ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

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皆さんこんばんは、夭嘉です。

今回は、リコ様のリクエストです。
ストレンジ先生との共演になりますw

どうぞお楽しみください!


【リクエスト回】ジェダイとドクター【in NY】

既視感、その言葉が一番しっくりする。

 

今回は瞑想をしていたわけじゃない。じゃあ何をしていたかと言うと、旦那が愛用していたフライパンを真っ二つにしたから逃げていた。運が悪いことに、真っ二つにする瞬間を旦那本人に見られてしまった。

 

料理をリベンジしようと思ったんだけど、横着したらフライパンが二分しちゃったんだよね。

 

家を飛び出して、近くにある林を抜けようとしたら突然足が沈み、気が付いたらどこかの公園にいた。

 

 

「ここどこだー?」

 

 

夜で良かった。噴水に落ちた私はびしょ濡れだ。大の大人が何やってんだって話だもんね。

 

 

「ジェダイ・マスター、アリス・レイン。」

 

 

淡々とした声に振り向くと、赤いマントを羽織った中年男性がいた。

 

もしかしなくても、また事故?

 

 

「今回は意図的に呼ばせてもらった。」

「あんた誰?」

「私はドクター・ストレンジ。地球を守る為に、日々奔走している。レイン、手を貸せ。」

「ねぇ、それが人に頼む態度?」

 

 

ちょっと待った。“今回は”?つまり、前回も今回も、この人のせいでこちらの世界に来たってこと?

 

 

「全部あんたのせい?」

「前回は偶然だ。今回はワープホールを利用して、意図的に弄った。」

「あのさ、寒いから着替えさせてくれない?」

 

 

ストレンジは溜め息を吐くと、ゲートウェイと呼ばれる円状の入り口が開かれる。潜るように言われて進むと、どこかの屋敷だった。ストレンジに案内され、ジーンズとパンプス、Tシャツを渡されて、空き部屋に押し込まれた。

 

5分で着替えろって言われた、さすがに無理。

 

10分かけて部屋を出ると、ストレンジが冷めた目をしていた。

 

 

「あちらに馴染みすぎて、こちらの服を忘れたか?」

「馬鹿にしてる?」

「いいや、女は着替えに時間がかかると思ってな。」

「もういいよ。どこで私のことを知ったの?」

「以前、S.H.I.E.L.D.に接触しただろう?あそこのデータバンクから拝借した情報からだ。」

 

 

ハッキングではないかと思ったけど、考えるだけ無駄だから黙っておこう。

 

 

「それで、私を呼んだ理由は?」

 

 

別の部屋に通され、何枚かの写真を渡される。

 

そこに写っているのは、1人の老爺だった。

 

 

「オーディン?」

「そうだ、アスガルドのオーディンだ。彼を知っているか?」

 

 

知っているも何も、私はスターウォーズの次に、MCUシリーズも観ていた。インフィニティーウォーまでしか観てないけど、オーディンのことは知っている。ソーの父親で、全知全能の神。スターウォーズほど熱心に観ていたわけじゃないから、そこまで詳しくないけど。

 

 

「知ってる。私にどうしろと?」

「ロキの魔法を解け。お前なら簡単だろう。」

「ロキって、あのロキだよね。なんで私?」

「マインドコントロールを覆すのが、ジェダイではないのか?」

 

 

何この人、面倒臭い。無駄に頭がキレすぎでしょ。さすがは元医者なだけある。

 

 

「分かった。ただし、条件がある。」

「なんだ?」

「日本に行きたい。」

 

 

そんなこんなでストレンジにスーツを着せ、ゲートウェイを通って横浜に来た。

 

ニューヨークが22時で、時差計算すると日本は真昼間だ。つまり!お昼時!!

 

なぜ横浜か?だって、中華料理が食べたいんだもん!フライパンを真っ二つにしたのも、中華料理を再現しようとしただけだし!

