ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
誰かご馳走してくれぇ
これは、エレノア・クラウドとシーヴ・パルパティーンのグルメ旅行の記録である。
────────
某年、某日。
私は議長の護衛で、ナブーへと訪れていた。
議長の護衛は建前だ。本来の目的は、“主”の屋敷でシスの訓練をする為である。私とアナキンは議長のお気に入りというレッテルがあるから、今回のようなこともおかしなことではない。
そして今、訓練を終えた私と議長は市場に来ている。
「議長!議長!これ美味しそうですね!」
「さすがはネル。それはナブーの特産品で作られたパイだ。食べるか?」
「良いんですか!?」
「日頃頑張っている弟子の為だ。」
目を輝かせる私に、議長は後ろから小さく囁く。
議長はパイを買ってくれて、さらにコルサントでも食べられるように手配してくれた。
一生従います!!!
「議長!これは!?」
「気付くのが早かったな。その魚は高級魚で、今が旬なのだよ。」
「つまり……!?」
「察しが良い。脂が乗っているということだ。」
「議長………」
「どうした?」
「私ここに永住したいです。」
いや、無理なんだけどね?
あと数年待たないと、ジェダイから解放されないから無理だ。
魚も購入してもらい、次に見つけたのは果物屋だった。見た感じはごく普通の桃なのに、なぜか色と形が綺麗だった。不思議なことに、とても唆られる。
「気になるか?」
「はい!この桃は何なのですか?」
「最近市場に出回ってきたものでな、桃特有の甘味に加えて、熱を与えると特段香りが増すように品種改良されたのだ。」
「焼き菓子に最高じゃないですか!!」
「その通り。これも買っていこう。」
「ありがとうございます!!」
あちこち回って袋をたくさん抱え、私達は屋敷に戻った。買ったものは全てパルパティーン家お抱えのシェフに預け、私と議長は地下室へと降りる。地下にあるのはトレーニングルームだけではなく、ワインセラーもある。しかも、部屋丸ごとワインセラーだ。
何しに来たかと言えば、もちろんワインを飲む為だ。
主のワインは美味しいものが多くて最高!!
「ではネル、ここで問題だ。」
「はい?」
「其方はシスの名を得る際、何を捨てる?」
突然の問いに、私は悩む。
シスに必要なのは、快楽と欲、それに力だ。対して不要なのは、友情や良心、優しさ。今の私は、どちらも持っている。
シスに不要なものを持っている私は、普通の答えでは主を満足させられない。
それなら、答えは1つ。
「全てを捨てます。夢を叶える為には、貴方に従うだけで良いのですから。」
「よろしい。それこそ、ネルだ。おっと、料理が出来上がったようだ。ディナーにしよう。」
「はい!!」
こうして素直に喜ぶ私は、単純だ。夢を叶える為に、何も考えなければ何も問題はない。私は弟子である前に、シディアス卿の僕なのだから。
「お待たせ致しました。」
「やった!!」
テーブルに着いてすぐ、お通しが運ばれてきて、食べ終わった後に前菜が運ばれてくる。新鮮な野菜を使った前菜を食べ、次にスープが運ばれてくる。
湖水地方で採れた芋のスープが、大変美味です。
そして!今日買った高級魚!この後メインの肉料理があるけど、これがメインと言っても過言じゃない!
「美味しい……!脂が最高…!」
「幸せそうだな。」
「幸せです!」
議長は苦笑いする。
ジェダイだから、こんな豪華な料理食べられないし仕方ない!!
「来たあああああああっ!!」
「ネル、シェフが引いているから落ち着け。」
「すみません……」
お口直しのソルベ!
今日買った桃のシャーベットが、口の中に淡く広がる。最高すぎる。早くジェダイをやめて、豪華料理を満喫したい。
「マイノックのグリルでございます。」
「………」
「何ですか?」
「マイノックが好きな人間女性は本当に珍しいものだ。」
「美味しいですもん。」
マイノックが好きなのは私だけじゃないよ?トワイレックの好物らしいからね?トワイレックに至っては丸焼きみたいだけど。
「桃のタルトとエスプレッソです。」
「議長……」
「どうした?」
「エスプレッソはいつまで経っても美味しく思えません……」
「その内美味しいと思えるだろう。安心したまえ。」
甘いものは好きだけど、エスプレッソは本当に苦手だ。舌がお子様なのは、泣きたくなる。こんなに美味しいものをたくさん食べているのに。
コース料理が終わり、私と議長はコルサントへ戻る船に乗り込む。
私はさて置き、議長は忙しい方だ。その合間に私を鍛えてくれるなんて、本当にすごいお方だと思う。こんなに完璧な方は、他にいない。
ジェダイが議長の正体に気付くはすがない。
時が来るのが楽しみでならない。
早く全てが終わってほしい。
continue……