ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
お盆休みが長すぎて書きましたw
ヴェントレス大好きすぎるw
本編読み返してて、ヴェントレスをもっと出したくなった()
帝国が樹立して大分時が経ち、私は平和な星で束の間の平穏を満喫していた。
平和と言っても、帝国軍はいる。ただ、帝国に利が得られるような星ではないから、この星の封鎖は緩く、規制もあまりしていない。
こんな星はなかなかない。
フードを深く被りつつ、私は商店街を歩く。
手頃な屋台を見つけて、串焼きを1つ買い、商店街の中心にある噴水の淵に座った。
「相変わらず見た目はやばいよねぇ。」
湯気が出続ける串焼きを齧り、空腹を満たす。
この串焼き青いんだけど、味は焼き鳥みたいで美味しいんだよね。見た目は最悪だけど。今のところ、この世界の食べ物を食べてハズレだと思ったことはない。
モグモグと食べ進めていると、誰かが隣に座った。
人が来たし、立ち上がろうとすると、その誰かは口を開いた。
「そのアホ面のお陰で、明日の目覚めは気分が悪そうだ。」
「失礼な!あんた…ねぇ………」
馬鹿にしてきた女に言い返そうとしたら、思わず勢いを無くした。
「久しぶりじゃん。まさかこんなところで会うなんてね。」
「偶然じゃないさ。お前に聞きたいことがある。」
「え、何?ジェダイの機密なんか持ってないよ、ヴェントレス。」
そう、彼女はアサージ・ヴェントレス。アソーカの冤罪事件で一度会ったけど、お互い印象は良くなかった。もう会うことはないと思っていたけど、ヴェントレスから会いに来るのは意外だ。
違和感といえば、クローン戦争末期にオビ=ワンから死んだと聞いていたし、前の世界にも死んだという記載を見たから、亡霊を見ているような気分だ。
「死んだって聞いてたけど?」
「あぁ、死んだね。大方、ケノービ辺りから死んだってことしか聞いてないんだろう?」
「大正解。まぁ、その辺は置いといて。聞きたいことって何?」
「“道”を知っているか?」
知らないわけがない。
クインラン・ヴォスを始めとした人達が作ったという、ジェダイ含めた隠された組織だ。詳しい話は知らない。一度だけ関係者に会ったけど、私は関わる気はない。
「噂だけはね。何、あんた隠れる気なの?」
「アタシじゃないよ。お前こそ、皇帝に執着される身なのに、頼らないのかい?」
「その言い方はやめて。頼る気はないよ。私が関わったら、迷惑をかけるから。帝国軍の相手も慣れっこだし。」
「馬鹿なお前でも正解を選べるんだね。」
「だから失礼!ていうか、なんで“道”?」
ヴェントレスじゃないなら、なんで“道”を探しているんだろう。
彼女は隠れるような人じゃない。
「探しているジェダイがいる。どうせ聞いたところで教えやしないだろう?」
「そりゃあね。誰目当てなの?オビ=ワン?」
「なぜそうなる!?」
オビ=ワンじゃないのかぁ。
ここで、前世で読んだ“レジェンズ”の話を思い出した。
「待って、もしかしてヴォス?」
「お前………」
「えっ!?マジでデキてるの!?」
「今すぐ殺して懸賞金を稼いだって良いんだよ、レイン。」
「ごめんって。」
なーんかヴェントレスらしくない。昔のヴェントレスは、愛も情もなかった。でも今は、昔みたいな負の感情は感じられない。
かなり丸くなったみたいだ。
「でもさ、わざわざ私を見つけるなんて、他に何か用があったんでしょ?」
そう、私じゃなくて良かったんだ。生き残ったジェダイは多くはないけど、私より良いジェダイがちらほらいる。それも、マスターの称号に相応しいジェダイ達だ。
「ジェダイのガキがいる。」
「面倒は見ないよ?」
「そんなこと分かってるさ。今までもそうやって逃げてきたんだろう?」
「だから“道”を教えてる。私にマスターの称号が相応しくないって、私自身がよく分かってるし。私がジェダイ・マスターになったのは、評議会の判断ミスなんだから。」
