ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
久しぶりのジェダイ(仮)編です!
こうして、ストーカー奮闘記が始まったのです笑
これは、アリス・レインが転生する前の記録である。
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時は21世紀、現代。
私はごく平凡な国で産まれ、ごく平凡に育ち、ごく平凡な大人になった。私は平凡なOLになり、平凡な人生を送っている。唯一の悩みは仕事くらいだ。
今日も親友と約束をしていて、ファミレスへと向かう。
「久しぶり!」
「本当に久しぶりじゃん!早く入ろ!お腹空いた!」
「あんたダイエットは?」
「ダイエット?誰が?」
「やっぱ何でもないわ。」
私はそこまで大食いではないけど、親友は大食いだ。スターウォーズという趣味は分かるけど、食い倒れはマジで理解できない。一度付き合ったことがあるけど、吐きそうだった。
まぁ、本人が良いならダイエットしなくても良いでしょ。
ファミレスに入って、私達は早速注文をする。
「ご注文はお決まりですか?」
「私は明太パスタで。」
「私はミートドリア。あとドリンクバー2つ。」
「畏まりました。」
店員さんが厨房へ戻り、私と親友はメロンソーダとコーヒーを席に持っていく。
「クローンウォーズのファイナルシーズン観た!?」
「観た!もちろん!レックス素敵だった!!」
「あんたねぇ……レックス以外にも魅力的なキャラはいるでしょ?」
「だって!レックス優秀だしカッコイイじゃん!」
私の推しは、クローン・キャプテンのレックスだ。対する親友はカイロ・レンで、本当に好みが正反対だ。私は共和国側が好きだし、親友は分離派や帝国、ファースト・オーダーが好きだった。
分離派や帝国の情報を覚えたのは、親友のお陰と言っても過言じゃない。
「ねぇ、一つ言っていい?」
「何?」
「レックスってクローンじゃん。約320万ユニット製造されてる内の1人じゃん。同じ顔が320万人も、」
「やめて。」
そんなことは分かってる。
クローンは早老だし、歳下だって分かってるよ。320万ユニット製造されているし、みんなジャンゴ・フェットのクローンだってことも分かってるつもり。
でもさ、ジェダイを推したところで、恋は成就しない。愛情が禁忌なら、両想いにはなれないんだから。ジェダイが好きになってくれることはない。
それなら叶わぬ恋より、近い恋の方が良くない?
って、親友に何千回も説明した。
「そういえば、最近アクアマン観たんだけど、アクアマンのパパがどこかで観た顔って思ったら、テムエラさんだった。」
「あ!知ってる!私も10回観て気付いた!」
「10回目で気付くの!?」
そこへ料理が運ばれてきて、私達は更に盛り上がる。
「それで?肝心の愚痴は?」
「それがさー!聞いてよ!」
仕事の愚痴を話し、いつも通りスターウォーズの話に戻って、現実逃避をする。
これが日常だった。
「私さ、スターウォーズって哲学だと思うんだよね。」
「急にどうしたの?」
親友は突然真剣に話し出す。
「ジェダイって、恋しちゃダメじゃん?でも、例外的に結婚を認めることもあるし、難しいよね。」
「そう?政略結婚とか結構ありそうだけど。」
「ジェダイだからそういうのに縛られないと思うし、ズルい立場だよね。」
「ズルい、ねぇ。」
そこでメールが来て、私はスマホを開く。
送り主は上司で、早めの出勤を要請するものだった。いつもは朝9時出勤だけど、明日は1時間早く出勤してほしいと書いてある。
残念だけど、早く帰らなきゃ。
「ごめん。明日の出勤早くなった。そろそろ帰らないと……」
「いいよ。私も明日デートだし♡」
「いつ彼氏できたの!?」
「先月♡」
もちろん祝福するけど、羨ましい。ここ数年彼氏いないし、私も恋人欲しい。仕事が忙しくてエピソード9も中々観に行けないし、親友が本当に羨ましい。
ファミレスを出て親友と別れた後、私はコンビニに寄ってビール(500ml)と枝豆(冷凍)を買って帰路に着く。
今年28で、仕事が彼氏なんて認めたくない。
「あー、だるぅい。」
車の鍵を閉め、バッグと袋を提げて階段を登る。
私の住む家はアパートで、3階建ての3階にある。階段を登り終わろうとしたところで、キーケースが手から落ちる。階段から降りたくなくて、私は横着して手だけ伸ばした。
当然バランスを崩すわけで、私の身体は重力に従って傾いていく。
「う、うそ……!」
手摺りを掴もうとするも届かず、馬鹿なことに私は買い物袋から手を離せなかった。落ちることを覚悟して、私は受け身を取ることにした。無傷は無理でも、捻挫や打撲くらいで済むだろう。
ところが、それは甘い考えだった。
次の瞬間、私は目を瞑り、目を開けた時にはどこかの家の部屋にいた。
「アリスー!」
「な、何!?」
後ろから抱き付かれ、驚いてしまう。
「どうしたの?」
「何でもない……」
周りを見渡すと、私の他にも子供がいた。なぜここにいるのか分からず、私は外を見る。窓を覗いた途端、唖然となった。
車が空を飛んでいて、高層ビルがたくさんある。
ここ、ニューヨーク?
私の身体も縮んで、反射する窓で自分を見ると、茶髪に染めたはずの髪は黒く、顔も変わっている。
それに、あちこちから気配を感じて気持ち悪い。見えないところの状況も分かって、一気に怖くなった。でも動揺してはいけない気がして、必死に怖くないふりをする。
「アリス・レイン、どうしました?」
「いえ、何でもありません。」
顔が緑色の女性に呼ばれて、私は慌てて取り繕う。
冷静になって、ようやく理解した。
私はスターウォーズの世界にいる。緑色の肌の女性は、ルミナーラ・アンドゥリだ。つまり、私はジェダイの卵だ。
あー、じゃあさっき出て行ったメロンパンはヨーダか!
ん?待てよ?私がジェダイに?
………人生終わった。
こうして、波乱の人生が幕を開けた。
この先、ストーカーに悩まされるなんて知る由もなかったのだった。
continue……