 

 

「あ〜焼売美味しい〜」

「姉ちゃん、こっちの小籠包はどうだ?」

「戴きます!幸せ〜♪ほら、ストレンジも食べなよ。」

「誰の金だと思っている?」

「え?ストレンジのお金?」

「それに、中身は50代、」

「やめろ。」

 

 

盛大に溜め息を吐かれる。なぜだ。

 

 

「気は済んだか?」

「次は京都に、」

「あまり浮かれるんじゃないぞ。」

「だって、もう二度と来れないかもしれないじゃん。」

 

 

彼の仕事を手伝う前に、少しくらい楽しんでもいいよね。

 

京都へ行くのはやめて、某県境近くのお寺へ行って、静かな和室を借りた。まず実際のジェダイがどういうものか、それから話さなければならない。何より、私はいろいろ複雑な事情がある。

 

 

「ストレンジ、ジェダイの掟は知ってる?」

「愛情を抱くなってやつか。」

「そう、それ。ジェダイ・オーダーが滅んだとは言っても、私は破ってるんだよね。」

「結婚したのか?」

「うん。晴れて既婚者になりました。あれ?違うか……」

 

 

愛情のことも含めて、私が歩んできた人生を彼に話した。得たもの、失ったもの、学んだこと、変わったこと、全て。価値観も変わった。

 

今も、フォースの意志に導かれている。

 

全部話した後、ストレンジは優しげな笑みを見せた。

 

 

「あんたは強い人だ。」

「ありがとう。本題だけど、私が介入することを、フォースの意志は良しとしないかもしれない。どんな歪みが起きるか分からない。協力はするけど、万全の備えをしてもらうことが私の条件。」

「良いだろう。何が起きても、すぐに対処できるようにしておこう。」

 

 

協力関係は成立した。後はオーディンの下へ行き、ロキの魔法を解くだけ。その後は、ストレンジの手腕次第だ。

 

ゲートウェイを潜り、ロキがオーディンを放置したという老人ホームへと入る。

 

オーディンは椅子に座っていて、眠りかけていた。

 

 

「どうする気だ?」

「このまま眠ってもらおう。魔法を解くよ。」

 

 

ウトウトするオーディンを眠らせ、私は彼の手を握る。強い意志を送り込み、ロキの魔法を彼の身体から弾き出す。オーディンの目に生気が戻り、私とストレンジを見つめる。

 

少し驚いていたけど、オーディンは静かに口を開く。

 

 

「ドクター・ストレンジ、マスター・レイン、よくぞ助けてくれた。礼を言う。」

「あれ?私のこと……」

「お前がが私のことを知っているように、私もお前を知っている。」

「なるほど。」

 

 

オーディンは全知全能の神、私のことを知っていて当たり前だ。

 

 

「レイン、オーディンは九つの世界を見渡せるんだ。」

「知ってる。以前迷い込んだ私のことも、アスガルドから見てたんでしょ?」

「見ていたとも。だが、事は運命に任せた。私は何もしておらん。」

 

 

その時、何かが飛んできて、ストレンジが小さなゲートウェイをいくつか展開する。飛んできたのはナイフで、ストレンジの魔法で強襲者達に返された。襲撃者のリーダー以外はナイフに倒れ、私はオーディンの前に立つ。

 

弱ったオーディンを、戦わせるわけにはいかない。

 

襲撃者のリーダーは、映画で見たことがある。サノスの手下だ。

 

なぜここに?

 

 

「何者だ?」

 

 

ストレンジは襲撃者に問う。

 

 

「俺はサノスの“子”だ。お前の持つタイムストーンをもらいに来た。大人しく渡せ。さもなくば、女とジジイ諸共くたばることになるぞ。」

 

 

さり気無く馬鹿にされた?

