ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
エレノア編、初小話です。
本編がある程度進んだので、追加させていただきました。
どうぞお納めください…
闇を支配せよ
これは、エレノア・クラウドが暗黒面を学んだ際の記録である。
────────
マスター・ドゥークーが聖堂を去り、私はチャンスだと思った。
彼の離脱でオーダーは混乱している。誰もが尊敬したジェダイ・マスターが、ジェダイ・オーダーを去った。それだけで、ジェダイ達は混乱した。
私にとって、最高の状況だ。
「お呼び立てして申し訳ありません。」
アンダーワールドの上階層にて、とあるビルでシディアス卿と密会していた。
「構わぬ。其方が呼び出すとは、余程のことだ。」
「感謝します。今がチャンスなのです。私に、シスの技をお教えください。」
シディアス卿の前で跪き、懇願する。
シスの技を学ぶには、今が絶好の機会だ。ジェダイ最高評議会も混乱している。私のことなど気にもかけないだろう。
「良かろう。何が知りたい?」
私が知りたいのは、たった2つ。
1つは、フォース・ライトニング。そしてもう1つ、ジェダイ公文書館で見たシスのとある秘術。この2つが学べれば充分だ。
シディアス卿がもっと教えてくれるなら、私は期待に応えよう。
「承知した。まずフォース・ライトニングだが、力の根源は怒りと憎しみだ。其方は何を糧に怒りを力にする?」
「私は……」
私は、やりたいことができないジェダイ・オーダーに憤っている。自分の意志で動けないことが、ずっともどかしかった。それに、マスターすら私を認めてくれない。
怒りを増幅させるには、これだけで充分だった。
「なるほど……其方を選んで正解だったようだ。」
「勿体ないお言葉です。」
「謙遜するな。其方より純粋な闇を持つ者はいない。余が其方と出会ったのは、フォースの導きであろう。」
フォースには、意志がある。良くも悪くも、全てのフォース感応者の運命を決める。この私も、シディアス卿も。ジェダイもシスも、フォースの意志が左右する。
暗黒面を学ぶことも、為るべくして為ったものだ。
私はそう信じたい。
「では、実践せよ。」
シディアス卿から手解きを受け、私はフォース・ライトニングを放つ。自分の腕も痺れるけど、やめる気はない。ジェダイでは学べないものなんだ。
「やはり見込んだ通りだ。」
「ありがとうございます。」
「さぁ、もう一つの願いを言うてみよ。」
「これを……」
ジェダイ公文書館でコピーした小さなプロジェクターを開き、シスの秘術の術式が映る。
シディアス卿はそれを見て、言葉を詰まらせる。
「末恐ろしい子よ。其方が求めるこの術は、生半可ではないぞ。」
「承知しております。使うのは、ジェダイをやめてからです。しかし、使い方を学べるのは今だけ。どうか、貴方の僕に施しを……」
私の懇願に、シディアス卿はようやく頷いてくれた。手順を教わり、何が必要で、何が得られるか、全て教えてくれた。その代わり、使うのはジェダイをやめてからだと約束した。
今使えば、我慢してきた意味がない。
「感謝します。」
再び跪き、私は頭を下げる。
「友よ、時は迫っている。焦るでない。」
「その暁には……」
「当然よ。其方も、内なる闇を解き放つのだ。解放してしまえば、誰にも止められぬ。」
シディアス卿は、そう言って低い声で笑う。
その笑い声は、なぜか恐ろしかった。私にも得体の知れないものを感じる。“主”を裏切ってはいけない。
いや、裏切るつもりはない。
主は私を救ってくれる、素晴らしい方だ。
「その闇を操るのは貴方です、マスター・シディアス。」
「期待しているぞ、“ネル”。」
シディアス卿と別れ、私は何事もなかったかのようにジェダイ聖堂へと戻った。
マスターやジェダイ最高評議会は私の心の内に気付かず、オビ=ワンですらいつものように接してきた。嫌悪感を隠し、努めて平静を装う。念には念を、良い子を演じた。
こうして、誰も私に振り返らなかった。
「エレノア」
マスター・ヨーダに声をかけられ、私は回廊で立ち止まる。
「はい、マスター。」
「精進しておるな。」
「ありがとうございます。良きジェダイになろうと、日々努めています。」
「良いことじゃ。その心意気を忘れてはならんぞ。」
「はい。」
マスター・ヨーダにお辞儀をして、背を向ける。
吊り上げていた頬の筋肉を緩め、小さく息を吐く。
良い子を演じるのは楽じゃない。本来の自分を隠すのは疲れる。でも良い子でいなければ、本当の私を知られてしまう。
本当の姿は、誰にも見せたくない。
「早く始まらないかなぁ…」
来たるべき時は、もうすぐだ。
終わりが始まれば、私も偽る必要がなくなる。
あぁ、とても待ち遠しい。
continue……
エレノア編と同様、アリス編もリクエスト受付中です。
可能なものは書いていきたいです。
因みに、R18のリクエストは受け付けていませんので悪しからず。