ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
モチベ上げの為に書きましたw
どうぞお納めください。
これはパダワン2人と、ナイトになったばかりのエレノアとのとある日の記録である。
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喧嘩というのは、些細なことから起きる。
「アナキン!何度言えば分かる!?ライトセーバーは肌身離さず持て!」
「聖堂の中なんだから良いだろ!」
友達であるアナキンと私の同期であるフェラスの喧嘩を見るのも、日常の景色と化していた。
きっかけは公文書館にいたアナキンをフェラスが見つけて、ライトセーバーを持っていないことに気付いたからだ。アナキンはパダワンになったばかりで、ジェダイとしての日常にまだ慣れていない。それでフェラスが先輩として教えていたんだけど、毎回喧嘩になるのがいつもの流れだった。
で、なんで私が関わっているのかと言うと、
「ネル、お前はなぜ注意しない?」
「いやいや、私部外者ですから。マスターはあんたでしょ、オビ=ワン?」
アナキンの友人だからと、オビ=ワンに注意されることも多々あるからだ。いくら模範的なジェダイを演じていても、これには異論しかない。確かにアナキンとは友達だけど、部外者だ。
「お前もナイトなら、アナキンに注意しろ。」
「マスター・ケノービ?あんた確か、アナキンのことは責任持ってジェダイにするって言ってなかったぁ?」
「全くお前は……」
「エレノア!」
「分かった分かった!」
フェラスまでが加勢してきて、私は溜め息を吐く。
「よしアニー、私がジェダイの心得を教えてあげる。」
「心得?」
「そう。ジェダイたる者、警戒を怠るべからず。ある日突然、聖堂が襲撃されたら大変でしょ?それに、ライトセーバーを持ってなきゃ悪戯もできないよ?」
「ネル!!」
「何か?ちゃんと教えてるじゃん。」
「そういう問題じゃない!」
面倒になると思い、私は怒るオビ=ワンを置いて逃げ出す。
スイッチが入ったオビ=ワンは面倒臭いんだよね。
公文書館から出た後、私はシャワールームに向かう。これから議長の護衛任務だから、身支度をしておかなければならない。一通りシャワーを浴びて、タオルで髪の水気を拭き取る。
洗面器でタオルを被ったまま頬杖をついていると、フェラスがノックして入ってきた。
「考え事か?」
「別にぃ?」
「なぜアナキンを注意しない?」
「アニーとは友達だから、ジェダイとして口を出したくないだけ。アニーのマスターはオビ=ワンだから。」
ナイトだから、先輩だから、そんな口上は嫌いだ。
本来不真面目な私が真面目なフェラスに好感を持てるのは、フェラスがそういう見方をしないからだ。彼はパダワンだからと、引いたりしない。私のことも同期だからとか、ナイトだからとか、上も下もなく見てくれる。
フェラスは、アナキン以外で唯一対等に見てくれる人だ。
「友人ならちゃんと言うべきだ。」
「いいの?それこそ私情挟むけど。」
「良いわけないだろ。」
フェラスは私の頭からタオルを取ると、洗面器の淵に置いて椅子の向きを変えさせる。
私達は向き合う形になり、フェラスは優しく声をかけてくる。
「なぁ、アナキンはただでさえオーダーへの加入が遅いんだ。お前だって、アナキンに暗黒面へ落ちてほしくないだろ?正しいことを教えるんだ。」
「でも、」
「お前が考えを改めて、良いジェダイになろうとしているのは分かってる。だが、俺はパダワンだった頃のお前を知っているんだ。無理に教えることはない。本当に正しいと思うことだけは、しっかり教えろ。」
そう言って、フェラスは私の肩を叩く。
私はシスの訓練を始めたばかりだ。ジェダイの誰も知らない私が、フェラスは危険だと言っている。もしフェラスが本当の私に気付けば、私“達”の計画は台無しになる。
フェラスの観察眼に救われたこともあったけど、今は何も気付かれたくない。
ここで知られるわけにはいかない。
「分かった。でも、私が正しいと思うことでしょ?それが間違っていても責任取れないからね。」
「そういうのを屁理屈って言うんだぞ。」
