ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
エピソード7の少し?前くらいですw
最初の方はほぼネタ案件ですw
私の前世の概念では、死後は魂が肉体と離れる。魂は天界へ、肉体は現世の人々が弔う。況してや、魂がフォースに還ったり、肉体は消えたりしない。それが普通のことだった。
この世界も、私の前世とほとんど同じだ。
だけど、例外がある。
クワイ=ガンやマスター・ヨーダ、オビ=ワンがそれだ。彼らの死後、その肉体はフォースと一体化した。代わりに、死後も自我を保つ。
マスター達はフォースの女官から訓練を受け、死後も自我を保つ方法を学んだ。
そしてエンドアの戦いから20年後、どういうわけか私の前に霊体のオビ=ワンとアナキンが現れた。
「なにゆえ……」
『時が来たのだ、アリス。』
「私もあんた達みたいに?え、やだ。ダンタムと同じお墓に入れないじゃん。」
私の前世では肉体は残るし、火葬されて残った骨は配偶者と同じ墓に入る。物心ついた時から、私は普通に死ぬものと思っていた。現に、第二デス・スターで一度自害したし。
でもアナキンからしたら、あれはノーカンなのだろう。
『訓練を受ければ、後々ウィリアムの為にもなる。』
「だから嫌だってば。3人同じお墓に入るし。」
『しかし、』
『マスター、アリスのことを何も分かっちゃいない。いいか、アリス。訓練をすれば、死後もルード議員や子供に会えるんだぞ。』
「本当に?じゃあやる。」
『心変わりが早いな。』
呆れるオビ=ワンに、ダンタムと息子第一だと言ってやった。
「でもさ、ご覧の通り不老が解けてないけど?それでも訓練するの?」
『言っただろう。時が来たのだ。これは必要なことだ。』
関係ないってことね。
というか現実から目を逸らしてたけど、術は解けてないってことだよね、トホホ…
「なんか涙出てきた。」
『い、いつかは解けるさ!』
「教えてくれないよね、知ってる。」
そして、ダンタムに事情を話し、小さなシャトルで1人旅に出た。
肝心の行き先は、アナキンもオビ=ワンも教えてくれなかった。クワイ=ガンがマスター・ヨーダに言ったように、フォースの声に従え、と。
いや、分からないってば。
それから暇なのか何なのか知らないけど、ハイパースペース航行中のシャトルにアナキンが居座っている。
「案内してくれないのに、ずっと横で見てる気?」
『教えたら意味がないだろ。君が自分で探すんだ、“マスター・レイン”。』
未だに、マスター扱いされるのは気に入らない。
ムッとした私に、アナキンが笑みを浮かべる。
『アリス、君が学ぶことで、ルークや次の世代に伝えていくんだ。』
「じゃあ私じゃなくて、ルークに教えたらいいじゃん。なんで私?」
『分かった、1つだけ教えよう。これからアリスが学ぶのは、技じゃない。何もせず、フォースと繋がるんだ。』
「瞑想とどう違うの?」
『知るべきことは教えた。あとは君次第だ。』
真剣に考え始めた私に、アナキンは満足したのか姿を消した。
クローン・ウォーズを観ていても、どういう訓練なのかは語られなかった。もっと言えば、訓練を受ける意味も分からない。単純な私には、霊体化への道は険しいだろう。
「どうしろと……?」
アナキンの言葉を思い出しながら、記憶、フォース、全てからヒントを探す。
そこで、あることを思い出した。
マスター・ヨーダはミディ=クロリアンの故郷の惑星へ行った。ただ、場所が分からない。アナキンがフォースの声を聞けと言ったのは、こういうことなのだろうか。
「まず瞑想か。」
フォースに集中して、私は深く瞑想する。
『思い込みはお主の目を曇らせるだけじゃぞ、アリス。』
嗄れた声に、私は固まる。
今の今まで現れなかったのに、ここで出てくるなんてずるい。
「マスター、急かさないでくださいよ。」
『アリス、お前の欠点はなんじゃ?』
「数え切れません。」
小さな欠点から大きな欠点まで、たくさんある。数えたらキリがない。自覚がないだけで、他にもあるかもしれない。
『では、最大の欠点を教え進ぜよう。ジェダイ・マスターともあろうアリスが、先入観を持ってしまうことじゃ。』
「しかし、そうとしか考えられないなら、」
『固定概念は捨てろと教えられたはずじゃぞ。なぜジェダイ・オーダーが滅んだのか、お前ならよく分かっていよう?』
ジェダイ・オーダーも、間違いが多かった。シスの復活も信じず、クローン戦争に踏み切り、本当の敵が見えなかった。声を上げれば異端扱いされ、ドゥークー伯爵を始めとしたジェダイが去っていった。
全ては、ジェダイ評議会の先入観から起きたことだ。
滅んだのは、必然だ。
「マスター、どうすればいいんでしょう?」
『アリス、ギャザリングを憶えておるか?』
「え?ギャザリング?」
『初めて覚えたことを思い出せ。知るべきことは教えた。さぁ、先へ進むのじゃ。』
そう言われて、マスターも消えた。
