ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
ザ・後編ですw
どうぞお納めくださいw
翌日。
パドメは誰にも告げず、1人でモラバンドに降り立った。
シス寺院の中に入ると、祭壇前にダース・ルシルが待っていた。
「何をするの?」
「説明する前に、尾行者を何とかして。」
「尾行者?」
パドメが振り向くと、息子のルークが祭壇に近付いてきていた。
「ルーク!?」
「母さん!どうしてこんなところに来たんだ!?」
「ルーク、帝国を止めるにはこうするしかないのよ。私を信じて。」
「僕が疑っているのは母さんじゃない。あいつだ。」
ルークの視線は、ダース・ルシルに向けられる。
「父さんを殺したお前は信じられない。」
「信じなくて結構。私はあんたの母親と手を組んだのであって、あんたと組んだわけじゃない。儀式の邪魔をしないで。」
「戦ってでも止めてやる。」
「半端なあんたじゃ私は止められない。散々失敗したでしょ。私達が失敗したら殺せばいい。ついでに皇帝もね。」
「は…?お前…最初から………」
「大人しく離れろ、“スカイウォーカー”。」
ルークは恐れ慄き、黙って離れる。
“エレノア”はナイフで指先を切り、古代シス語を唱える。その指先からは血が止め度なく流れ続け、祭壇を中心に術式を描いていく。その間も、彼女は古代シス語を止めることなく呟き続ける。
「ネル…姿が………」
パドメの声に返さず、エレノアは集中する。
“ダース・ルシル”は若く保っていた外見を解き、全ての力を術に注ぐ。
「パドメ、前に座って。」
「何をするの?」
「私の持つ生命エネルギー全てを使って、私を過去に送る。記憶を失い、赤子に戻る。その後は、あんたの役目。」
「母さんを殺す気か!?」
「頼んできたのはパドメだよ。危険は百も承知でしょ?」
パドメとルークはエレノアに何も言えず、パドメは彼女の前に座る。術式が変わり、エレノアは緑色の炎に包まれた。だが彼女は動じることなく、儀式を続ける。
「私はどうすればいいの?」
「子供の私を導いて。」
「私が……?」
「未来を変える瞬間はある。チャンスは少ない。でも、“親友”のあんたなら私を操れる。」
「記憶がないのに……?今の貴女は……?」
「私は時間軸から弾かれて、意識だけになる。その内消える意識体にね。死んだも同然。存在も消えるかもしれないけど。」
「ネル………」
エレノアの言葉に、ルークまでもが切なさを抱く。
パドメは涙を流し、何度も感謝を伝えた。
「必ずやるわ。ネル、ありがとう。貴女のことは絶対に忘れないわ。」
「それは嬉しいけど、私のことは忘れるべきだよ。」
「ネル!!」
「………さよなら、パドメ。」
炎は一気に燃え上がり、エレノアの姿は見えなくなる。
「私を許して────」
その言葉を最後に、炎は一気に収束した。術式の中心には、赤ん坊がいた。無垢に泣く赤子に、パドメはゆっくり手を伸ばす。
「母さん!!」
その瞬間、パドメは寺院から姿を消した。
気が付くと、パドメは未来にはないオルデランにいた。
赤子を抱えて、彼女は密かにヨーダに連絡を取った。直接赤子のエレノアを託し、彼女は再び未来に戻っていた。
パドメは、やることをちゃんと分かっていた。ルークは彼女をサポートして、パドメは過去へ行ったエレノアを導き続けた。
やがて、変化が起きた。
「マスター・フィストー………?」
キット・フィストーが、霊体でルークの前に現れたのだ。
『私がやり方を教える。“ネル”の為に。』
未来は、少しずつ変わり続けた。
同時に、更なる変化も起きた。
皇帝はルークの前で崩壊した。それは、歴史が変わったことを表していた。過去に行った“ダース・ルシル”が全ての力を使い、ダース・シディアスを地獄に捕らえたのだ。
パドメのいる銀河はそれから、劇的に変化した。
皇帝がいなくなったことで、反乱同盟軍は帝国に勝利した。
銀河は平和になり、新共和国も再編された。
やがて、パドメに死期が訪れた。
彼女は意識朦朧とする中、真っ白な世界でアナキンと再会する。
『アニー………』
『パドメ、ネルを信じてくれてありがとう。』
『アニー、どうしたの?』
『………ネルは………自分の意思で僕を殺したんじゃない。』
『え……?』
アナキンは、真実を打ち明ける。
『僕が殺させたんだ。』
『どういうこと……?』
『シスの秘術に長けたネルに、希望を託したんだ。それに、僕を殺せば皇帝もネルを信じる。辛い思いをさせてすまない、パドメ。』
『待って!アナキン!』
『すぐに会える。パドメ、愛してる。』
パドメは現実に戻り、ベッドで涙を流す。
エレノアの良心は生きていた、と。
そして、パドメは眠るように息を引き取った。ルークとレイアに看取られ、長い波乱の人生は幕を閉じた。パドメの手には、エレノアのヒルトと、アナキンの木彫りの御守りがあった。
再び真っ白な空間、パドメの数歩先に、1つの玉座が置かれていた。
その玉座には、誰かが座っていた。
『ようこそ、“アミダラ”議員。』
その声に、パドメは胸が高鳴る。
声の主は玉座から立ち上がり、“ダース・ルシル”は背凭れに寄り掛かる。
『全て変わった。』
『ネル………?』
『私は消える。』
『ネル……!!』
『二度と、シディアス卿が甦ることはない。さよなら、パドメ。』
彼女の姿は、喋りながらも風化していく。
完全に塵になった頃、パドメはエレノア・クラウドのことを忘れた。
未来は変わり、全ての銀河が平和になった。
1人のシスによって。
彼女は、もう1人の理想主義者である。
Fin.