ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
今回は、本編の後日談です。
半分以上ふざけてますが、楽しんでくださいませw
これは、ウィリアム・ルードが過去に飛んだ時の記録である。
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エクセゴルの戦いから、1年が経った。
俺は母さんに託され、“スカイウォーカー”を見守っている。
そんなある日、レイの父親に呼び出されて、俺とレイ、ベンはロザルの再建されたジェダイ寺院に来ていた。帝国に破壊されたロザルのジェダイ寺院は、ルーク・スカイウォーカーや母さん、俺が一度も会ったことがないマスター・ブリッジャーの尽力で再建された。俺達は、そのジェダイ寺院に来ている。
前に母さんから聞いた話によれば、ジェダイ寺院は人によって見え方が変わるらしい。
呼び出された俺達は、レイの父親に意図を問う。
「君達を呼んだのは他でもない、マスター・レインにこのホロクロンを届けてほしいからだ。」
その手には、ジェダイ・ホロクロンがあった。
レイの父親曰く、その手にあるホロクロンには鍵があり、鍵の正体、開け方は母さんにしか分からないという。そのホロクロンは母さんが俺達やルーク・スカイウォーカーに教えなかった、モーティスの座標が記されているらしい。
だが、母さんは既に故人だ。
「どうやって母さんに接触する?宇宙のフォースに呼びかけたところで、母さんが教えてくれるとは思えない。」
「私もそう思う。それに、アリスがモーティスは普通じゃないと言っていたわ。」
「ファースト・オーダーや帝国も辿り着けなかった。本当に存在するかどうかすら怪しいな。」
誰が聞いても、母さんはモーティスへの行き方は教えてくれなかった。フォースの強いモーティスに踏み込んではならない、と。だが、俺達が母さんの期待に応える為には、フォースを知る必要がある。
「ロザルのジェダイ寺院には、時の狭間がある。そこから入るんだ。」
「まさか、本当に過去へ行けるのか?」
ベンの言葉に、俺とレイも彼を見る。
「行ける。君達がマスター・レインに会える嬉しさは分かるが、気を付けてくれ。決して正体を明かすな。君達の存在が消える可能性もある。」
「私達の存在?」
「そうだ。例えばルード議員とマスター・レインが結婚しなかったら、どうなると思う?」
「俺が産まれない……」
「その通り。分かったか?」
俺達は頷く。
そこで、俺はふと疑問に思ったことを口にする。
「貴方は行かないんですか?」
「ウィリアム、この顔でマスター・レインに会ってみろ。間違いなく殺される。」
「確かに……」
母さんなら彼を殺しかねない。本当に皇帝が嫌いだからなぁ。真っ直ぐライトセーバーで襲って来そうだ。
レイの父親の指示に従い、俺とレイ、ベンは寺院に踏み込む。
しばらく歩いていくと、モーティスの神々が描かれた壁画の間に立ち止まった。俺達が扉の開け方に悩んでいると、近くに描かれているロズ=ウルフに呼ばれた。何度も振り返る狼達に、俺達は付いていく。
そして、狼が止まった。
狼達が見つめるところに手を伸ばすと、俺の手は岩をすり抜ける。
「なんで引っ込めるのよ?」
「いや、だってさ、現実的じゃないだろ。」
「御託はいい。ウィリアム、お前が行った方がいいだろう。俺達のことは産まれる前から知っているらしいからな。顔を知らないお前が適任だ。」
「ちょ、ベンてめぇ!押すな!!」
ベンに押され、俺は扉を潜り抜ける。
地面にキスした俺は、不思議な空間で起き上がる。言葉では言い表せない程広いその世界で、様々な声が聴こえた。母さんやマスター・スカイウォーカー、アナキン・スカイウォーカーの声も聴こえる。俺の知らない声も聴こえてくる。
無意識に、俺はある扉を目指していた。
「母さん……」
母を探し求め、俺は一つの円の前に立っていた。
その円は光り、向こう側に一人の少女が写る。少女が誰なのかすぐに分かった。彼女は、幼い日の母さんだ。
『アリス!またお前か!』
誰かの怒声が聴こえて、子供の母さんは顔を青くさせて逃げる。
母さん、一体何をやらかしたんだ?
