ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
ジェダイ・サバイバー編ですw
興味ある方はどうぞ!!
帝国が誕生して10年、相変わらず追われる日々を送っていた。
生き残ったジェダイは多くはないけど、少なくもない。でも彼らは帝国と戦うことを選択しなかった。尋問官やヴェイダーを恐れ、隠れて生きることを決めたようだった。
そして、私もその1人だ。
5年前に会ったカルとシアは何か活動しているようだけど、私はあえて会いに行かなかった。
2人に会えば、迷惑をかけるかもしれないから。
私は10年経った現在、外見に変化がない。シディアスがかけた、シスの秘術のせいだ。何年も解く方法を探し続けているけど、解決できずにいる。
最近は尋問官との邂逅も重く、私も手を焼いていて、帝国とは常に敵対関係だ。
それなのに、シアが今目の前にいる。
「今こそ手を貸して、マスター・レイン。」
「答えは同じだよ。できない。」
「なぜ?」
「私の役目じゃない。」
シアは私の潜伏先に来て、5年前と同じお願いをしてくる。だけど、その頼みは聞けない。最初から最後まで、オーダーの再建は私の役目じゃないからだ。
「私と一緒にいない方がいいよ。尋問官が来る。」
「ずっと1人で戦っているの?」
「そうだよ。もう慣れた。それじゃ、元気でね。」
手を振って去ろうとすると、シアは私を呼び止める。
「アーカイブを再建してるの。」
その言葉に、私は立ち止まる。
「ジェダイ・アーカイブ……?」
「ええ。貴女が欲しい知識もあるかもしれないわ。一緒に来て。」
確かに情報は見たい。でもアーカイブやシア達を危険に曝すかもしれない。ここは我慢すべきだ。
そこで、シアは衝撃の事実を告げる。
「私のマスターもいるわ。」
「マスター・コルドヴァが?生きてるの?」
「生きてるわ。そのマスターが呼んでるの。貴女が必要な知識もあるはずよ。」
マスター・コルドヴァが呼ぶなら、何か理由があるんだろう。5年前のメッセージもそうだった。というか、5年前の件に関しては文句がある。
少しくらい文句は言っていいよね?
「分かった。少しだけ行く。でも手は貸せない。」
「貴女の意思は尊重するわ。じゃあ行きましょう。」
シアに案内され、私は彼女のシャトルに乗る。
現在シアは、ジェダで何人かと一緒に、アーカイブを再建したという。まだ完全とは言えないけど、それなりの知識はあるらしい。協力者にマスター・コルドヴァがいるから、完全なアーカイブになるまで遠くはないだろう。
しかし、ジェダは帝国の封鎖があるようで、通り抜けるのも至難の技のようだ。
現地のカルト集団と繋がりがあるシアに任せた方が、無事に辿り着けそうだ。
「そういえば、最近貴女の噂をよく聞くのだけれど、どういうこと?」
「え、どこの噂?」
「ジェダとは反対の星系での目撃情報よ。どういう裏技を使ったの?」
「あぁ、それはね……」
私は何もしていない。ただ、カルリジアンに依頼してガセネタを流してもらっただけだ。そうすれば、ジェダ方面で“夫”と静かに会えるから。
でも、今回は騒がしくなりそうだ。
「つまり、偽の情報を流したってこと?」
「うん。」
ネタバレすれば、シアは残念そうな顔をする。
「何かの術ではないのね。」
「ごめんね。」
「謝らなくていいの。私が勝手に期待しただけ。でも何の為に?」
「特に理由はないよ。ただ人に会うだけ。」
「人?」
「うん。私が一番信じてる人。」
話してる間に、シャトルはジェダの軌道へと出ていた。
シアは即座に舵を握り、いろいろ装置を入り切りする。やがてシャトルは星の重力により落下を始め、脱出ポッドのように大気圏を抜けて落ちていく。小さなシャトルだから、軽クルーザーのセンサーにも引っ掛からないだろう。
地上が近くになった頃、シアは操縦を再開した。
渓谷を抜け、シアはどこかに信号を送る。
「着いたわ。」
シャトルは目立たない場所に着陸させ、私達は少し歩くことになった。
「この後、カルとメリンが来るわ。」
「そうなの?2人は元気?」
「メリンは元気よ。カルは………どうかしら……?」
