ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

31 / 95
皆様、こんにちは。
今回もリクエスト回です!

長くなりそうだったので、分けましたw
どうぞお楽しみくださいませ!


【リクエスト回】ウィリアム・ルード【前編】

これは、ウィリアム・ルードが誕生した際の記録である。

 

────────

 

予期できなかったことが起きた。

 

 

「おはよう!」

「眠り過ぎじゃないか?」

「え?そう?」

 

 

陽が一番高い位置に昇っていて、もうお昼過ぎだった。

 

ジャクーの戦いから2年半が経ち、私とダンタムはナブーで隠遁生活を送っていた。

 

そんな中、私はここ数日、睡眠時間が増えている。風邪でもなければ、どこかを負傷しているわけでもない。至って健康である。

 

昨日は早い時間から就寝したのに、お昼過ぎまで眠っていた。

 

何が何だか意味が分からない。

 

 

「アリス、心当たりはあるか?」

「全くない。」

「………本当か?」

「本当だよ!」

 

 

少し熱っぽい気がするけど、それは寝起きだから仕方ない。だけど、この眠気は意味が分からない。ここ半年、特に戦ったこともなかった。

 

 

「レイアに相談してみる。」

「席を外した方が良いか?」

「いいえ、隣にいて。」

 

 

レイアにホロ通信を繋ぐと、すぐに出てくれた。

 

近況を一通り話した後、ダンタムがレイアに私の過眠のことを話す。私からも、特に心当たりもないことを伝えた。それから眠気をどうにかしたい、と。

 

もしかしたら、感染症の一種かもしれないと悩んだ。

 

もしそうなら、元老院にいるレイアに情報を聞く方がいい。

 

 

「感染症とか流行ってないよね?」

『今のところはないわ。』

「違うよね。良かった……」

『………ねぇ、アリス』

「ん?」

 

 

何か分かったのか、レイアは重々しく口を開く。

 

 

『一つだけ心当たりがあるわ。』

「本当か、姫?」

『ええ。でもその前に、ルード議員は席を外していただけませんか?』

「深刻なのか……?」

『まずはアリスに確認したいことがあるのです。』

「分かった。」

 

 

そう言って、ダンタムは外へ出て行く。

 

静かになった後、レイアはようやく話し出す。

 

 

『アリス、最後に生理が来たのはいつ?』

「………」

 

 

その質問に、自分の身に何が起きたか気付いた。

 

まだ確かなことは言えないけど、可能性はある。シディアスというストレスもなくなって、条件が良かったからかもしれない。とりあえず、検査してみないと何も分からない。

 

 

「レイア、極秘に医療ドロイドを借りられる?」

『どうして?共和国の設備なら……』

「お願い。」

『分かったわ。ルード議員とシャンドリラに来てくれる?』

「了解。」

 

 

通信を切り、外にいるダンタムを呼び戻す。

 

旅の準備をしながら、夫であるダンタムに可能性の話をした。それから、計画の話もする。あの計画も、少し変えなければならない。

 

 

「アリス、良いことだろう?」

「そうだけど……子供をジェダイにしたくない。」

「だが、間違いなくフォース感応力を受け継ぐ。そのままにはできない。子供を悪用する者も出てくるはずだ。」

 

 

それは分かっている。

 

何より、私自身がよく理解している。他者を利用するような、シスのような存在もいる。シスが滅んだとは言っても、シスを崇拝するカルト組織がなくなったとは言い切れない。

 

 

「ダンタム、フォースの意志に従うよ。必要なら、その時にジェダイの訓練を付ける。」

「では、君の計画は……」

「変える。」

 

 

ジェダイやシスの概念が、フォース感応者の未来を左右する。新しい世代には、自分で道を選んでほしい。その為に、どうやって歴史を断ち切れば良いのか、未だに分からない。

 

私の子供や、遠い未来で出会うレイ、レイアとハンの息子、全てのフォース感応者の運命を変えたい。

 

 

「フォース感応者に、選択肢を広げたいの。」

「どうする?」

 

 

考えをまとめて、私なりに出した答えを言ってみる。

 

ダンタムはその答えを聞いて、反対した。

 

 

「その計画では君が、」

「お願い、ダンタム。私達の子供が暗黒面に呑まれるのは、絶対に嫌。」

「この話は保留にしよう。姫の意見を聞いてからだ。」

 

 

民間のシャトルに乗り込み、私とダンタムはナブーの首都を発つ。

 

道中、私達はほとんど会話をしなかった。

 

会話をしないというより、私がダンタムから離れていた。口を開けば、弱音を吐いてしまいそうだった。ダンタムに弱さを見せることができても、今は見られたくない。

 

ハイパースペースを抜けて、民間のシャトルはシャンドリラの発着場に降りる。

 

 

「ようこそ、シャンドリラへ。」

 

 

首都惑星がコルサントからシャンドリラに変わり、私がいる街も昔より賑わっていた。

 

 

「アリス、重いものを持つな。」

「え、自分で持つよ。」

「ダメだ。」

「あっ」

 

 

荷物を奪われて、ダンタムは一歩前を歩く。

 

元老院ビルに着き、レイアが私達を出迎える。私が浮かない顔をしていることに気付き、ダンタムを見る。彼が事情を話せば、レイアは難しい表情をした。

 

 

「とりあえず、中に入りましょう。」

 

 

レイアに続いて、私達はエレベーターに乗り込む。

 

まず着いたのは、医務室だった。

 

医療ドロイドの指示に従って、私は診台に横になる。それから腹部をスキャンして、データを解析する。更に細かく解析され、ドロイドは結果をモニターに映す。

 

 

「妊娠されています。推測5週目です。」

「やっぱり……」

「胎児は順調に育っています。激しい運動や、ストレスは控えるようにしてください。」

「ドロイド、今の記録を消すように。」

「はい、ルード議員。データクリア……完了。プリンセス・オーガナ、何か御用は?」

「ないわ。ありがとう。」

 

 

医療ドロイドが出て行き、医務室は静かになる。

 

最初に口を開いたのは、レイアだった。

 

 

「アリス、貴女はどうしたいの?」

「計画を変える。けど、ダンタムが反対して……」

「君が倒れる計画なら、反対するに決まっているだろう。」

 

 

レイアが私の変えた計画を聞くと、ダンタムのように反対された。

 

診台から起き上がって、私はレイアを真っ直ぐ見返す。

 

 

「どうしてそこまでして……」

「私は、物心ついた頃からジェダイとしての生き方を叩き込まれた。でも、もうオーダーはない。フォース感応者が、ジェダイやシスに左右される未来は見たくない。この子の未来も……」

 

 

お腹の子も、いつかはジェダイになると言うはずだ。私の話を聞いて、どう思うかは分からない。ただ私というジェダイのせいで、子供の道を塞ぎたくない。

 

 

「お願い、レイア。未来の為に。」

「ルード議員……」

「妻は一度決めたことは譲らない。だがアリス、君が倒れそうになったら容赦なく止める。良いな?」

「ありがとう、2人共。」

 

 

その後、安定期を経て臨月を迎えた。

 

出産はモスマ議長とレイア、そしてダンタムの3人が立ち会った。医療ドロイドが子供を取り上げ、無事に息子が産まれた。息子を抱いた瞬間、“ウィリアム”がジェダイになるヴィジョンが見えた。

 

この未来を変える為に、私達は静かに計画を進めた。

 

え?出産中?ハンへの文句しか言ってないよ?

 

 

→next

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。