ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

53 / 95
今回は、鮭鍋月様のリクエストです!
長いので、一旦切らせていただきましたwww
どうぞお納めくださいw





ビリー少年のお願い【前編】

エンドアの戦いから10年後。

 

私はナブーで夫のダンタムと隠居してて、今年5歳になる息子と3人で幸せに暮らしている。

 

銀河に脅威はなくなり、私の仕事もなくなった。脅威はなくなったと言っても、私が脅威と呼ぶのは帝国軍の残存勢力のことだ。治安を乱すシンジケートや、ギャングも脅威だ。

 

まだ5歳の息子から離れることはできず、私達家族の所在は相変わらず極秘扱いのままだ。

 

そんなある日、息子のウィリアムが珍しくお願いをしてきた。

 

 

「ラサットの故郷に?」

「うん。見てみたい。」

 

 

ウィリアムは、ラサットの故郷であるリラ・サンを見てみたいと言ってきた。

 

私は息子に、ジェダイやシスのことだけじゃなくて、銀河のことも話してきた。難しいことは全部を理解できなくても、いくつかの物語は教えた。その1つが、ゼブがリラ・サンを見つけたこと。

 

私は〈ゴースト〉にいなかったけど、リラ・サンを見つけるまでの話は知っている。

 

知っているというか、前世でアニメを観たからだ。

 

 

「パパ!リラ・サンが見たい!」

 

 

私が嫌そうな表情をしたせいか、今度はダンタムに強請り始めた。

 

 

「アリス、」

「やめて、ダンタム。この子にはまだ早いよ。」

「大丈夫だ。」

「何を根拠に……」

「私が体術を教えたから、ビリーは自衛できるぞ。」

「今なんて言った?」

 

 

5歳児に体術?何言ってんの?子供が戦うなんて、無茶だ。

 

 

「ビリーはこう見えてしっかりしているんだ。一度くらい連れていくのも良いんじゃないか?」

「ママ!お願い!」

「アリス、明日は何の日か分かるか?」

「明日………?」

 

 

ダンタムの言葉に、真剣に考え込む。明日は特に何もない。あるとすれば、ダンタムの誕生日くらいだ。他には何も思い浮かばない。

 

 

「貴方の誕生日しか分からない。」

「それでいいんだ。」

「え?」

「誕生日の頼み事だ。ビリーを連れて行ってくれ。私は元老院に用があるから行けないが、」

「はい!?」

 

 

頼んでおいて、夫は用事か。

 

私とダンタムが座るソファーの間に、ウィリアムが飛び乗ってくる。

 

 

「ママお願い!良い子にしてるから!」

「分かった、いいよ。ママのお友達に連絡するから、良い子にするんだよ?」

「うん!!」

 

 

すぐに軽く身支度をして、私はマントを着る。息子にも子供用のマントを着せて、ダンタムから長距離用の通信機を渡された。

 

 

「いいか、アリス。君とビリーの安全か第一だ。絶対に無茶しないように。」

「分かってるよ。ビリー、行こっか。」

「パパ行ってきます!!」

 

 

ウィリアムと小型シャトルに乗り、ハイパースペースへ突入した後に、私は〈ゴースト〉に通信を試みる。

 

ゼブに来てもらうより、ゴーストに連れていってもらった方が早いと思うんだよね。

 

 

「ママ、オレが操縦したい!」

「まだダメ。もう少し大きくなったらね。」

 

 

周波数を調整して、ロザル星系を中心に探すと、何とか〈ゴースト〉と繋がった。

 

ホログラムに映ったヘラは、私の姿を見て驚いていた。

 

驚いて当然だ。だって、数年前からレイア以外の誰とも連絡を取っていないのだから。他に連絡をしたといえば、なんだかんだ生き残っているヴォスくらい。

 

ヘラは驚きつつも、話せたことを喜んでくれた。

 

 

