ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
主からご褒美の休暇をもらって、私はミッドリムの惑星にある小さな島でバカンスをしていた。
この星は中立惑星で、お忍びでバカンスをするには良い星だ。ミスマッチはシャトルで待機させ、私は甘いトロピカルジュースを飲みながらリクライニングチェアで欠伸をする。
平和すぎて、逆に退屈だな。
その時、コックピットにいるディンが慌てた声で連絡してきた。
『大変です!ルシル卿の下へ、共和国と思われるシャトルが近付いてきてます!』
「こっちに?」
墜としてしまえと命令したいところだけど、この前中立惑星でジェダイと戦ったら、主に苦言を呈されてしまった。
ここで良くないことをすれば、中立惑星を敵に回しかねない。
『すぐに退避を!』
「分かった。離陸準備よろしく。」
『ラジャラジャ!』
リクライニングチェアを畳んで抱え、トロピカルジュースを持ってすぐに逃げようとする。
その瞬間、グラスが撃たれて手がビショビショになった。
レーザー弾が飛んできた方を見ると、どこかで見たような女ジェダイがブラスターを構えていた。少しして女ジェダイを思い出し、私は笑みを浮かべる。対する女ジェダイは、私の笑みに嫌そうな顔をする。
私はリクライニングチェアを置き、口を開く。
「まさか私が主の獲物に会えるなんて……とても運が良い。」
仕返しにフォース・ライトニングを飛ばしてやれば、彼女は私と距離を取る。
「私を知ってるの?」
「もちろん。主はジェダイのアリス・レインに興味深々でね。」
「あっそ。じゃああいつに伝えておいてくれる?しつこいって。」
「嫌に決まってんじゃん。ここで降伏してもいいんだよ?」
私がそう言うと、後ろからプラズマの刃が首に添えられる。
どうやら、アリスは囮らしい。
「ゆっくり振り返って。ありがとう、アリス。」
「だから囮は嫌だったのに。」
「その声、サマンサ・ホーガンだね。この前のこと、まだ怒ってるの?」
「当然でしょ。営業妨害しておいて、太々しいよ。」
サマンサの言う営業妨害とは、私が受けた任務のことだ。
私はドゥークー伯爵の指示で、ある分離派の議員を追っていた。〈ホーガ・フォレスト〉にいると聞いて、私はその店に行き強引にその男を引き摺って連行した。その際、議員含め私は騒ぎを起こしたとして以後入店禁止になった。
ドゥークー伯爵が下手に手を出すなと言うだけある。
もう個人的に行くことはないと思うけど、主が手筈を整えてGOサインを出せば、あんな店はすぐに潰せる。
それなのに、彼女ときたら営業妨害だなんて考えが甘い。
「逆に営業妨害だけで済んだと感謝したら?」
「するわけないでしょ。ほら、こっち向いて。」
私は振り返り、アリスに後ろ手にカフをかけられる。
そして、隠れていたのかアナキンとオビ=ワンが出てくる。
「スカイウォーカー、これあんたの作戦?」
「そうだ。僕が出て行けば、君はやたら警戒するだろう?」
「何言ってんの?私はいつでも戦闘に入れるんだよ。」
「ネル、後ろで手錠されてどうする気だ?」
「みんな忘れたの?私はシスだよ?」
私は古代シス語を唱え、蓄えた生命エネルギーの一部で炎を生み出す。勢いの強い緑の炎は4人を跳ね除け、やがて手錠を溶かした。柔らかくなった手錠を引き千切り、私は赤いライトセーバーを起動させる。
私の予期通り、真っ先にアリスが切りかかってくる。
主から聞いていた通りだ。
「自分から来るなんてね。」
古代シス語を吐き、私はアリスに向けて緑色の煙を吐く。
これは、主が作った術だ。この術は、肉体を若く保つ。主の計画の1つにアリスが必要で、その為の術らしい。
私はこの術を少し手を加えて、若さを保っている。
