ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
今回も重い話となります。
それでも良い方は!お読みくださいませ!!
ネルが皇帝とした取り決めとは何なのか、この話で明かそうと思います。
複雑すぎますぅ(空笑い)
皇帝と取り決めをして数年後、私は田舎の小さな村にいた。隣には旦那がいて、穏やかな暮らしを送っている。今の生活は、私の夢そのものだ。
だけど、心は満たされない。
なぜなら、旦那はただの役で、私の見張りだからだ。
取り決めで彼を殺すことはしないし、帝国も私に干渉はしない。静かに過ごしていれば、パドメに危険も及ばない。私が我慢すればいいだけの話だ。
そんなある日、見張りの男に話があると言われた。
旦那役の男は大尉で、最初は口論が絶えなかった。本当に嫌味な奴で、人を見下して、最低な奴だった。彼が監視に就いて1週間したら、会話はなくなった。名前は忘れたし、覚える気もない。
その男が、話があるなんて珍しいことだった。
渋々椅子に座り、反対側の椅子に彼は座る。
「話って何?」
「監視していて分かった。君は良い人だ。」
「は?どこが?」
何を見て、私が良い人だと思ったのか謎すぎる。
「1年見てきたが、そこまで悪人に見えない。ヴェイダー卿が危惧するほど悪人だなんて………」
「ねぇ、良いことを教えてあげる。」
「なんだ?」
「私は悪人だよ。取り決めさえなければ、あんたを殺してる。」
「君が悪人なら、取り決めは守らない。」
男の言うことは間違っていない。けど、私は取り決めを守る悪人だ。善人じゃない。
「だが、村人とは良い関係を築いている。」
「それは波風を立てたくないから。本当に何なの?」
「私は君を助けたい。」
昔よく聞いた言葉を思い出す。
みんな、私を助けたいと言ってきた。でも私は拒んで、受け入れようとすれば不幸が降りかかった。最初にアナキンが離れていって、パドメも失うと思って遠ざけるしかなかった。
「エレノア、君のことは資料で読んだ。君はここにいるべきじゃない。」
「私から目を離せば、あんたが報いを受けることになるよ。」
「ほら、私の心配をする。君には良心がある。その良心を失くさないでほしい。」
言葉に詰まる私に、彼は続ける。
「君の夫役は不愉快でね、私は早く降りたいんだ。」
「嫌な奴。」
「だが、友達として仲良くしたいとは思った。」
「あんたと友達に?寝言は寝て言えってママに教わらなかった?」
私を慕っているのかそうじゃないのか、よく分からない奴だ。
男とはベッドも別だし、キスもしない。見張りだからと、私も男も意見が一致して何もなかった。私も妻らしいことはせず、ほぼ瞑想して時を過ごしていた。
「私が時間を稼ぐ。君は村人に紛れて、この星から出るんだ。」
「……断る。」
「どうしてだ!?私なんかより、君の方が銀河の為に、」
「やめて。私はどうだっていい。」
「どうだって良くないだろう!」
埒が明かない。
私には取り決めという縛りがある。でも、この男にはない。わざわざ私を枷にする必要はないのに。
「銀河の為なら、あんたが昇進して帝国を動かせばいい。」
「無理だ。」
「どうして?」
「私は非情にはなれないんだ。」
帝国は、弱いものを切り捨てる。従わなければ、命も危うい。帝国軍の将校も例外じゃない。欲のある者だけが、力を得る。共和国やジェダイ・オーダーとは大違いだ。
なんて皮肉なんだろう。
その時、ドアを叩かれて怒鳴り声が聞こえた。
「開けろ!帝国軍だ!お前達には反逆罪の容疑がある!直ちにここを開けて投降しろ!」
反逆罪という言葉に、男を見る。
「何をしたの!?」
「この星に移る報告をしなかっただけだ。」
「大馬鹿者!」
悩んだ末に、私は地下水路に続くシャッターを開ける。
男も追われるのなら、置いていけない。大尉を地下水路に叩き落し、自分も下へと降りる。大尉の腰からブラスターを取り、操作パネルを撃って開けられないように壊す。
しばらくは時間が稼げるはずだ。
「先に行ってくれ。」
「ダメ。早く。」
少し走った後、私達はボイラー室に入り座り込む。
ボイラー室に入れば温度センサーにも引っかからないし、少しの物音なら掻き消してくれる。当分は見つからないだろう。息切れしている男に休むように言って、自分も落ち着こうと溜め息を吐く。
「私が投降する。あんたはその間に逃げて。」
「ダメだ!帝国を離反した意味がないだろう!」
「ただの人間に何ができるの?」
「それは……」
「何もできないよね。」
だから反逆罪に問われているんだ。
「こっちだ!」
トルーパーの声が聴こえて、ブラスターを構える。
だけど、その武器は大尉に取られて、彼は私を水路に突き飛ばす。
「ちょっ…」
「振り回してすまなかった。」
「待って!!」
水に流される直前、男がトルーパーに撃ち殺されるのを見てしまった。
本当なら、私が彼を逃がすべきだったのに。彼が死んだのは私のせいだ。私が取り決めに拘ったせいで、死人が出てしまった。
「謝罪をするなら私なのに…!」
水路から出た後、息を整えながら木を殴る。怒りを糧に渾身の力で殴った為、木は折れて倒れた。自分の手の甲も傷付き、血がポタリと垂れる。その手で顔を覆い、私はこみ上げる悔しさに必死に堪えようとする。
地に落ちる液体が血なのか涙なのか、判別する余裕はなかった。
その後、私は皇帝と直接取引をして、新しい取り決めができた。
私が黙っていれば、皇帝とヴェイダー卿は、“反乱組織”に直接干渉しない。見張りは居住地には入れず、私の近くに誰も置かない代わりに、居住地から出ないというものだった。一歩でも出たり、逃げるような動きがあれば、居住地近くに控えるパージ・トルーパーに射殺される。
これで良いんだと、自分に言い聞かせた。
パドメとサーベには、身を隠す為のイサラミリがいる。バレることはない。皇帝にも、ヴェイダーにも。
私が檻の中にいる限り、これ以上悪くはならない。
時が熟するまで、私は檻の中の人形となろう。
continue……