『マスター、ストレスには身体を動かすのが一番ですよ?』
『そうか。ではアリス、道場へ来るのだ。』
『えっ』
俺の知る母さんと変わらなくて、なぜか安心した。
いや待て。成長してないってことじゃないか?母さん、師匠を煽ってる自覚ないのか?
そこで突然、向こう側の母さんに腕を掴まれる。
そんなの有りか?
「マジかっ……!」
俺は扉を潜り抜け、母さんと、母さんのマスターであるプロ・クーンの前に倒れ込む。
「いてぇ……」
「アリス、何をした?」
「なんか馬鹿にされてる気がしたので。で、あんた誰?」
「どうやって腕を掴んだ…?」
「え?何となく?」
起き上がって見回すと、俺がいるのはジェダイ聖堂の道場みたいだった。
母さんの髪には三つ編みがあり、まだパダワンであることを示していた。27歳の母さんを見慣れすぎて、逆に新鮮だ。まだアナキン・スカイウォーカーと出会ってないようだ。
鍛練の途中らしく、俺は2人にライトセーバーを向けられる。
「何者だ?」
「あー、えっと、俺はただのトラベラー?」
「なんで疑問系なの?」
「実は、貴女に用があって……」
俺はポシェットからホロクロンを取り出して、母さんに見せる。
「ホロクロン?」
「事情があるようだな。」
「はい。このホロクロンは、か…のじょしか開けられないみたいなんです。」
あっぶねー。母さんって言いそうになったぜ。
「開けていただけませんか?」
「無理!」
「即答かよ!?」
「だってホロクロンを使った覚えないし。」
母さんは俺にホロクロンを返すと、拒否した。
「アリス、話を聞いてやれ。」
「えー、じゃあ抉じ開ければ良くない?」
「わあああああやめろおおおおおおっ!!」
ライトセーバーで抉じ開けようとする母さんから、ホロクロンを取り返す。
この頃の母さんマジで何も考えてねぇ!!
「何でも壊せばいいというものではない、パダワン。」
「はーい……」
「すまなかった。どうやら力になれそうにない。」
「いえ、良いんです。ご協力感謝します。」
一歩下がると、俺は扉の前に立っていた。
扉の開け方が、直感的に分かってきた。俺が子供時代の母さんを探したから、扉はあの道場に繋がった。それなら、もう少し時を経た母さんが良いかもしれない。
例えば、クローン戦争終盤。
母さんが受けた呪いは、コルサントの戦いより少し前だ。シスの術を受けた後の母さんなら、もしかしたら開けられるかもしれない。
そう考えたら、扉は別の景色を写した。
『レイン将軍、マスターへの昇格おめでとう。』
『ありがとうございます、ルード議員。』
そこはどこかのオフィスで、母さんは父さんにお礼を言うものの、嬉しくなさそうだった。
あんなに虚しそうな母さんは初めて見る。
「母さん、ちゃんと女の子じゃんか。っと、あ、やべ。」
バランスを崩し、俺は扉を通って、若い両親の前にまた倒れ込む。
母さんは咄嗟にライトセーバーを構え、父さんを後ろに庇う。
「議員、下がってください。」
「………」
「何ですか?」
「彼、貴女に似てないか?」
そりゃそーだろうよ!あんたらの息子だからな!
なんて、言葉にはできないが、心で叫んだ。
「お邪魔してすみません。俺は敵じゃない。信じてくれ。」
「………嘘ではないみたいだね。」
母さんはライトセーバーを収め、警戒を解いてくれた。
パダワンの時と違って、状況察知ができるようになっているようだった。しっかり相手を見極めて、敵かそうじゃないか見分けていた。パダワン時代の母さんを見た後だと、成長したと少し感動した。
「レイン将軍、貴女にお願いが………」
「私?」
「はい。このホロクロン、貴女の所有物らしいんです。開けてください。」
説明が面倒になり、単刀直入に頼んだ。
「無理。」
「え!?」
「そのホロクロンは知らないから。私じゃ開けられない。」
「マジか…困ったな……」
「あ、そうだ!」
母さんはライトセーバーを再び取り出す。
嫌な予感がする。
「壊そう。」
「レイン将軍!ダメだ!」
父さんが慌てて母さんを押さえてくれた。
父さんありがとう!帰ったら何度もお礼を言おう!この父さんはまだ母さんと結婚してないけどな!
