ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

50 / 95
小娘(嘘)の出張【後編】

大きな門の前に立ち止まり、私は礼儀正しくノックする。

 

 

「ノックは必要ねぇだろ。」

「あ、ちょっと、」

 

 

ヴォスがライトセーバーで操作パネルを壊し、門を強制的に開ける。

 

この人、礼儀以外はちゃんとジェダイなのに。

 

 

「ほんっとに行儀悪いよね。」

「今に始まったことじゃねぇだろ?」

「否定できないのが腹立つ。」

「ほら、行くぞ。」

 

 

中に入ると早速トルーパーが現れて、私達を取り囲んだ。包囲の向こう側には、ルークと歳が近い青年と、帝国の軍服を着た将校がいた。将校は見たことないけど、どこかで見たような顔をしている。

 

 

「ようこそ、ジェダイ。」

「あんたが伯爵の息子?」

「そうだ。お前、本当に隠れる気はあったのか?」

「どうして?」

「“アリス・レイン”という名前を、老いぼれに堂々と明かしただろ。」

「あー、そのことね。」

 

 

本来なら、名前は偽名なり匿名で隠すのがベストだ。だけど、私は意図的に名乗った。そうすれば、伯爵の息子が何かしてくると思ったから。

 

 

「聞いていた通り、お前は馬鹿だな。」

「あんた誰?帝国は滅んだのに、まだそんなもの着てるわけ?」

「私は“ターキン”大佐。帝国は滅んでいない。滅びるのは共和国だ。」

「ねぇヴォス、笑っていい?」

「空気読め。」

 

 

笑うのは我慢した私を褒めてほしい。

 

このターキン大佐は、ウィルハフ・ターキンの親族らしい。ターキン家の実権を握っていたターキンが死んで、この男が出しゃばってきたわけだ。

 

 

「あんた、グランド・モフのターキンより頭弱いね。」

「人を馬鹿にするのも、」

「私あいつ嫌いだけど、軍人としてはかなり有能だと思ってるから。それに比べてあんたは、役者不足。あのターキンと比べたらあいつに失礼だよ。」

「てめぇ……!」

「言ってる側から品がないね。」

「ジェダイを殺せ!!」

「ヴォス!!」

 

 

私が合図して、ヴォスと2人で撃たれたレーザー弾をテレキネシスで止める。

 

レーザー弾を止めた私達に、大佐と青年は唖然となっていた。止めた後に、私達は薙ぎ払うようにレーザー弾を押し返す。弾はトルーパーに当たり、大佐と青年以外を入れて数人しか残らなかった。

 

腰が抜けた大佐は尻餅をつき、慌てて逃げていく。

 

伯爵の息子も後を追うように逃げていき、トルーパーは上官の逃走で動けなかった。

 

 

「アレ、あんたに任せていい?」

 

 

大佐を指差し、ヴォスに笑みを見せる。

 

 

「あの小僧も逃がすなよ。」

「大丈夫だよ。“彼ら”が逃がさないから。」

「あ?彼ら?」

 

 

私は伯爵の息子を焦って追わず、ゆっくり後を付いていく。

 

彼は門を開け、伯爵邸から逃走を図る。だけど、彼に逃げ道はない。伯爵の息子を止めるのは、私の役目じゃない。

 

 

「お、お前達!」

「あいつを捕まえろっ!!」

 

 

オーナーの息子が声を張り上げて、民が青年を追いかける。

 

しかし、伯爵の息子は諦めない。

 

 

「AT-STを出せ!!」

 

 

ウォーカー8機が屋敷の格納庫から現れ、形勢が逆転した。

 

ヴォスがターキン大佐を引き摺りながら、AT-STを見て感心する。

 

 

「クローン戦争を思い出すな。」

「相手がバトル・ドロイドじゃないだけまし。」

「ならお前に任せよう。元気は有り余ってるだろ?」

「人遣いが荒くない?それなら下のトルーパーはよろしく!」

 

 

ライトセーバーを起動させ、真っ直ぐAT-STに向かって走る。レーザー砲を予期しながら避けて、私はウォーカーの下に潜り込んだ。ヒルトを握り締め、身を捻ってAT-STの脚を切断する。

 

脚を切られたAT-STの1つが自重で潰れ、隣のウォーカーも同じように倒す。

 

その様子を呆然と見ていた民に、私は声を張り上げた。

 

 

「立ち向かえ!これはあんた達の戦いだ!!」

 

 

私の声にハッとした民は、倒されたAT-STとヴォスが倒したトルーパーの後を通って屋敷に向かっていく。

 

残ったAT-STも全て潰して、戦いはようやく終息した。

 

将校は私達が身柄を預かり、伯爵の息子は民に渡した。ターキン大佐は新共和国で裁かれて、残り短い生涯を刑務所で過ごすことになるだろう。

 

民が屋敷を抑えた後、オーナーが息子と一緒に声をかけてきた。

 

オーナーは捕らわれていただけで、無事だったらしい。

 

 

「ありがとうございました。」

「俺達は手助けをしただけだ。あんたらが自分達の手で抜け出したんだ。」

「お嬢さん、貴女もありがとう。」

「お嬢さんっ……ぶふっ…!」

「ヴォス!!!」

 

 

ヴォスは私の怒声に、先にシャトルへ逃げていく。

 

後でぶっ飛ばそう。

 

 

「えっと……私の名前は知ってるのに、詳しい話は知らないんですか?」

「アリス・レイン、伝説のジェダイとしか……」

「自分で言うのも嫌なんだけど、皇帝の呪いで外見が若いままだったんだよね……」

「年齢詐称……?」

「違います!!!」

 

 

オーナーの息子に半世紀生きてることを教えて、速攻でシャトルに乗り込んだ。本当に年齢のことは考えたくない。

 

口々に聴こえる民のお礼に、思わず手を振ってしまった。

 

今回のことは、自分の身の振りについて考えさせられた。

 

ヴォスの言う通り、表立って新共和国と関わるのは良くない。ジェダイが滅んだ原因は、共和国と深く繋がったせいだ。同じことは繰り返してはダメだ。

 

それに、私には愛する旦那様がいる。

 

 

「噂を聞いたんだが、結婚相手はルード議員か?」

「え?今更?」

「誰かを愛しているとは思ったが、まさか議員様とはな……」

 

 

操縦席のヴォスが、そう言ってくる。

 

 

「苦労が絶えない旦那に会ってみてぇな。」

「やめてよ。」

 

 

ヴォスがレバーを押し、シャトルはハイパースペースへ入る。

 

この後、ターキン大佐は新共和国に引き渡され、私とヴォスはモスマ議長から重ね重ねお礼を言われた。

 

モスマ議長と顔を合わせたと同時に、私は現存ジェダイと新共和国との関係について進言した。

 

ジェダイは助けを必要としない限り、共和国と関わらない、と。これは到着前に愛弟子とも話し合った。ルークも同意してくれて、今回のこともあって、モスマ議長も了承してくれた。

 

ジェダイは兵士ではなく、騎士。私達ジェダイは自ら戦場に立ってはいけない。同じことをすれば、またクローン戦争のように銀河に混乱を呼ぶことになる。戦いが起きれば、私の計画も進められない。

 

銀河と、未来のフォース感応者の為に。

 

ジェダイとして、私ができることをやるんだ。

 

我はフォースと共に。

 

 

continue……

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。