ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
もし、アリス・レインが暗黒面に堕ちたら………
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アナキンが評議会入りした後、パルパティーン議長、もといシディアスから呼び出しがあった。
歓楽街でオペラを観ていて、そのオペラ・ハウスに来るようにと指示された。
「やぁ、よく来てくれた、アリス。マスターに昇格したそうだな。おめでとう。」
「全然めでたくない。」
オペラ・ハウスに着いたけど、もう少しで終わろうとしていた。
「評議会に認められたということだろう?良いことだ。」
「私には良いことじゃないんだけど?」
評議会は、私を餌扱いした。私だけでなく、アナキンもだ。私一人を餌扱いするならまだ良かった。でも、アナキンまで餌扱いするなんて許せない。
ジェダイのやることじゃない。
隣に座るように言われるが、1席空けて離れて座った。
「いつもの覇気がないな。」
「………用件は何?」
「分かっていて来たのだろう?」
用件は分かっている。これが、例の“3度目”だ。この答えで、全てが変わる。
「考えが甘いというのは、本当らしいね。」
「アリス、3度目の答えを聞かせてくれないか?」
「………あんたに従う。」
アナキンを遠ざける為、私は暗黒面を受け入れることにした。
今まで逃げてきたツケだ。パドメとアナキンを救う為に、もう逃げるのはやめにする。2人に嫌悪されても構わない。
「賢明な判断だ。」
「私があんたに従うことで、アナキンは私とあんたを拒むことになる。」
「其方さえ従えば構わんよ。」
俯く私の頬を、シディアスが掴む。
初めて自分から暗黒面を求めたが、やはり恐ろしい。心地良い分、後戻りはできない。踏み込んでしまったら、もう私は私じゃない。
「跪け、我が友よ。其方は今から私の僕だ。」
手が離され、今度は傍らに跪くように言われる。私は無言で跪き、頭を下げた。ここで反感を見せるわけにはいかない。
「………」
「そうだ、それでいい。アリス、忠誠を誓うか?」
「誓います………マスター・シディアス。」
オペラはフィナーレに入り、終わろうとしていた。
「ではアリス、其方の意見を聞かせてもらおう。評議会はどのような行動に出る?」
「評議会は、あんたが非常時大権を手放すことを望んでる。もし聞き入れなかった場合、実力行使してくる。」
実力行使、逮捕が不可能と分かれば、マスター・ウィンドゥはライトセーバーを抜くだろう。
「圧倒的な差があるとも分からず、愚かな奴らだ。だがアリス、其方は違う。ようやく其方が、我が手に……」
シディアスは嬉しそうに笑う。
オーダー66が発令された時、私はジェダイ・オーダーと敵対することになる。もちろん、アナキンとパドメとも。奴に従うと決めた以上、もう止められない。
「どうした、我が友よ。」
「昔、悪夢を見た。私は、アナキンに殺されるの。」
「予知夢か。」
何度も見た、ライトセーバーで刺される夢。
アナキンが裏切り者と罵り、ライトセーバーで私を殺す。シディアスに従うと誓った時、あの悪夢が現実だと気付いた。未来は、確定された。
「未来は、すぐそこまで迫ってる。私にも、あんたにも。」
「私が望んだ未来だ。其方が殺される前に、ジェダイは滅ぶ。憂うことはない。」
オペラが終わり、他の客は席を立ち始める。同じように立とうとすれば、シディアスに止められる。そして、静かに名前を呼ばれた。
「アリス」
その声は、釘を刺すような重みがあった。
「その時が来るまで、悟られるな。アナキンにもな。」
「その時って……?」
「未来を知る其方なら分かるだろう。」
タイミングを待てということらしい。
頭を下げ、オペラ・ハウスを後にする。
ジェダイ聖堂に戻った私は、何事もなかったかのように振る舞う。いつもの私に、オビ=ワンですら疑わなかった。マスター・ヨーダも、信じて疑わない。
ただ一人、アナキンだけが違和感を持っていたと知るのは、後に知ることになる。
continue………