ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
長いので、一旦切らせていただきましたwww
どうぞお納めくださいw
エンドアの戦いから10年後。
私はナブーで夫のダンタムと隠居してて、今年5歳になる息子と3人で幸せに暮らしている。
銀河に脅威はなくなり、私の仕事もなくなった。脅威はなくなったと言っても、私が脅威と呼ぶのは帝国軍の残存勢力のことだ。治安を乱すシンジケートや、ギャングも脅威だ。
まだ5歳の息子から離れることはできず、私達家族の所在は相変わらず極秘扱いのままだ。
そんなある日、息子のウィリアムが珍しくお願いをしてきた。
「ラサットの故郷に?」
「うん。見てみたい。」
ウィリアムは、ラサットの故郷であるリラ・サンを見てみたいと言ってきた。
私は息子に、ジェダイやシスのことだけじゃなくて、銀河のことも話してきた。難しいことは全部を理解できなくても、いくつかの物語は教えた。その1つが、ゼブがリラ・サンを見つけたこと。
私は〈ゴースト〉にいなかったけど、リラ・サンを見つけるまでの話は知っている。
知っているというか、前世でアニメを観たからだ。
「パパ!リラ・サンが見たい!」
私が嫌そうな表情をしたせいか、今度はダンタムに強請り始めた。
「アリス、」
「やめて、ダンタム。この子にはまだ早いよ。」
「大丈夫だ。」
「何を根拠に……」
「私が体術を教えたから、ビリーは自衛できるぞ。」
「今なんて言った?」
5歳児に体術?何言ってんの?子供が戦うなんて、無茶だ。
「ビリーはこう見えてしっかりしているんだ。一度くらい連れていくのも良いんじゃないか?」
「ママ!お願い!」
「アリス、明日は何の日か分かるか?」
「明日………?」
ダンタムの言葉に、真剣に考え込む。明日は特に何もない。あるとすれば、ダンタムの誕生日くらいだ。他には何も思い浮かばない。
「貴方の誕生日しか分からない。」
「それでいいんだ。」
「え?」
「誕生日の頼み事だ。ビリーを連れて行ってくれ。私は元老院に用があるから行けないが、」
「はい!?」
頼んでおいて、夫は用事か。
私とダンタムが座るソファーの間に、ウィリアムが飛び乗ってくる。
「ママお願い!良い子にしてるから!」
「分かった、いいよ。ママのお友達に連絡するから、良い子にするんだよ?」
「うん!!」
すぐに軽く身支度をして、私はマントを着る。息子にも子供用のマントを着せて、ダンタムから長距離用の通信機を渡された。
「いいか、アリス。君とビリーの安全か第一だ。絶対に無茶しないように。」
「分かってるよ。ビリー、行こっか。」
「パパ行ってきます!!」
ウィリアムと小型シャトルに乗り、ハイパースペースへ突入した後に、私は〈ゴースト〉に通信を試みる。
ゼブに来てもらうより、ゴーストに連れていってもらった方が早いと思うんだよね。
「ママ、オレが操縦したい!」
「まだダメ。もう少し大きくなったらね。」
周波数を調整して、ロザル星系を中心に探すと、何とか〈ゴースト〉と繋がった。
ホログラムに映ったヘラは、私の姿を見て驚いていた。
驚いて当然だ。だって、数年前からレイア以外の誰とも連絡を取っていないのだから。他に連絡をしたといえば、なんだかんだ生き残っているヴォスくらい。
ヘラは驚きつつも、話せたことを喜んでくれた。
『元気そうね。』
「ヘラも元気そうで良かった。」
『貴女が連絡してくるなんて、どうしたの?』
「あのね、息子がリラ・サンに行きたいって言うんだよね。連れてってくれない?」
息子というワードに、ヘラはまた驚く。何も話していないから、息子のことも知らないだろう。会ったらいろいろな近況も話そう。
『構わないけど、モスマ議長は知ってるの?』
「大丈夫。ダンタムが元老院に行くから。」
『そうなのね。リラ・サンだけど、これから新共和国の任務なのよ。』
「え、何の?」
そう聞くと、答えを濁された。
『貴女は知らない方がいいわ。』
「私が知ったらまずい感じ?」
『というより………』
「どうしたの?」
『帝国の一将校が協定を無視したのよ。アリスはもう平穏に暮らしてるから、巻き込みたくないの。』
ヘラの言葉に、私は口籠もってしまう。
最近、カルリジアンもアクバー元帥も連絡をくれない。頻繁に連絡を取っていたわけじゃない。みんなは近況ばかりで、帝国軍の話もしなくなった。
みんな話をしないから、もう帝国軍の脅威はないと思っていた。
でも実際は違う。カルリジアン達は私に気を遣ってたんだ。私とダンタムが静かに暮らせるように、と。
ダンタムのことだから、たぶんこのことを知っているだろう。
「ヘラ、私達に気を遣うのは嬉しい。けど、私は反乱軍に助けてもらったの。助けが欲しい時は、私にも頼ってほしい。私もヘラ達を助けたい。」
ヘラの言う通り、私は静かに暮らしたかった。でも、私1人だけ知らなかったなんて嫌だ。私にできることがあったのに、何もできずに友達を失いたくない。
『アリス………』
「確かに私はジェダイだけど、アリス・レインという1人の人間なんだよ。友達は大切にさせてほしい。」
