ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
どうぞお納めくださいw
長いので、前後編に分けましたw
帝国が誕生して20年。
銀河は暗黒時代の最中にあった。
ダース・シディアスが皇帝として頂点に君臨し、その隣にはダース・ルシルが控えていた。帝国に逆らう者はダース・ルシルに殺され、銀河の民はその圧政に苦しんでいた。誰もシスを止めることはできず、反乱同盟軍も為す術もなかった。
しかし、それが変わろうとしていた。
降り頻る雨の中、ダース・ルシルはある者に外縁部の旧共和国軍基地に呼び出された。
彼女は2人だけで会うことを条件に、待ち合わせ場所に訪れた。
「私に殺されると思わなかったの?」
彼女は呼び出した相手に、そう吐き捨てる。
「ねぇ、パドメ」
ダース・ルシルが名前を呼ぶと、パドメは振り返る。
「来ると思ったわ。」
「パドメ・アミダラ、私とお前は正反対の存在だ。」
「だからこそ来たのよ。」
「私が何をしたか忘れたわけ?」
彼女の殺気に、パドメは息を呑む。
オーダー66でダース・ルシルは瀕死に陥り、彼女は止むなくアナキン・スカイウォーカーを殺した。オビ=ワンも重い傷を抱え、彼はパドメを連れて逃げ出したのだった。
その後、ダース・ルシルは皇帝の為にライトセーバーを振るった。
時が経つと共に、彼女は本来の自分を忘れていった。
アナキンを殺したと同時に、彼女は自らの良心も殺したのだ。
「忘れてないわ。エレノア・クラウド、私は決断したのです。」
「何をしても遅い。反乱軍も勝ち目はない。」
「いいえ、今じゃないわ。」
「何が言いたい?」
「過去から変えるのよ。」
パドメの言葉に、ダース・ルシルは吹き出す。
「あはははっ!そんなにスカイウォーカーに会いたいの?死ねば会えるのに!」
「エレノア、」
「私はエレノアじゃない。エレノア・クラウドは20年前に私が殺した。良心は期待しない方が身の為だよ。」
「信じないわ。貴女が“ネル”じゃないなら、どうして私を殺さないの?殺すチャンスは何度もあったはずよ。」
その瞬間、ダース・ルシルはパドメを壁に叩き付ける。直に首を掴み、絞め殺そうとしていた。そんな彼女に、パドメは首を絞められながらも話を聞くように頼む。
「ネル……!」
「私も私を信じてない。もう私の中に“ネル”はいない。」
「全てを……変えるのよ………」
ダース・ルシルはパドメを突き放し、冷たく見下ろす。パドメはふらつきながらも立ち上がり、尚も彼女に訴えかけた。
「貴女が私に引導を渡さないのは、今の状況に苦しんでいるからよ。僅かな希望を信じているのよ。それと同時に、諦めかけてもいる。」
「………違う。」
「私の息子が殺してくれると、希望を持っているんでしょう?」
「やめて!!!」
彼女は怒りに震え、パドメを睨む。
「なんで私?私じゃなくても、方法はいくらでもある。反乱軍を強くすればいい。まずここで私を殺せば?士気は確実に上がる。」
「ネル、」
「そんな目で見ないで。」
「貴女しかいないの。シスの秘術なら、何でもできる。」
「なぜ私が協力すると思うの?私は何も得をしない。」
ダース・ルシルは、手の平で緑の煙を操る。シスの毒に、パドメは目を逸らしてしまう。パドメはダース・ルシルに頼ろうとしながらも、シスの秘術を嫌悪していた。
「………」
「シスの秘術は複雑でね。過去に干渉するとなると、それなりの代償も払うことになる。それも関わる者全てに………」
「私が代償を払うわ。」
「違う、贄は求めてない。何も分かってない。過去を変えたところで、シディアス卿はどうにもできない。あの方は、クローン戦争の遥か昔から暗躍してきた。」
ダース・シディアス、もといシーヴ・パルパティーンは、ナブーの侵略より以前から暗躍してきた。それはジェダイやシスと関わる者達にとって、周知の事実だった。当然、パドメも知っている。
「ええ。だから私も過去に行くわ。」
彼女は驚いて、パドメに振り返る。
パドメの目は、揺るぎない決意が宿っていた。“エレノア”はその目を見て、意志を曲げる気はないと悟った。彼女はパドメのこの姿を憶えていて、かつての自分の姿も脳裏に浮かんでいた。
「死ぬことになってもいいわけ?」
「“親友”が一緒なら怖くないわ。」
「あんたの親友はもう死んでる。目の前にいるのは、殺された親友の皮を被ったシスだよ。」
「それは間違いだわ。貴女はシスの殻に篭った親友よ。」
ダース・ルシルは、パドメの目を真っ直ぐ見る。
やがて、彼女は1つの決断をした。
「分かった。」
「ネル……」
「あんたを信じる。その代わり、覚悟して。文字通り全てが変わる。」
ダース・ルシルはマスクをして、パドメに背を向ける。
「待って、」
「準備がいる。明日、モラバンドに来て。誰にも言わずに。」
「貴女は?」
「準備がいると言ったでしょう。私を信じるなら、モラバンドに来て。」
フードを被り、ダース・ルシルはシャトルへ向かう。
パドメは帝国のシャトルが去るのを見つめて、彼女も小さなシャトルへと戻る。
銀河の、全ての運命が変わろうとしていた。
運命は、悪の権化であるダース・ルシルの手に委ねられたのだった。
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