ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
誰かさんが連行された後、私は留置所に忍び込んだ。
格子越しに、“彼”に笑顔を向けて手を振る。
「久しぶり〜」
「久しぶりに会うジェダイ・マスターに対する態度とは思えねぇな。」
「あんたこそ有名人に対する態度が酷いよ、ヴォス。」
キファーの男、クインラン・ヴォスは不満な顔をする。
「有名人だと?悪評の間違いじゃねぇか?」
「失礼な!まぁでも、呪われたジェダイとしては有名だよね。」
「洒落にならねぇな。」
ヴォスはオーダー66を生き延びて、帝国の追手からも逃げ切っていた。ヴォスの他にも、生きているジェダイはいる。だけど反乱軍の下には来ず、皇帝と戦ったジェダイは私とルークだけだった。
「出してあげようか?」
「ぶち込んだのはお前だろ。全く……」
ヴォスはロックをフォースで解除すると、外に出てくる。
没収されていたライトセーバーを渡し、私達は留置所の外へ出た。
「こんなところで何やってんの?」
「お前……他のジェダイの報告書を読んだことはあるか?」
「ない!」
「だろうな。」
オビ=ワンとかアナキンとか評議会に読めって言われてたけど、読んだ試しがない。
ヴォスの話によれば、彼は伯爵と親しかったらしくて、助けを求められたらしい。まさか伯爵が息子に殺されると思わなかったみたいだけど。皇帝が死んた後、ヴォスが生きていると知った伯爵は必死に助けを呼んだそうだ。
「それで、お前は?」
「私は新共和国の依頼。」
「新共和国ねぇ……」
「何か問題でも?」
ヴォスは何か言い辛そうにしていた。
助けを求める手を、どうして拒んではいけないの?
「レイン、共和国と関わるのはよせ。」
「なんで?」
「ジェダイが共和国に加わると、ろくなことにならねぇ。ジェダイはジェダイで動くのが良いんだ。余計なことはするな。」
「………」
「お前も分かってるだろ。」
そんなことは分かってる。
ジェダイが共和国と関わって、傲慢になっていった。それがアナキンを暗黒面に堕としたも同然だ。腐ったオーダーとつまらない掟を守った結果、ダース・ヴェイダーを生み出したんだ。
今度は、私が暗黒面に堕ちるかもしれない。
ヴォスはそれを危惧しているんだ。
「ジェダイの誇りがあるなら、共和国の使者として動くのはやめろ。ジェダイとして、何ができるか考えるんだ。」
「それはジェダイ・マスターの助言?」
「お前もジェダイ・マスターじゃねぇのか?」
「マスターの称号なんて、ただの肩書きだよ。」
オーダーが滅んだとはいえ、私は掟を破った。ルークのマスターとしても未熟なのに、ジェダイ・マスターと自ら名乗るなんて不相応だ。私は、やっとジェダイになれただけ。
「弟子と一緒にシスを倒しただろ。」
「私じゃない。それに、自害してるからマスター失格だよ。」
「レイン、自害もフォースの導きの1つだ。為るべくして成ったんだ。お前は悪くない。」
「やめてよ。ヴォス、黙って見ているつもりはないから。帝国軍の残党を捕らえる。」
街を出ようとすると、トルーパーが現れた。
私とヴォスは立ち止まり、包囲するトルーパーにすっとぼける。
「何か用?」
「お前達、余所者だな。」
「あんた達が余所者でしょ?帝国軍は軍縮して、拷問も禁止されたはずだけど?」
「あれは大宰相が勝手にやったものだ。」
「おかしいなぁ。マス・アミダって帝国のNo.2じゃなかったっけ?」
アミダが協定にサインして休戦されたはずだけど、あの人に実権はない。大宰相は飾りだ。何人かのモフや将校は納得していないだろう。
「それで、どうする?」
「逃げるに決まってんだろ。」