『分かったわ。司令書と座標を送るから、後で落ち合いましょう。』
「ありがとう、ヘラ。」
通信を切った後、〈ゴースト〉から司令書が送られてくる。合流地点の座標も送られてきて、私は座標を入力し直した。
息子が私の操作をジッと見ていて、何かを考えていた。
「今の座標知ってる!」
「え?どういうこと?」
「夢で見たんだ!」
息子もフォース感応者だ。夢でヴィジョンを見ても不思議じゃない。子供だから想像力も豊かだし、フォースも強い。
どんな夢か尋ねると、ウィリアムが見たヴィジョンは一瞬の光景だった。
「はいぱーすぺーすを出ると、大きい船がいるんだ!」
「大きい船?どの船?」
「えーっと……」
プロジェクターを操作して、船の一覧表を映す。ウィリアムはリストをスクロールして、フォースを使ってその船を探した。そして、ある船の詳細を開いて指を差す。
見せられた船に、気分が下がった。
「まずい……」
「ママ?」
「ウィリアム、ゲームやる?」
「ゲーム?」
フォース感応力が覚醒している息子なら、銃座が得意だろう。
〈ゴースト〉が来るまで時間を稼がなきゃ。
「ビリー!これから悪いやつが出てくるから、全部撃ち倒して。」
「はぁい!」
「ハイパースペースを出るよ。」
ハイパースペースを飛び出すと、帝国軍のゴザンティ級クルーザーが2隻いた。TIEファイターはクルーザーから離れ、私達の小型シャトルを撃ってくる。
「相手が悪かったね、あんた達。」
帝国軍には聴こえないけど、私はそう言ってあくどい笑みを浮かべてしまう。
「ママ!誰か来た!」
「あれは大丈夫。ママのお友達だよ。」
ハイパースペースから現れた〈ゴースト〉に援護され、私達はTIEファイターを全て撃墜する。TIEファイターが全てやられて、ゴザンティ級クルーザーは船の向きを変えた。センサーがハイパードライブの起動を検知して、私は操縦席を立つ。
少し早いけど、やっぱりウィリアムに操縦させてあげよう。
「ビリー、ここ座ってクルーザーのビーム避け続けて。」
「いいの!?」
「今回だけだよ。」
「やったー!!」
嬉々として操縦席に座る息子を背に、私は格納庫に走る。
ブラスター・ライフルを手に取り、ハッチを開ける。クルーザーの目立ちにくい箇所を狙い、引き金を引いた。私が撃ったものは着弾して、小さなアンテナを立てる。
追跡弾が着弾した瞬間、クルーザーはハイパースペースへと逃げていった。
「ママー!どっきんぐってどうやるのー!」
「ちょっと待って!」
コックピットに戻って、私は操作して〈ゴースト〉とドッキングさせる。頭上のスイッチをいくつか触り、息子の手を引いて接続部へと向かった。
ウィリアムを先に〈ゴースト〉に上げ、次いで私が上がった。
ヘラ達は何も変わってなくて、なぜか安心してしまった。
「久しぶり。ほらウィリアム、挨拶して。」
「こんにちは!」
お行儀の良い息子に、ヘラはウィリアムに優しく微笑む。
ヘラの後ろから図体のデカい人が出てきて、ウィリアムは怯えて私の後ろに隠れる。
「なんで怖がる?」
「子供相手に怖い顔しないでよ。」
「ゼブ、クルーザーが逃げたのはアリスのせいじゃないわ。」
ウィリアムに声をかけ、私は前に出るように促す。なんで怯えるのかは分かる。私は話をしただけで、ラサットがどんな種族かは話していなかった。
ラサット、案外可愛いと思うんだけどなぁ。
何ていうか、マスコット的な?
「ビリーが会いたがってたラサットだよ?」
「オバケ………」
「何だと!?」
「ゼブ!!」
「すまねぇ……」
「ビリー、このおじさんね、意外と優しいんだよ。ママもお世話になってるから。」
「おい、“意外と”は余計だ!」
〈ゴースト〉にいるのは、ヘラとゼブだけだった。ヘラの息子のジェイセンはライロスで留守番、サビーヌはマンダロアにいるらしい。
とりあえずコックピットに入り、私が仕掛けた追跡弾の信号を追うことになった。
「用意周到ね。」
「ビリーがリラ・サンを見たがってるからね。早く終わらせよう。」
「簡単に言うが、戦いになるかもしれねぇぞ。子供がいるってのに……」
「オレ大丈夫だよおじさん!」
「俺はおじさんじゃねぇ、ゼブって呼べ。」
「ゼブおじさん!」
「こいつは間違いなくアリスのガキだな。」
何を言っているんだか。
アラートが鳴り、〈ゴースト〉はハイパースペースを飛び出す。
そこで、私達は目の前の星を見て驚く。
「なんてこった……」
「ママ?」
「ビリー、これがリラ・サンだよ。」
ゴザンティ級クルーザーは、どうやらリラ・サンへ逃げ込んだらしい。
でも疑問が残る。
リラ・サンの座標は、〈ゴースト〉の星図にしか登録されていないはずだ。他の船では、辿り着くことはできない。これには、ヘラもゼブも疑問符を浮かべていた。
「ゼブ、何も心当たりない?」
「ねぇよ。俺だって驚いてんだ。」
一先ず、リラ・サンに降りてみるしかない。ゼブのことは覚えているはずだから、ラサットは協力してくれるだろう。心配なのは、ラサット達の無事だ。
何も起きないとは言えない。
最悪の事態にならないように祈ろう。