ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
どうぞお納めくださいm(_ _)m
これは、アリス・レインの悪夢(笑)の記録である。
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これは夢だ。
「どうされました?レイン将軍」
コマンダーのヘクターが、呆然とする私に問い掛ける。
ここは、私の大隊の旗艦、ブリッジだ。いつもなら殺伐とした空気なのだが、今は賑やかな雰囲気となっている。煌びやかなシャンデリアに数々のお洒落な料理、シャンパンまで振る舞われている。
な に こ れ 。
「ちょっと意味が分からない。」
「何を仰るんですか!貴女の婚活パーティーですよ!」
そう、これだ。ヘクターがかなりおかしい。しかも、私の婚活って何。ジェダイだからダメだろ。
「ヘクター、頭大丈夫?」
「貴女こそ大丈夫ですか?」
ダメだ、会話が成り立たねぇ。ていうか、愛想の欠片もないはずのあのヘクターがニコニコしてる。キモい。
「え……本当に待って。ジェダイ評議会の許可は?」
「必要でしたか?」
「必要だろ!!」
寧ろ何言ってんだ!それ以前の問題!!そもそも許可降りるわけないじゃん!私ジェダイ(仮)だぞ!!
頭が痛くなってきた。
これは夢だ。絶対夢だ。最早悪夢としか言い様がない。言い出したの誰だよ。
「アリス」
恐る恐る振り向くと、そこにはタキシードを着たオビ=ワンがいた。目の保養だけど、違う、そうじゃないってば。どうしてオビ=ワンがタキシードを着ているんだ。
「えっと、何しに来たの?」
「決まっているだろう。お前の婚活パーティーに参加しているんだ。」
「評議会の意見は?」
「無視で良い。」
「お帰りください。」
「なぜだ。」
私が言いたい。
「レイン将軍」
「おやアリス、ドレスは着ないのかね?」
ルード議員に、パルパティーン議長までタキシード………
ルード議員は万歩譲って良いとして、パルパティーン議長、テメェはダメだ。
「私、一言も結婚したいなんて言ってないんだけど……?」
「何を言う?もうすぐアラサーだろう、アリス。」
「そうとも。アリス、そろそろ相手を見つけなくては、将来が不安だぞ。」
「レイン将軍、この機会に是非私の妻に!」
オビ=ワン、あんたにアラサー云々は言われたくない。
この状況、どうすればいいのか。
「全員パスで。」
「「「なぜだ!?」」」
「婚活なんてしてないからだよ!」
私の否定に、3人は口々に説得をしてくる。
「アリス!私を選べば、ジェダイ評議会を誤魔化せるんだぞ!」
「ダメだろ。あんた追放されるぞ。」
「なら私は!?一介の議員だが、将来は安泰だ!」
「No,Thank you!! タイプじゃないので。」
「タっ……!」
問題は、パルパティーン議長だ。
「ならば私の隣に!暗黒卿の私と婚約すれば、もれなく暗黒面の力を得られるのだぞ!」
「暗黒卿だと!?」
「議長、貴方って人は……!」
オビ=ワンとルード議員が、議長、もといシディアスを警戒する。暗黒卿だと知ったオビ=ワンが、ライトセーバーを抜くのも時間の問題。ルード議員なんて、ブラスターを取り出しそうな勢いだ。
「なんて切り札を出すんだ!」
「は……?」
「貴方は議長という肩書きだけでなく、暗黒卿という切り札まで出すとは!一介の議員である私に勝ち目はなくなるではありませんか!」
「いやいや、暗黒卿って時点で、こいつは逆に勝ち目ないでしょ……」
「ケノービ将軍!貴方もです!ジェダイ・マスターという称号だけでなく、評議会メンバーという特典まで!くぅ…なんて不利な戦いなんだ!」
「あの、聞いてます?」
誰か助けて。
コムリンクでマスター・ヨーダに連絡して、事情を説明する。一から十まで、全部。これで助かる。いやー、良かった良かった。
『アリス』
「はい、マスター。」
『良いではないか。3人の中から選ぶのじゃ。結ばれた暁には、』
もう聞きたくなくて、コムリンクを切ってしまった。
終わった、この世の終わりだ。
「アリス!聞いているか!?」
「だから!選べないって言ってるでしょ!?」
ヘクターも止めてくれる気配はない。
何、この馬鹿馬鹿しい戦い。誰得?
「そうか、分かった。では、実力勝負といこう。」
「え」
「それが良い。アリス、良いな?」
「良くないよ?」
「私も賛成だ。パルパティーン議長、ケノービ将軍、貴方達二人に勝負を申し込もう。」
「あんた達聞けよ。」
「いいだろう、ルード議員。」
「受けて立ちましょう、議員。」
シディアスは赤いライトセーバーを、オビ=ワンもライトセーバーを起動させ、ルード議員もブラスター・ピストルを取り出す。
今度こそ本気で止めようとすれば、3人に睨まれる。
「「「待ってろ。」」」
「誰が待つか!!!」
そう叫んだ後、私は聖堂の公文書館で目が覚めた。頭を机の上に乗せたまま寝ていたらしく、オビ=ワンに起こされていた。
最悪の夢だった。
現実であり得ないことだからまだしも、あれが実際に起こったら死にたい。いや、私が彼らを視界から消そう。うん、それがいい。
──────………
その後、ルード議員は元老院の議長オフィスでパルパティーン議長の相談を聞いていた。
「ルード議員、“レイン将軍”からしばらく顔を見たくないと言われたのだ。私の何が彼女を怒らせたのだろうか?」
「さぁ……?しかし、私も先程同意書のサインをもらいに行ったら、同じことを言われました。彼女の不機嫌のスイッチは、大分分かってきたと思ったのですが……どうも今回のものはよく分かりませんね。」
その時、オビ=ワンが議長オフィスへ入室してくる。首を傾げる2人に、彼は思わず問い掛ける。
「何を悩んでいるんです?」
「レイン将軍のことだ。私と議長は、しばらく顔を見たくないと言われてね。」
「アリスが……?」
「マスター・ケノービ、どうしたんだね?」
「いえ、実は、アリスを公文書館まで呼びに行ったのですが、私も偶然同じことを言われまして。」
「何か心当たりでも?」
「それが……何もないんです。」
3人は数日間、原因も分からず、アリスの態度について悩まされるのであった。
オビ=ワンだけは、後に理由を知って脱力したのだった。
「タキシードが似合ってたのは、ルード議員だけだったなぁ。」
パルパティーン議長とオビ=ワンが負け戦だとは、誰も知る由はなかった。
continue……