ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
お待たせしました!
後編です!
どうぞお納め下さいm(_ _)m
2度目の人生で初めてやったよ……
全力の鬼ごっこ!!!
私は木々の間を、フォースを駆使して走る。枝から枝を跳び移り、マンドー達と距離を開ける。彼らが見えなくなり、安堵しながら下へと降りた。
「運が悪い……」
マンドーには申し訳ないが、キャラに殺されるわけにはいかない。
まだ隠遁中なのに。
「っ!!」
何かが足首に巻き付き、脚が動かずうつ伏せに倒れ込む。そのまま足から引っ張られ、引き摺られていく。擦れる膝を気にする暇はなかった。
「マンドー!!」
「悪いな、アリー。」
「絶対悪いと思ってないよね!?」
なぜか吊るされ、私の前にマンドーとキャラが歩いてくる。
マンドーはともかく、キャラの笑顔が怖い。
「いい加減諦める?」
「分かったよ!ちゃんと話すから!」
腰のヒルトに手を伸ばし、ライトセーバーでワイヤーを切る。着地に失敗して、地面とキスしたのはお約束だ。平和ボケし過ぎた。
マンドーの船に向かいながら、キャラが私の名前を再度問う。
「で?お名前は?」
「アリス・レインです……」
「あれは偽名か?」
「嘘は言ってないよ?短縮しただけだもん。」
屁理屈はさて置き、マンドーは事実確認をしてくる。
「アリーは何なんだ……?」
「ジェダイを知らないの?」
「ああ。」
そうだった。マンドーはジェダイを知らないんだった。どう説明しようかな。
「ジェダイは平和の守護者さ。」
「大昔、マンダロリアン・ザ・グレートと戦ったって聞いてるけど、それも知らない?」
「マンダロリアン・ザ・グレートは伝説だ。」
「じゃあ私も架空の存在だよね。」
マンダロリアン・ザ・グレートが伝説なら、ジェダイも伝説だ。私も伝説になって、架空の存在とされる。だけど、私はこうして存在している。
「反乱軍で、彼女を知らない者はいない。私を捕まえに来たわけ?」
「それは違う。私の用事は帝国軍の残党だから。人伝で助けを求められてね、その途中なの。」
帝国の残党を探しに来たのは、多くの人を介して助けを求められたからだった。それは共和国の依頼ではなく、ジェダイとして助けを求められたものだ。直接何かすることはできないけど、手掛かりを探すことはできる。
「友達の友達から、帝国の残党を見つけてほしいと言われたの。それで、銀河の端っこのここなら何か情報があるかなって。そしたら案の定、ネヴァロでトルーパーを見つけた。」
「反乱軍のレイン将軍が人探し?」
「将軍はやめてよ。」
将軍という言葉に、マンドーは私を見る。表情は見えないけど、言いたいことは分かる。いや、分かりたくないけど。
「因みに将軍位は退役扱いにしてもらってるから、本当に共和国とは無関係だよ。その点は安心して。」
私はあれから、レイアとの約束を守って共和国領で隠遁している。素直に頷いたら、こういうお願いをされることになったけど。
その友達というのがレイアで、レイアの友達というのがサビーヌで、サビーヌも誰かから私に伝わるように頼んできたらしい。
つまり、私もどこから来たのか分からない。
「情報はなかったし、私は黙って去るよ。」
「アリー」
「もうアリスで良いよ。」
「そうか。アリス、あんたならこの子供に詳しいだろう。」
マンドーの船に着き、私達は止まる。
彼は子供を抱き上げ、私に助言を求める。しかし、私は何も知らない。分かるのは、フォースが強いということだけ。
「言えるのは、この子は生き残りかもしれないということだけ。私はもう隠遁している身だから、他のジェダイを探して。」
「他にもジェダイがいるのか?」
「どこにいるか分からないけどね。オーダーは一度滅んでるから、みんな手探りなの。探すしかない。」
子供を撫でてあげれば、愛らしい笑顔を見せる。
これで50歳とか、この銀河はまだまだ未知の世界だ。
「じゃあ元気でね、お二人さん。」