「何かあったの?」
私は、カル達のその後を知らない。彼らの物語はゲームのストーリーで、前回も展開を知らないまま一緒に行動した。今回も、展開が分からない。
これは彼らの物語であって、私の物語じゃないんだ。
「カルの噂は聞いてるでしょう?銀河でお尋ね者になっているわ。」
「………そうだね。」
前回私が関わったことで、カルの道が荒くなってしまったのかもしれない。やっぱり、来るべきじゃなかった。どうも嫌な予感がする。
「後悔してるの?」
「だって……」
「戦いを選んだのはカルよ。貴女のせいじゃない。」
「でも、そうとは言い切れないでしょ?」
シアが何か言う前に、私達はあるシャッターの前に着いた。
重いシャッターが上がり、私とシアは中へと入る。
中には顔の見えない隠者がいて、奥へと進むと本棚のようなものが見えた。これがアーカイブらしい。多くの情報や知識が入った宝庫だ。
「レイン」
聞き覚えのある声に振り向くと、懐かしい人がいた。
「マスター・コルドヴァ、本当に生きてたんですね。」
「疑っていたのか?」
「私達が最後に会ったのは聖堂ですから。」
「それを言うなら私こそ、レインが本当に不老だと最初は信じられなかった。」
今再会してやっと信じた、とマスターは言う。
「私もですよ。」
「不老なのはなぜだ?」
「シスの呪いです。」
「何……?」
「クローン戦争が終わる前、“ダース・シディアス”が私にシスの秘術を使ったんです。未来から目を背けようとする私を逃がさない為に。」
「本当にそれだけの理由か?」
「え……?」
そんなことを聞かれても、術をかけた本人がそう言ったんだ。
シアに促され、私とマスターは歩きながら話す。
「私が見たのは、“皇帝”と“ダース・ヴェイダー”、私の知らぬ若きジェダイ、そしてお前だ。」
その言葉に、私は思わず立ち止まる。
マスターの言う“若きジェダイ”とは、恐らくルークだ。そして、その場面とは第二デス・スターだ。4人対峙する未来があるということ。
私が見たわけじゃないから分からないけど、逃げたからという理由だけではないかもしれない。メリンが言うには、解く条件があるというのだから。その条件も関係あるはずだ。
「心当たりがあるのか?」
「ないとは言い切れません。」
「レイン、分かっているとは思うが、」
「無理に未来を変えるな、ですよね。奴と対峙する未来があるなら、それはフォースが決めた定めです。いずれにせよ、術がかけられた以上はいつか対峙しなければいけないんです。」
“運”を信じる。
そう言うと、マスターは苦笑いした。ジェダイに“運”は無縁だからだ。でも“運”だって信じても良いと思うんだよね。
まずこの世界に転生できたのは、“運”が良かったと信じているから。
「そろそろカルが来る。一緒に出迎えるか?」
「はい、是非。」
カルと会うのは久しぶりだ。
楽しみで、同時に少し怖かったりする。
「アリス!まさかまた会えるなんて……!」
カルの嬉しそうな顔に、少し安堵した。噂から、カルの心は冷え切っていると思っていたから。でも久しぶりに会って、そうじゃないと安心した。
「私も会えて嬉しいよ。」
「もう会えないと思ってたんだ。」
「私もだよ。フォースが会わせてくれたんだと思う。」
「何かあったのか……?」
「何もないよ。まぁ相変わらずだけど。ただこの外見をどうにかしたくて、シアの誘いに乗ったの。」
そう話すと、カルはマスターを見る。そして納得したようだった。シアとカルはシスの秘術のことを知っているから。
カルは中に入り、マスターと3人で中を進む。
「アリス」
突然メリンが現れ、私は思わず立ち止まる。
「久しぶり。」
「元気そうね。」
「うん、メリンもね。」
笑顔で会話していたが、メリンの後ろから来た男に心臓を掴まれたような感覚がした。
「あんたもジェダイか?」
「そうだよ。すぐに消えるけどね。」
「仲間じゃないのか?」
「私には私の事情があるの。」
「へぇ。俺はボード・アクーナだ。あんたは?」
冷静さを保ちながら、カル達に振り返った。ここで動揺を見せてはダメだ。特にこのボード・アクーナという男に対しては。
