ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
7ABY……
私は“新共和国”の依頼で、帝国軍残党の対処を手伝っていた。
休戦協定で、帝国軍は外縁部に留まることを決められた。大抵の将校やトルーパーは協定に従ったけど、守らない者もいる。協定に納得しない者や、権力に縋る者もいる。
新しい銀河元老院の悩みの種だ。
「え、何?危険?何当たり前のこと言ってんの?」
連れてきたR7-D4が、訪れた惑星で焦ったバイナリーを発する。
私が受けた依頼は、新共和国が手に負えない問題が主だった。
新共和国を認めない将校は、武力で星を制圧していたりする。惑星の代表は人質を取られたり、賄賂などで侵略を許してしまっている。そういう星に、ジェダイである私が派遣された。
ルークはオーダーの再建で忙しく、動けるジェダイは私しかいない。
今回訪れた惑星も、星を治める伯爵が殺されて支配されていた。
当然、新共和国軍は干渉できない。この星は帝国に無理矢理統治された後だったから、新共和国にも良い顔はしなかった。だから、表立って助けることはできないんだ。
私はフードを深く被り、路肩にあるスピーダー・バイクに近付く。
「おい、何をしている?」
「道に迷って……」
「賞金稼ぎか?」
「まぁ、そんなとこ。」
「用が済んだらさっさと出て行け。」
「はいはい。」
首都を警備するストーム・トルーパーが、私に威嚇する。
ストーム・トルーパーじゃダメだ。新共和国ができたばかりで、神経質になっている。今回は違うやり方にしよう。
クローン戦争時代や帝国時代とは違う。
私は私のやり方を選ぶ。
「すみません、一晩泊めてくれませんか?」
寂れた宿屋に入って、60代くらいの男性のオーナーに声をかける。
「お嬢さん、一人旅かい?」
「はい。有り金も少なくて。一晩で良いので、ベッドを貸してください。」
オーナーは私の身なりを見た後、部屋を用意してくれた。
今の私はジェダイ・ローブではなく、誰でも着てるような服で、地味なマントを着ている。アーマーは1つも着けていなくて、持っているのはライトセーバーと、旦那から贈られたアームカフだけ。
そんな私は本当に金がないと思われたのか、オーナーは善意で部屋を貸してくれた。
「あんたのような若いお嬢さんが一人旅か。危なくないかい?」
「平気ですよ。自分の身は自分で守れますから。」
ドアを閉め、私はマントをソファーに置く。
部屋で観れるホロネットを点け、その脇でパネルを開いた。この星の経済状況や渡航記録など、情報を粗方見ていく。R7にセキュリティを解いてもらい、伯爵の通信ログも見る。
見た感じでは、この侵略には裏がある。
まぁ、想像はつくけど。
「R7、少し休むから、あんたもスリープモードに入っていいよ。」
R7から了解を聞いて、私はベッドに横になる。左半身を下にして、目を閉じた。風の音を背景に、私はサイドテーブルにポシェットを置く。
何時間か経った頃、誰かが部屋に入ってくる気配で目を覚ました。
だけどあえて起きずに、私は寝たふりをして様子を見る。
「……」
入ってきたのは、オーナーだ。
オーナーは、私が肌身離さず持っている腰のヒルトに視線を向ける。何か迷っているみたいだったけど、すぐに決断したようだった。
彼は私の腰に手を伸ばし、ゆっくりライトセーバーを掴む。
私はその腕を掴み、オーナーに忠告する。
「やめた方がいいですよ。それ、危ないから。」
「あんた、起きて、」
「今までも旅人の荷物を盗ってきたの?」
起き上がってR7-D4も起こし、私はオーナーを座らせる。
「いや……今回が初めてだ。」
「だったら尚更やめた方がいい。」
そう言うと、オーナーは泣き始める。
「わしらは……伯爵に搾取されているんだ………」
「伯爵は死んだのに?」
「伯爵様じゃない。伯爵様の御子息だ……」
なるほど、私の予期通りだ。
黒幕は御子息だ。彼が将校と手を組んでいる。伯爵の息子が、帝国軍の残党を招き入れたんだ。
「戦うのが怖いのは分かる。でも、行動しなければ何も変わりません。」
「どうしろって言うんだ!わしらには何もできん!」
「1人ならね。民が団結すれば、御子息を叩ける。旅人の物を奪ったり、誰かの助けを待つのは違うと思う。」
私はポシェットを着け、R7を連れて開閉パネルを押す。
充分休んだ。あとは、誘い出すだけ。隠れているのもこれまでだ。
「あんた、名のある賞金稼ぎか?」
「ちょっと違う。私はアリス・レイン。通りすがりの小娘だよ。」
名前以外嘘だけどね。
部屋を出て、私達は大通りに出る。
聞いていた話では、この星はもっと明るかった。伯爵が死んでから、暗くなってしまった。帝国軍の残党が蔓延り、民は怯える日々を過ごしている。
この大通りも、賑やかなのは見た目だけだ。
その時、知った声が聞こえてきた。
「なぁ、屋敷にはどう行けばいい?」
肩を叩かれ、私はその手を思いっきり捻る。
相手は突然のことに付いていけず、私に背負い投げされた。
「捻ることはないだろ!」
「トルーパー助けてぇ!しがない小娘に手を出そうとしてきたのぉ!」
「おい!嘘吐くな!ちょ、レイン!!」
キファーの男は、トルーパーに引き摺られていく。
さて、うるさいのは消えた。
え?さっきの痴漢は誰かって?クインランラン・ヴォスシです。
できれば見なかったことにしたかったなぁ。