ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。   作:夭嘉

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闇の崇拝者達【後編】

目を覚ますと、磁気フィールドで拘束されていた。逃げられないようにカフの内側には棘があり、四肢に毒を流し込まれている。意識のある状態で、逃がさないようにする為だろう。

 

 

「ご機嫌よう、ルシル卿。」

 

 

タイミング良く、私を拉致した男が入ってきて、丁寧にお辞儀をする。

 

 

「この場所、貴女はよくご存知でしょう?」

「そうだね。本当に連れてきたんだ?なんでここなわけ?」

 

 

私がいるのは、ヤヴィン第4衛星。通称、ヤヴィン4。かつて反乱軍の基地だった、マサッシ遺跡だ。

 

この遺跡には、シスが眠っている。エグザ・キューンという、古代のシスだ。彼は肉体と精神を分離して、銀河を脅威に曝した。私が反乱軍に入った時に封印を強化したけど、復活しないという断言はできない。

 

 

「貴女に封印を解いてもらう為ですよ。」

「するわけないだろ。調子に乗るな。」

「痛い目に遭いたくはないでしょう?封印を解くだけで良いのです。簡単なことでしょう?」

「あはははっ!馬鹿じゃないの?私はシスだよ。ちょっとやそっとの痛みじゃ苦痛は感じないから!」

「減らず口を……!」

 

 

男はエレクトロスタッフを振り被ろうとする。

 

その瞬間、私はシスの秘術を使って口から毒霧を吐き出す。男が毒に悶えている隙に、自らフォース・ライトニングを浴びて、磁気フィールドをショートさせた。フィールドが消えた後、私はカフを外して男のエレクトロスタッフを奪い取る。

 

電磁モジュールの威力を最大にして、男を殴り飛ばした。

 

 

「ぐっ…!?」

「馬鹿な男。シスに喧嘩売るなんてね。」

「毒が回っているはずだ!なぜ動ける!?」

「だからその毒を返したんだよ。知らないわけないよねぇ?私はシディアス卿に“シスの奇才”と皮肉られた女だよ。」

 

 

シスの奇才、その由来は私がシスの秘術に長けているから。フォース・ドレインに始まり、炎を操ったり、人形を作ったり。シディアス卿の誤算は、私が愛を知ったこと。

 

愛を知る私は、シディアス卿よりも強い。

 

 

「さて、終わりにしよう。」

「終わらせるか!!」

 

 

男はナイフで自分の首を掻き切り、絶命して倒れる。

 

真っ赤な血が地面に広がり、呆気ないとがっかりしてしまった。

 

 

「つまらな、え…?」

 

 

嫌な気配を感じ、男の死体から離れる。

 

今まで感じたことのない寒気が、私を襲った。

 

何かが足元を通り、その気配は死体から何かを奪う。男の額には毒虫のマークが現れ、死体は急速なスピードで干からびていった。ここにいたら私も危ない。そう思ったのに動けなかった。

 

毒虫のマークで何が起きているのか分かっていたのに、恐怖の方が勝って逃げることを諦めてしまった。

 

 

『ダース・ルシル……』

「っ!?」

 

 

突如伸びてきた手に首を掴まれ、壁に叩き付けられる。

 

 

「っ……」

 

 

靄の中から人影が現れ、その額には毒虫のマークがあった。

 

最悪の事態だ。エグザ・キューンが目覚めてしまった。精神体とはいえ、かなり厄介だ。肉体があっても厄介だけど、肉体がないから直接手出しができない。

 

それに、エグザ・キューンは“2人の掟”ができる前のシス卿だ。あの頃のシス卿は、ジェダイと渡り合い、簡単に殺せる程の強い者ばかり。私1人では太刀打ちできない。

 

更に悪いことに、エグザ・キューンはこの時代のシスを認知している。

 

勝ち目はない。

 

 

『ダース・シディアスの弟子、ダース・ルシルよ。わしに肉体を寄越せ。』

「断る……!」

『任意だろうとなかろうと、貴様に拒否権はない。』

「はな…せ……!!」

 

 

フォースで押し返し、私は逃げ出した。逃げ切れるか分からないけど、逃げなければならない。奴に暗黒面の力を奪わせるわけにはいかない。

 

どうして復活したのか分からない。

 

私は封印を解いてない。復活できる要素はないはずだった。そもそも、最後のシスである私しか封印に触れられない。

 

 

『逃がさん。』

「いっ……!」

 

 

キューンのフォースに捕まり、私は無理矢理振り向かせられる。

 

 

「どうやって…!」

『自ら首を切った男が、わしに命を差し出したのだ。封印を抜け出すには、それで充分。貴様の緩い封印なぞ、取るに足らん。』

 

 

抜け出した方法がどうであれ、キューンを解放するわけにはいかない。

 

 

「お忘れみたいだけど、この時代のシスのトップは私。私が唯一のシスなの。私の天下を奪わせるわけないでしょ。」

『ほぅ?どうする気だ?』

 

 

辺りにフォース・ライトニングを放ち、遺跡の壁や天井を崩しまくる。

 