ギャザリングの頃は、まだまだ未熟だった。考えることなんてしなかった。カイバークリスタルを探すのに、考える必要はない。
自分のライトセーバーを見て、あの頃のことを思い出す。
「………あ。」
なんだ、簡単じゃん。
私は座標を入れて、進路を変える。
考えることは何もなかった。簡単なことだったんだ。私は自分で難しくしていたんだ。
ハイパースペースを抜けて、私はマスター・ヨーダ達と同じように降り立つ。ライトセーバーは持たず、着いた先でシャトルから降りる。
「リアルで見ると怖いな……」
すると、遠くから光の玉が飛んでくる。
『アリス』
光の玉は眩く輝き、人の形に姿を変えた。お面の顔が穏やかな女性だ。これが、フォースの女官だ。
『ようこそ、アリス。』
「歓迎されていると捉えてもいいの?」
『貴女はどう考えていますか?』
そう聞き返され、苛立つ。
「歓迎はされてない。でもアナキン達が言うように、必要なことだから仕方なく、でしょ?」
『アリス、それは違います。私達は、フォースの定めに従っているに過ぎません。クワイ=ガン・ジンも、ヨーダも、訓練を授けたのはフォースの定めだからです。』
目の前の女官は、私も同じだと言う。
『時が来たのです。』
「1つだけ教えてほしい。」
女官は、黙って私を見下ろす。
知りたいことはたくさんある。だけど、全部を教えてもらえるとは思ってはいない。知ってはいけないこともあるだろうから。
ただ、どうしても知りたいことがある。
「ダース・シディアスが、私をもう1人の選ばれし者と言った。でも、私は元々違う銀河にいた。本当のことを教えてほしい。」
私は、歩きながら問いを投げつける。
フォースの女官は、何もかも知っている。
私がどこから来たのか、何者なのか、これから何をすべきか。全て知っているはずだ。未来は教えてくれなくてもいいけど、私のことは知りたい。
『彼の言ったことは本当です。貴女は選ばれし者。そして、貴女の役目は始まってすらいません。』
「私の役目って?」
『私達が訓練を許したのは、必要なことだからです。』
「分かるように言って。」
『フォースが貴女に問うことは、2つ。銀河を変えるか、銀河を滅ぼすか。この2択です。』
究極の2択だ。
前者の意味は分からないけど、後者の意味はよく分かる。
『貴女がシスとなれば、ダース・ヴェイダー以上の脅威となっていたでしょう。もしシスの道を進んでいれば、今の銀河は存在しません。銀河は滅んでいたでしょう。』
大事になっていたかもしれないのは確かだ。私がシディアスに従っていたらと考えると、鳥肌が立つ。奴の甘い言葉に乗せられて、私がパドメやアナキンを殺していたかもしれない。
「分かった、教えてくれてありがとう。」
『どういたしまして。』
「でも、どうしても分からないことがある。」
『………』
「なんでシディアスは、私が選ばれし者だと知ってるの?」
女官は、口を閉ざしたままだった。
この世界には予言がある。予言には選ばれし者がいて、選ばれし者はフォースにバランスをもたらすとある。それがアナキンだ。
ところが、予言での選ばれし者は1人。
それなら、なぜシディアスは私のことを知っていたのか?
「教えて。」
『真実を知れば、貴女は苦しむことになります。』
「構わない。私はどうしても知りたい。」
『分かりました。』
フォースの女官は、ある事実を教えてくれた。
シミ・スカイウォーカーがアナキンを身籠ったのは、ダース・プレイガスの仕業だった。プレイガスは、ミディ=クロリアンを操作できる術を持っていた。その術は、シディアスも持っている。
つまりシディアスは、アナキンと同じ選ばれし者を探す術を知っていた。
奴は最初から、私のことを知っていたんだ。
「全く……反吐が出る。」
『しかし、変えようのない真実です。受け入れるしかありません。』
「分かってる。」
『では、アリス……』
思わず立ち止まっていると、フォースの女官は私に声をかける。
『こちらに来てください。』
フォースの女官に促され、私はどこかの木のようなものの中に入った。
そこには他の女官もいて、面の表情もそれぞれ違った。
『どうして彼女がいるの?』
『彼女の宿命だからです。』
『彼女には無理よ!』
『なぜ試練を受けるか、分かっているの?』
「いや、全く。」
『心配ないわ!彼女は選ばれし者だから!』
期待はされていない。でも、訓練は受けなければならない。それがフォースの定めなのだから。
「未熟でも、期待に添えるように善処する。どうか教えてください。」
『良いでしょう。ただし、私達を信じてついて来てください。よろしいですね?』
「分かった。」
女官達は私を囲み、ぐるぐると回る。目がチカチカとして、私は目眩を起こし始めた。膝をついたかと思うと、目眩に逆らえず意識を失った。
これは、試練の始まりに過ぎない。
甘い考えは命取りになる。
厳しい試練が始まる。
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