ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

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リスカって、R15指定ですよね?w
一応R15表記付けましたw

閲覧にご注意ください汗












トライアルを乗り越えろ【R15】

これは、アリス・レインがパダワンを卒業した際の記録である。

 

────────

 

マスター・クワイ=ガンの火葬が終わり、私はマスター達と共に船に乗った。

 

戻り次第、私はトライアルを受けることになる。急かされているとはいえ、簡単なトライアルなわけがない。他のジェダイと同じようにトライアルを受けるだろう。

 

船がコルサントに到着したことを知り、私は思わず逃げてしまった。

 

狭い倉庫に入って、マスター達が降りるのを待つ。

 

 

「アリス」

 

 

当然、呆気なく見つかった。私を見つけたのはオビ=ワンで、倉庫に入ってきて隣に座る。今はオビ=ワンが鬱陶しくて、距離を取った。

 

 

「アリス、逃げてばかりでは何も変わらないぞ。」

「あんたは良いよ。シスを1人倒したから、異例のパダワン卒業だもん。私は尻叩きだからね。」

「言葉が、」

「汚くて悪かったね。でも、本当のことだよ。私に責任感がないから……」

 

 

責任感がないのは、自覚ある。

 

オーダー66が怖くて、パダワンのままでいたいと思っているのだから。銀河の平和に対する責任は、ほぼ持ち合わせていない。

 

それなら、もう逃げるしかないじゃん。

 

 

「自覚があるなら、勇気を持て。お前がナイトになれば、もう何も言われない。1人のジェダイなんだ。従うだけがジェダイじゃない。」

「マスター・クワイ=ガンを見てきたからそう言ってるの?」

「まぁな。アリス、いつでも相談に乗る。だから自分を過小評価するな。」

 

 

オビ=ワンが立ち、手を差し出す。

 

渋っていると手を掴まれ、私は腕を引かれて立たされた。

 

 

「マスター・プロが待っているぞ。」

「頑張る……」

 

 

オビ=ワンに連れて行かれ、私は聖堂のプラットフォームへと降りる。ハッチを降りると、マスターが待っていた。オビ=ワンが去っていき、私はマスターに促されて後を追う。

 

 

「マスター、ごめんなさい……」

「咎めはしない。これはお前の問題だ。シャトルに乗れ。」

「え?トライアルは聖堂でやるんじゃ……」

「アリス、お前は特別だ。」

 

 

シャトルに乗ると、マスターはエンジンを立ち上げて、船はあっという間にコルサントを離れる。

 

座標を入れてハイパースペースに突入した後、私とマスターは向かい合って座る。

 

 

「特別って、どういうことですか?」

「R7に、お前の行動を見せてもらった。待てと言われたのに勝手に動き、クワイ=ガンが死んだ時も深く悲しんだ。今までのパダワンとは違う。普通のトライアルでは何も変わらないだろう。」

「………」

「故に、ジェダイ寺院を試練の場に選んだ。」

「ええっ!?」

 

 

15歳の小娘を自立させる為に、わざわざ寺院でトライアルを行うという。

 

オビ=ワンだけでなく、私も異例だ。

 

 

「寺院でなければダメですか?」

「なぜ嫌がる?」

「だって、寺院って化けて出るんでしょう?遥か昔のマスター達とは戦いたくないですよ。」

「だが、避けられない試練だ。私には何もできない。寺院は何が起こるか分からない。道は自ら切り開け。」

 

 

話には聞いていたけど、どうしても恐怖を抱いてしまう。一人前のジェダイになるには、5つの試練をクリアしなければならない。それを寺院でやるとなれば、過酷なものになるはずだ。

 

私には耐えられる自信がない。

 

 

「あー…着いちゃった………」

 

 

ハイパースペースを抜けた先には、私の出生地とされるオルデランがあった。

 

シャトルが着陸し、私達はオルデランのジェダイ寺院を目指す。

 

寺院に近付くにつれて、私の緊張は増すばかりだった。

 