私は解放され、その隙に遺跡の外へ脱出する。

 

すぐにシスの秘術で結界を張り、キューンが出られないように何重にも張った。奴を外に出すわけにはいかない。結界には生命エネルギーを使っていて、私は次第に体力を失っていく。

 

最悪の事態も考えながら、息も絶え絶えに膝をついてしまう。

 

 

『いつまで保つだろうな?』

 

 

嘲笑うような声が、フォースに乗って聴こえてくる。

 

もう、ダメかもしれない。

 

 

『諦めの悪い小娘だ。』

「しぶとさじゃ、私がシスの中で一番だよ。」

 

 

フォース・ドレインで奪ってきた分の生命エネルギーは絶え、自分の生命エネルギーも使う。

 

 

「フォースと共に………」

 

 

そう呟き、最後の手段を使おうと覚悟を決める。

 

古代シス語を唱えようとした瞬間、誰かが私の手に触れる。

 

 

「エレノア、もういい。」

「で…も………」

「僕“達”に任せて。」

 

 

そう言われて、私は結界を解く。

 

駆け付けたルークの後ろには、キップ・デュロンやカイル・カターンなど、彼の弟子として従事している若者達がいた。

 

結界が解除された途端、キューンの霊体が遺跡の外に飛び出してくる。

 

 

『ジェダイか。』

「そうだ。僕はルーク・スカイウォーカー。僕と仲間が、お前を止める。」

『無駄だ。ジェダイにわしは止められん。』

 

 

その通りだ。ジェダイは、シスとは違って何もできない。だから私が止めていた。

 

 

「そんなこと分かっているさ。」

「ジェダイにもできることはある。」

 

 

ルークの弟子達が口々に反論する。

 

 

「エレノア」

 

 

そんな中、ルークが私に声をかける。

 

 

「ジェダイとシスが手を組む時だ。」

「本当にいいの?正確には、ジェダイがシスに手を貸すってことだよ。」

「それを言うなら、シスだってジェダイを助けているだろ。」

 

 

ルークが言っていることは、何となく分かった。

 

ジェダイがシスを支え、シスはジェダイに力を貸す。今まで有り得なかったことだ。前例すらない。

 

でも、やる価値はある。

 

 

「始めるよ。」

「キップ!カイル達と援護を!」

「分かりました!」

 

 

私は古代シス語を唱え、ジェダイ達に力を分ける。

 

キューンは、魂を生き延びさせる為に生命エネルギーを溜め込んでいる。まずはそれを剥がし、それから奴の魂を破壊する。さもなければ、私の肉体を奪われる。

 

私の身体は私のものだ。

 

 

『ダース・ルシル!その生命エネルギーはわしのものだ!』

「元々は奪ったものでしょ。」

 

 

口端を上げ、私は仕上げにかかる。

 

デュロン達は私が与えた力で、キューンの魂を破壊していく。ルークも同じように魂を破壊して、キューンの霊体はもがき苦しむ。私が魂の深い部分を潰していくと、キューンは抵抗して腕を伸ばしてくる。

 

それをデュロン達が止めて、私は更に集中する。

 

 

『許さん!許さんぞダース・ルシル!!』

「強い者が勝つ。それがシスの世界でしょう?私はあんたよりも強い。ジェダイもいるしね。」

『愚かな!シスはジェダイなんぞと手は組まぬ!シスこそが銀河最強なのだ!』

「残念だけど、時代は変わったの。」

 

 

ついにキューンの魂は完全に破壊され、霊体も消えた。今度こそ魂が破壊され、キューンは二度と復活することはない。もし地獄から這い上がってきても、“私達”が許さない。

 

私はキューンの霊体がいた場所に声をかける。

 

 

「あんたこそ役不足だっての。」

 

 

この時代のシスは、私だけだ。

 

 

「エレノア!なんで呼んでくれなかったんだ!?」

 

 

鼻で笑ってやると、ルークに怒られてしまった。

 

 

「えぇ?だってあんたジェダイじゃん。」

「母が素直に助けを呼べと、常日頃から言ってるだろ!」

「ごめん。でも来てくれてありがとう。デュロン、あんた達も。」

 

 

デュロン達はただルークに従っただけだけど、来てくれて良かったことは変わりない。

 

 

「そういえば…忘れてた。」

「ん?どうしたんだ?」

 

 

よっこらせと座り込み、私は岩を枕にして寄り掛かる。

 

 

「毒打たれたんだよね〜解毒しないと〜」

「なぜそれを先に言わないんだ!?」

 

 

駆け寄るルークを見たのを最後に、私は眠気に身を任せた。

 

結局、アナキンはヤヴィンに来なかった。

 

フェラスとステファニーが、シャンドリラでアナキン率いるジェダイ・オーダーで守られているのはありがたい。でも、できることならアナキンが来てくれたら嬉しかった。今回のことを機に、何かが変わってくれたら良いと思う。

 

アナキンは、パドメと同じく私の友人なのだから。

 

 

continue…

 

 

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