「見ろ、彼が真っ青な顔をしているじゃないか。」
「はーい……」
その表情を見て思った。
この人パダワンの頃から何も変わってねぇ!!
「そういうわけだ。すまないな。」
「いえ……」
なんで父さんが謝るんだ?マスター・プロといい父さんといい……
一歩下がると、また扉の前に立っていた。
あの時代もダメか。だったら、俺が産まれた後か。いやいや、それだと素性がバレる。
最後の望みを懸け、俺はある時代を選んだ。
『さよなら、アナキン。』
燃え尽きたダース・ヴェイダーの傍らに、母さんは屈み込んでいた。
俺は意を決して、扉を抜ける。
「マスター・レイン、はじめまして。」
「誰……?」
「俺は……ただのトラベラーだ。」
「それは分かる。あんたは誰?」
明らかに、今まで見た母さんと違う。皇帝が倒された今、母さんは解放されたも同然。更にルーク・スカイウォーカーを鍛えたことで、母さんは最高のジェダイ・マスターになっている。
その母さんは、何かを感じ取っている。
「貴女の所有物である、このホロクロンを開けてほしい。」
「………」
「このホロクロンを知らないんですね。」
「知らない。けど、事情があるなら話して。少しは手を貸す。」
考えた末に、俺は一部を明かすことにした。
「俺は、遠い未来から来ました。その未来でこのホロクロンが必要で、開けることができるのは、貴女だけ。どうか開けていただけませんか?」
「未来の私は、何も教えなかったの?中身は?」
「中身は………知りません。」
嘘を吐いた。
モーティスに関する情報だと知れば、開けてもらえないかもしれない。そう思ったら、嘘を吐いてしまった。何としてでも開けてもらわなければならない。
「未来の貴女は、その情報をあの世に持っていきました。」
「そう……なら、開ける気はない。」
「えっ!?困ります!」
「私が教えなかったということは、必要ないと判断したからだと思う。その情報、本当に必要?」
どうしても必要だ。母さんの意志を継ぐには、モーティスに行く必要がある。俺達は、まだ未熟なのだから。
「必要です。」
「分かった。ただし、フォースの導きに従うと約束して。」
「約束します。」
母さんは頷くと、ホロクロンを手に取る。
何かを思い浮かべているようで、俺はそれを呆然と眺める。
「因みに、鍵は何なんですか?」
「あぁ、簡単だよ。錠はイメージで、鍵は私の推し。」
「お、推し?」
「私の前世のことは聞いてるでしょ?」
「確か……」
「キャプテン・レックス。」
何だそれ、そんな単純な鍵だったのか。
ホロクロンは音を立て、母さんの手の平で開く。ホロクロンをはメモリークリスタルのデータを映し出した。母さんはそれを見て、表情を翳らせる。
「一つだけ教えて。私はあんたとどういう関係?」
「答えられません。」
「………」
「強いて答えるなら、俺は貴女の弟子でした。」
「過去形……?」
「どんな弟子も、師の下から巣立ちます。マスター・スカイウォーカーのように。」
母さんはホロクロンを閉じて、俺に差し出す。
「もう帰って。ダンタムが来る。」
「ありがとうございます、マスター・レイン。」
「ねぇ」
背を向ける俺に、母さんが声をかける。
「フォースと共にあれ。」
「フォースと共にあらんことを。」
扉を潜って、俺は元の空間に戻った。
これは勘だが、母さんは俺の正体に気付いているかもしれない。そうでなければ、ホロクロンを開けてくれなかっただろう。母さんは、やはりジェダイだ。
狭間の世界を出ると、レイとベン、レイの父親が待っていた。
「ホロクロンを開けることができたようだな。」
「はい。」
ホロクロンを開けて見せると、彼は安心したような表情をする。
「君達で行くといい。」
「え?」
「お父さん……?」
「なぜだ?」
「君達3人の絆を知ったから、マスター・レインは開けてくれたんだ。私はその輪の中に入っていない。」
彼の言葉に、俺達は頷き合う。
ジェダイ寺院の外にあるシャトルに乗り、ホロクロンをナビに繋げる。ベンがハイパードライブのレバーを押して、船は光速空間に入った。
俺達は新たな朝の為に、モーティスへ向かう。
新たな朝は、新しい世代へと続く。
continue……