前世の概念と知識、記憶を持つ私が、ジェダイになれるか怪しい。フォースの意志が認めてくれるか分からない。そんなことばかり考えている。

 

寺院の入り口に辿り着き、一歩中に入ると、マスターは私1人で進むように促す。

 

 

「え!?マスターが見ているんじゃなくて!?」

「これはアリス、お前の試練だ。1人で乗り越えろ。」

「えぇ…じゃあマスターは何を?」

「私はお前を信じて待つだけだ。」

 

 

信じる?失敗して戻らないかもしれないのに。

 

 

「私は至らない弟子なのに、どうして信じられるんですか!?戻らないかもしれないんですよ!!」

「それでも信じて待つ。弟子を信じられなければ、師にはなれない。信じているから、お前にトライアルを受けさせたのだ。」

「分かりました。私もマスターを信じます。」

 

 

寺院の奥にまた一歩入ると、重たい石扉が下りてくる。

 

 

「やだっ……!」

 

 

こんなの聞いてない。

 

石扉を背にして、私は寺院の奥を眺める。

 

その先の通路の奥からは、水の音が聴こえる。水の音と、何かの囁き声が聴こえる。ゆっくりと進むと、広い空間の中一面に広がる滝があった。すぐそこが滝壺で、滝は2つに割れて、私の足元から割れ目まで道が続いている。

 

天井にはジェダイ・オーダーのシンボルマークが描かれていて、そのマークが今いるのは寺院だと思い出させる。

 

 

「進まなきゃだよね……」

 

 

滝の奥へ続く道を進み、また広い空間へと出た。

 

そこには何もなく、その部屋も私が入ると水流の割れ目はなくなった。

 

 

『未熟な者よ、怖ろしいか?』

 

 

これがお約束なら、私は否定しなければいけない。

 

 

「いいえ。」

『ならば、お前を妨げる者はいないだろう。先へ進むと良い。』

 

 

声がそう言って、私は更に奥へと進む。

 

私を待ち受けていたのは、真っ黒なマントを着た、マスクを着けた男だった。

 

 

「侵入者……?」

『否。我が名はレヴァン。シスの暗黒卿だ。』

「嘘…冗談だよね……?」

 

 

私の問いに対し、レヴァンは無言で赤いライトセーバーを起動する。

 

ダース・レヴァンは元々はジェダイで、最年少グランド・マスターのサティール・シャンも彼の血を引いている。大昔の、それも名のある元ジェダイ、あのレヴァンと戦うなんて無理だ。いや、戦いにすらならないだろう。

 

 

『お前の恐怖を感じる。』

「分かりきったことを言わないでよ!」

 

 

私はライトセーバーを起動させ、レヴァンに切りかかる。

 

その太刀筋は呆気なく払われ、私はその場から逃げてしまった。走って逃げた先は最初に入った滝の遥か上の崖で、行き止まりだった。足元に流れる水が、恐怖と相まって芯まで身体を冷やす。

 

 

『腰抜けめ。』

「っ…!ああっ……!」

 

 

滝壺に飛び込もうとすると背中を切られ、あまりの痛みに蹲る。

 

幻影のはずなのに、切られるなんて反則だ。

 

 

『お前のマスターは、弟子を甘く見ていたようだ。』

「マスターは悪くない!私が不出来なだけだから!」

『そうだ。プロ・クーンは弟子を1人失うことになる。』

 

 

ダメだ。試練を乗り越えないと、私を信じたマスターを裏切ることになる。ジェダイになれなくても、マスターを裏切りたくない。

 

 

『ならば、どうする?』

「戦う!」

 

 

背中の痛みに耐えながら、レヴァンの剣撃を必死に防ぐ。

 

次々に来る剣撃に、私は徐々に壁へ追い詰められていった。

 

 

『大人しく降伏しろ。さもなくば、お前はマスターを失うぞ。』

「これは寺院が見せる試練でしょ?そんなの信じない。」

『本当にそう思うか?』

 

 

