中編です!
お納めください!
ビーコンの信号を追って、シャトルは外縁部のソーガンの軌道に飛び出した。
ソーガンは大々的な都市もなく、有力な人物もいない。とても穏やかな星だ。マンダロリアンの彼がこの星を選んだのも頷ける。
大気圏を抜けて、私はシャトルを森の中に着陸させる。
あとは彼を、
「手を上げろ。」
早速遭遇してしまった。
背中にブラスターを突き付けられる。
マスク越しの声に命令され、私は大人しく手を上げる。フードを下ろされ素顔が露わになると、彼は私が女だということに驚く。何より、戦うようには見えないだろう。
「ずっと付いてきていたな。子供が狙いか?」
「違う。私はあんたに会いに来たの。」
「俺……?」
「うん。私、帝国の残党を追ってるんだ。あんたが会ったクライアントって、どんな男だった?」
信じていないのか、彼は安全装置を外す。
待って、疑い深すぎるでしょ。
「私は共和国とは無関係だからね。」
「信用できないな。」
「だろうね。けど、あんたを助けることはできる。できれば、私のことも助けてほしいなーって。」
私がビーコンを取り出すと、彼はブラスターのトリガーを引く。迷うことなく撃ってきて、慌てて身を翻して避ける。距離を開け受け身を取ると、彼の拳が襲ってきた。ギリギリのところで躱し、彼の胸元を優しく押し返す。
虚を突かれた彼は、重力に従って背中から倒れる。
「なんだ今のは……」
「敵意はない。このビーコンも……」
ビーコンを手放し、地面に落ちたそれを踏み壊す。ビーコンは煙を上げ、役に立たなくなった。本来なら獲物を取り逃したら困るものなのに、私は追跡装置同然のビーコンを壊した。
これで誠意は伝わるはずだ。
「私は本当に、あんたに会いに来ただけ。」
「………クライアントは白髪の年老いた男だ。名前は知らない。」
「そう、教えてくれてありがとう。」
「俺はあんたの希望に添えたか?」
「残念だけど、私の探している人じゃない。」
私の探している帝国軍人は、白髪じゃない。それに、そのクライアントほど甘くない。とても厄介な男だ。
「けど、約束は守るよ。このビーコン、持っているのは私だけじゃない。気を付けて。」
「分かった、信用しよう。」
彼はブラスターを収めて、そのまま背を向ける。
「あれ?私を撃たなくていいの?」
「殺されたいのか?」
「いや、そうじゃなくて、スタンしたりとか。」
「敵意はないんだろ。ならいい。」
どうやら彼は、普通のマンダロリアンではないらしい。ヘルメットを脱いでくれないし、私の知るマンダロリアンじゃない。どの氏族に育てられたんだろう。
「ねぇ、待って。」
「なんだ?」
「一杯奢るから、話さない?」
好奇心に負けて、誘ってしまった。
これでヘルメットを脱いでくれたら、満足なんだけどな。
「良いだろう。」
一番近い寄合所に向かいながら、私は子供を抱き上げる。
首を傾げる姿が、とても愛らしい。
「え、何?」
子供がお腹を摩ってきて、その行動に彼も私も驚いていた。
「腹が痛いのか?」
「いや、違うから。何も心当たりないよ。ところで、何て呼べばいい?」
「俺か?」
「うん。」
「マンドーだ。あんたは?」
「アリー」
寄合所に着き、子供と私の分の骨スープを注文する。マンドーにも頼もうと思ったけど、本人に要らないと言われてしまった。素顔が見たかったのに。
「遠慮しなくていいのに。」
「遠慮しているわけじゃない。気にするな。」
ヘルメットを剥いでやろうかと思ったけど、やめておこう。
スープを啜っていると、何やら視線を感じた。
少し離れたテーブルから、女性が私達を見ていた。マンドーを見ると同じように気付いていたようで、彼も私を見る。私達が視線を戻すと、彼女の姿はなかった。
彼女、どっかで見たことがある気がするんだよね。
「追手かな?」
「さぁな。だが、警戒するに越したことはない。」
「加勢は?」
「必要ない。子供を見ていてくれ。」
子供を抱えて、マンドーを見送る。
誰だったのか、彼女のことを思い出せない。私は何を忘れているんだろう。きっと重要なことなのに。
子供は相変わらず、私のお腹を撫でる。
「すみませーん、スープのお代わりくれます?」
「あいよー」
お代を払おうとして、違和感に気付く。子供の器を見たら、どこにもなかった。そして、膝の上が空になっていた。
あの子どこ行った!?
