ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
今回もリクエスト回です!
長くなりそうだったので、分けましたw
どうぞお楽しみくださいませ!
これは、ウィリアム・ルードが誕生した際の記録である。
────────
予期できなかったことが起きた。
「おはよう!」
「眠り過ぎじゃないか?」
「え?そう?」
陽が一番高い位置に昇っていて、もうお昼過ぎだった。
ジャクーの戦いから2年半が経ち、私とダンタムはナブーで隠遁生活を送っていた。
そんな中、私はここ数日、睡眠時間が増えている。風邪でもなければ、どこかを負傷しているわけでもない。至って健康である。
昨日は早い時間から就寝したのに、お昼過ぎまで眠っていた。
何が何だか意味が分からない。
「アリス、心当たりはあるか?」
「全くない。」
「………本当か?」
「本当だよ!」
少し熱っぽい気がするけど、それは寝起きだから仕方ない。だけど、この眠気は意味が分からない。ここ半年、特に戦ったこともなかった。
「レイアに相談してみる。」
「席を外した方が良いか?」
「いいえ、隣にいて。」
レイアにホロ通信を繋ぐと、すぐに出てくれた。
近況を一通り話した後、ダンタムがレイアに私の過眠のことを話す。私からも、特に心当たりもないことを伝えた。それから眠気をどうにかしたい、と。
もしかしたら、感染症の一種かもしれないと悩んだ。
もしそうなら、元老院にいるレイアに情報を聞く方がいい。
「感染症とか流行ってないよね?」
『今のところはないわ。』
「違うよね。良かった……」
『………ねぇ、アリス』
「ん?」
何か分かったのか、レイアは重々しく口を開く。
『一つだけ心当たりがあるわ。』
「本当か、姫?」
『ええ。でもその前に、ルード議員は席を外していただけませんか?』
「深刻なのか……?」
『まずはアリスに確認したいことがあるのです。』
「分かった。」
そう言って、ダンタムは外へ出て行く。
静かになった後、レイアはようやく話し出す。
『アリス、最後に生理が来たのはいつ?』
「………」
その質問に、自分の身に何が起きたか気付いた。
まだ確かなことは言えないけど、可能性はある。シディアスというストレスもなくなって、条件が良かったからかもしれない。とりあえず、検査してみないと何も分からない。
「レイア、極秘に医療ドロイドを借りられる?」
『どうして?共和国の設備なら……』
「お願い。」
『分かったわ。ルード議員とシャンドリラに来てくれる?』
「了解。」
通信を切り、外にいるダンタムを呼び戻す。
旅の準備をしながら、夫であるダンタムに可能性の話をした。それから、計画の話もする。あの計画も、少し変えなければならない。
「アリス、良いことだろう?」
「そうだけど……子供をジェダイにしたくない。」
「だが、間違いなくフォース感応力を受け継ぐ。そのままにはできない。子供を悪用する者も出てくるはずだ。」
それは分かっている。
何より、私自身がよく理解している。他者を利用するような、シスのような存在もいる。シスが滅んだとは言っても、シスを崇拝するカルト組織がなくなったとは言い切れない。
「ダンタム、フォースの意志に従うよ。必要なら、その時にジェダイの訓練を付ける。」
「では、君の計画は……」
「変える。」
ジェダイやシスの概念が、フォース感応者の未来を左右する。新しい世代には、自分で道を選んでほしい。その為に、どうやって歴史を断ち切れば良いのか、未だに分からない。
私の子供や、遠い未来で出会うレイ、レイアとハンの息子、全てのフォース感応者の運命を変えたい。
「フォース感応者に、選択肢を広げたいの。」
「どうする?」
考えをまとめて、私なりに出した答えを言ってみる。
ダンタムはその答えを聞いて、反対した。
「その計画では君が、」
「お願い、ダンタム。私達の子供が暗黒面に呑まれるのは、絶対に嫌。」
「この話は保留にしよう。姫の意見を聞いてからだ。」
民間のシャトルに乗り込み、私とダンタムはナブーの首都を発つ。
道中、私達はほとんど会話をしなかった。
会話をしないというより、私がダンタムから離れていた。口を開けば、弱音を吐いてしまいそうだった。ダンタムに弱さを見せることができても、今は見られたくない。
ハイパースペースを抜けて、民間のシャトルはシャンドリラの発着場に降りる。
「ようこそ、シャンドリラへ。」
首都惑星がコルサントからシャンドリラに変わり、私がいる街も昔より賑わっていた。
「アリス、重いものを持つな。」
「え、自分で持つよ。」
「ダメだ。」
「あっ」
荷物を奪われて、ダンタムは一歩前を歩く。
元老院ビルに着き、レイアが私達を出迎える。私が浮かない顔をしていることに気付き、ダンタムを見る。彼が事情を話せば、レイアは難しい表情をした。
「とりあえず、中に入りましょう。」
レイアに続いて、私達はエレベーターに乗り込む。
まず着いたのは、医務室だった。
医療ドロイドの指示に従って、私は診台に横になる。それから腹部をスキャンして、データを解析する。更に細かく解析され、ドロイドは結果をモニターに映す。
「妊娠されています。推測5週目です。」
「やっぱり……」
「胎児は順調に育っています。激しい運動や、ストレスは控えるようにしてください。」
「ドロイド、今の記録を消すように。」
「はい、ルード議員。データクリア……完了。プリンセス・オーガナ、何か御用は?」
「ないわ。ありがとう。」
医療ドロイドが出て行き、医務室は静かになる。
最初に口を開いたのは、レイアだった。
「アリス、貴女はどうしたいの?」
「計画を変える。けど、ダンタムが反対して……」
「君が倒れる計画なら、反対するに決まっているだろう。」
レイアが私の変えた計画を聞くと、ダンタムのように反対された。
診台から起き上がって、私はレイアを真っ直ぐ見返す。
「どうしてそこまでして……」
「私は、物心ついた頃からジェダイとしての生き方を叩き込まれた。でも、もうオーダーはない。フォース感応者が、ジェダイやシスに左右される未来は見たくない。この子の未来も……」
お腹の子も、いつかはジェダイになると言うはずだ。私の話を聞いて、どう思うかは分からない。ただ私というジェダイのせいで、子供の道を塞ぎたくない。
「お願い、レイア。未来の為に。」
「ルード議員……」
「妻は一度決めたことは譲らない。だがアリス、君が倒れそうになったら容赦なく止める。良いな?」
「ありがとう、2人共。」
その後、安定期を経て臨月を迎えた。
出産はモスマ議長とレイア、そしてダンタムの3人が立ち会った。医療ドロイドが子供を取り上げ、無事に息子が産まれた。息子を抱いた瞬間、“ウィリアム”がジェダイになるヴィジョンが見えた。
この未来を変える為に、私達は静かに計画を進めた。
え?出産中?ハンへの文句しか言ってないよ?
→next