「どこへ行く?」
「収穫はなかったから、次の候補地に向かう。あ、キャラのことは秘密にするから心配しないで。」
更に奥地へ向かい、自分のシャトルを目指す。
シャトルに着いて早々、暗号通信で夫にメッセージを残して、船にロックをかける。不安要素が多いから、何があるのか確かめたい。
目を閉じて、私は瞑想に入る。
まず見えたのが、マンドーが抱えていた子供だった。
マスター・ヨーダと同じ種族で、フォースも強い。あの子を狙うのは、私が探している帝国軍の残党だ。奴が子供を見つけるより先に、私が奴を見つけなければ。
次に見えたのは、奴がクライアントを殺す光景だった。
失敗したクライアントは、処理されたんだ。あの男は情の欠片もない。マンドーが子供を渡したとしても、見逃されることはないだろう。
幻を追って更に沈んでいくと、惑星マンダロアが見えた。
あの男は、マンダロアの侵略にも関わっている。
奴は危険極まりない。
「っ!」
アラートの音で、私は一気に現実に引き戻される。
警報を止めてセンサーを見ると、何かがシャトルの横を走っていく。私のシャトルはクローキング装置と暗示がかけてあるから、気付かれることはない。
外を見れば、もう夜だった。
「………」
その時、シャトルのハッチを誰かがノックする。
クローキングと暗示があるのに、誰が来るというんだろう。
「……!」
ハッチを開けると、子供を連れたマンドーがいた。
「“じゃあね”の意味、分かってる?」
「御託はいい。手を貸せ。」
「なんか機嫌悪い?」
「気にするな。」
話を聞けば、近くの村の人達に助けを求められたらしい。侵略者が、夜な夜な襲ってくるという。育てたクリルも奪われ、村は崩壊しそうだとマンドーは言う。
でも、助けを求められたのはマンドーだ。
「私はもう行くから、手は貸せない。」
「何…?」
「彼らは“マンダロリアン”に助けを求めた。ジェダイの私じゃない。」
「平和の守護者じゃなかったのか?」
「ジェダイの役目は、立ち上がる人々に寄り添うこと。その人達と共に戦うのが、ジェダイなの。マンダロリアンに助けを求めたということは、あんたに村を守ってほしいから。」
それでも、マンドーは一向に去ろうとしない。
私は溜め息を吐き、ヴィジョンをヒントにあるものを彼に投げ渡す。
「ドロイド・ホッパー?何に使う?」
「その内分かるよ。」
使い方は、すぐに分かるだろう。私ができるのはここまでだ。これ以上は、無駄な争いを生む。
彼が村を助けるのが、最善の道だ。
「使い方は分かるよね?」
「ああ。」
「またね、おチビさん。」
子供には、また会える気がする。フォースが導いて、会うことになるかもしれない。その時は、子供にできることをしよう。
背を向けるマンドーを、私は呼び止める。
「フォースと共にあらんことを、ディン・ジャリン。」
「っ!?」
ハッチを閉め、エンジンをかける。
ソーガンの軌道へと出て、オートパイロットにして操縦席を離れた。
ホログラムの通信機を調整して、周波数を設定する。
相手はすぐホログラムに現れた。
「連絡遅くなってごめん、レイア。」
レイアは微笑み、本題を急かす。
『見つかった?』
「情報の一つもない。ただ、痕跡はあった。次の候補地に向かうよ。」
『分かったわ、ありがとう。』
「ところで、これ誰からの依頼?そろそろ教えてくれてもいいんじゃないの?」
『そうね。ボ=カターンよ。』
これは予期してなかった。あの子、まだ頑張っているんだね。けど、何を探しているのか分からない。武器なら腐るほどあるのに。
「深掘りはしないでおくよ。ダンタムにまだ時間かかるって伝えて。」
『ええ。気を付けてね。』
「うん、ありがとう。」
通信を切って、私はハイパードライブを起動させる。
帰れるまで、かなり時間がかかりそうだ。すぐに帰りたいけど、これも未来の為だ。計画もまだ始まったばかりなのだから。
慎重に行動しよう。
あれ、慎重にできてなかったわ。
continue……