ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
大きな門の前に立ち止まり、私は礼儀正しくノックする。
「ノックは必要ねぇだろ。」
「あ、ちょっと、」
ヴォスがライトセーバーで操作パネルを壊し、門を強制的に開ける。
この人、礼儀以外はちゃんとジェダイなのに。
「ほんっとに行儀悪いよね。」
「今に始まったことじゃねぇだろ?」
「否定できないのが腹立つ。」
「ほら、行くぞ。」
中に入ると早速トルーパーが現れて、私達を取り囲んだ。包囲の向こう側には、ルークと歳が近い青年と、帝国の軍服を着た将校がいた。将校は見たことないけど、どこかで見たような顔をしている。
「ようこそ、ジェダイ。」
「あんたが伯爵の息子?」
「そうだ。お前、本当に隠れる気はあったのか?」
「どうして?」
「“アリス・レイン”という名前を、老いぼれに堂々と明かしただろ。」
「あー、そのことね。」
本来なら、名前は偽名なり匿名で隠すのがベストだ。だけど、私は意図的に名乗った。そうすれば、伯爵の息子が何かしてくると思ったから。
「聞いていた通り、お前は馬鹿だな。」
「あんた誰?帝国は滅んだのに、まだそんなもの着てるわけ?」
「私は“ターキン”大佐。帝国は滅んでいない。滅びるのは共和国だ。」
「ねぇヴォス、笑っていい?」
「空気読め。」
笑うのは我慢した私を褒めてほしい。
このターキン大佐は、ウィルハフ・ターキンの親族らしい。ターキン家の実権を握っていたターキンが死んで、この男が出しゃばってきたわけだ。
「あんた、グランド・モフのターキンより頭弱いね。」
「人を馬鹿にするのも、」
「私あいつ嫌いだけど、軍人としてはかなり有能だと思ってるから。それに比べてあんたは、役者不足。あのターキンと比べたらあいつに失礼だよ。」
「てめぇ……!」
「言ってる側から品がないね。」
「ジェダイを殺せ!!」
「ヴォス!!」
私が合図して、ヴォスと2人で撃たれたレーザー弾をテレキネシスで止める。
レーザー弾を止めた私達に、大佐と青年は唖然となっていた。止めた後に、私達は薙ぎ払うようにレーザー弾を押し返す。弾はトルーパーに当たり、大佐と青年以外を入れて数人しか残らなかった。
腰が抜けた大佐は尻餅をつき、慌てて逃げていく。
伯爵の息子も後を追うように逃げていき、トルーパーは上官の逃走で動けなかった。
「アレ、あんたに任せていい?」
大佐を指差し、ヴォスに笑みを見せる。
「あの小僧も逃がすなよ。」
「大丈夫だよ。“彼ら”が逃がさないから。」
「あ?彼ら?」
私は伯爵の息子を焦って追わず、ゆっくり後を付いていく。
彼は門を開け、伯爵邸から逃走を図る。だけど、彼に逃げ道はない。伯爵の息子を止めるのは、私の役目じゃない。
「お、お前達!」
「あいつを捕まえろっ!!」
オーナーの息子が声を張り上げて、民が青年を追いかける。
しかし、伯爵の息子は諦めない。
「AT-STを出せ!!」
ウォーカー8機が屋敷の格納庫から現れ、形勢が逆転した。
ヴォスがターキン大佐を引き摺りながら、AT-STを見て感心する。
「クローン戦争を思い出すな。」
「相手がバトル・ドロイドじゃないだけまし。」
「ならお前に任せよう。元気は有り余ってるだろ?」
「人遣いが荒くない?それなら下のトルーパーはよろしく!」
ライトセーバーを起動させ、真っ直ぐAT-STに向かって走る。レーザー砲を予期しながら避けて、私はウォーカーの下に潜り込んだ。ヒルトを握り締め、身を捻ってAT-STの脚を切断する。
脚を切られたAT-STの1つが自重で潰れ、隣のウォーカーも同じように倒す。
その様子を呆然と見ていた民に、私は声を張り上げた。
「立ち向かえ!これはあんた達の戦いだ!!」
私の声にハッとした民は、倒されたAT-STとヴォスが倒したトルーパーの後を通って屋敷に向かっていく。
残ったAT-STも全て潰して、戦いはようやく終息した。
将校は私達が身柄を預かり、伯爵の息子は民に渡した。ターキン大佐は新共和国で裁かれて、残り短い生涯を刑務所で過ごすことになるだろう。
民が屋敷を抑えた後、オーナーが息子と一緒に声をかけてきた。
オーナーは捕らわれていただけで、無事だったらしい。
「ありがとうございました。」
「俺達は手助けをしただけだ。あんたらが自分達の手で抜け出したんだ。」
「お嬢さん、貴女もありがとう。」
「お嬢さんっ……ぶふっ…!」
「ヴォス!!!」
ヴォスは私の怒声に、先にシャトルへ逃げていく。
後でぶっ飛ばそう。
「えっと……私の名前は知ってるのに、詳しい話は知らないんですか?」
「アリス・レイン、伝説のジェダイとしか……」
「自分で言うのも嫌なんだけど、皇帝の呪いで外見が若いままだったんだよね……」
「年齢詐称……?」
「違います!!!」
オーナーの息子に半世紀生きてることを教えて、速攻でシャトルに乗り込んだ。本当に年齢のことは考えたくない。
口々に聴こえる民のお礼に、思わず手を振ってしまった。
今回のことは、自分の身の振りについて考えさせられた。
ヴォスの言う通り、表立って新共和国と関わるのは良くない。ジェダイが滅んだ原因は、共和国と深く繋がったせいだ。同じことは繰り返してはダメだ。
それに、私には愛する旦那様がいる。
「噂を聞いたんだが、結婚相手はルード議員か?」
「え?今更?」
「誰かを愛しているとは思ったが、まさか議員様とはな……」
操縦席のヴォスが、そう言ってくる。
「苦労が絶えない旦那に会ってみてぇな。」
「やめてよ。」
ヴォスがレバーを押し、シャトルはハイパースペースへ入る。
この後、ターキン大佐は新共和国に引き渡され、私とヴォスはモスマ議長から重ね重ねお礼を言われた。
モスマ議長と顔を合わせたと同時に、私は現存ジェダイと新共和国との関係について進言した。
ジェダイは助けを必要としない限り、共和国と関わらない、と。これは到着前に愛弟子とも話し合った。ルークも同意してくれて、今回のこともあって、モスマ議長も了承してくれた。
ジェダイは兵士ではなく、騎士。私達ジェダイは自ら戦場に立ってはいけない。同じことをすれば、またクローン戦争のように銀河に混乱を呼ぶことになる。戦いが起きれば、私の計画も進められない。
銀河と、未来のフォース感応者の為に。
ジェダイとして、私ができることをやるんだ。
我はフォースと共に。
continue……