ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
帝国が滅んで数年後、私は夫と娘と一緒に旅を続けていた。
定住を避ける理由は1つ、監視されたくないから。
共和国は私達の自由を承諾したけど、無視したわけじゃない。最初の頃は、黙って監視されてやっていた。だけど、これでは自由とは言えない。
だから行方を眩まして、旅を始めた。
これは、フェラスも同意の上だった。
そんな中、噂が聞こえてきた。
「最悪だ………」
「お前のせいじゃない。」
「けど、世間はそう思わないよ。」
コックピットで頭を抱える私に、フェラスは事実だと言う。
聞こえてきたのは、シス関連のものだった。ただ、問題はシスではなく“ダース・ルシル”だ。ダース・ルシルが、また問題を引き起こしたんだ。
シンジケートから聞いた話だと、ダース・ルシルを信奉する者達がいるという。
そう、シスである私の信奉者だ。
教えてくれたのは、クリムゾン・ドーン。信奉者達が相手にしているのは、共和国だけではない。シンジケートやギャング相手にも、喧嘩を売っている。
「アナキンには伝えたか?」
「“パドメ”には伝えた。」
「おい、あいつに言わなきゃ意味がないだろ。」
「無理。ブロックされてる。」
あれから、アナキンは私の連絡を拒否している。理由は分かる。シスとして生きる私に触りたくないんだ。
私の生き方は受け入れてくれたけど、彼には罪悪感があるらしい。
友達だからこそ、私を許す気はないようだ。
「パドメに言えば、共和国にも新ジェダイ組織にも伝わるでしょ。」
「お前って奴は………」
「問題はそれよりも、信者達のこと。私は一度だって容認したことはない。」
「シスの信奉者は危険だ。放置はできないな。」
「分かってる。」
フェラスの言う通り、放置はできない。娘もいる。このまま放っておいて、娘が巻き込まれるなんてダメだ。
「フェラス、ステフを守ってて。私が動く。」
「だが、」
「信奉者共がつけ上がったのは、私のせいなの。だから、私がケリを付ける。」
「分かった。俺達はシャンドリラへ向かう。気を付けろよ。」
「うん。あんたもね。」
フェラスにキスをして、急いで支度する。
私は1人で町に出て、真っ直ぐある場所へと向かう。
どの星にも、シンジケートに繋がっている人がいる。表向きはバーの主人だったり、食堂のオーナーだったり、様々だ。今回向かう先もクラブで、その店のバーテンダーが連絡要員だったりする。
クラブに入り、私は人混みを通ってカウンターの男に声をかける。
「テキラは?」
「あんた誰だ?」
「いいから、ルーシーがライトニングを呼んでるって伝えて。」
男は不満そうな顔をしながらも、奥に入って“テキラ”と呼ばれる男を呼びに行く。
やがて、懐かしい顔がカウンターの向こう側に立った。
「やはり貴女でしたか。」
「久しぶり、サンダー。」
出てきたのは、セレノーのドゥークー家に仕えていたあのサンダーだ。
分離主義派がシディアス卿に処分されて以来、彼は即座に行方を眩ませた。頭が切れるサンダーは、帝国から逃げ切っていた。その後は反乱軍にも加わり、諜報部に貢献していた。
帝国がなくなってからは、この星のクラブを経営して生計を立てている。
「何年ぶりでしょうか、クラウド将軍。」
「もう将軍じゃない、エレノアでいい。それに、私は今客として来てる。手伝ってほしいことがある。」
何かを察したのか、サンダーは私を連れて奥の部屋に通す。
私が座ると、サンダーは酒を差し出した。
「再会の酒です、どうぞ。」
「ありがとう。」
「それで、貴女に手伝いが必要とは?」
「パイク・シンジケートと会いたい。」
そう言うと、サンダーは酒で咽せる。
何か問題を起こすと思われたらしい。今の私が静かに暮らすことを望んでいるのは、サンダーも知っている。その私が、自ら嵐に飛び込むなんて、信じたくはないだろう。
「なぜシンジケートと……」
「別のシンジケートから聞いたんだけど、私の信奉者がいるんだって。」
「貴女の信奉者なら、放っておいては?」
「放置して、娘に何かあったら困る。」
「あぁ、ステフお嬢様ですか。あの子はお元気ですか?」