『元気そうね。』

「ヘラも元気そうで良かった。」

『貴女が連絡してくるなんて、どうしたの?』

「あのね、息子がリラ・サンに行きたいって言うんだよね。連れてってくれない?」

 

 

息子というワードに、ヘラはまた驚く。何も話していないから、息子のことも知らないだろう。会ったらいろいろな近況も話そう。

 

 

『構わないけど、モスマ議長は知ってるの?』

「大丈夫。ダンタムが元老院に行くから。」

『そうなのね。リラ・サンだけど、これから新共和国の任務なのよ。』

「え、何の?」

 

 

そう聞くと、答えを濁された。

 

 

『貴女は知らない方がいいわ。』

「私が知ったらまずい感じ?」

『というより………』

「どうしたの?」

『帝国の一将校が協定を無視したのよ。アリスはもう平穏に暮らしてるから、巻き込みたくないの。』

 

 

ヘラの言葉に、私は口籠もってしまう。

 

最近、カルリジアンもアクバー元帥も連絡をくれない。頻繁に連絡を取っていたわけじゃない。みんなは近況ばかりで、帝国軍の話もしなくなった。

 

みんな話をしないから、もう帝国軍の脅威はないと思っていた。

 

でも実際は違う。カルリジアン達は私に気を遣ってたんだ。私とダンタムが静かに暮らせるように、と。

 

ダンタムのことだから、たぶんこのことを知っているだろう。

 

 

「ヘラ、私達に気を遣うのは嬉しい。けど、私は反乱軍に助けてもらったの。助けが欲しい時は、私にも頼ってほしい。私もヘラ達を助けたい。」

 

 

ヘラの言う通り、私は静かに暮らしたかった。でも、私1人だけ知らなかったなんて嫌だ。私にできることがあったのに、何もできずに友達を失いたくない。

 

 

『アリス………』

「確かに私はジェダイだけど、アリス・レインという1人の人間なんだよ。友達は大切にさせてほしい。」

『分かったわ。司令書と座標を送るから、後で落ち合いましょう。』

「ありがとう、ヘラ。」

 

 

通信を切った後、〈ゴースト〉から司令書が送られてくる。合流地点の座標も送られてきて、私は座標を入力し直した。

 

息子が私の操作をジッと見ていて、何かを考えていた。

 

 

「今の座標知ってる!」

「え?どういうこと?」

「夢で見たんだ!」

 

 

息子もフォース感応者だ。夢でヴィジョンを見ても不思議じゃない。子供だから想像力も豊かだし、フォースも強い。

 

どんな夢か尋ねると、ウィリアムが見たヴィジョンは一瞬の光景だった。

 

 

「はいぱーすぺーすを出ると、大きい船がいるんだ!」

「大きい船?どの船?」

「えーっと……」

 

 

プロジェクターを操作して、船の一覧表を映す。ウィリアムはリストをスクロールして、フォースを使ってその船を探した。そして、ある船の詳細を開いて指を差す。

 

見せられた船に、気分が下がった。

 

 

「まずい……」

「ママ?」

「ウィリアム、ゲームやる?」

「ゲーム?」

 

 

フォース感応力が覚醒している息子なら、銃座が得意だろう。

 

〈ゴースト〉が来るまで時間を稼がなきゃ。

 

 

「ビリー!これから悪いやつが出てくるから、全部撃ち倒して。」

「はぁい!」

「ハイパースペースを出るよ。」

 

 

ハイパースペースを飛び出すと、帝国軍のゴザンティ級クルーザーが2隻いた。TIEファイターはクルーザーから離れ、私達の小型シャトルを撃ってくる。

 

 

「相手が悪かったね、あんた達。」

 

 

帝国軍には聴こえないけど、私はそう言ってあくどい笑みを浮かべてしまう。

 

 

「ママ!誰か来た!」

「あれは大丈夫。ママのお友達だよ。」

 

 

