ジェダイ(仮)と理想主義者(笑)と退職(無断)者の小話。 作:夭嘉
目を覚ますと、私はアリスの旗艦にいた。
私は医務室にいて、点滴されていた。医療ドロイドが慌てて駆け寄るけど、そんなこと構うことなく腕から針を抜く。急いで私服に着替えて、私はブリッジに走った。
時々クルーザーが揺れて、まさかと思ったけど戦闘中だった。
ブリッジに入ると、私達がいるのは惑星ケッセルだった。
「サム!良かった!大丈夫か!?」
ブリッジにいたオビ=ワンが、私に気付いて声をかけてくる。
そこで、私は違和感を抱いた。
「アリスは……?」
ついでに言うと、アナキンもいない。
このヴェネター級クルーザーは、アリスの第908艦隊の旗艦だ。アリスはジェダイ将軍で、本来なら指揮する立場にいる。つまり、旗艦のこのブリッジにいないのはおかしい。
「私がインターセプターに乗せた。」
「え、指揮は?」
「総指揮は私がしている。今回はネルを捕まえたいからな。アリスには特攻してもらった。」
一気に心配になった。
あのアリスに器用なことができるんだろうか。
「大丈夫なの?」
「あれでもマスター・プロの弟子だ。厳しく鍛えられているから問題ない。」
「あー……」
それを聞いて納得した。今のアリスはその反動だろう。あの人、絶対逃亡癖があるな。
「私もインターセプターに乗るよ。」
「それこそ大丈夫か?」
「うん。ちょっとアリスを助けないといけない理由ができたの。」
エレノアの術を受けて、私は別世界を垣間見た。一種のパラレルワールドみたいなものだ。その中には、未来だと思われるものもあった。
私が気になったのは、アリスが“ダース・ヴェイダー”と対峙していたこと。
何より気になったのは、アリスが歳を取っていないこと。私がさっきエレノアからされたことを考えると、アリスはシスから何かの術を受けたみたいだった。それに、強いフォースを感じた。
アリスには何かある。
「一体どうした?」
「シスの企みを止めるだけ。」
「気を付けろ。」
「ありがとう。」
ブリッジから出て、私はハンガーベイに走った。
ハンガーベイに着くと、コマンダー・ヘクターにある機体の前に案内された。
「ケノービ将軍のデルタです。ケノービ将軍から指示を受け、準備ができております。」
「他の機体にしない?」
「デルタはジェダイ用に仕様変更されています。ケノービ将軍は貴女なら使い熟せる、と。」
「だったらアリスがこっちの方が良かったんじゃない?」
「レイン将軍はダメです。先日自身のデルタをお陀仏にしたばかりなので。」
苦笑いしながら、私はオビ=ワンの言葉に甘えてデルタに乗り込む。スイッチを全部入れて、私はハッチが開き切るのを待たずに、隙間から飛び出した。
ドロイド・ソケットには、オビ=ワンとよくいるR4がいる。
「よろしく、R4。」
R4は元気良く返事して、私は通信回路を開く。
発進してすぐ、オビ=ワンやアナキン達から通信が入ってきた。
『サム、アナキンに続け。』
『私じゃないの!?』
『僕の腕の方が上でしょう?』
「私もそう思う。」
『ひどくない!?』
アナキンの機に続いて、私は旋回しながらヴァルチャー・ドロイドを撃ち落としていく。R4が上手くフォローをしてくれているお陰だ。
私が出てきたことで焦りを感じたのか、〈ディスペアー〉から有人機が出撃してくる。
「ダース・ルシルが来たよ!」
エレノアのインターセプターは、アリスの機体を明確に狙っている。しかも、撃墜まで行かなくても動けなくする気だ。絶対に阻止しなければならない。
『OKサマンサ!◯ラゴン◯ールの悟◯式で行くよ!』
「ちょっと待って意味が分からない!」
『Zの引き延ばし用の運転免許取得編あるじゃん!私とサマンサしか分からないやつ!』
『アリス!どういうこと!?』
『サマンサ!よく聞いて!私達にしか分からない戦法なの!行くよ!』
「待って…!?心の準備が…!!」
私の声も虚しく、アリスはわざとエレノアの機に追尾させた。確かあの免許編で、悟◯はコントロールの失った車から脱出している。無人の車、炎上、脱出の単語しか引っかからない。
つまり、どういう意味?
『アリス!!』
アナキンの悲鳴にも似たような声に、私も絶句する。
アリスはエレノアに至近距離まで近付かせると、緊急脱出する。脱出したアリスは酸素マスクを着けていて、ジェットパック代わりにR7-D4に貼り付いていた。そのままアリスとR7は旗艦を目指し、エレノアは間一髪で避けたものの掠ってしまい、仕方なく引き返していった。
肝心のアリスのデルタは、エレノア機の後ろのヴァルチャー・ドロイドに当たり大破してしまった。
同時に、〈ディスペアー〉率いる艦隊は撤退していった。
アナキンが追おうとするけど、それはオビ=ワンが引き止めていた。
『深追いはするな!』
『しかし、』
『アリスとサムがいる状態で追跡するつもりか?』
『………戻ります。』
私達も旗艦に引き返し、アナキンが報告書を作りに行った。どうしてアナキンが報告書を書いたかと言うと、ブリッジに戻ったらコマンダー・ヘクターのアリスへの説教が始まったからだ。インターセプターを潰したのは、一度や二度だけじゃないらしい。
ヘクターが説教している間、私はオビ=ワンに声をかけた。
「今回は残念だったね。」
「まだチャンスはある。だが、アリスとお前を加えるのはやめた方が良さそうだ。」
「そうだね。じゃあ、私はそろそろ帰るよ。ダース・ルシルに借りは返したからね。」
「ああ。今回は助かった。感謝しているよ。………苦労するね。」
まだ終わらない説教を見て、私はオビ=ワンに小さく呟く。
「アリスはトゥーカだと思って、我慢している。」
「悟り開いてない?」
オビ=ワンの目が据わってる。怖い。程々にしようね、アリス。
一旦ヘクターを止め、私はアリスやヘクターに別れを言い、迎えに来た〈ホーガ・フォレスト〉に乗って艦隊を後にした。
その後、私はいつもの日常へ、アリスは戦場へ、オビ=ワン達も戦場へ戻っていった。
開戦前にアリスに言われた、悪夢の話がかなり気になるけど、あれはアリス自身の問題だ。アナキンとアリスの関係は、特別だ。正反対のように見えて、2人には共通点も多い。
未来が暗いものじゃないことを、祈り続けるしかない。
未来は、常に揺れているのだから。
continue……