「OK」
「待て!っ!!」
スモークグレネードで煙を起こし、私とヴォスは逃走する。
住宅街の屋根を跳び走り、私は後ろからトランスポートが追ってくるのを見てヴォスに声をかける。
「追ってきてるよ。」
「任せろ。」
「任せろ?あんた何を、」
ヴォスは向きを変えたと思うと、飛んできたミサイルをテレキネシスで捕まえる。そしてミサイルの勢いを殺さず、身体を捻ってトランスポートにぶん投げる。撃ち返されたミサイルは右舷を壊し、トランスポートを撃墜させた。
そのトランスポートの隣のトランスポートも、爆風で墜落した。
「さすがキファーだわ。」
「ありがとよ。」
「褒めてないから!」
おかしい。いつもとポジションが逆だ。
私達はその場を脱して、私が泊まっていた宿屋に向かうことにした。
中に入ると、私は目を疑った。
「そんな……」
思わずそう呟いてしまった。
宿屋の中は荒らされ、オーナーは不在。留守番させていたR7-D4もいない。どうやら一緒に連れて行かれたようだった。
「お前のせいじゃない。」
「分かってる……」
2人で口を閉ざしていると、後ろで物音がした。
私達は、同時に侵入者の首にライトセーバーの刃を添える。
「な、何を、」
「何者だ?」
「僕は、この宿屋の跡取りです。父からSOSを受けて、駆け付けました。」
彼の言葉に嘘はない。
私とヴォスはライトセーバーを収め、物騒な真似を詫びた。
「貴方達は……ジェダイですか?」
「ジェダイは滅びた。お前の勘違いだ。」
「いいえ、違います!そのライトセーバーはジェダイの証です!伝説通りだ!」
「伝説は伝説だよ。私達がそのジェダイからヒルトを奪った可能性もあるんだよ?」
「そうは思えません!お願いです!父を助けてください!」
青年の叫びに、私達は顔を見合わせる。
だけど、次の言葉で私はキレそうになった。
「元はといえば、貴方達のせいだ!」
「は?」
「貴女がここに泊まった話は、父から聞いていました。なぜ大人しく身包みを剥がされてくれなかったんですか!」
それは違うでしょ。騙されて盗られるのと、あえて盗られるのは違う。それに、私が被害に遭わなかったからと責められるのは、大間違いだ。
非があるのは、行動しろと言ったこと。私の言葉通りに行動した結果、オーナーは捕まってしまった。オーナーが捕われた件は、間違いなく私のせいだ。
「あのね、一人で旅する女が黙ってやられるわけないでしょ。」
「ですが、」
「確かに、行動しろと言った私が悪かった。」
私がそう言ったから、オーナーは伯爵の息子に従わなかった。
そして、オーナーは反逆者として捕われたんだ。
「でも、訂正する気はない。」
「何ですって!?」
「革命というのは、民がするもの。私達“ジェダイ”は関与しない。1人より2人、2人より10人……10人より、大勢ってね。」
「大勢……?」
「団結は、国民の権利だよ。行くよ、ヴォス。」
宿を出て、私達は真っ直ぐ伯爵邸を目指した。
ヴォスは伯爵の義理を果たす為、私は新共和国の依頼を果たす為に、伯爵邸へ向かった。
「成長したな、レイン。」
「これでも責任感はあるからね。」
「どうだか。昔のお前なら、形振り構わず伯爵邸に行って、帝国軍の残党も伯爵の息子もとっちめていただろ。」
「そんなこと………あるわ。」
「ほらな?」
「うるさい。」
私以上にルールを守らない人に、成長したとか言われても嬉しくない。まぁでも、ヴォスが私を認めてくれている証拠だ。なんでオビ=ワンはこんな人と仲良かったんだろう。不思議で仕方ない。
これでも、私とヴォスはジェダイ・マスターだ。
私も、ジェダイ・マスターと見てもらえるように行動しなきゃ。