「屁理屈大好きだわ。」
「馬鹿馬鹿しくなってきた……」
フェラスの肩を叩き、私はルンルンで自室へ向かう。
隠してあったワインを取り出して、栓を開ける。グラスに移さず、ラッパ飲みしながらパッドを開く。前回の任務の報告書を書き、私は寝台に横になった。
やっぱワインは良いわぁ。
「ネル、少し良いか?」
「オビ=ワン!?ちょっと待って!!」
ボトルを慌ててベッドの収納に隠し、ドアのロックを解く。
オビ=ワンを招き入れ、私は話を促した。
「それで?何の用?」
「アナキンとオリンのことだ。」
「あぁ、あの2人が何?」
「実は……ネル、酒臭いぞ。また酒場に行ったのか?」
「え?今日は行ってな……なんで知ってんの?」
おかしいな。バレないように行ってたはずなのに。よりによってオビ=ワンにバレるなんて最悪だ。
「オリンに聞いたんだ。少しは行動を慎め。」
「すみませんでしたぁ。」
「誠意が感じられないぞ。全く……酒場に行ってないなら、なぜ酒臭い?」
「分かったよ!さっきここで酒を飲んだの!これで良い!?」
「聖堂に持ち込んだのか!?何を考えているんだ!風紀を乱すな!」
他のジェダイに見つからないようにしているのに。
オビ=ワンには見つかったけど。
「アナキンが良いジェダイになれなかったらどうする!」
「アニーは大丈夫だよ。何?私がアナキンと友達だから、心配してんの?」
「お前も心配だ。酒に逃げてるようにしか見えない。」
「酒に逃げる?そんなことないって。ただお酒が好きなだけだから。」
これは本当だ。だけど、逃げてるのは否定できない。シスの訓練で蓄積した痛みを誤魔化すには、酒が最良だから。
苦痛を爆発させない為には、多少の飴も必要だ。
まだ知られるわけにはいかない。
「ネル、今は止めないし、やめろとは言わない。だが、程々にしろ。いいな?」
「良し!」
「ネル」
「ごめん。気を付ける。」
そう言って、隠していたボトルを持って中庭に逃げる。
オビ=ワンが呆れた表情をしていたけど、知ったこっちゃない。
寝静まったジェダイ聖堂の中庭は、誰も来ることはない。1人で楽しむには最高の場所だ。ボトルを開けて、私は時間をかけてワインを飲む。
壁に寄りかかっていると、真面目なパダワンが隣に座った。
「今機嫌悪いから、どっか行ってくれない?」
「マスター・ケノービに話したことを怒っているのか?」
「分かってるなら消えて、フェラス。」
アナキンの気持ちがとてもよく分かる。表向きは私も模範的なジェダイだから、フェラスの言うことも分かる。でもうるさく聞こえてしまう。
「悪かった。だが、お前が心配なんだよ。」
「心配する必要ないから。フェラス、アナキンの気持ちを代弁するけど、不真面目も個性の1つだよ。」
「それはお前の意見でもあるということか?」
「そういうこと。」
ワインがなくなり、私は腰を上げる。
ところが、フェラスは腕を引いて私を座らせる。
「何?」
「気付いているか?マスター・ケノービは俺のマスターに、」
「知ってる。でも、私達が口を出すことじゃない。」
「エレノア、俺はそんなつもりはない。2人が望むなら……」
「何が言いたいわけ?」
フェラスは何か言い辛そうにする。
あのフェラスが他人の恋に敏感になるなんて、意外だ。真面目なパダワンが、何かを秘めているみたいだ。それも、禁忌の秘密を。
「いや、何でもない。早く寝た方がいいぞ。」
「なんで?」
「新しい任務だ。」
「はぁ!?聞いてない!!」
「今教えたからな。」
フェラスは私の肩を叩くと、すぐ中庭を出て行く。
妙に優しいフェラスが、気持ち悪い。同期だけど、フェラスと私の関係はここまで良くはない。悪くもないけど、深い親交はなかった。
「意味分かんない……」
私はジェダイ聖堂を抜け出して、排水路にボトルを投げる。
フェラスがアナキンと対立する理由は、不真面目だけじゃない気がする。でも、本当のところはよく分からない。感情は読めても、心は読めない。
彼の気持ちが分からない。
その1ヶ月後、私はフェラスの気持ちが分からないまま、彼を壊した。
良い男だと思ったのに、残念だ。
だけど、どこかホッとしている自分がいた。
これでパダワン達の喧嘩に悩まずに済む。
continue……