「判断ミス?アタシにはそう見えないが?」
呆れたようなヴェントレスに、私は驚く。
「クローン戦争の時よりは成長しただろ。」
「成長したように見える?」
「昔のアンタなら、アタシが来る前に逃げたはずだよ。逃げないだけ一歩前進したじゃないか。」
「私を小動物か何かだと思ってない?」
「さぁ?その腹立つ性格は変わっちゃいないがね。」
「怒るよ?」
その時、冷たく重いフォースを感じた。ヴェントレスも気付いたようで、2人で同じ方向を見る。同じ方向を見た瞬間、ドッグで爆発音が響いた。
ヴェントレスは慌てて立ち上がり、ドッグに走っていく。
私も後を追うと、なぜか怪訝な顔をされた。
「首を突っ込むと、逃げられなくなるよ。」
「私のことは心配しないで。」
「どうする気だい?」
「私があんた達を逃がす。」
「全く……虫唾が走るね!」
ドッグに着くと、戦闘は既に終わった後だった。帝国のトルーパーはみんな倒れて、ジェダイの少年は息を切らせている。その様子に、ヴェントレスは溜め息を吐く。
「まさか……マスター・レイン!?」
「なんだい、アタシの時と随分態度が違うじゃないか。」
「ヴェントレス、言ってる場合じゃない。早く退散しよう。」
「言われなくても分かってるよ!」
ヴェントレスは少年を引き摺るように、ドッグの外へ連れ出す。
人混みに紛れて、私達は平静を装いながら歩き続けた。
「マスター・レイン!なぜここに?彼女と知り合いなの?」
「声が大きい。アリスでいいから。私のことはいいから、早くこの星から出た方がいい。」
「ジェダイ・マスターともあろう人が逃げるんですか!?」
「ほら、これが正常だよ。」
ヴェントレスに言うと、鼻で笑われた。
「アタシは逃げるのが悪いことだと思わないね。」
「それがジェダイとしての態度ですか!?」
「だから声が大きい。少し黙りなって。」
彼とは面識がある程度で、ちゃんと話したことはない。だから私の素顔は受け入れられないだろう。こんなズボラで適当なジェダイ・マスターなんだから。
「名前は?」
「………ライコ・ストラタ。」
うーん、憶えてない!!
「そう、ライコね。ライコ、今はジェダイの時代じゃない。帝国に捕まりたくなければ、逃げるしかない。」
「けど、」
「私が逃がしてあげる。」
「え……じゃあ、貴女は……?」
「気にしなくていい。」
別のドッグに着き、ヴェントレスは少年に何かを渡す。ドッグの船は、民間船だ。彼女が手渡したのは、恐らくチケットだろう。
手渡されたチケットを見て、ライコは戸惑っていた。
「これで逃げな。」
「一緒に来ないのか?」
「アタシも一匹狼だからね。さっさと行きな。」
「………手遅れだ。あいつが来た。」
ドッグのシャッターが破られたと同時に、ブレーカーを潰されたようでライトが消えた。
そして、破られたシャッターから尋問官が入ってくる。
「行って。」
「マスター!」
「マスターって呼ぶのはやめて。私はただのアリスだよ。」
「行くよ。あいつなら大丈夫だ。」
「そんな、待って!!」
ライコはヴェントレスに小突かれ、ハッチを上がっていく。
これで、私と尋問官の舞台だ。
「まさかお前に会えるとはな、レイン。なぜ残った?」
「聞きたいことがあってね。」
「なるほど、彼奴らに聞かれたくないか。」
「知る必要はないから。一回だけわざと目立つような真似をしたのに、来たのは尋問官だった。なんでヴェイダーは来ないの?」
尋問官は問いに答えず、赤いライトセーバーを起動させる。
「へぇ、私を捕まえようって?」
「ヴェイダー卿が来たところで、何の意味も成さない。」
「あんたが来たことに意味があるってこと?」
「自分で考えろ。」
そう言って、尋問官は切り掛かってくる。初めからダブルブレードにしてまで、本気で来るつもりらしい。私ものんびり戦っていられない。
ライトセーバーで赤い刃を防ぎ、隙を突いて全力でフォース・プッシュする。