尚且つ、致命傷を負っても生命エネルギーさえあれば治せる。
「アリス!!」
ところが、アリスに煙が触れるか触れないかのところで邪魔が入った。サマンサが間に入り、私は慌てて煙を消す。でも全部消せなくて、一部がサマンサを掠め、彼女はその暗い力に気絶してしまった。
一瞬焦ったけど、私のせいじゃない。
サマンサの自業自得だ。
「サマンサ!!」
アリスはサマンサに駆け寄り、本気で心配している。
やっぱり、ジェダイは気に食わない。オビ=ワンだけじゃなくて、アナキンまでほぼ他人のサマンサを心配している。アリスはお人好しと聞いているから分かるけど、アナキンまでもがサマンサの心配をしているのは理解できない。
懐からブラスターを出してアリスに向けると、アナキンがライトセーバーで切り壊してきた。
咄嗟にライトセーバーで防御すると、アナキンがギリギリと圧をかけてくる。
「今何をしようとしたんだ!」
「どっちのこと?さっきの術?ブラスターのこと?」
「両方だ!!」
「分かってないね、スカイウォーカー。私はシスだよ。危険因子は抑えるに決まってるでしょ。」
「オビ=ワン!サマンサを船に!」
「よせ!アナキン!アリス!お前まで!」
2対1で戦うけど、私は笑みを崩さずに応対を続ける。
アナキンは別として、アリスは大した強さじゃ、
「っ!!」
アリスはアナキンと同じフォーム5で、私の剣撃を叩き返してくる。彼女は冷静さを保ち、静かに踏み込んでいた。アリスのマスターはプロ・クーンだ。油断したらまずい。
直感的にヤバイと感じた。
今のアリスは神経が研ぎ澄まされている。
「後ろに下がり始めてるよ、ルシル卿?」
「戯言を……」
「今のアリスは怖いだろう、ネル。」
「怖くなんか、っ!?」
アリスとアナキンは2人一緒にフォース・プッシュをしてきて、私は咄嗟に受身を取る。
「アリス!!」
アナキンの呼び声に、アリスは駆けてきて、彼女は目前で急に身を低くする。
気付いた時には顔をライトセーバーで切られ、私は右目を押さえる。
「っ……よくもっ…!!」
「何だと…!?」
緑色の炎が顔を走り、私の切られた顔は炎で修復される。潰れた右目も治り、私は顔から手を離す。顔は何事もなく、綺麗に元通りになった。
その様子に、アナキンとアリスは腫れ物を見るような目をしていた。
「使った生命エネルギー、お前達の命で補わせてもらう。」
「アリス!逃げろ!」
フォース・ドレインを使い、アナキンとアリスから生命エネルギーを奪おうと狙った。だけど、アリスはアナキンを引っ張り後ろに下げ、私が術を発動するより早くフォース・プッシュをする。それも全力で押し飛ばされ、私は地面に転がって倒れる。
立ち上がろうとすると、アリスがライトセーバーを突き付けてきた。
「黙って捕まって。」
「認めるわけないでしょ。」
私は懐から切り札を取り出す。
「マジで化け物……!」
アリスはそう言って、急いで跳び下がる。
次の瞬間、切り札、グレネードは爆発して私も火傷を負う。怪我はさっきと同じように治癒して、私は全力でフォース・ジャンプする。
頭上にはディンの操縦するシャトルが来ていて、私はハッチに滑り込む。
シャトルはすぐに脱出し、すぐ近くに待機する〈ディスペアー〉を目指した。
「ルシル卿!敵機接近中です!」
「ほっといて。すぐに旗艦へ。」
旗艦に着けば、私のインターセプターがある。そうなれば、アナキン達なんて標的にはならない。あっという間に墜としてやる。
主に代わってアリスを捕まえたかったけど、邪魔が多いし、こんな機会なかなかない。
でも、まだチャンスはある。
“ダース・ルシル”を甘く見たこと、後悔させてやる。
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