「まさか、まさかね?」
外に出ると、マンドーはさっきの女性とやり合っていた。
私は参戦しなくていいよね?
「マンドー、手を貸そうか?」
「いらん!!」
「了解。」
技量的には女性の方が上だけど、どちらも折れる気はない。マンドーが背負い投げされ、2人は互いにブラスターを突き付け合う。
数分経った頃、子供のスープを啜る音で2人の戦いは終わった。
「スープ飲むか?あいつの奢りだ。」
「はい?私が奢る前提ですか。」
「何か文句あるか?」
「アリマセン。」
2人を立たせて、店の中に戻ってスープを追加注文する。
女性は、キャラシンシア・デューンと名乗った。反乱同盟軍の元ショック・トルーパーで、かなりの腕利きらしい。道理で見たことがあるわけだ。
またスープを飲んでいると、キャラは私を見てくる。
まずい、バレたかな。
「あんた、どこかで会わなかった?」
「人違いだと思うよ。」
「ふぅん……?」
子供を膝に乗せながら、視線を逸らす。マンドーの視線も感じたけど、気にしないふりをした。ここでバレたら、隠遁生活の意味がない。
「その反乱軍の元ショック・トルーパーが、ここで何をしている?」
「所謂、早期退職ってやつ?エンドアの戦いの後、護衛ばかりでね。その後、ここに落ち着いたってわけ。」
キャラ曰く、終身刑に値するようなことをしながら逃亡してきたという。
そりゃマンドーを見て、全力で倒そうとするはずだ。
「お互い追手だと思ったんだね。」
「あんたは何なの?」
「こいつはアリー。俺の情報欲しさに、たまたま一緒にいただけだ。」
「へぇ。情報は手に入った?」
「全然。まぁでも、面白いものが見れたから結果オーライ。お代は払っとくから、私はこれで。」
子供を膝から降ろそうとすると、キャラが私を座らせる。
「え、何?」
「思い出した。あんた、反乱軍にいたよね?」
「いや、それは人違いだって、」
「マンドー、ちょっと手伝ってくれる?」
「はぁ…」
「今溜め息吐いた!?えっ、ちょっと、引き摺らないでー?」
店の外に連れられ、私達の後を子供が追ってくる。
近くの森に入ったところで、ようやく解放された。そして、キャラは私のマントを剥ごうとする。このマントの下に見られたくないものがあるから、私は必死に抵抗する。
何これ、リンチ?
「説明しろ。」
「うんうん、説明って必要だよね!」
「私は元ショック・トルーパー。だけど、あんたはもっと大層な人だ。」
それはとても良い笑顔で、キャラは言葉を続ける。
「まさか、こんなところで会えるなんてねぇ。」
「はて、何のことやら。」
「名前、何て言ったっけ?」
「アリーだよ。」
「そう、アリー。大人しくそのマントを脱ぐか、剥がされるか。どっちが良い?」
やだこのお姉さん怖い。
ブラスターを取り出そうとしたキャラを、思わずフォース・プッシュしてしまった。
だって!スタンしようとしたよこの人!
「お前……」
マンドーの呟きに、私は顔を青くさせる。
次の瞬間、私は全力で逃げ出した。
あの殺気はマジだ。私が“アリス・レイン”だと気付いている。というか、探しに来たと思われてる。確信を持って言える。
私どうしたらいい!?
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