その合間に、私はR7に連絡をした。
「R7、迎えに来て。………え?トルーパーが多い?気にしなくていい。どうせここにいるのはバレてるんだから。っ!?」
離したはずの尋問官が再度襲ってきて、私は今度こそ集中する。本気になったことに気付いたのか、尋問官から焦りを感じた。フォームⅤの真髄、フォースを刃に乗せて渾身の一刀を振り下ろすと、尋問官はギリギリでそれを防いだ。
「貴様…!」
「ヴェイダーも同じ型を使ってたのは知ってる。でも、使うフォースは違う。負けを認めれば大人しく去るよ。」
「お前が強くても、奴らはどうだろうな?」
「は?」
気が逸れた隙に、私は蹴り上げられて地面に転がる。受け身を取るけど、ヒルトは遠く離れてしまった。その後ろからヴェントレスとライコが切り掛かるけど、2人は斬撃を防がれ、ライコは吹っ飛ばされる。
尋問官は2人に構わず、私に赤い刃を振り下ろす。
ヴェントレスが慌てる中、私は素手で刃を受け止めた。
「な、何……!?」
「ツタミニス、知らないの?」
「っ…!!」
その時、尋問官の後ろからライコがライトセーバーを突く。青い刃が貫き、尋問官は倒れた。ようやく終わったと思ったのも束の間、トルーパーがドッグに入ってくる。
「早く行って!!」
私はヒルトを拾い上げ、ライトセーバーとツタミニスでトルーパーの弾を防ぎながら、相棒を待った。
ヴェントレスとライコは無事に脱出できたようだ。
相棒も到着し、私はシャトルへ飛び乗る。
「急いでハイパードライブを起動して!」
言うまでもなく、R7はすぐハイパースペースの計算を終わらせて、軽クルーザーと入れ替わるようにハイパードライブを起動させた。
この星に平穏はなくなった。尋問官もすぐ私を見つけるし、立ち止まっていられない。尋問官が現れたら、都度対処するしかない。
呑気に私を揶揄うR7-D4に、大きな溜め息が出るのだった。
それからしばらくして、ヴェントレスから連絡があった。とは言っても、直接来たわけじゃない。フェネック・シャンドとかいう賞金稼ぎが、あらゆる手段を使い連絡を寄越してきたんだ。
まぁ、そのフェネックも人を介して連絡を寄越したんだけどね。
だから実際には会ってない。
そして、私は今パブーという星に来ている。
「え、無理。」
来て早々、ヴェントレスに頼まれごとをされ、速攻で断った。
「アタシに面倒見ろって言うのかい?」
「適任じゃん!前科あるし問題ないでしょ!」
「………やっぱり殺してやろうか。」
「やめて?」
頼まれごとというのは、“オメガ”についてだ。
ハンター達は、M値のことを知りたがっているらしい。でも私からすれば、M値のことは知らない方が良いと思っている。フォースを知れば、それだけ運命に翻弄されることになるから。
それはヴェントレスもよく分かってるはずだ。
「うっかりクローン共を殺してしまうかもしれないよ?」
「それはないよ。」
「なぜ断言できる?」
「だってヴェントレスだから。」
「答えになってないが?」
「ヴェントレスは物事を客観的に見れるでしょ?私にはそれができないから、適任だと思うよ。」
私の答えに、ヴェントレスは私を見つめた。
「お前、やっぱりジェダイ・マスターじゃないか。」
「何それ。」
誰か来たことを察知したのか、R7が私に知らせてくれる。
「じゃあ行くね。」
「“あの子”には会わないのかい?」
「秘密を知ったのなら、私は会わない方がいいんだよ。」
「その呪いのことか。」
「いつかは反乱活動に加わるかもしれないけど、今はまだ巻き込みたくない。」
じゃあねと言って、私は自分のシャトルに乗り込む。
ヴェントレスとはまた会う気がする。でも、それは遠い未来か、または近い未来かは分からない。ただの勘だ。フォースの予感とも言える。
彼女は善人じゃないけど、悪人でもない。
そんなヴェントレスに、幸運を祈ろう。
continue……