「メリンとカル、悪いけど急ぐから先にシアと話してくるね。マスター、すみません。」
「どうしたの?」
「敵か?」
「私の都合が悪くなっただけ。少し気になることができたの。」
「そうか。また会えればいいが……」
マスター・コルドヴァは残念そうに言う。
私はカル達を一瞥し、シアの下へ走る。
アーカイブの情報を見たら、すぐに発とう。嫌な予感もする。とても強い憎しみを感じた。
「シア」
「そんなに急いでどうしたの?」
焦る私に、シアは怪訝な顔をする。
「私の都合だから気にしないで。早速だけど、シスの秘術関連のデータを見せて。」
「ええ、これよ。」
シアが操作すると、情報が抽出されて映し出された。
興味深い情報もあったけど、私が知りたいものはなかった。
やっぱり、そう簡単に知ることはできないらしい。プレイガスは、不老の呪いはシディアスのオリジナルだと言った。元になる術すら不明となれば、解決の糸口も見えづらい。
「欲しい情報はなかったのね。」
「でも、時間はあるから。」
「そう……」
「開いてくれてありがとう。そろそろ行かなきゃ。」
「忙しい人ね。」
「私が望んだわけじゃないからね?」
シアに挨拶して、私は出口へと歩く。
私の思い違いじゃなければ、これから戦いが起こる。だけど、今は尋問官と鉢合わせたくない。もし尋問官と遭遇してしまったら、“隠された道”が見つかってしまうかもしれない。
どこでどんな情報が洩れるか分からない。
「なぁ」
ボードの声に、急いでいた足を止める。嘘の表情を作り振り返ると、彼は疑いの眼差しで私を見ていた。それはもう、逃げたら殺さんとばかりの圧だ。
目の前のドアを開けば、その先は外だ。
「何か用?」
当たり障りない声音で問う。
「俺のこと憶えてるな?」
「何の話?」
「とぼけても無駄だ。俺はお前を知ってる。アリス・レイン、帝国のお尋ね者上位のジェダイだ。」
「言っとくけど、ジェダイ(仮)だからね?」
「ムカつく奴だ。ジェダイ・マスターのくせに、逃げ回ってるだけの腰抜けが。」
随分な言われ様だ。でも、否定はしない。だって事実だから。
「私もあんたを知ってる。どこの星か忘れたけど、女の子に会った。あんたの娘とね。子供を守りたいのは分かるけど、あんたがやってることは褒められることじゃない。」
彼を見ていると、アナキンを思い出す。
アナキンは、愛する人の為にジェダイを粛清した。どんな理由があったとしても、殺生は許されない。それは、ジェダイじゃなくても同じだ。
「変わり果てた父親を見て、安心できると思う?」
「俺は何も変わってない。変わったのは銀河だ。」
「そうだね。ジェダイは滅んで、帝国が台頭した。でもそれは誰のせいでもない。引き返せる内に手を引いた方がいい。」
「余計なお世話だ。ここで殺したっていいんだぞ?」
彼の言葉には応えず、私はドア開閉ボタンを押す。
ドアが開き、乾いた風が頬を撫でた。
「また逃げるんだな。噂通りだ。」
「逃げることの何が悪いの?」
「戦うことすらしないのは卑怯者だ。」
「不要な争いを避けてるだけ。あんたには分からないだろうけど。あんたのマスターだって同じことを言うはずだよ。」
私のマスターがそうだったようにね。
マスターの教えは忘れていない。ジェダイの教えを忘れたら、闇に囚われそうだ。私が愛した人の為に、必死に生きているんだ。
私の感情を読んだのか、ボードは殺意を引っ込める。
「腹の立つ女だ。」
「馬鹿にしたつもりはないよ。」
「同じことだろ。同情や哀れみは侮辱だ。」
「………後悔はしないようにね。」
背を向けて外へ出ると、ドアは即座に閉まった。
言ったところで、彼には届かないだろう。
彼はアナキンと同じように、暗黒面に呑まれる。それはもう変わらない。アナキンと同じように、“愛情”で動いているのだから。
私ができることは、彼の娘の幸運を祈ることだけ。
愛情で動いていても、必ず道を踏み外すとは限らない。自分が正しいとは思わないけど、私も愛情を知っている。だからこそ、愛情を全否定する気はない。
結局、選ぶのは自分しかいないんだ。
遠ざかるジェダの砂漠に、遠い地にいる生涯の伴侶を思い出すのだった。
continue……