レヴァンは懐から小さな端末を取り出すと、それを私に掲げて見せた。

 

訳が分からず、レヴァンに意味を問う。

 

 

『お前のマスターは今朝、ナノ爆弾を飲み込んだ。これを押せば、プロ・クーンが死ぬことになる。』

「それも、」

『試練だと思うか?』

「やめて!!」

 

 

スイッチを押そうとするレヴァンを、慌てて止める。

 

試練だと思っているのに、押されたくなかった。

 

 

『どうした?試練だと信じているんだろう?』

「もし私が間違っていたら、マスターは死ぬんでしょ?私のせいで死ぬなんて耐えられない。」

『では降伏しろ。』

「………降伏する。」

 

 

ライトセーバーを渡し、レヴァンの前に跪く。

 

だけど、それだけでは終わらなかった。

 

 

『このナイフで腕を切れ。』

「は?」

『早くしないと、マスターが死ぬぞ。』

 

 

私はナイフを受け取り、黙って両手首を切る。

 

血が止め処なく流れ、すぐに感覚がなくなった。

 

 

『それで良い。』

「まだ諦めない。」

『何……?』

 

 

フォースで端末を奪い、すぐに踏み付けて破壊する。これでもうスイッチは押せない。マスターも無事だ。

 

 

『信号の切断で、爆弾が起動するとは思わなかったのか?』

「それはないね。」

『なぜそう言い切れる?』

「マスターはそんなヘマしない。私はマスターを信じてる。あとは、目の前のあんたをどうにかするだけ。」

 

 

試練なら、これが最善の道だ。

 

爆弾なんてハッタリだ。でもレヴァンに油断はない。それなら、強引に油断させるしかない。

 

私が弱ったふりをすれば、油断してくれるはずだ。

 

 

『っ!!』

 

 

吹っ飛ばされたライトセーバーをフォースで引き寄せ、テレキネシスで起動させる。フォースで起動したライトセーバーは、レヴァンを背後からプラズマの刃で貫いた。レヴァンは膝をつき、壁に倒れる。

 

 

「私の勝ち。」

『何か勘違いしているな。』

「何が?」

『ジェダイにとって、勝ち負けは重要ではない。』

「っ!!」

 

 

天井が崩れてきて、私は慌てて逃げる。部屋を飛び出し、滝を目指して走り続けた。時々転ぶけど、何度も立ち上がって脚を動かし続けた。

 

滝を抜けた先は天井に異常はなかったけど、それでも足は止めなかった。

 

肝心の恐怖は、レヴァンに一矢報いてから消えていた。

 

今は恐怖はないけど、マスターを人質にされるのは堪らなく怖かった。

 

マスターが人質にされることはほぼないと思うけど、もし人質にされたら、マスターを捕らえた相手と戦わなければならない。そんな相手と戦うのは怖い。今回のような状況なら、私は迷わずマスターを助けに行くだろう。

 

マスターとの別れに対する恐怖はなくても、また別の恐怖が生まれる。

 

恐怖に向き合うには、勇気がいる。

 

 

「アリス!!」

 

 

最後の扉を抜け、ようやくマスターを見つけた。

 

その安心感に、ホッとしてマスターの前に倒れ込む。マスターは咄嗟に抱えてくれて、私はシャトルに運ばれていく。試練が終わったのだと安堵して、目を閉じる。

 

次に目を開けた時には、私はバクタ・タンクにいた。

 

治療が終わった私は、トライアルを合格した旨を聞いた。三つ編みをライトセーバーで切り落とされて、儀式は行われた。私はパダワンを卒業し、晴れてナイトになった。

 

喜ぶところなのに、どうしても喜べない。

 

これから待っているのは戦争、ジェダイの粛清、暗黒の時代だ。今よりもっと悪いことが起きる。簡単には逃げられない。

 

レヴァンの言葉も、まだ理解できていない。

 

いつか、分かる日が来るのだろうか。

 

ジェダイとして生きることが不安だ。

 

 

continue……

 

 

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