 

私は戦力外らしい。こうなったら、私が一肌脱ぐしかないみたいだ。女だと思って、軽んじたことを後悔させてやる。

 

 

「ストレンジ、私がやる。」

「だが、フォースは、」

「フォースの技が使えなくても、認識範囲は常人より上だよ。」

「そうか。ならば……」

 

 

ストレンジの意図に気付き、私は敵を目掛けてジャンプする。だけど真っ直ぐ進まず、ストレンジのゲートウェイで奴の上から踏み付ける。不意を突かれた男は私を咄嗟に避け、回避した先で赤い紐のようなものに捕まる。

 

 

「油断しないで!」

「っ!?レイン!」

 

 

しかし、さすがはサノスの手下。簡単に脱出して、ストレンジを吹っ飛ばそうとする。あまり接近戦をしない彼を庇い、私は間に入って男の腕を捻り上げて捻じ伏せる。

 

痛みに呻く男に、ストレンジは感心する。

 

 

「予想以上の強さだ。」

「それはどうも。こいつ、どうする?」

「待て。」

 

 

オーディンが制止してきて、トドメを刺そうとしたストレンジを止める。その隙を突かれ、男は転送スイッチを入れて宇宙船へと吸い込まれていった。止めたオーディンを、ストレンジが訝しげに見る。

 

 

「逃げられると分かっていて止めたな。」

「左様。だがお前達が殺生すれば、最悪の事態を招く。アリス・レイン、ジェダイのお前なら分かるだろう。」

「仰る通りです。」

 

 

だから私は、自分から攻撃しなかった。

 

私はもう向こうの人間で、世界の流れを変えかねない。ここであの男を潰したら、良くないことが起こる気がした。オーディンも、それに気付いている。

 

 

「殺生が全てではない。だが、また私を助けてくれたことには感謝する。礼を言わせてほしい。」

「私は当然のことをしただけです。」

「私も同じだ。」

 

 

その言葉に、オーディンは笑みを浮かべる。

 

初めてストレンジと気が合った。似てないようで似ていて、似てないようで似ている。不思議な感覚だ。

 

 

「………」

「どうした、レイン?」

 

 

寂しげな顔をする私に、オーディンが優しく問う。

 

 

「帰りたいなぁって思って……」

「それにしては浮かない顔だな。」

「ここに来る直前、旦那に怒られちゃってね。いい加減、愛想尽かされたかも……」

 

 

帰りたいけど、気まずい。あれだけ言われたのに、またフライパンをダメにしたんだ。もう呆れられているかもしれない。

 

 

「心配いらん。彼はお前の為を思って、厳しいことを言ったのだ。本当に愛想を尽かしたのなら、心配などせん。」

「え……?」

「最愛の妻が消えたら、心配するだろうな。」

「ストレンジ……」

「私が手を貸そう。」

 

 

涙ながらにオーディンの力を借りて、ストレンジがゲートウェイを開いてくれる。

 

向こう側は、我が家だ。

 

 

「ストレンジ」

「なんだ?」

「ありがとう。」

「礼は不要だ。さらばだ、マスター・レイン。」

「さよなら、マスター・ストレンジ。」

 

 

続いて、オーディンの前に立つ。

 

 

「一つだけ教えてください。フリッガさんの得意料理は何ですか?」

「耳を貸してくれ。」

 

 

オーディンが耳打ちしてくれた料理に、必然を感じる。フリッガと旦那の得意料理は同じだった。やはり、私は旦那に愛されている。

 

帰ったらダンタムに謝ろう。

 

 

「ありがとうございます。」

「達者でな。」

 

 

ゲートウェイを潜り、私は我が家に戻ってきた。

 

オーディンの言う通り、ダンタムは突然いなくなった私を心配していた。心配させたことと、フライパンを真っ二つにしたことを謝り、彼も許してくれた。それから、もう心配させるようなことはしないと約束した。

 

私が得意なことで彼を、彼が得意なことで私を支える。背伸びする必要はない。それが夫婦だと、また一つ学んだ。

 

今回のことは、色々な意味で教訓になった。

 

ストレンジとオーディンに感謝しなきゃ。

 

 

〜オマケ〜

 

食卓にて。

 

 

「どう?」

「これの何が美味しいんだ……」

 

 

手土産の納豆は、旦那には大変不評でした。

 

解せぬ!!

 

 

continue……

 

 






眠れないし明日(時間的に今日)早番だし………
いやあああああああああああああ(発狂)

仕事なんかサボって執筆してたい……
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