「元気だよ。って、そうじゃなくて、パイク・シンジケートと会いたい。橋渡しをお願いしたいの。」
パイク・シンジケートと会えるように頼むけど、サンダーは乗り気じゃなかった。
しかも嫌そうな顔をしている。
「共和国は知っているんですか?」
「知らない。でもパドメには言ったし、問題ない。」
「しかし盟約があるはずです。」
「シスとして活動するわけじゃない。大丈夫だよ。」
サンダーに食い下がると、何とか了承してくれた。
彼が連絡をして、私1人で合流することになった。パイク・シンジケートは向こうから来るらしく、私はこのクラブで待つだけ。
あと、彼らに見返りを用意しないと。
「エレノア」
カウンターに出ていたサンダーが、慌てて控え室に入ってくる。
「絶対店に出ないでください。」
「何?どうしたの?」
「噂をすれば、貴女の信奉者が現れました。」
「なんで私の信奉者って分かるの?」
「見れば分かりますよ。」
サンダーの言葉に、私はホールを覗き込む。
彼がなぜ私の信奉者と言ったのか、よく分かった。
私の首には、シディアス卿に彫られた古代シス語がある。私と同じタトゥーを持つ者達が、ホールにいる。彼らが、ダース・ルシルの信奉者達だ。
どうやら、誰かを探しているらしい。
控え室に戻ると、サンダーが裏口に通してくれた。
「恐らく、目的は貴女でしょう。」
「ほんと、サンダーって鋭いよね。」
「どう見ても貴女を探しています。ホールにいた客には目もくれず、控え室を見ていましたから。」
「え、こわ。」
迎えを待っている余裕はなさそうだ。
その時、ブラスターを撃たれて私とサンダーは身を隠す。信奉者共が次々と現れ、確実にサンダーを狙っている。誰を先に潰せばいいのか、よく分かっているみたいだ。
「サンダー!先に逃げて!」
「しかし貴女は、」
「私は大丈夫だから!」
「すぐにパイクが来ます!少し辛抱してください!」
「ありがとう!」
サンダーが逃げたのを見計らい、私はシスの言葉を吐く。
これ以上、被害を広げるわけにはいかない。
「お待ちください!」
生命エネルギーを使おうとすれば、信奉者に止められた。
まさか止められるとは思わず、思わず信奉者の後ろにフォース・プッシュをしてしまった。
「我々は敵ではありません。」
「嘘は吐かない方がいい。クリムゾン・ドーンから聞いてるから。」
「分かりました。お互い嘘はやめましょう。率直に言います。我々と来てください。」
素直に行く奴はいない。
はっきりNOと言った。
「私の信奉者って言ったっけ?私は銀河なんかどうでもいい。だから行く気はないよ。」
「ルシル卿、貴女は全てを知らない。」
「全て?」
「我々は、“シス”の信奉者です。ヤヴィン4へ同行してください、ルシル卿。貴女やシディアス卿では役不足なんですよ。」
その瞬間、信奉者達はスタン・ビームを撃ってくる。
だけど当たるわけもなく、私はスタン・ビームを避け続ける。所詮相手は非フォース感応者。私の敵にはならない。
「では、強行手段でやらせていただきます。」
「っ!?」
さっきまで何も感じなかったのに、いきなり信奉者のフォースを感じ取れるようになった。即座に、脳裏でイサラミリが浮かんだ。私の真似をして、イサラミリのバブルを使ったのか。
私を腕力で止められないと諦めたのか、他の信奉者達はブラスターを投げ捨てる。
ところが、信奉者達はナイフを取り出して自らの手の平を切りつけた。
何をするのか予期して、咄嗟にUターンする。
「逃がしませんよ。」
「っ!!」
大量の生命エネルギーが渡り、男はシスの言葉を吐く。緑色の炎が四肢を拘束して、私は男の下へ引き摺られていった。他の信奉者達は生命エネルギーがなくなり、次々と倒れていく。
自らの命を何とも思わない彼らに、僅かでも恐怖を覚えてしまった。
「っ……やめないと取り返しの付かないことになるよ!」
「我々の望みは、シス帝国の再建。貴女では止められない。」
首に微かな痛みを感じて見てみると、シリンジで刺されていた。
眠気が襲ってきて、強制的に意識の底へ呑まれていく。
意識を取り戻したら、全員地獄に突き落としてやる。
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