ハイパースペースから現れた〈ゴースト〉に援護され、私達はTIEファイターを全て撃墜する。TIEファイターが全てやられて、ゴザンティ級クルーザーは船の向きを変えた。センサーがハイパードライブの起動を検知して、私は操縦席を立つ。

 

少し早いけど、やっぱりウィリアムに操縦させてあげよう。

 

 

「ビリー、ここ座ってクルーザーのビーム避け続けて。」

「いいの!?」

「今回だけだよ。」

「やったー!!」

 

 

嬉々として操縦席に座る息子を背に、私は格納庫に走る。

 

ブラスター・ライフルを手に取り、ハッチを開ける。クルーザーの目立ちにくい箇所を狙い、引き金を引いた。私が撃ったものは着弾して、小さなアンテナを立てる。

 

追跡弾が着弾した瞬間、クルーザーはハイパースペースへと逃げていった。

 

 

「ママー!どっきんぐってどうやるのー!」

「ちょっと待って!」

 

 

コックピットに戻って、私は操作して〈ゴースト〉とドッキングさせる。頭上のスイッチをいくつか触り、息子の手を引いて接続部へと向かった。

 

ウィリアムを先に〈ゴースト〉に上げ、次いで私が上がった。

 

ヘラ達は何も変わってなくて、なぜか安心してしまった。

 

 

「久しぶり。ほらウィリアム、挨拶して。」

「こんにちは!」

 

 

お行儀の良い息子に、ヘラはウィリアムに優しく微笑む。

 

ヘラの後ろから図体のデカい人が出てきて、ウィリアムは怯えて私の後ろに隠れる。

 

 

「なんで怖がる?」

「子供相手に怖い顔しないでよ。」

「ゼブ、クルーザーが逃げたのはアリスのせいじゃないわ。」

 

 

ウィリアムに声をかけ、私は前に出るように促す。なんで怯えるのかは分かる。私は話をしただけで、ラサットがどんな種族かは話していなかった。

 

ラサット、案外可愛いと思うんだけどなぁ。

 

何ていうか、マスコット的な?

 

 

「ビリーが会いたがってたラサットだよ?」

「オバケ………」

「何だと!?」

「ゼブ!!」

「すまねぇ……」

「ビリー、このおじさんね、意外と優しいんだよ。ママもお世話になってるから。」

「おい、“意外と”は余計だ!」

 

 

〈ゴースト〉にいるのは、ヘラとゼブだけだった。ヘラの息子のジェイセンはライロスで留守番、サビーヌはマンダロアにいるらしい。

 

とりあえずコックピットに入り、私が仕掛けた追跡弾の信号を追うことになった。

 

 

「用意周到ね。」

「ビリーがリラ・サンを見たがってるからね。早く終わらせよう。」

「簡単に言うが、戦いになるかもしれねぇぞ。子供がいるってのに……」

「オレ大丈夫だよおじさん!」

「俺はおじさんじゃねぇ、ゼブって呼べ。」

「ゼブおじさん!」

「こいつは間違いなくアリスのガキだな。」

 

 

何を言っているんだか。

 

アラートが鳴り、〈ゴースト〉はハイパースペースを飛び出す。

 

そこで、私達は目の前の星を見て驚く。

 

 

「なんてこった……」

「ママ?」

「ビリー、これがリラ・サンだよ。」

 

 

ゴザンティ級クルーザーは、どうやらリラ・サンへ逃げ込んだらしい。

 

でも疑問が残る。

 

リラ・サンの座標は、〈ゴースト〉の星図にしか登録されていないはずだ。他の船では、辿り着くことはできない。これには、ヘラもゼブも疑問符を浮かべていた。

 

 

「ゼブ、何も心当たりない?」

「ねぇよ。俺だって驚いてんだ。」

 

 

一先ず、リラ・サンに降りてみるしかない。ゼブのことは覚えているはずだから、ラサットは協力してくれるだろう。心配なのは、ラサット達の無事だ。

 

何も起きないとは言えない。

 

最悪の事態にならないように祈ろう。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。